当面目が離せない世界半導体販売高、7ヶ月連続$30 billion台
米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高の発表が行われ、この4月について$31.3 billionで、前月比1.3%増、前年同月比20.9%増と高水準が続いている。これで$30 billion越えが昨年10月から7ヶ月連続となる。今回同時に発表されたWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationの春季予測は、2017年が11.5%増の$377.8 billion、2018年が2.7%増の$388.0 billion、2019年が0.2%減の$387.2 billionと、本年が前回の6.5%増から大幅に上方修正となっている。
非常に活況の現下の世界半導体市場の勢いに当面目が離せない状況である。
≪4月の世界半導体販売高≫
米国SIAからの今回の発表内容が、以下の通りである。
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◯4月のグローバル半導体販売高が前年比21%増;2017年は二桁の年間の伸びの見通し−販売高の業界予測見通し:2017年11.5%増、2018年2.7%増、2019年ほぼ横這い …6月6日付け SIA/NEWS
半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2017年4月の世界半導体販売高が$31.3 billionに達し、前年2016年4月の$25.9 billionから20.9%の増加、前月の$30.9 billionから1.3%の増加、と発表した。4月の該グローバル市場は、2010年9月以降最大の前年比の伸びを示している。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新しいWSTS業界予測では、2017年のグローバル市場の年間の伸びが11.5%、2018年で2.7%、その後の2019年で0.2%の僅かな減少を見通している。
「グローバル半導体市場は、2017年の始めから印象的な比率で伸びており、ほぼ9年ぶりの該市場最大の増加率である4月の前年比21%で最高潮の勢いに達している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「1つにはメモリ市場の物凄い伸びが引っ張っているが、非メモリ製品の販売高も二桁の伸びとなっており、主要地域市場のすべてが大きな前年比の伸びを示している。該グローバル市場は今年かなり大きく伸び、来年は伸びが鈍化、そして2019年はほぼ横這いの販売高が見通されている。」
地域別の前年比では販売高は、China(+30.0%), Americas(+26.9%), Asia Pacific/All Other(+14.1%), Europe(+12.7%)およびJapan(+12.0%)とすべて大きく増加している。前月比では、Asia Pacific/All Other(+2.0%)、Americas(+1.8%)、Japan(+1.4%)、China(+0.7%)およびEurope(+0.5%)とすべての地域にわたって僅かな増加である。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Apr 2016 | Mar 2017 | Apr 2017 | 前年同月比 | 前月比 |
Americas | 4.78 | 5.96 | 6.07 | 26.9 | 1.8 |
Europe | 2.64 | 2.96 | 2.98 | 12.7 | 0.5 |
Japan | 2.59 | 2.87 | 2.91 | 12.0 | 1.4 |
China | 7.80 | 10.08 | 10.14 | 30.0 | 0.7 |
Asia Pacific/All Other | 8.06 | 9.02 | 9.20 | 14.1 | 2.0 |
計 | $25.89 B | $30.89 B | $31.30 B | 20.9 % | 1.3 % |
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市場地域 | 11- 1月平均 | 2- 4月平均 | change |
Americas | 6.13 | 6.07 | -1.1 |
Europe | 2.84 | 2.98 | 4.9 |
Japan | 2.79 | 2.91 | 4.1 |
China | 10.15 | 10.14 | -0.1 |
Asia Pacific/All Other | 8.72 | 9.20 | 5.5 |
$30.64 B | $31.30 B | 2.2 % |
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加えてSIAは本日、WSTSの春季2017年グローバル半導体販売高予測を支持、2017年の業界世界販売高が$377.8 billionになると見通している。これは、2016年販売高総計から11.5%の増加で、業界史上最高の年間販売高となる。
