米中の狭間の台湾、それぞれの主張の応酬、TSMCの戦略的取り組み
半導体関連で米中の狭間で苦境に置かれる台湾の状況は、これまで取り上げ続けているが、現時点に以下注目している。先だって米国商務長官より半導体生産の40%を米国に先々移転するよう要請があったと伝えられているが、台湾の貿易交渉担当トップが「不可能」と答えたと、今週明らかにしている。AI(人工知能)向けはじめ先端半導体をほぼ一手に生産しているTSMCを擁して、米国と台湾の間の応酬&駆け引きが続く様相である。TSMCは、我が国での3-nm生産を発表し、米国そして地元での戦略的な取り組みが続いている。米中の狭間は、韓国そして我が国でも同じこと。米国の求める圧力への対応は、半導体関連の視点でも引き続き目が離せないところである。
≪落としどころの駆け引き≫
米国と台湾の貿易協定が、このほど次の合意に達したとされている。米国半導体産業への$250 billionの投資など引き換えに関税が15%に引き下げられた模様である。
◇US and Taiwan sign trade agreement to seal chip investment (2月13日付け Financial Times)
→米国と台湾は木曜12日に正式に貿易協定に署名し、食品をはじめとする幅広い輸入品に対する関税の引き下げで合意した。ドナルド・トランプ大統領は先週、米国が半導体サプライチェーンの確保と米国製造業への投資促進に動く中、米国は台湾への関税を15%に引き下げ、米国半導体産業への$250bnの投資と引き換えに、台湾製品への関税を15%に引き下げると発表した。この措置により、台湾製品への関税は日本と韓国に課されている関税と同水準となり、ジェネリック医薬品、航空宇宙部品、米国で入手できない天然資源への関税を免除すると約束している。
台湾の頼総統からは、直近では以下のコメントが出るまでになっている。
◇中国が台湾を武力統一なら「次は日本」 頼総統の発言、総統府が発表 (2月13日付け 日経 電子版 00:56)
→台湾の頼清徳総統は、中国が台湾を武力統一した場合、日本とフィリピンが次の軍事上の標的になるとの見方を示した。欧州メディアのインタビューに応じた際の発言を総統府が12日に発表した。
頼氏は「中国は台湾をのみ込んでも対外拡張の歩みを止めない」と指摘した。「次に脅威を受けるのは日本、フィリピンといったインド太平洋地域の国だ。米国や欧州にも影響は及ぶ」と述べた。
一方、米国への投資を明らかにしなかった韓国は、トランプ大統領から関税引き上げを発表されて、急遽対応に追われている。
◇South Korea parliament forms committee to fast-track US investment legislation (2月9日付け Reuters)
→韓国国会は月曜9日、米国との貿易協定に基づく韓国の対米$350 billionの投資コミットメントに関連する立法を加速させるための特別委員会の設置を決議した。委員会の設置は、ドナルド・トランプ米大統領が1月下旬、韓国の自動車、医薬品、木材などへの関税を15%から25%に引き上げると突然発表したことを受けてのものだ。トランプ大統領は、昨年合意された貿易協定を韓国が立法化できていないと非難した。
我が国も、米国への80兆円投資について、経産相が米国政府との交渉に当たっている現時点である。半導体関連の視点でもそれぞれの動き&進展に注目するところである。
台湾の半導体生産能力の40%の米国への移転についての米国の踏み込んだ要請に対しては、台湾の関税交渉担当トップの副首相が以下の通りはっきり"NO!"を突きつける回答である。
◇Taiwan says 40% shift of chip capacity to US is 'impossible' (2月9日付け MSN/Reuters)
→台湾の関税交渉担当トップは、台湾の半導体生産能力の40%を米国に移転することは「不可能」だと述べ、米国当局者による大規模な生産拠点移転を求める最近の発言に反論した。
台湾のCheng Li-chiun副首相は、日曜深夜に放送された台湾のテレビ局、CTSのインタビューで、数十年かけて築き上げてきた台湾の半導体エコシステムを米国に移転することは不可能だと米国に明確に伝えたと述べた。
◇Taiwan rejects US calls for 40% chip capacity shift―Taiwan resists US push for major chip production shift―Vice premier says domestic production rooted at home (2月9日付け Taiwan News)
→台湾は、確立された半導体エコシステムの移転が困難であることを理由に、半導体生産の40%を米国に移転するという米国の要請を拒否した。Cheng Li-chiun副首相は、台湾は海外への投資を続けながら、国内の半導体生産能力の拡大を継続すると述べた。これは、Howard Lutnick商務長官が最先端半導体製造の40%を米国で行うべきだと提案したことを受けての対応である。
