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「COVID-19」インパクト世界的波及の中、1月の世界半導体販売高

新型コロナウイルス肺炎「COVID-19」のインパクトが度を増して世界的に波及、米国・Silicon Valleyの業界記事にもタイトルを独占しつつある様相が見られている。一層手を尽くしてサプライチェーンそして世界経済が回復するよう、ひたすら鎮静化を待ち望むところである。そんな祈る思いの中、米国Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、今年出だしの1月について$35.5 billion、前月比2.2%減、前年同月比0.3%減となっている。今回のウイルスは2019年12月に中国湖北省武漢での患者発生が発端、1月販売高にある程度、そして2月以降への大きな下振れが避けられないが、戻していく好材料に敏感に注目していくところである。

≪1月の世界半導体販売高;インパクト概況&半導体関連≫

米国・SIAからの発表内容、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇1月のグローバル半導体販売高が前年比僅かに減−2020年1月の世界販売高が2019年1月に対し0.3%減;前月比で2.2%減 …3月2日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2020年1月の世界半導体販売高が$35.4 billionで、前年同月、2019年1月の総計、$35.5 billionから0.3%減、そして前月、2019年12月の総計、$36.2 billionから2.2%減、と発表した。月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、半導体製造、設計および研究における米国のleadershipを代表し、メンバーで米国半導体会社販売高の約95%を占めている。

「グローバル半導体市場は、1年以上ぶりのこと、前年比プラスの販売高の伸びが見られてきて、2020年は堅調な出だしとなっている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「依然、グローバル市場は、グローバル貿易の不安定性およびコロナウィルスの世界的拡がりを巡って継続する懸念など市場の回復継続を制限する大きなマクロ経済の逆風に直面している。」

地域別には、前年同月比で、China(5.2%)およびAmericas(0.8%)で僅かに増加したが、Asia Pacific/All Other(-4.1%), Japan(-5.0%), およびEurope(-5.6%)では減少した。前月比では、Europe(1.2%)で増加したが、ほかはAsia Pacific/All Other(-0.7%), Japan(-1.9%), Americas(-2.1%), およびChina(-4.3%)とすべて減少している。

Americass
前年同月比  0.8%/
前月比 -2.1%
Europes
-5.6%/
1.2%
Japans
-5.0%/
-1.9%
Chinas
5.2%/
-4.3%
Asia Pacific/All Others
-4.1%/
-0.7%

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jan 2019
Dec 2019
Jan 2020
前年同月比
前月比
========
Americas
7.31
7.53
7.37
0.8
-2.1
Europe
3.44
3.21
3.25
-5.6
1.2
Japan
3.16
3.05
3.00
-5.0
-1.9
China
11.62
12.77
12.23
5.2
-4.3
Asia Pacific/All Other
9.95
9.60
9.54
-4.1
-0.7
$35.48 B
$36.17 B
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %

--------------------------------------

市場地域8-10月平均11- 1月平均change
Americas
7.31
7.37
0.9
Europe
3.38
3.25
-3.8
Japan
3.15
3.00
-4.8
China
13.02
12.23
-6.1
Asia Pacific/All Other
9.99
9.54
-4.5
$36.84 B
$35.39 B
-3.9 %

--------------------------------------

※1月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2020/03/January-2020-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けて、業界各紙の取り上げ、以下に留まっている。

◇Global Semiconductor Sales Down Slightly Year-to-Year in January (3月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Global semicon sales slowed down in January to US$35.4b, says SIA (3月4日付け The Edge Markets)

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。2018年11月から販売高が前月比マイナスとなって以降、12月、2019年に入って急激に落ち込む経緯があらわれているが、2月以降は$32 billion〜$33 billion台に押しとどまって、8月は$34 billion台に戻すに至っている。9月は$35 billion台半ば、そして10月は$36 billion台半ばを越えて2019年単月最高を続けて更新、11月がほぼ横ばい、12月が僅かに減少という経緯となっている。そして2020年に入り、出だし1月が$35 billion台前半という現時点である。コロナウイルス・インパクトによる下振れが向こう数ヶ月避けられないが、戻していく材料発掘に暇なしでの業界の動き推移への注目である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %


「COVID-19」インパクトを受ける世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。

□3月2日(月)

国際機関からの今年の経済成長予測が下方含みであらわされている。

◇Global Growth to Slow Sharply as Virus Takes Heavy Toll, OECD Says-OECD: Global output to slow sharply this year-World's output could fall during first quarter, putting economy at risk of recession, group says (The Wall Street Journal)
→Organization for Economic Cooperation and Development(OECD)が、今年のグローバル経済伸長がbest-case scenarioで2.4%とし、前回見通し2.9%から下方修正、新型コロナウイルス大流行で約$400 billionが失われる旨。また、"さらに続いて強力な"大流行が1.5%にも伸びを削減すると警告の旨。