WSTSは2017年はすべての地域市場にわたって前年比増加すると見ており、Asia Pacific(+12.4%), Americas(+12.2%), Europe(+8.7%), およびJapan(+6.6%)の内訳である。2017年から先は、該半導体市場の伸びはすべての地域にわたって鈍化すると見ている。 WSTSでは、グローバル半導体メーカーの広範囲にわたるグループを招集、年2回の業界予測を表で表わし、半導体の流れの正確で時宜を得た指標を供給している。
※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/April%202017%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
※WSTS春季予測総括表
⇒https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/WSTS_nr-2017_05.pdf
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このところ定番としている昨年1月からの販売高の推移が、次のようにアップデートされ、昨年後半からの盛り返しに端を発して昨年10月以降7ヶ月連続の大台$30 billion越えとなっている。
販売高 前年同月比 前月比
2016年 1月 $26.88 B -5.8 % -2.7 %
2016年 2月 $26.02 B -6.2 % -3.2 %
2016年 3月 $26.09 B -5.8 % 0.3 %
2016年 4月 $25.84 B -6.2 % -1.0 %
2016年 5月 $25.95 B -7.7 % 0.4 %
2016年 6月 $26.36 B -5.8 % 1.1 %
2016年 7月 $27.08 B -2.8 % 2.6 %
2016年 8月 $28.03 B 0.5 % 3.5 %
2016年 9月 $29.43 B 3.6 % 4.2 %
2016年10月 $30.45 B 5.1 % 3.4 %
2016年11月 $31.03 B 7.4 % 2.0 %
2016年12月 $31.01 B 12.3 % 0.0 %
2017年 1月 $30.63 B 13.9 % -1.2 %
2017年 2月 $30.39 B 16.5 % -0.8 %
2017年 3月 $30.88 B 18.1 % 1.6 %
2017年 4月 $31.30 B 20.9 % 1.3 %
今回の発表を受けて業界各紙の反応である。
◇Global semiconductor sales increase 21% year-to-year in April (6月7日付け ELECTROIQ)
◇Global semiconductor sales increase 21% in April 2017, says SIA (6月7日付け DIGITIMES)
WSTSの春季中期予測については、近年の年間販売高が以下の経過を辿って、昨年が史上最高となっており、本年の販売高の上方修正が現下の勢いに乗った期待の大きさを示すところとなっている。
2013年 $305.6 billion
2014年 $335.8 billion 9.9%増
2015年 $335.2 billion 0.2%減
2016年 $338.9 billion 1.1%増
◇世界の半導体市場、今年11%拡大、業界予測、2年連続で最高 (6月7日付け 日経)
→半導体の業界団体、世界半導体市場統計(WSTS)が6日、2017年の世界の半導体販売額が前年比11.5%増の3778億ドル(約41.4兆円)になるとの予測を発表、2年連続で過去最高を更新する旨。半導体メモリやセンサ類の出荷増が牽引する旨。
◇Global semiconductor sales seen jumping 11.5% in 2017-Memory chips, sensors to lead way to record figure-WSTS predicts 2017 chip sales of $377.8B, up 11.5% (6月7日付け Nikkei Asian Review (Japan))
◇Expectations Rise as Chip Sales Keep Climbing-Semiconductor sales, forecasts rising in 2017 (6月7日付け EE Times)
→メモリ半導体市場が活況で残る今年への期待が増大、半導体業界の伸びの予測が上がり続けている旨。メモリ半導体の売上げ活況から、IC InsightsおよびWorld Semiconductor Trade Statistics organization(WSTS)は2017年の売上げ伸長予測を高めており、Semiconductor Industry Association(SIA)は4月のグローバル半導体販売高が前年同期比21%増の$31.3 billionと発表している旨。WSTSは2017年半導体販売高予測を、これまでの6.5%増から上方修正、11.5%増の$378 billionに高めている旨。
半導体市場の活況を受けて、半導体製造装置市場の足元そして来年の予測ともに史上最高が相並ぶ形となっている。装置市場の国・地域別でも、中国が来年にも世界第2位に上がってくる見方が表わされている。