◇‘Impossible’: Taiwan pushes back against Washington’s 40% chip supply relocation goal (2月10日付け CNBC)
→1)*台湾の貿易交渉担当トップはインタビューで、台湾の半導体生産能力の40%を米国に移転するという米国の要求を「不可能」だと述べた。
*この発言は、Howard Lutnick商務長官が今年初めに示していた米国国内への半導体生産拡大の目標に反論するものだ。
2)台湾は、半導体サプライチェーンの40%を米国に移転するという米国の提案を、不可能だとして拒否した。Cheng Li-chiun副首相は、米国の投資にもかかわらず、エコシステムの深さ、コスト、そして地政学的な考慮点を理由に、台湾は存続しなければならないと述べた。
◇Taiwan not moving 40% of chip production to US: vice premier (2月10日付け Taipei Times)
→Cheng Li-chiun副首相は、台湾は米国に対し、半導体生産や先端技術の40%を米国に移転しないと伝えたと述べ、関税引き下げ協定と「台湾モデル」に基づく米国への投資拡大を支持した。
最先端半導体の生産を一手に担う台湾のTSMCの米国対応そして生産展開の戦略的な取り組み関連が、以下の通りである。
◇TSMC 3-nm Upgrade in Japan to Catch up With Demand (2月9日付け EE Times)
→1)TSMCは、急増するAIチップ需要に対応するため、3nmプロセス技術を導入し、日本のファブを増強する。
2)TSMCが日本の既存施設を3nmノードにアップグレードする計画は、国内外の市場におけるAI需要の高まりに対応することを目的としていると、アナリストらはEE Timesに語った。TSMCのCEO、C.C. Wei氏は、高市早苗首相とのテレビ会談でこの決定を発表した。TSMCは、3nmプロセス技術を、当初6nmチップ生産用に設計された熊本県南部の熊本市近郊にある第2ファブに移転する。
3)TSMCは、AIチップの世界的な生産能力を急速に拡大するため、最大$20 billionを投資し、日本のファブを3nmプロセス対応にアップグレードする。熊本工場は需要の増加に対応し、日本を先進半導体市場における優位性を確立し、2028年頃の量産出荷を目指す。
◇TSMC Reportedly Spared From U.S. Tariffs After Mega-Investments in Arizona; Chip Giant to Exempt “Big Tech” Customers―Report: TSMC to be exempt from US tariffs―TSMC Sees Exemptions Under an Upcoming Tariff Scheme, Allowing the Giant to Benefit Its Customers (2月9日付け Wccftech)
→米国は、TSMCが米国、特にアリゾナ州での製造業に多額の投資を行っていることから、同社への半導体関税を免除すると報じられている。トランプ政権はまた、AIデータセンターの拡張を支援するため、アマゾン、グーグルおよびマイクロソフトなどの米国テクノロジー企業に対する関税免除も検討している。
◇TSMC's board approves $45 billion spending package on new fabs - record sign off signals aggressive expansion to grow capacity―TSMC approves record $45B to expand chip production capacity―A record approval for the company. (2月10日付け Tom's Hardware)
→TSMCの取締役会は、今年最大$56 billionの設備投資を計上する包括的な計画の一環として、新規生産能力の建設と既存生産能力のアップグレードに約$45 billionの支出を承認した。この支出は、TSMCのインテルおよびサムスンファウンドリーに対する競争力強化を目的としている。
◇US plans chip tariff breaks for tech giants tied to TSMC's US expansion (2月10日付け DigiTimes)
