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IC設計ツールESD産業は2023年でもずっとプラス成長

2023年第3四半期におけるESD(Electronic System Design)産業は前年同期比25.2%増の47億250万ドルになった、とSEMIのESD Allianceが発表した。2023年のESD産業は第1四半期から第3四半期まで全てプラス成長となった。半導体産業はIDM、ファブレス、ファウンドリ、製造装置・材料などマイナスが多い中で、設計ツールは成長を続けている。

Electronic Design Market Data  report / SEMI ESD Alliance

表1 2023年第3四半期におけるESD産業の売上額と成長率  出典:SEMI ESD Alliance


ESD産業は、シミュレーションを主体とするCAE(Computer Aided Engineering)と、ICの物理設計と検証を行う分野、そして実装とパッケージングのPCB (Printed Circuit Board) + MCM(Multi-Chip Module)、半導体IP、そしてサービスに分類されている。これまで、2023年第2四半期におけるESD業界の売り上げは、半導体IPが前年同期比11.6%減となり成長の足を引っ張っていた(参考資料1)。

しかし2023年第3四半期には、全体で同25.2%成長となり、SEMIのElectronic Design Market Data部門の上級スポンサーであるWalden Rhines氏は、過去最高の数字だと述べている。全ての分野でプラス成長になっただけではなく、全ての地域でプラスになった。前期は地域別では日本だけがマイナスだった。

半導体IC設計ツールはこれからももっと複雑になるSoCから、新たなツールが必要な先端パッケージでも欠かせなくなる。特に先端パッケージでは、3D-ICのようにICダイをスタックする場合には電流増加による熱分布のシミュレーションやノイズのような電磁界解析が必須となるだけではない。半導体IPをダイとして切り出すチップレットの接続パッドピッチなどの標準化、さらにマルチチップを実装する場合の配線設計など、これまで以上に複雑になる要素が多い。

このため、ESDツールは極めて重要になる。年明け早々、ESDツールのトップメーカーであるSynopsysがCAEベンダーであるAnsysを350億ドルで買収するという噂も流れた(参考資料2)。TSMCはESD関係のエコシステムとして、Synopsys、Cadence、Siemens EDAの3社にAnsysも加えており(参考資料3)、これからの先端パッケージの設計にはESDツールが極めて重要になる。

参考資料
1. 「ESD産業は23年2Qになっても着実に成長、売り上げ低下は見られず」、セミコンポータル (2023/10/24)
2. "Synopsys (SNPS) Reportedly in Advanced Talks to Buy Ansys", Yahoo! Finance (2024/01/08)
3. 「TSMC、先端パッケージ技術エコシステム3DFabric Allianceの詳細を明らかに」、セミコンポータル (2023/10/31)

(2024/01/11)
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