◇Record fab spending for 2017 and 2018 (6月6日付け ELECTROIQ)
→SEMIが5月31日に発行したWorld Fab Forecast最新版。以下の通り記録的なfab装置およびfab建設投資の旨。
fab装置 fab建設
2017年 $49 billion…史上最高 $8 billion以上
2018年 $54 billion $10 billion…史上最高
◇SEMI reports record quarterly billings of $13.1B (6月6日付け ELECTROIQ)
→SEMI発。2017年第一四半期の世界半導体製造装置billingsが、最高の$13.1 billionに達し、3月は$5.6 billionで史上最高の月次記録の旨。
◇Korea replaces Taiwan as largest semiconductor equipment market (6月6日付け DIGITIMES)
→SEMI発。2017年第一四半期の世界半導体製造装置billingsが、最高の$13.1 billionに達し、前四半期比14%増、前年同期比58%増。韓国が次の通り台湾に替わって最大半導体装置市場となっている旨。
韓国 $3.53 billion 前四半期比48%増 前年同期比110%増
台湾 $3.48 billion 前四半期比16%減 前年同期比 84%増
◇China May Become No. 2 Fab Spender by 2018 (6月7日付け EE Times)
→SEMI発。いくつかのstartupsが新しいfabsを立ち上げ始めており、中国が2018年までに半導体装置の世界第2の投資元になる見込みの旨。中国は、建設および装置含めたfab spending全体を年間54%高めており、2016年の$3.5 billionから2017年は$5.4 billionの旨。2018年には$8.6 billionに踏み上がると見ている旨。
≪市場実態PickUp≫
【東芝メモリ入札関係】
Western Digital(WD)が出資比率を19.9%にとどめる譲歩案を提示する一方、FoxconnはAppleおよびAmazonが加わる動きを示し、各陣営の駆け引きが続いている。日米連合とブロードコムが有力とされる中での東芝とWDのトップ再会談は平行線を辿った模様であるが、入札指名のタイミングが間近となっている。
◇東芝メモリ買収、米WDが譲歩案 出資比率2割未満 (6月5日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業を巡って、第三者への売却に反対する合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)が、メモリ子会社「東芝メモリ」への出資比率を19.9%にとどめる譲歩案を提示したことが5日分かった旨。産業革新機構などとの連携の枠組み(連携で買収額2兆円程度まで引き上げる譲歩案)を詰めている旨。これまで過半出資としていた条件を下げる(東芝メモリを最終的には子会社化する意向も示していたがこれも取り下げる)ことで、東芝や経済産業省などとの交渉を前進させたい考えの旨。
◇Western Digital gives up on buying majority stake in Toshiba chip unit-Report: Western Digital now wants a 19.9% stake in chip unit (6月6日付け The Japan Times/Kyodo News)
◇東芝半導体、鴻海トップ「アマゾン・アップルも出資」 (6月5日付け 日経 電子版)
→台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は4日までに、応札中の東芝の半導体メモリ事業を巡り、米アップルや米アマゾン・ドット・コムと連携する意向を明らかにした旨。鴻海は半導体メモリを使うサーバー生産量で世界最大規模を誇り、アップルの「iPhone」などスマートフォン生産を手がける旨。半導体メモリの顧客でもある鴻海なら、買収後の相乗効果を引き出せるとの見方を示した旨。
◇Apple, Amazon to Join Foxconn's Toshiba Bid (6月5日付け EE Times)
◇Apple, Amazon to back Foxconn on Toshiba chip bid, Gou says-U.S. tech titans depend on Japanese firm's memory chip output (6月5日付け Nikkei Asian Review (Japan))
◇Apple, Amazon to join Foxconn bid to acquire Toshiba semi unit, says report (6月6日付け DIGITIMES)
◇東芝半導体入札、5陣営は一長一短 (6月5日付け 日経 電子版)
→半導体メモリ事業を分社した東芝メモリの買い手候補として、5陣営が残っている旨。売却交渉は今週、重要な局面を迎え、早ければ今週中にも優先交渉権の付与先が決まる可能性もある旨。