→ファイナンシャル・タイムズ紙によると、トランプ政権は、AIブームを支えるためにデータセンターの生産能力を拡大する米国の大手テクノロジー企業に対し、新たな半導体関税を免除する準備を進めている。この計画では、アマゾン、グーグルおよびマイクロソフトなどの米国のハイパースケーラーに対し、TSMCの米国における投資規模と生産能力予測に基づいて関税免除の適用を認める。TSMCは世界最大の受託半導体メーカーである。
◇TSMC approves US$44.96 billion budget amid AI boom (2月11日付け Taipei Times)
→TSMCの取締役会は、先端チップとパッケージング能力の拡大および新工場建設のための$44.96 billionの設備投資予算を承認し、記録的なボーナスを支給した。AIによる3nmプロセスの需要が堅調だったことから売上高は過去最高を記録し、同社は第1四半期の売上高が堅調になると予測している。
◇Apple対NVIDIA、仁義なき「TSMC争奪戦」 iPhone増産の壁に (2月11日付け 日経 電子版 03:03)
→米アップルが先端半導体の確保に苦戦し始めた。受託生産で世界最大手のTSMCの生産能力が足りず、iPhone増産の壁となっている。AIブームで米エヌビディアがTSMCの最大顧客にのし上がり、供給網(サプライチェーン)の国際分業体制でも盟主逆転が浮き彫りになっている。
AIブームの中での今後の振る舞いに目が離せない状況である。
他方、半導体の自立化を図る中国の今の取り組みはどうか。台湾の取り組みも交えて、生の実態が以下の通りである。
◇ファーウェイ主導の半導体供給網 中国「国家大基金」で14兆円拠出―半導体覇権 中国の自立自強(1) (2月9日付け 日経 電子版 11:00)
→中国の半導体産業が発展期に入った。半導体設計や製造だけでなく、製造装置や材料メーカーの集積も始まった。米国主導の対中規制に習近平指導部は対抗姿勢を示す。半導体覇権を巡る国家や企業の攻防を描いた書籍『半導体覇権 国家に翻弄される巨大企業』(2月14日発売、予約販売中)から、「自立自強」を掲げる中国を巡るエピソードを5回連載で紹介する。・・・・・
◇Tech war: Shanghai boosts chip fund 11-fold under China’s self-sufficiency drive―Chip fund expansion underscores China's drive for tech self-reliance (2月10日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*中国の半導体ハブが地元企業の育成に注力する中、登録資本金は$794 million増加
*上海市政府が支援する上海集積回路産業投資基金は、中国が技術自立を目指す広範な取り組みの一環として、金融ハブの半導体企業への資本注入を強化するため、3つのファンドのうち1つを11倍以上に拡大した。
◇中国半導体、生産能力すでに世界首位 「製造3強」主導で装置も国産化―半導体覇権 中国の自立自強(2) (2月10日付け 日経 電子版 05:00)
→中国政府が半導体産業振興のために立ち上げた国策ファンド「国家集成電路産業投資基金(大基金)」。その主な投資先には半導体国産化を主導する3社が名を連ねる。
半導体受託生産のSMICと半導体メモリーのYMTC、同じくメモリーのCXMTだ。この3社を製造分野のけん引役として中国は装置や部材も含めた半導体供給網を育成する。
◇Ground broken on chip R&D base (2月11日付け Taipei Times)
→経済部は、台湾の半導体産業の振興を目指し、新竹に37億7,200万台湾ドル規模の半導体研究開発拠点を建設する計画に着工した。この施設では、パイロット生産、高度なプロセス開発・検証サービスの提供、イノベーションの加速、およびAIを活用したアプリケーション開発などが予定されている。
◇中国の半導体技術獲得、韓国と台湾が草刈り場に 米国からの召喚策も―半導体覇権 中国の自立自強(3) (2月11日付け 日経 電子版 05:00)
→2025年10月、韓国のソウル中央地検はサムスン電子の元役員ら3人を起訴した。起訴事実は、産業技術保護法違反と不正競争防止法違反。サムスンが持つ半導体メモリーの生産技術を中国DRAM大手のCXMTに流出させ、サムスンと韓国に経済的被害を与えたというものだ。韓国メディアによると、元役員らはCXMTからサムスン時代の3〜5倍の年俸を受け取っていた。
米中、そして間に入る我が国、韓国そして台湾の政治経済面に加えて半導体関連の動き&推移に引き続き注目である。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□2月10日(火)
3日連続の最高値で始まった前半2日、その後2日は下げたが、1月の消費者物価指数(CPI)の上昇が予想を下回って、上げて締める推移となった今週の米国株式市場である。
