世界の半導体販売額、25年10〜12月は異常な伸びを示す、IC不足の前触れか
2025年第4四半期(10〜12月)の世界半導体販売額は、異常な伸びを見せていることがわかった。特に12月は前年同月比(YoY)40%増という異常な急成長を示している。前年同月との差は実に250億ドルも高い。この急成長は本来の実需を表しているのであろうか。2022年の半導体不足の再現の前触れかもしれず、気になるところだ。
図1 世界半導体販売額の前年比と前年差の推移 出典:WSTSの数字をセミコンポータルが加工
毎月の半導体販売額は、高い年でも前年より100億ドル程度多い状況だった。通常は数十億ドルのプラスであり、在庫調整の年でさえも同程度のマイナスだった。例えば2022年の半導体不足で大騒ぎしたような年でさえ、100億ドル程度のプラスであり、翌年の不況時は同じく100億ドル程度のマイナスだった。このため好不況の差はそれほど大きくはなかった。
ところが、2025年6月までは多くても100億ドル前後で、7月、8月と120億ドルを超えていたが、9月に169億ドル、10月177億ドル、11月216億ドル、そして12月は247億ドルと1年前との差が大きく開き始めたのである。
これまではAIデータセンター向け半導体を搭載したAIボードの売上が大きく貢献してきたが、AIボードに搭載されているGPU(グラフィックスプロセッサ)やHBM(高バンド幅メモリ)が大きく潤い、AIデータセンターという一つのニッチな市場が拡大してきた。AIデータセンター以外の半導体は緩やかに回復していた。GPUはAIデータセンター以外にはゲーム用のグラフィックスチップとしても売れていたが、その市場は急拡大していなかった。
ところが、パソコンやスマートフォンが少しずつ回復してきており、DRAMメモリやNANDフラッシュストレージも少しずつ需要が増えてきた。HBMはDRAMチップを重ねて3次元ICとした製品であり、AIデータセンター市場の急拡大と共にメモリメーカーはHBMへとシフトしてきたのである。こうなるとパソコンやスマホ向けのDDR DRAMが足りなくなった。Samsung、SK hynix、Micron Technologyのビッグスリーはフル生産でDRAMチップを量産し、HBMへと回してきたためだ。
さらにNANDフラッシュは学習に直接使われないと見られており、NANDの製造ラインを使ってまでもHBMを量産してきた。もはや、いくら量産しても需要に追い付けない状態になり、メモリ単価が上がってきた。
加えて、学習する時にはすぐ使われないと思われていたNANDフラッシュまでも足りなくなりそうになってきた。学習する場合でもカスタマイズやRAG(検索拡張生成)からの追加学習などストレージに貯めこんでいたNANDの学習データを高速で引き出さなくてはならなくなってきた。機械的な動作が必要なHDD(ハードディスク装置)では読み出し速度が遅いため、NANDフラッシュを搭載したSSD(半導体ディスク装置)が求められてきたためだ。
極端なモノ不足は、流通関係などで二重、三重に発注する恐れがある。2022年の時がそうだった。このため需要が満たされるようになると在庫が積み上がるほどモノ余り状態になる。今回の急激な売上額の増加は、市場の需要を正確に表しているのだろうか。好調の後の不況を何度も経験しているだけに10月〜12月の急成長は喜んでばかりいられない。
参考資料
1. 「2025年の世界半導体市場は11月の予測をさらに上方修正、年成長率25.6%に」、セミコンポータル、(2026/02/10)