◇Exclusive: Toshiba aims to name buyer of $18 billion chips business on June 15 -Sources: Toshiba Memory buyer to be named June 15 (6月7日付け Reuters)
→東芝が、同社半導体事業への入札獲得者を6月15日に指名する予定、一方、東芝はWestern Digital(WD)のchief legal officer宛て書簡で東芝メモリ売却案への"harassment"を止めるようWDに警告している旨。
◇Toshiba Warns Western Digital in Second Letter Over Chip Sale (6月7日付け Bloomberg)
◇東芝、WDに書簡、四日市工場の権利確認する内容 (6月7日付け 日経 電子版)
→半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却を巡って協業先の米ウエスタンデジタル(WD)との対立が続いている東芝が、WDに四日市工場(三重県四日市市)の権利を確認する書簡を送付したことが7日分かった旨。書簡は同工場の運営主体はあくまで東芝側にあるとする合弁契約の中身を改めて確認するもの。入札による売却手続きは大詰めを迎えており、東芝には独自の協議を続けるWDを牽制して交渉を有利に進める狙いがありそうな旨。
◇Advanced chip fab drives Toshiba Memory's $18bn price tag-Crown jewel's value underpinned by accumulated expertise, experience-Toshiba Memory's valuable asset: 4 fabs (6月7日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→東芝メモリは、4つのウェーハ製造拠点でNANDフラッシュメモリデバイスを量産している三重県四日市市の半導体生産complexが大方となって、$18 billion以上もの価格を求めている旨。該fabsは、1999年に遡る東芝とSanDiskの間の製造連携を反映している旨。
◇東芝半導体売却交渉、2陣営有力、日米連合とブロードコム (6月7日付け 日経 電子版)
→東芝が経営再建の切り札として進める半導体メモリ事業子会社、東芝メモリの売却交渉で、官民ファンドの産業革新機構を軸に結成する日米連合と、米半導体大手ブロードコムの2陣営が有力な買い手に浮上している旨。日米連合には米ウエスタンデジタル(WD)などが加わる可能性がある旨。関係者の交渉や調整は大詰めを迎えている旨。
◇米ブロードコム、「東芝メモリ」売却先の有力候補に−豊富な資金力強み (6月8日付け 日刊工業)
→東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、米ブロードコムが有力な買い手候補に浮上した旨。米ファンド・シルバーレイクの支援を受ける豊富な資金力が強み。ブロードコムは東芝メモリを単独で買収する意向を示す一方、日本政府は国内にメモリ産業を残すため、一定水準の出資を計画してきた旨。ブロードコムが日本政府とどう交渉していくかが、注目点の一つとなる旨。東芝の協業先の米ウエスタンデジタル(WD)は、ブロードコムに強い拒否反応を示している旨。
◇Toshiba unconvinced by Western Digital's last-ditch chip bid-Sources: Bain may replace KKR in bid for Toshiba chip unit (6月9日付け Reuters)
◇WD、日米連合に合流構想、東芝と再会談 (6月10日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業売却を巡って、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)のスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が来日、9日に東芝の綱川智社長と再会談。WDは東芝に対し、産業革新機構を軸とする日米連合に合流する際の具体案を提示した旨。ただ東芝側との議論は平行線だった模様の旨。
【米アップル世界開発者会議から】
アップル社の世界開発者会議(WWDC:Worldwide Developers Conference)が、米カリフォルニア州サンノゼ市にて6月5日から9日まで開催され、アマゾンおよびグーグルに続く形で人工知能(AI)スピーカーが次の通り打ち上げられ、音声の改善が売りとなっている。
◇Apple Turns Up Speakers, AR-Sounds better, but not as smart (6月5日付け EE Times)
→Appleが、$349, Siri-powered speakerを発表、ライバルのAmazonおよびGoogleに対抗、音楽ノウハウをテコ入れの旨。同社はまた、iOS 11でのaugmented reality(AR)およびmachine learning用developer's kitsを展開、MacintoshおよびiPad computersを格上げの旨。6.8-インチspeakerのHomePodは、echo cancellationを取り扱い、ある空間での音声を最適化するためにApple A8 SoCが駆動している旨。