◇NYダウ小幅続伸、20ドル高 半導体やソフトウエアに買い (日経 電子版 06:29)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、終値は前週末比20ドル20セント(0.04%)高の5万0135ドル87セントだった。前週末に続き連日で最高値を更新した。半導体株やソフトウエア株に買いが入り、指数を支えた。半面、持ち高調整の売りが出て、ダウ平均は下げる場面があった。
□2月11日(水)
◇NYダウ続伸し52ドル高、3日連続の最高値 景気敏感株の一角に買い (日経 電子版 06:29)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸した。終値は前日比52ドル27セント(0.10%)高の5万0188ドル14セントと、3日連続で最高値を更新した。景気敏感株の一角に買いが入り、指数を支えた。半面、小売り関連株などには売りが出て、重荷となった。
□2月12日(木)
◇NYダウ、反落し66ドル安 利下げ観測の後退が重荷 (日経 電子版 06:21)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、終値は前日比66ドル74セント(0.13%)安の5万0121ドル40セントだった。11日朝発表の1月の米雇用統計が市場予想に比べ良好な内容だった。米景気に対する楽観につながったものの、米利下げ観測が後退し、指数の重荷となった。
◇中国15日から春節9連休、過去最長 親呼ぶ「逆帰省」で旅費節約 (日経 電子版 11:00)
→中国で15日から春節(旧正月)に伴う大型連休が始まる。今年は23日までの9連休で過去最長となる。政府は休みを延ばして旅行や買い物を促し、個人消費の底上げを狙う。景気低迷で節約志向が強まる中、価格が手ごろな地方から大都市に向かうチケットで両親を呼び寄せる「逆帰省」も増えている。
□2月13日(金)
◇NYダウ669ドル安 「SaaSの死」再び、医療やゲームまで波及 (日経 電子版 06:25)
→サービス業務がAIに取って代わられ、収益の屋台骨を揺るがす「SaaSの死」への懸念が12日の米株式市場を再び襲った。ダウ工業株30種平均は前日比669ドル安(1.3%安)の4万9451ドルで取引を終えた。急落の主因は米グーグルが同日に発表した生成AI「Gemini 3」の新モデルだ。
□2月14日(土)
◇NYダウ反発48ドル高、予想下回るCPI支え ナスダックは続落 (日経 電子版 06:26)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、終値は前日比48ドル95セント(0.09%)高の4万9500ドル93セントだった。13日発表の1月のCPIを受け、米連邦準備理事会が追加利下げに動きやすくなるとの観測が株買いを誘った。1月のCPIは前年同月比2.4%上昇と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(2.5%上昇)を下回った。
≪市場実態PickUp≫
【メモリ半導体価格高騰】
AI需要急増によるメモリ高騰について、以下関連の取り出しである。特に中国のスマホメーカーへの影響が取り上げられている。
◇Memory Chip Prices Are Exploding: Inside the 90% Surge Reshaping the Semiconductor Supply Chain (2月6日付け Web Pro News)
→1)メモリチップの価格は、HBMに対するAIの飽くなき需要、過去の生産削減による供給制約、そして地政学的混乱を背景に、2024年後半の水準から最大90%急騰し、半導体およびエレクトロニクス業界全体の経済構造を一変させている。
2)世界のメモリチップ市場は急成長を遂げており、AI主導の需要、HBM生産のボトルネック、そして供給制約により、DRAMとNANDの価格は最大90%急騰している。Samsung、SK Hynix、およびMicronなどの大手メーカーは利益を上げているが、電子機器メーカーは部品コストの上昇に直面している。
◇How and When the Memory Chip Shortage Will End ―Despite new fabs and new technology, prices will stay high (2月10日付け IEEE Spectrum)
→AIデータセンターにおけるHBMの需要急増により、DRAM価格は80〜90%急騰し、PCsやコンシューマーデバイスから供給を枯渇させている。長年にわたる投資不足とパンデミックによる価格変動を受け、アナリストは供給逼迫と高価格が今後何年も続く可能性があると警告している。
◇Rising chip prices to curb phone sales (2月12日付け Taipei Times)
→1)脆弱:XiaomiやTranssionといった中国スマートフォンメーカーは、エントリーモデルへの依存度が高いことから、価格調整がより深刻化するとTrendForceは予測している。
