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台湾とのコラボや対日投資の急増はじめ、外国の日本市場への進出目立つ

台湾企業の対日投資が急増している。これまで中国に量産拠点を構築してきたが、それがもうできにくくなり、日本に市場を求めたようだ。AI関係では、Anthropic が今秋にも都内に拠点を設けると発表、さらにフランスのMistralも26年に拠点を開設する見通しだ。Nvidiaの発表に続き、QualcommもベトナムにAI開発拠点を作った。国内でも三井不動産が半導体の拠点を設ける。

台湾経済部(日本の経済産業省に相当)によると、台湾の日本向けの直接投資(認可ベース)は製造業などが伸び24年に前年比2.2倍の99件と過去最高を更新。25年1〜5月も前年同期比1.8倍の50件だった。投資総額でも、TSMCの日本工場JASMへの投資という個別案件は大きいものの、24年に前年比26倍の54億9020万米ドル(約8000億円)に上った。

6月26日の日本経済新聞でも報道されたように、台湾電子部品大手、国巨(ヤゲオ)が温度センサ大手の芝浦電子に同意がないままTOB(株式公開買い付け)を開始、ホワイトナイト的にミネベアミツミが買収に乗り出した買収劇が進行しているが、これは日本進出の足掛かりと見える。台湾は、すでに報告したように(参考資料1〜3)、日本の自動車産業と材料技術が魅力的に映る。加えて、ヤゲオの陳泰銘・董事長(会長)は「芝浦電子の製品を世界中に展開できる」と述べており、海外進出の手伝いを台湾企業ならできることを訴求している。

また、24日の日経によると、鴻海精密工業の傘下で電気自動車(EV)の開発を担う鴻華先進科技は、三菱自動車向けの車開発で同社と契約した。オセアニア市場へのEV投入に向けて鴻華先進科技が車の設計や製造管理を担当するという。海外進出や販売での実績は台湾企業が得意なことから、海外進出の苦手な日本企業は台湾との共同作業は海外売り上げを伸ばすチャンスかもしれない。契約期間は2032年3月まで。

26日の日経によると、AI開発の有力新興企業米Anthropicは25日、今秋にも都内に営業拠点を設けると発表した。主力の対話型AI「Claude(クロード)」の日本語対応も強化する。同社は、Dario Amodei最高経営責任者(CEO)らがOpen AIから独立して設立した。米Amazon.comが80億ドルを出資するほか、米Googleも投資する生成AIの有力企業だ。日本は生成AIを業務に組み込んでいる割合がまだ少ないため、法人向けに伸びしろが大きいと判断したようだ。


図1 フランスMistral AIの社員たち 出典:Mistral AIホームページから

図1 フランスMistral AIの社員たち 出典:Mistral AIホームページから


先発のOpenAI は既に24年4月に日本法人を開設した。フランスの生成AI開発企業であるMistral AI(図1)も2026年に日本に進出する計画だ。同社は英Deepmind(現Google Deepmind)出身のArthur Mensch氏ら3名が2023年4月に創業した。大規模言語モデルの開発において、Open AIなどと競える唯一の欧州企業とされる。誰もが使いやすい生成AIを目指している。

アジア進出ではベトナムが注目されている。26日の日経によると、米Qualcommはこのほど東南アジア初の拠点を開き、米Nvidiaも新設を計画。ベトナムはIT人材が豊富でAIの技術者も輩出している。Qualcommは、ベトナムの首都ハノイで6月10日AI研究開発センター開設した。同センターは研究者を100人以上配置し、AIの基礎研究から大規模言語モデル(LLM)の開発、様々な用途での実用まで手掛ける。Qualcommは4月にベトナムのAI企業であるMobian AIを買収しており、ベトナム語のLLMの開発や、EVへのAI搭載を進めてきたという。Nvidiaは24年12月に拠点開設に関する協定に調印した。

27日の日経によると、三井不動産は今秋にも半導体に関わる企業や研究機関を集めた産業育成拠点を都内日本橋に設ける。数年で200〜300社規模の会員組織もつくり、勉強会などを通じて新規ビジネスの創出や人材育成を促す。

参考資料
1. 「【動画】台湾が期待するニッポン〜会員限定Free Webinar(4/24)」、セミコンポータル、(2025/04/30)
2. 「日台相互協力が今後の半導体の鍵に〜2024年台湾半導体デーから」、セミコンポータル、(2024/04/05)
3. 「スマート社会やモビリティなど新応用向け半導体チップの設計者を募る台湾」、セミコンポータル、(2024/12/24)

(2025/06/30)
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