◇アップル、AIスピーカーを12月発売、日本は2018年以降 (6月6日付け 日経 電子版)
→米アップルが5日、開発者向けイベント、WWDCにて、人工知能(AI)で音声に自動応答するスピーカー端末「ホームポッド(HomePod)」を12月に発売すると発表、同端末は「ポスト・スマホ」の本命とされ、先行する米アマゾン・ドット・コムや米グーグルが米国中心に販売を急拡大させている旨。アップルは個人情報保護と音楽再生の機能を高めることで競合他社との違いを打ち出した旨。価格は349ドル(約3万8500円)で、米、英、オーストラリアで先行発売する旨。英語圏から始め、来年以降、欧州、中国、日本などに地域を広げていき、日本での発売は来年以降になる旨。
AIホーム機器の今後の見込みが、NXPにより以下の通り表わされている。
◇Chipmakers gear up for voice-activated gadgets boom-Dutch chip giant NXP expects "tens of millions" of AI home devices by 2018-Voice-activated assistants to boost chip vendors (6月5日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Apple, AmazonおよびGoogleが市場に出しているようなartificial-intelligence(AI) assistantsによりmicrochipベンダーは向こう2-3年でビジネスが増やせる見込みの旨。「来年末までに音声制御機能を搭載したtens of millionsのappliancesおよび他の型のシステムたぶん現れてくる。」と、NXP Semiconductors(オランダ)のvice president、Martyn Humphries氏が6月2日annual Computex expo(台北)にて。
目に留まった範囲、WWDCではデータとグラフィックス処理対応を合わせたFusion半導体が以下の通りである。
◇Apple unveils A10X Fusion processor-graphics combo chip for iPad Pro-Apple mixes graphics, processing on custom chip (6月5日付け VentureBeat)
→Appleのカスタム設計に成る新しいiPad Proタブレットcomputerに入るA10X Fusionデバイスは、1つの半導体にデータ処理およびグラフィックスcapabilitiesを合わせている旨。Samsung Electronicsのファウンドリー事業による製造と思われる該設計には、6個のデータ処理コアおよび10数個のグラフィックス処理コアがある旨。
【VLSIシンポ】
今回から「Technology」と「Circuits」を同時並行開催という「VLSIシンポ」、2017 Symposia on VLSI Technology and Circuits conference(6月5-8日:京都)より、以下の注目3件、IBMなどの5-nm、ImecのメモリおよびIBMの光デバイスである。
◇IBM Claims 5nm Nanosheet Breakthrough-Get 2-to-3 Days Battery Live (6月5日付け EE Times)
→2017 Symposia on VLSI Technology and Circuits conference(京都)にて、IBMおよびそのパートナーが、stackedシリコンnanosheetsに基づく新しいトランジスタアーキテクチャーを開発、5-nmノードでFinFETsをもはや用いられなくすると思っている旨。該アーキテクチャーは、IBM、Research AllianceパートナーのGlobalFoundriesおよびSamsung、そして装置サプライヤによるnanosheetsリサーチ10年の極地にある旨。FinFETsに比べて、該新アーキテクチャーは、ずっと消費電力が小さい旨。
◇IBM, Globalfoundries and Samsung build new transistor for 5nm technology (6月5日付け DIGITIMES)
◇Imec demonstrates breakthrough in CMOS-compatible ferroelectric memory (6月7日付け ELECTROIQ)
→Imecが、2017 Symposia on VLSI Technology and Circuits conference(京都)にて、NAND応用向けvertically stacked ferroelectric Al doped HfO2デバイスを世界で初めて披露の旨。
◇IBM Optics Go CMOS-Low-Cost Photonics Goal-IBM describes CMOS advance in photonics tech (6月8日付け EE Times)