2)メモリチップ価格の上昇により、今年の世界のスマートフォン出荷台数は最大15%減少する可能性があるとTrendForceは予測しており、最も大きな打撃を受けるのは中国メーカーだ。メーカーは部品コストの高騰に直面し、価格引き上げを余儀なくされる一方、Huawei、SamsungおよびAppleは景気後退を比較的乗り越えられると予想されている。
◇Memory price surge of ‘more than 600%’ squeezes China’s device makers (2月12日付け South China Morning Post)
→1)中国のテクノロジー業界は、「メモリの冬」に備えている。チップ価格の高騰が携帯電話の生産を脅かし、ブロードバンドの展開を鈍化させている。
2)AIによるデータセンター需要の高まりが世界的なメモリ不足を引き起こし、部品価格は600%以上上昇している。XiaomiやTranssionといった中国のスマートフォンメーカーは生産を削減し、ブロードバンドコストの上昇に直面している一方、Huawei Technologiesは比較的堅調な状況を維持している。
◇China’s Lenovo warns of ‘prolonged’ memory crunch, looks to AI for rebound (2月12日付け South China Morning Post)
→1)大手PCメーカー、半導体供給不足で21%の減益を発表。業界混乱の中、AI搭載デバイスが成長維持に期待
2)レノボ・グループは、メモリ価格の高騰によりDRAMコストが倍増し、利益率が圧迫されたため、四半期利益が21%減少したと発表した。売上高は18%増加したが、同社は供給不均衡の長期化を懸念し、AI搭載デバイスは2桁成長を維持すると予想している。
【HBM関連】
これもAI向け、HBMに関する内容が相次いで、以下の通りである。SK Hynixを追う立場とされるSamsungのHBM4先行が、今後ともに推移について注目である。
◇Samsung to begin mass production of HBM4 chips later this month: sources (2月8日付け Yonhap News Agency)
→サムスンは今月、HBM4の量産を開始し、第6世代の高帯域幅メモリを初めて出荷する企業となる。NVIDIAの承認を得たこのチップは、Vera Rubin AIアクセラレータを含む次世代GPUsに搭載され、サムスンの技術優位性をさらに強化する。
◇SK chief meets Nvidia CEO in U.S. to discuss HBM, AI cooperation (2月9日付け Yonhap News Agency)
→SKグループのChey Tae-won会長は米国でNVIDIAのジェンスン・フアンCEOと会談し、SKハイニックスがNVIDIAの次世代メモリ市場で約70%のシェア維持を目指していることから、HBM4の供給計画やAI分野でのより広範な協力について話し合った。
◇Work on Next-Gen HBM5 & HBM6 Memory Is Already Underway, New Wide TC Bonders Ready―Report: HBM5 and HBM6 memory set to deliver major leap in bandwidth and capacity (2月11日付け Wccftech)
→韓国の報道によると、次世代HBMの開発はHBM5とHBM6によって進展しており、現行規格を大幅に上回る性能向上が期待されている。HBM5は4TB/秒の帯域幅とスタックあたり80GBの容量を提供し、2029年のリリースを目指しており、NVIDIA Feynmanなどのプラットフォームに対応する。HBM6は帯域幅を2倍の8TB/秒に、スタックあたり最大120GBまで拡張できるように設計されており、将来のGPUアーキテクチャに向けた新しいパッケージングおよび冷却技術を導入する。
◇SK, Nvidia chiefs discuss AI ties in Silicon Valley: sources (2月11日付け Yonhap News Agency)
→SKグループのChey Tae-won会長はシリコンバレーでNVIDIAのジェンスン・フアンCEOと会談し、チップとバイオテクノロジー分野におけるAI協力について協議した。報道によると、両氏はNVIDIAのVera Rubinアクセラレータ向けHBM4の供給状況を確認し、韓国のAIエコシステムの拡大を模索したという。
◇Samsung CTO expresses confidence over HBM4 leadership (2月11日付け Yonhap News Agency)