◇OECD warns coronavirus could halve global growth (Financial Times)

□3月3日(火)

米国・FRBによる緊急利下げが、投資家の安堵を得るに至っていない状況である。

◇Facebook leads FAANG sell-off as Fed rate cut fails to calm investors' coronavirus concerns (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Fedによる緊急利下げは、コロナウィルスインパクトを巡る投資家の懸念を払拭できていない旨。
(注) FAANG…主要ハイテク銘柄のうちFacebook、Amazon.com、Netflix、Apple、とGoogleを総称する呼び方

◇Federal Reserve Cuts Rates by Half Percentage Point to Combat Virus Fear-Fed cuts rate hoping to stave off coronavirus disruption-Central bank lowers federal-funds rate range to 1% to 1.25% in its first between-meeting move since the financial crisis (The Wall Street Journal)
→Federal Reserve(FRB)が本日、benchmark rateの0.5%引き下げを発表、コロナウィルスの拡がりが引き起こす証券市場の混乱に立ち向かう狙い。
「該委員会(FOMC)は経済見通しに向けた展開およびその示すものをしっかりと見ており、経済サポートに向けて適切なtoolsおよび行動を用いていく。」と、Fedがステートメントにて。

米国株式市場のNYダウ株価が、日々敏感に上下に大振れする展開が見られている。

◇NYダウ、524ドル高で推移、協調緩和期待で一時840ドル急伸 (日経 電子版 05:28)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は8営業日ぶりに反発している旨。
15時現在は前週末比524ドル03セント高の2万5933ドル39セントで推移している旨。上げ幅は一時840ドル超に達した旨。世界各国の中央銀行が協調して金融緩和に踏み切り、新型コロナウイルスで減速する世界経済を下支えするとの期待が高まった旨。緩和観測を受けた長期金利の低下を受け大型のハイテク株を中心に幅広い銘柄に買いが優勢となった旨。

□3月4日(水)

◇IMF chief says coronavirus erases hopes for stronger growth in 2020-IMF: Coronavirus to put 2020 growth below 2019 level (Reuters)
→International Monetary Fund(IMF)のManaging Director(専務理事)、Kristalina Georgieva氏。189のメンバー国のうち70で新型コロナウイルス大流行に当たって、2020年グローバル伸長予測を2019年の2.9%を下回る見方としている旨。

◇FRBが0.5%緊急利下げ、市場安定へ追加緩和の余地 (日経 電子版 00:05)
→米連邦準備理事会(FRB)は3日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0.5%引き下げた旨。新型コロナウイルスの拡大で市場が混乱したのに伴い、景気不安が広がるのを抑える狙いがある旨。パウエル議長は「今後数カ月の動向を注視し、経済を支えるために適切に行動する」と主張。景気リスクが拭えなければ、追加利下げに踏み切る考えもにじませた旨。

◇NYダウ急反落、一時1000ドル近く下落、緊急利下げも懸念強く (日経 電子版 05:22)
→3日の米ダウ工業株30種平均は反落している旨。15時現在、前日比727ドル52セント安の2万5975ドル80セントで推移している旨。下げ幅は一時1000ドル近くに達した旨。米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げを発表し、直後は買いが優勢となる場面もあった旨。ただ、前日に過去最大の上げ幅となった後だけに、利下げ発表で材料出尽くしの売りに押された旨。米国でも新型コロナウイルスの感染者数が増えるなか、景気への悪影響も警戒された旨。

□3月5日(木)

米国西海岸へのインパクトの波及が見られている。

◇California reports first coronavirus death as symptoms swirl on cruise ship (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Californiaが水曜4日コロナウィルスの拡がりを巡る危機の深まりに直面、Gavin Newsom知事が緊急事態を宣言、Sacramentoの高齢患者が該ウィルスで死亡、症状のある21人がいるクルーズ船がSan Franciscoの海岸で停泊している旨。

◇米クルーズ船、新型コロナで調査、緊急帰港へ (日経 電子版 11:02)
→米カーニバルは4日、同社の大型クルーズ船「グランド・プリンセス」を米サンフランシスコに緊急帰港させると発表、2月中旬に新型コロナウイルスの感染者が乗船していたことが判明し、船内を調査する旨。カリフォルニア州のニューサム知事は同日の記者会見で、乗客11人と乗員10人が症状を示していると明らかにした旨。

◇NYダウ、一時1000ドル急伸、バイデン氏の躍進で買い (日経 電子版 05:38)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反発し、米東部時間の15時半現在、前日より約1000ドル高い2万7000ドル前後で推移している旨。
3日の米大統領選の民主党候補争いで中道派のバイデン前副大統領が躍進した旨。国民皆保険の導入や企業の規制強化を訴える急進左派のサンダース上院議員が候補にならない可能性が高まり、恩恵を受ける医療保険などヘルスケア株を中心に幅広く買われた旨。