→スイス・ZurichのIBM Researchが、2017 Symposia on VLSI Technology and Circuits conference(京都)にて、60-gigabit-per-second(Gb/s)光interconnectにおけるブレイクスルーをプレゼン、コストのかかる56-Gb/s copper interconnectsに広く替わっていくとしている旨。今回費用のかからない60-Gb/s光receiverを説明、来年マッチする光transmitterが続く予定の旨。
【中国の承認待ち案件】
Qualcommと中国とのスマホ用チップセットの合弁設立が以下の通り発表され、中国当局の承認も問題なさそうに思われる。
◇Why Qualcomm's New JV Irks Tsinghua Unigroup-China's two high-profile investment firms to back Qualcomm-Leadcore JV (6月6日付け EE Times)
→中国の2大投資ファンド、JAC CapitalおよびWise Road Capitalが支援、QualcommおよびLeadcore Technologiesが5月後半、合弁、JLQ Technologyの設立を発表、該取引に関わる4者は、該新合弁の重点が"中国で設計、販売されるmass-tierスマートフォン用チップセットに関する設計、実装、テスト、顧客サポートおよび販売"にあるとしている旨。該合弁は、貴州省(Guizhou Province)のGui'an New Areaに登録され、関係当局の承認待ちの旨。
もう1つ、半導体実装・テストの大手同士、台湾のASEとSPILの合併提案であるが、こちらは中国の公正取引当局が差し戻すやりとりと、なかなか見通せない先々となっている。
◇台湾半導体連合、中国の壁―合併審査巡り疑心暗鬼 (6月8日付け 日経)
→台湾の半導体封止・検査大手2社の経営統合に中国から待ったがかかった旨。世界最大手のASEと3位のSPILの合併について6日、中国商務省が独占禁止法などに基づく審査期間を延長したことが判明。中台関係が冷え込むなか、政治的な思惑が働いたとの見方もある旨。両社が合併案の審査を申請したのは昨年8月。審査開始から9カ月以上が過ぎ、期限が今月11日に迫る旨。商務省は審査にはまだ時間がかかるとしており、今後の合併のスケジュールは見通せなくなった旨。
◇China market: ASE re-submits application for planned merger with SPIL (6月9日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)発。ASEのSiliconware Precision Industry(SPIL)との合併計画について中国の公正取引regulatorsに以前提出した申請が差し戻され、ASEはそれを改訂して提出し直している旨。
【新分野レポート】
現状の半導体市場の活況を支える新分野について、レポート2件。Intel社では自動運転車についての予想である。
◇Intel's Passenger Economy: What's the Point? (6月5日付け EE Times/Blog)
→Intel社が先週、完全自動運転車の今後は2050年に$7 trillion "Passenger Economy"を解き放つと予想するレポート、Passenger Economy Reportを発行の旨。レポート作成を市場調査のStrategy Analyticsに託している旨。
フランスの調査会社、Yoleからは、人工知能(AI)が引き起こす先端実装の新時代への注目である。
◇Artificial intelligence: A new era of the advanced packaging industry (6月8日付け ELECTROIQ)
◇Artificial Intelligence: A New Era of the Advanced Packaging Industry (6月8日付け 3D InCites)
→Artificial Intelligence(AI)が、3D TSVおよびheterogeneous integration技術の展開を引っ張っている旨。Yole Group of Companies傘下のYole Developpement(Yole)が3D TSV & 2.5D business最新レポートで、先端実装業界を調べ、この市場へのAIインパクトに一層注目の旨。
≪グローバル雑学王−466≫
日米同盟に対する中露同盟の構図に注目した前回から、今回は「親日国」が瞬時にして「親中国」になっていくアジア情勢について、
『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』
(中西 輝政 著:PHP新書 1076) …2017年2月21日 第1版第4刷
より、もう1つ注意を要するドイツの動向に焦点を当てていく。ロシアとドイツは国際政治の現状そして歴史的に振り返っても共通する利益を擁する一方、中国とドイツはこれまた経済関係の親密ぶりが目立ってきている。中露そしてドイツとバランスよく見据えた我が国の将来の構想立てが求められている。