→1)サムスン電子のCTOであるSong Jai-hyuk氏は、Semicon Korea 2026において、同社のHBM4におけるリーダーシップへの自信を表明し、顧客からの強力なフィードバックとAI主導の相乗効果を強調した。サムスンは、HBM4の初出荷をNVIDIAに計画しており、次世代HBM4EおよびHBM5の開発をリードすることを目指している。
2)サムスン電子のCTOであるソン・ジャイヒョク氏は、セミコン・コリア2026で同社の第6世代HBM4におけるリーダーシップを再確認し、強力な顧客フィードバックと、メモリ、ファウンドリ、DパッケージングにおけるAI主導の相乗効果を強調した。サムスンは、報道によるとNvidiaへの最初のHBM4出荷を準備している。
◇Samsung Claims Lead in Race to Ship AI Chips to Nvidia―Samsung uses advanced DRAM and 4nm tech for HBM4 chips (2月12日付け Yahoo/Bloomberg)
→サムスン電子は、NVIDIAのVera RubinなどのAIアクセラレータに不可欠なHBM4チップを商用出荷した最初の企業であると発表した。同社は、高度なDRAMプロセッサと4ナノメートルロジック技術によって歩留まりを安定化させることで、この画期的な成果を達成した。
◇SK Hynix reportedly begins equipment orders for Cheongju HBM packaging line amid AI-driven capacity race―Reports: SK Hynix orders equipment to convert idle fab to HBM line (2月13日付け DigiTimes)
→ET Newsが関係筋の話として報じたところによると、SKハイニックスは、使用されていない清州の工場をHBMのパッケージングおよびテストラインに転換するための初期設備の発注を開始した。
◇Samsung starts mass production of next-gen AI chips (2月13日付け Taipei Times)
→サムスン電子は、AIデータセンターの速度を40%以上向上させる次世代HBM4メモリチップの量産を開始した。これにより、サムスンはSKハイニックスなどの競合他社に先んじ、NVIDIAなどの主要顧客をターゲットにすることができる。
【AI投資関連】
AIブームの中、相次ぐ投資、資金調達の関連が続いて、以下の通りである。
兆円単位二桁、三桁の行き交いであり、永続的なAI時代なのか、それとも脆弱なバブルなのか、議論が依然続く現時点との理解である。
◇OpenAI executives were on a tear this week trying to quell critics (2月6日付け CNBC)
→1)*サム・アルトマンCEOとOpenAIの幹部数名は今週、ソーシャルメディアで、NVIDIAとの提携、イーロン・マスク氏との訴訟、研究活動、そしてAnthropicからの買収に関する懸念に言及した。
*同社は昨年、$1.4 trillion(1兆4000億ドル)を超えるインフラ投資を約束して以来、厳しい監視に直面している。
*「この狂気の沙汰は一体どこから来ているのか理解できない」とアルトマン氏はXへの投稿で述べた。
2)スーパーボウルを前に、OpenAIの幹部たちは、NVIDIAとの提携、イーロン・マスク氏との訴訟、研究の焦点、そしてAnthropicの広告に関する監視に反論した。サム・アルトマンCEOは、協力とコア研究の重要性を強調し、圧力が高まる中、ライバル企業の主張は誤解を招くものだと述べた。
◇Nvidia shares rise 8% as Jensen Huang says $660 billion capex buildout is sustainable (2月6日付け CNBC)
→1)*NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏はCNBCの番組「Halftime Report」で、テクノロジー業界によるAIインフラへの設備投資の急増は正当かつ適切で、持続可能であると述べた。
*フアン氏の発言は、NVIDIAの主要顧客であるMeta、Amazon、GoogleおよびMicrosoftが過去2週間で最新の決算を発表した後になされた。
*「人々がAIにお金を払い続け、AI企業がそこから利益を上げられる限り、その額は倍増し続けるだろう」とフアン氏は述べた。
2)NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏は、テクノロジー業界におけるAIインフラへの支出急増を擁護し、需要とキャッシュフローの増加に伴い、これは持続可能であると述べた。ハイパースケーラーは今年、$660 billionを支出する可能性があり、NVIDIAのチップ売上の好調を牽引し、AIによる収益成長を促進するだろう。
