ラピダスの組立工場と解析センターが稼働開始
ラピダスが組み立て工場と解析センターの開所式を先週末に行った。組み立て工場では600mm角のガラスインターポーザを使ったラインを設置しているという。さらにラピダスの顧客開拓支援として、経産省は富士通と日本IBMのAIチップ設計などの事業に最大900億円を補助する。米国の巨大ファウンドリ構想としてElon Musk氏のテラファブ構想にIntelも参加することを表明した。
図1 2026年4月11日に開催されたラピダスの組立工場と解析センターの開所式 出典:ラピダス
ラピダスの後工程工場は、近隣のセイコーエプソン千歳事業所の一部を間借りしており、ここにクリーンルームを設置後、2025年4月から装置を搬入した。同年12月には600mm角のRDL(Re-Distribution Layer:再配線層)インターポーザ向けのガラス基板を試作した。今回の開所式で本格稼働するとラピダスは発表した。RDLは、チップ上の配線端子(ボンディングパッドや銅ピラーなど)とパッケージ基板からの外部端子のサイズと位置が違いすぎるため、配線し直して両者を接続するための配線層の形成を目的としている。
TSMCなどの既存ファウンドリはシリコンのインターポーザで多層配線層を形成しているが、インターポーザは数十mm角にも大きくなるため、300mmウェーハからはとれ数が少ない。このため、ラピダスは巨大なガラス基板を用いてインターポーザとする考えだ。Intelもガラスインターポーザを使うとしているが、まだ実績はないようだ。
組立工場ではパッケージの基板となる有機基板にガラス繊維やシリカ微粒子を混ぜるなどによって、熱膨張係数をシリコンに近づける必要がある。4月7日の日本経済新聞によると、日本触媒は数十億円を投じ、姫路製造所(兵庫県姫路市)のシリカ微粒子の生産ラインを増強する。2030年度までに現在の1.5倍に生産能力を引き上げると報じた。
また、解析センターは、前工程工場に隣接しており、前工程で試作したウェーハなどを解析センターで評価する。この施設には電子顕微鏡を設置しており、建築基準法の1.5倍の耐震性能を備えているという。
経済産業省は、補助金を通じてラピダスの顧客開拓を後押しするため、富士通や日本IBMのAI半導体の設計など3事業に最大約900億円を補助すると発表した。赤沢亮正経産相は11日、ラピダスの開所式に出席し、記者会見で「(量産後も)覚悟を持って支援を続ける」と述べている。
起業家Elon Musk氏のテラファブ構想は、米国版TSMCを作ろうというもので、IntelはXに投稿し次のように書き込んでいる。「Intelは、SpaceXやxAI、Teslaと共にTerafabプロジェクトに参加できることを誇りに思います。これにより、シリコンファブ技術の再構築を支援します。 超高性能チップを大規模に設計、製造、パッケージングする当社の能力は、Terafabの目標である、AIとロボティクスの将来の進歩を支えるための年間1 TWの計算能力を生産することを加速するのに役立ちます」。
Intelは製品部門が黒字なのにも拘わらず、製造部門(Intel Foundry)が大赤字を流しており、製造部門の立て直しと脱官僚主義を狙って、Musk氏のテラファブに参加するのであろう。TSMCのような完全独立ファウンドリをIntelもMusk氏も狙っているが、初期投資は250億ドル、最終的な目標 (1TW) は5〜13兆ドルとも言われている。
4月12日、月面探査のアルテミスII計画で宇宙線オリオンが無事帰還したが、このミッションにルネサスエレクトロニクスの耐放射線チップが複数使われたとルネサスが発表した。かつて買収したIntersil(元はHarris Semiconductor)がオリオンと打ち上げロケットに搭載される複数のサブシステムに使われたという。
ご意見・ご感想


