ルネサスにようやく明るさ戻る、受注が着実に増加、年度営業損益は黒字へ
ルネサスエレクトロニクスにやっと明るさが戻ってきた。2012年度第1四半期の決算発表が行われ、前年同期比、前期比とも10%程度の売上減少であった。しかし、その要因は明確で、情報システム統合のために出荷を4月に8日間停止したためだった。さらに、2011年10〜12月期を底として、四半期ごとに1桁台ながら着実に受注を増やしてきた(図1)。
図1 2011年度第3四半期(10~12月)を底として受注が増えてきた 出典:ルネサス
情報システム統合のために2012年4月に出荷を停止した期間が8日間であり、四半期全体を90日とすると1割程度の売り上げ減は最初から見込みどおりともいえる。ルネサスの2011年度第4四半期(今年の1〜3月)の売り上げが前期比で世界半導体全体の落ち込み率8%減とほぼ同じ程度だったことから、ようやく世界と同じような傾向を示した (参考資料1)。今回は、その明るさが本物であることを確信した。
今回発表のあった2012年度第1四半期(4〜6月)には前期比で1桁中盤台(4〜6%)の伸びで受注を増やしており、ルネサスの成長がようやく見えてきた。第2四半期(7〜9月)には前期比24%増の2088億円を見込んでおり(図2)、受注案件の中には既に量産しているものもあるという。売り上げに反映される第3四半期、第4四半期の成長の手ごたえを赤尾泰社長は感じている。
図2 第2四半期は前期比24%成長する見込み 出典:ルネサス
ルネサスは親会社からの資本注入によりリストラ費用を計上できた。このため、早期退職プログラムや工場売却などを図り、経費削減を進めると同時にマイコンとパワー、アナログ(スマートアナログ:参考資料2)にシフトしていく。国内民生セットメーカーの不振を受けホームマルチメディア向けSoCの新製品開発は中止する。受注状況から、2012年度通期の営業損益は210億円の黒字を見込んでいる。ただし、リストラ費用の計上によって、1500億円の赤字を想定している。この特別損失を本年度に計上処理しておくことで、次年度からの成長を見込むことができる。
記者会見では、工場の売却先やその交渉について質問が集中したが、ルネサスが発表した話ではないので答えられない、ときっぱり回答した。
参考資料:
1. ルネサス、11年度決算は通期で営業損益568億円の赤字ながら4Qに明るさ見る (2012/05/10)
2. 使いやすさがマイコン成長への道、ルネサス/シリコンラボがGUI開発環境を充実 (2012/04/04)