◇Nvidia’s doubts about OpenAI are a warning (2月8日付け Taipei Times)
→1)AIモデルがコモディティ化していく中で、競争は今や実行力にかかっており、Microsoftは後れを取るリスクを負っている。
2)NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏は、同社の事業規律への懸念を理由に、OpenAIへの$100 billionの投資を再検討している。一方、MicrosoftはOpenAIの高度なAIモデルを実用的な製品に転換することに苦戦しており、AI競争の原動力はモデルではなく実行力にあるため、優位に立つことが危ぶまれている。
◇Why the current chip boom, price surge will last longer than before (2月9日付け Korea Joong Ang Daily)
→韓国の半導体分野は、前例のないAI主導のスーパーサイクルを推進しており、サムスン電子とSKハイニックスが市場を押し上げ、世界の投資の流れを変え、急上昇する利益が永続的なAI時代の兆しなのか、それとも脆弱なバブルなのかについて投資家の間で議論を巻き起こしている。
◇米新興AI3強、IPOで巨額調達ラッシュ オープンAIなど兆円単位を投資 (2月11日付け 日経 電子版 05:06)
→AIの開発競争を制そうと、米オープンAIやイーロン・マスク氏率いる米スペースXが巨額の資金調達に乗り出す。2026年内の新規株式公開(IPO)も視野に入れる。高性能AIの開発はテック大手を交え、年に兆円単位の投資がいる体力勝負だ。資金を集め続けられるかが勝敗を分ける。
◇SMIC says rushed AI chip capacity could end up idle (2月12日付け Taipei Times)
→SMICは、AIチップ投資の急増によりデータセンターの需要が数年前倒しされ、遊休設備が増加するリスクがあると警告した。Zhao Haijun氏は、同社が四半期利益の好調な伸びを示し、多額の設備投資を維持しているにもかかわらず、支出の過熱とHBMの慢性的な不足を指摘した。
◇ソフトバンクG、「AI全賭け」に難所続く OpenAIと4.7兆円出資協議 (2月12日付け 日経 電子版 05:00)
→ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長の「AI全賭け」の本気度が試されている。同社は2025年末に米オープンAIに225億ドル(約3兆5000億円)を投じ、さらなる300億ドル規模の追加出資を協議中とされる。AI開発競争の投資規模が膨らむほどに、SBGにとってオープンAI偏重のリスクが高まっている。
◇米アンソロピック、4.6兆円を調達 企業価値58兆円でトヨタ並み (2月13日付け 日経 電子版 05:28)
→米AI開発新興アンソロピックは12日、米エヌビディアや米マイクロソフト、投資ファンドから300億ドル(約4兆6000億円)の出資を受けたと発表した。法人向けAI提供が拡大し、年換算の売上高が2兆円規模に急増したと明らかにした。
アンソロピックは米オープンAIから独立したダリオ・アモデイCEOらが2021年に創業した。
【Anthropic関連】
人間が画面を操作する前提のSaaS(Software as a Service)モデルが、AIエージェントの出現により根本的な変化を求められる状況とされる「SaaSの死」の震源として注目の米国AI開発新興、Anthropicについて、中国における早々の対抗&対応含め以下の通りである。
◇Z.ai unveils GLM-5, advances AI agents and China chip compatibility―Z.ai launches GLM-5 with focus on agent capabilities (2月12日付け DigiTimes)
→中国のAIスタートアップ企業、Z.ai(旧Zhipu AI)は、春節を前に、オープンソースモデルGLM-5をリリースした。AIエージェントの機能とコーディング性能が際立っている。同社は、ユーザーエクスペリエンスが「Anthropic Claude Opus 4.5に近づいている」と述べている。Z.aiによると、GLM-5はパラメータスケールを拡大し、より複雑な学習タスクに対応できるようになった。sparse attention mechanismを採用することで、より長いcontext windowsを処理できると同時に、運用コストも低く抑えている。
◇「SaaSの死」震源、アンソロピックの実力 オフィスに照準でAI競争優位 (2月12日付け 日経 電子版 06:16)