第5章−2 「地獄のオセロゲーム」化するアジア
◆雁行的発展モデルは「鷲」の登場で四散する
・日本に強いシンパシーを感じ、我が国の後を追って高度経済成長を遂げようとしていたはずのASEAN諸国のビジョン
→いまや経済大国化した「中国という鷲」によって攪乱、浸透され、この数十年強化してきたはずの基盤も雲散霧消し始めた
・中国の対外工作により、戦後日本の外交努力が突き崩されていき、日本が長年を費やして育ててきた多くの「親日国」が瞬時にして「親中国」になっていく
→目まぐるしいオセロゲームのよう。こちらの陣営だったはずの「白」があっという間に「黒」へと反転
・「多極化の時代」においてはごく自然なこと
→中国はあくまでも多極化時代の原則に忠実に戦術を遂行している
◆日中に「両張り」するアメリカ
・トランプの発言によって、日米同盟の堅牢性、信頼性に疑問符が付きはじめているとも
→多極化時代の大変なところ
・アメリカの政治、外交動向を知るためには、広く経済界や金融界、世論とメディアを含めたアメリカの全体像を辛抱強く捉える作業を続けなければならない
→ワシントンからドナルド・トランプの本拠地、ニューヨークに目を転じると、そこにあるのはずっとドライな現実主義
・今後、たしかに一方ではワシントンの公式外交は対中強硬へ向かうだろうが、他方、水面下では日本と中国をつねに両天秤にかけ続けていくことに
→双方の可能性に「両張り」を続けるはず
◆ロシアとドイツが接近する悪夢
・日本にとってもう1つ注意しなければならない存在が、ドイツ
→ロシアとドイツは、多くの「共通の利益」を抱えている
・イギリスが欧州大陸の問題に口出しをしなくなるということは、独露両国にとって共通の利益
→「自分たちの合意によってヨーロッパ全体を運営したい」という気持ちが厳然として存在
→独露両国はすでに、天然ガスをはじめ、さまざまなエネルギー分野での運命共同体
・ロシアのプーチン大統領はかつてKGBの諜報員として、東ドイツで活動
→東ドイツ育ちのメルケル首相はロシア語に堪能
→われわれにはわからない「独露の親和性」
・歴史的に見ても、ドイツとロシアの関係は並々ならぬもの
→1871年、ドイツ統一
→普仏戦争(フランスとプロイセン[ドイツ]の戦争)では、ロシアはドイツに対し好意的中立
→1917年、ロシア革命もドイツの協力によって成立したもの
→1990年、東西ドイツの再統一でも、ドイツはロシア(当時はソ連)から絶大な恩義
→ゴルバチョフ大統領の寛大さのお蔭
・我々にとって気がかりなのは、「独露の親和性」が世界に如何なる影響を及ぼすことになるか、ということ
→21世紀においても、とりわけ日本は深刻に考えておく必要
→独露の関係が極東に大きなインパクトを及ぼした歴史上の事例は数え切れない
◆中国とドイツが手を携える恐怖
・日本にとってさらに恐ろしいのが、ドイツと中国の接近
→いま中国は、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を創設したり、「一帯一路構想」を提唱するなど、アジアのみならず世界経済の1つの中心になろうとしている
・ドイツと手を携える中国、これもまた日本にとってしばしば厄介な、ときには恐ろしい存在に
→歴史に学ぶとき、現代においてもドイツと中国の関係性にも絶えず注目しておかねばならない
・ヨーロッパでは、親露派のメルケル首相のもと、長期的には独露の協力関係が今後大きく進んでいく予想
→他方、中独の経済関係も、メルケル首相が在任11年で9回も訪中しているほど緊密
…フォルクスワーゲンなしに中国経済や国民生活は成り立たないほど
…中国はドイツから環境技術をプロジェクトで導入
→中独経済関係の目を見張る進展は、日本にとって、まことに警戒すべき要素
◆ヨーロッパの最新軍事技術が中国に流れる危険性
・オーストラリアの2015年9月に発足したターンブル政権は、自由党ながら親中派
→それまでの親日のアボット政権から、中国傾斜という「転向(ターンラウンド)」
・経済だけでなく、武器輸出についての懸念も
→中露の先のタシケント会談では、軍事協力についても言及
→背に腹は代えられない、経済的に厳しいロシア
・ヨーロッパでは、大陸諸国が高性能兵器の対中輸出を解禁すれば、イギリスも対抗して解禁するかも
◆イギリスは今後、親中に動くか
・2015年の習近平主席の訪英では、イギリスはエリザベス女王まで動員して歓待
→この演出をしたのは、当時、キャメロン首相の後継と目された親中派のオズボーン財務相
・国民投票での敗北を受けてキャメロン首相は退陣、テリーザ・メイ内閣ではオズボーンは閣僚から外れた
→いずれ返り咲く可能性も否定できず、中国もそれに期待しているはず
◆「中露独の三国同盟」に日米同盟は対抗できるか
・いまや東アジア情勢とヨーロッパ情勢は、完全に連動しだしたユーラシア規模での「世界新無秩序」へ向けて進行中
→とりわけ、ドイツの中国に対する過度なのめり込みは、やがて日本の命運を狂わせかねない気がかりな要素
・この先、日本とアジア太平洋の命運を握るのは、壮大な「ユーラシアのパワー・ゲーム」
→「日米同盟」
→それに対抗する「中露同盟」
→そして第3項としてのドイツの動向
・差しあたっての日本
→つねに「中露同盟」の動きを注視しつつ、ドイツと中国、ドイツとロシアとの連携をも視野に入れて日本外交の将来を構想しなければならない