2019年12月16日
|長見晃の海外トピックス
米中貿易戦争の覆いの中、下支えに健闘している新分野という今年の感じ方があるが、恒例のこの時期2大イベントでも然り。半導体デバイスに関する国際会議、IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM:12月7-11日:San Francisco)では、Intelの量子コンピュータ向け低温半導体はじめ今後を切り拓く注目の発表である。もう1つ、半導体製造装置・材料の国際展示会、SEMICON Japan 2019(12月11-13日:東京ビッグサイト)では、今年の落ち込みから来年は5G需要で回復を見込む展望が示されている。本欄を埋めるときになって、米中貿易交渉「第1段階の合意」が発表され、15日に予定の対中制裁関税「第4弾」の発動が見送られ、ひとまずの安堵ではある。
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2019年12月 9日
|長見晃の海外トピックス
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、この10月について$36.6 billion、前月比2.9%増、前年同月比13.1%減と、昨年12月から今年2月にかけて前月比約7%減と立て続けに落とした販売高をその後小幅な増減に保ち、7月から4ヶ月連続で前月比増加で持ちこたえている推移となっている。World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationの秋季予測では、今年は半導体販売高12.8%減と止む無し二桁の落ち込みとなり、来年、2020年は5.9%増、$433 billionと一桁の伸びに留まる見方である。米中貿易戦争が覆う中、他の予測機関でも4%〜8.7%と2020年の販売高の伸びの読みが一桁に収まっている現時点である。
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2019年12月 6日
|服部毅のエンジニア論点
半導体製造装置および製造プロセスの先進的制御(Advanced Equipment Control/Advanced Process Control:AEC/APC)に関する国際シンポジウム「AEC/APC Symposium Asia 2019」が、「データサイエンスに基づくデジタルツインで新たな価値を創造しよう」というテ―マの下、11月13日に東京都内で開催された。
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2019年12月 2日
|長見晃の海外トピックス
最先端半導体への取り組みが追い風となっている台湾半導体業界に向かう動きが相次いでいる。パナソニックが半導体事業から撤退、台湾の新唐科技(Nuvoton Technology)への売却を発表、世界半導体市場における我が国の存在感の一段の低下となる。最先端半導体の研究開発に向けて、東京大と台湾・TSMCが提携を発表している。そして、Intelと台湾・MediaTekが、5G対応半導体の設計および製作でコラボするとし、MediaTekは同社初の5G SoC、Dimensity 1000を打ち上げている。環境激変を受けて「グローバルな協調と競争」の枠組みがまた一段と変わらざるを得ない現状を受け止めるとともに引き続き業界構図の推移に注目するところである。
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2019年11月29日
|泉谷渉の視点
日韓貿易摩擦が続く中で、韓国政府の打ち出した重要材料の国産化推進策については、全くもって困ったものだと言うしかない。毎年2000億円近い開発支援金を拠出し、半導体、液晶、自動車部品などの材料もしくは素材を韓国企業が生産できるようにするというのだ。これを聞いた材料大手の日本企業は呵々(かか)大笑いしてこう言い放った。
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2019年11月25日
|長見晃の海外トピックス
Huaweiに対する制裁措置を一部緩和して米国製品の輸出を限定的に容認する動きを米国商務省が行なって、Microsoftは輸出ライセンスを認められたとのこと。まだまだ部分的で先行きが依然はっきりとは見えず、香港問題など加わって米中貿易戦争の覆いがまったく予断を許さない中、半導体関連の7-9月、第三四半期の戻し基調が鮮明になっている。それを受けて北米装置メーカーの10月世界billingsが、2018年10月以降はじめて前年比増加を示している。本年残すところ1ヶ月余り、今年の半導体サプライヤランキング予想がIC Insightsにより表わされ、メモリ半導体の落ち込みを反映、IntelがSamsungに$14.2 billionの差をつけて首位を取り戻す内容となっている。
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2019年11月18日
|長見晃の海外トピックス
中国・Alibabaの「独身の日」セールの最高取扱高に続いて、今度は色が黒い商品や名前に黒が入っている商品を特別価格で販売するAmazonのBlack Friday。米国・GAFA(Google:Apple:Facebook:Amazon)そして中国・BATH(Baidu:Alibaba:Tencent:Huawei)、米中IT巨人のそれぞれさまざまな戦略的展開に目を奪われる中、1つとして半導体も大きく関わって、米中摩擦に煽られる中での各社の備える動きに注目させられている。新興市場へのスマホ、5GそしてAIの展開とすでに見えているものに加えて、金融サービスへの参入など新たな機軸に向けた動きのうねりが見られて、半導体分野にどんなインパクトとなるか、目が離せないところである。
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2019年11月14日
|泉谷渉の視点
「LGディスプレイがフッ化水素の100%国産化を完了」、「中国やロシアなど、様々な素材を日本以外から調達」、「韓国政府は部品・素材の国産化に全力投球」。こうした報道が飛び交う中で、筆者は11月10日に韓国・ソウルに渡り「なぜ日本は素材産業が強いのか」というテーマで講演をさせていただいた。中央日報をはじめとする地元メディアの方々も聴講していた。なにしろ韓国は、日本からコア装置・材料の53%を輸入しており、得意とする半導体デバイスの生産が拡大すればするほど対日貿易赤字が積みあがる、というジレンマがずっと続いている。
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2019年11月11日
|長見晃の海外トピックス
中国がここ2週間での米国との話し合いで、双方が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に廃止することで合意した、と明らかにして、市場の好感を呼ぶ動きが見られたところに、強硬筋の巻き返しがあったか、Donald Trump大統領はじめ米国政府高官の「合意していない」と打ち消す発言が続いている現時点である。大詰めにさしかかってなお予断を許さない状況の中、米国と中国に挟まれる位置づけながら5G、AIなど今後の中核技術に向けて最先端半導体に積極的に取り組むTSMCに注目させられている。3-nm新工場計画推進はじめ業界で一人勝ちになる可能性もあり、7-nmなど現下の最先端が売上げを大きく押し上げている同社となっている。
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2019年11月 6日
|津田建二の取材手帳
ムーアの法則とは、「市販のシリコンICチップ上に集積しているトランジスタの集積度は毎年2倍で増えていく」、という経済法則だった。いつの間にか、トランジスタの集積度を上げる手段の一つであった微細化技術の進展=ムーアの法則といわれるようになった。最近、ムーアの法則は、IBMワトソン研究所にいたRobert Dennardが微細化の指針であるスケーリング(比例縮小)則を提案したことから、デナード則と呼ばれる法則と区別するようになった。
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