→米AI開発新興のアンソロピックが躍進している。AIが業務ソフトの事業モデルを崩す「SaaSの死」の震源として株式市場でにわかに注目を集め、直近1年の売上高や企業価値の増加率は米オープンAIを上回る。技術者が頼るニッチな存在から、法人向けAI市場の主役に躍り出た。
◇アンソロピック、ニッチから主役へ 消費者向け劣勢→業務AIで躍進 (2月13日付け 日経)
→米AI開発新興のアンソロピックが躍進している。AIが業務ソフトの事業モデルを崩す「SaaSの死」の震源として株式市場でにわかに注目を集め、直近1年の売上高や企業価値の増加率は米オープンAIを上回る。技術者が頼るニッチな存在から、法人向けAI市場の主役に躍り出た。
新たなAIツール「Cowork」は資料作成や表計算ソフト「エクセル」のデータ分析を自動化する。ネット上だけでなく、利用者の端末内のファイルも操作できる。
【半導体市場データ】
2025年の世界シリコンウェーハ出荷量、および直近四半期のx86 CPU市場について、以下の通りである。AIブームの影響が特に前者で見られている。
[シリコンウェーハ出荷]
◇SEMI Reports 2025 Annual Worldwide Silicon Wafer Shipments and Revenue Results (2月10日付け SEMI)
→2025年の世界のシリコンウェーハ出荷量は、AIの台頭による先端ロジックおよびHBMウェーハの需要増に牽引され、5.8%増加して12,973MSIとなった。一方、売上高は1.2%減少し、$11.4 Bとなった。SEMIは、市場は最先端ノードの力強い成長と成熟セグメントの緩やかな回復という2つの方向性を示していると報告している。
◇SEMI Reports 2025 Annual Worldwide Silicon Wafer Shipments and Revenue Results (2月10日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)は、シリコンウェーハ業界の年末分析の中で、2025年の世界シリコンウェーハ出荷量は前年比5.8%増の129億7,300万平方インチとなり、一方、ウェーハ売上高は同期間比1.2%減の$11.4 billionとなったと報告した。
2025年はウェーハ出荷量にとって転換期となる年であり、ロジック向け先端エピタキシャルウェーハと、AI用途の牽引によるHBM向け研磨ウェーハの堅調な需要に支えられ、シリコンMSIは成長を再開するであろう。ウェーハ売上高の低迷は、需要と価格環境の改善がまだ見られない、従来型半導体アプリケーションの成長鈍化が主な要因である。
◇2025 wafer shipments up 5.8% but revenues fall 1.2%―Wafer shipments rise but revenue drops on mixed demand (2月11日付け Electronics Weekly (UK))
→1)SMGによると、2025年のシリコンウェーハ出荷量は前年比5.8%増の129億7,300万平方インチとなり、一方、ウェーハ売上高は同期間比1.2%減の$11.4 billionとなった。
2)ウェーハ出荷量は、AI駆動ロジックやHBMといった先端アプリケーションへの旺盛な需要に牽引され、2025年には5.8%増加したが、売上高は従来型半導体アプリケーションの需要低迷により1.2%減少した。「300mmウェーハの需要は、特にAI駆動ロジックや高帯域幅メモリといった先端アプリケーションにおいて、サブ3nmプロセスの継続的な採用に支えられ、依然として堅調に推移している」と、SEMIシリコン・マニュファクチャラー・グループ会長のGinji Yada氏は述べている。
[x86 CPU市場]
◇AMD rockets past 35% market share in desktop PC market as Intel's share loss accelerates - AMD also hits 25% in laptops and nears 30% in crucial server market―Report: AMD hits record 29.2% x86 CPU market share―Another quarter, another gain for AMD. (2月12日付け Tom's Hardware)
→Mercury Researchによると、Advanced Micro Devices(AMD)は、デスクトップおよびモバイルプロセッサの好調な販売に牽引され、第4四半期にx86 CPU市場で過去最高の29.2%のシェアを達成した。一方、Intelのシェアは70.8%に低下し、売上高シェアも68.8%に落ち込んだ。AMDの成功は、Ryzen 9000シリーズをはじめとする競争力のある製品ラインナップと、Intelの供給制約によるものであった。




