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佐賀大、ダイヤモンド半導体の高周波特性を測定、遮断周波数fMAX120GHz

佐賀大学の嘉数誠教授らのグループは、ダイヤモンド結晶を使って半導体としてMOSトランジスタを試作し、その高周波特性を測定したところ、遮断周波数fMAXが120GHzを示した。ダイヤモンドはバンドギャップがシリコンの4.9倍もあり耐圧が高いため、パワー半導体への応用が期待されている。とはいえ、実際のトランジスタを形成することは簡単ではない。ゲート絶縁膜、n型/p型の形成などシリコンとは難しさが違う。

ダイヤモンド半導体

図1 最高4000V以上の耐圧を持つダイヤモンドトランジスタ 出典:佐賀大学


そもそもダイヤモンドの酸化膜はCO2やCOのような常温で気体である。また、今のところ、NO2ドープによりp型はできるが、n型の形成は困難だという。まず、ゲート絶縁膜には高純度の酸化アルミニウムAl2O3を用いた。加えて、ドレインソース間を流れる電流のキャリヤは正孔であるため、pチャンネルMOSFETとなる(図1)。しかもシリコンと違ってMOS反転を起こさないため、ゲート電圧をかけてp層に空乏層だけでチャンネル通路を狭めたり広げたりすることで電流を制御する。

まずは図2のような構造のトランジスタを作り容易に高耐圧デバイスが作れるはずと思い、ゲート長2.5µmのpチャネルMOSFETを作製した。ドレイン-ゲート間の距離を50µmと長くすることで空乏層を広げ耐圧を高めたところ、4,266Vというとてつもない高さの耐圧を記録した。


高純度原料を用いダイヤモンド半導体デバイスのオフ耐圧は4266Vに向上 / 佐賀大学

図2 ドレイン-ゲート間を50µmに離し、耐圧4266Vを実現 出典:佐賀大学


次に高周波特性を調べるためにはゲート長をもっと短くする必要がある。半導体メーカーと違い、大学で加工する寸法として1µm以下(サブミクロン)は加工が難しいため、T字型のゲート電極を形成することでゲート長を157nmに形成した。実際のゲート電極の加工には、電子ビーム露光技術と光感度の違う3層フォトレジストを利用したリフトオフ法を用いた。

高周波動作をさせるためにはゲート長を短くし、ゲート-ドレイン間距離も小さくする必要があるため、基本的には耐圧は小さくなるが、それでも400V程度あったという。そして高周波特性を測定すると、電力利得から算出した遮断周波数fMAXは120GHz、電流利得の遮断周波数fTは15GHzであった(図3)。実測値では20GHz程度の周波数で電力利得は20~40dBと幅が大きい。測定するジグとのインピーダンス整合を取ることが難しいため、バラつきが大きいという。


ダイヤモンド半導体で120GHzの電力増幅利得の遮断周波数で動作 / 佐賀大学

図3 遮断周波数fMAXは120GHz 出典:佐賀大学


試作したダイヤモンドトランジスタのパッケージング段階では、長いワイヤーで外部へ信号を取り出しているため、ワイヤーの寄生インダクタンスが大きいことが予想される。ただ、今回の試作では、どの程度の性能が得られるかを評価しただけであり、フラットリードなどで端子を引き出すようにするなど、寄生インダクタンスを減らすように工夫すればもっと性能は高くなるかもしれない。改善の余地は多い。

このトランジスタを試作するために作製したダイヤモンドは、CVD法でCH4(メタン)を分解することによって形成したとしている。1枚のウェーハ上に100個程度作成し、ほぼすべてのチップが動作したという。

(2025/12/18)
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