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仰天!メモリ価格が2026年第1四半期に予想外の前期比倍増で過去最高の上昇率

ハイテク市場調査会社Counter Researchの調査によると、2026年第1四半期のDRAM価格が2月初旬時点で前四半期比90〜100%上昇しており、前例のない過去最高水準の急騰となっている。さらに、2025年第4四半期は比較的落ち着いていたNANDも、2026年第1四半期に入って90〜100%上昇が並行して進んでいる。

Price Trends for PC and Server Memory by QoQ (Q2 2025- Q2 2026) / Counter Research

図1 PC/サーバ向けDRAMNANDフラッシュメモリの価格動向(実線は実績、点線は予測) 出典:Counter Research


困惑するPCやスマートフォンサプライヤ

AI需要がさらに急騰しており、DRAMサプライヤ各社は先端プロセスと新規生産能力の多くをAIデータセンターのサーバ需要に振り分けている。しかし、それでも供給不足は解消せず、AIサーバ業界でDRAM争奪戦が始まっている。これに伴い利益率の低いサーバ以外の市場(PC,スマートフォン、ゲーム機、デジタル家電など)向けDRAMの供給が制限されている。

メモリ価格の高騰が、メモリ搭載最終製品メーカーにとっては二重苦となっている。部材コストの上昇と消費者の購買力低下が同時に進むことで、この先、需要が鈍化する可能性がある。スマートフォンメーカーは、搭載DRAM容量の削減や、TLC(3ビット/セル) SSD(半導体ディスク装置)をより低コストなQLC(4ビット/セル)代替品へ置き換える動きを進めている。PCメーカーも搭載メモリの容量を削減してスペックダウンして対処しようとしているが、需要鈍化でPC生産量自体を削減せざるを得なくなりそうである。米国に本拠を置く大手PCサプライヤは、AI需要の急増による価格高騰を相殺するために、初めてChangXin Memory Technologies(CXMT)などの中国サプライヤからメモリチップを調達することを検討している模様である。


TrendForceもわずか1カ月でメモリ価格予測を大幅上方修正

メモリ価格ウォッチャとして知られるTrendForceも、Counterpoint同様に年初に発表したメモリ価格予測を2月初旬に大幅上方修正している。具体的には、従来型DRAMについては前四半期比55〜60%から90〜95%へと、NANDフラッシュメモリも同33〜38%から55〜60%へと上方修正したが、今後、さらに上方修正を行う可能性もあるとしている。


Memory Price Forecasts, 4Q25-1Q26 / TrendForce

表1 2025年第4四半期(12月)および2026年第1四半期(2月)時点での2026年第1四半期の対前期比メモリ価格上昇率予測 出典:TrendForce, 2026年2月初旬修正版

PC DRAMについては、メモリサプライヤから直接供給契約をしているティア1のPC OEMであっても在庫レベルの低下に直面するところがでてきており、2026年第1四半期の契約価格を同100%以上の上昇率へと修正している。これは四半期ベースの上昇率としては過去最高である。

サーバDRAMについても、北米および中国の大手CSP(クラウドサービスプロバイダ)およびサーバOEMが1月時点でメモリサプライヤ各社と長期契約交渉を進めているが、争奪戦の様相から2026年第1四半期の契約価格は、同約90%の上昇率と予想され、四半期ベースで過去最高の上昇率となる。

そのほかのメモリについても、確保に向けた競争激化から、例えばモバイル向けのLPDDR4X/LPDDR5Xの2026年第1四半期契約価格は同約90%の上昇と、こちらも過去最高の上昇率である。


NANDフラッシュメモリも予想外の大幅価格上昇

NANDフラッシュメモリに関しても2026年第1四半期の受注量がサプライヤの生産能力を上回っているが、メモリメーカー各社は生産ラインの一部をDRAM向けに再配分する動きを見せており、NANDの供給を制限することになりそうである。

高性能なエンタープライズSSDの需要が、推論駆動型AIアプリケーションの成長に伴う形で当初の予想を上回る様相を見せており、2025年後半以降、北米の主要CSPは急速に調達を進めており、供給ギャップの拡大もあり、2026年第1四半期のエンタープライズSSD契約価格は同53〜58%の上昇率と予想され、こちらも四半期ベースで過去最高を更新する見込みである。この余波で、クライアントSSDの価格はさらに上昇している。

数年にわたり不況下にあったメモリ業界は、利益率の高いHBMやエンタープライズSSDの増産とメモリ全般の価格急騰で、今や史上空前の最高収益を挙げている。

国際技術ジャーナリスト 服部 毅
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