◇世界経済11年ぶり低成長、IMF予測、緊急融資発動へ (日経 電子版 07:28)
→国際通貨基金(IMF)は2020年の世界経済の成長率予測を2%台に引き下げる方向。1月時点の予測では3.3%だったが、新型コロナウイルスによって「2019年(2.9%)を大きく下回る」と判断した旨。金融危機直後だった2009年以来、11年ぶりの低成長となる旨。IMFと世界銀行は新興・途上国向けに緊急融資を実行し、保健体制の整備や内需の下支えを促す旨。

□3月6日(金)

ロンドンでの感染確認、我が国の中韓入国制限、と波及の拡がり&高まりである。

◇円上昇、106円台、NYで5カ月ぶり高値、コロナ拡大で (日経 電子版 01:30)
→5日のニューヨーク外国為替市場で円高・ドル安が進んでいる旨。円相場は一時、1ドル=106円60銭まで上昇し、約5カ月ぶりの高値を付けた旨。世界的に新型コロナウイルスの肺炎拡大が止まらず、リスク回避の円買い・ドル売りが加速。米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げをするとの観測が高まっていることもドル売りにつながっている旨。

◇NYダウ急落、969ドル安、米長期金利は過去最低に (日経 電子版 03:21)
→アジアや欧州での新型コロナウイルスの感染拡大が米国にも本格的に波及し、5日の米市場では投資家のリスク回避姿勢が強まった旨。株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比969ドル58セント(3.6%)安の2万6121ドル28セントで取引を終えた旨。マネーは一斉に安全資産へ向かった旨。債券市場では長期金利の指標となる米10年物国債の利回りが過去最低を更新し、外国為替市場では円を買ってドルを売る動きが広がった旨。

◇ロンドンのHSBC本社で新型コロナ感染者、金融街に不安 (日経 電子版 03:25)
→英金融大手HSBCホールディングスは5日、ロンドンの本社ビルで従業員1人に、新型コロナウイルスの感染が確認されたと明らかにした旨。当該の従業員が働いていた階や共有スペースは立ち入りが規制され、消毒作業が行われた旨。大手金融機関のロンドン拠点で感染者が確認されたのは初めてで、金融街に不安が広がっている旨。

◇中韓入国制限、冷える経済、企業は出張禁止や異動延期 (日経 電子版 22:00)
→日本が中国や韓国からの入国を制限する措置はビジネスや観光などに広範な影響を与えそうな旨。日本企業は中韓への出張を控えたり、赴任者の異動を遅らせたりして対応する旨。全体の5割弱を占める中韓の訪日客の一段の減少は避けられず、地方経済への打撃も大きい旨。入国制限は新型肺炎の拡大を防ぐ緊急措置だが、長引けば国内景気の減速リスクが高まる旨。

□3月7日(土)

イベントはじめ外での動きを世界的に自粛する中、来週に向けて終息に向かう抑制効果のあらわれることへの切なる願いである。

◇新型コロナ感染10万人超、3カ月で世界的流行に (日経 電子版 01:50)
→世界の新型コロナウイルスの感染者数が10万人を超えた旨。2019年12月に中国湖北省武漢で初の患者が出てから約3カ月で他のアジアや欧米にも急速に広がった旨。現在も感染拡大が収束する見通しはたたず、渡航制限や大規模イベントの中止などが相次ぐ旨。ウイルスの脅威が暮らしや企業活動に大きな影を落としている旨。

◇NYダウ、一時800ドル超安、新型コロナ懸念でリスク回避強まる (日経 電子版 05:25)
→6日の米株式相場は大幅続落している旨。15時現在、ダウ工業株30種平均は前日比833ドル33セント安の2万5287ドル95セントで推移している旨。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、景気や企業業績への懸念が一段と強まった旨。リスク資産を手じまい、安全資産とされる米国債などに資金を移す動きが続いた旨。

◇新型コロナ、欧米で急拡大、感染者数は1週間で5〜12倍 (日経 電子版 17:55)
→新型コロナウイルスの感染が欧米で急拡大している旨。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、日本時間7日朝時点の世界の感染者数は約10万2千人に達した旨。8割を占める中国本土で新たな感染者が減る一方、米国やイタリア、ドイツなどでは過去1週間で感染者数が5〜12倍に増えた旨。今後の気温上昇で感染拡大が鈍化するとの楽観論もあるが、世界保健機関(WHO)は警戒を緩めないよう呼び掛けている旨。

◇中国貿易、新型コロナで打撃、1〜2月輸出17%減 (日経 電子版 20:45)
→新型コロナウイルスの感染拡大が中国の輸出に打撃を与えている。7日発表の2020年1〜2月の輸出額(ドル建て)は前年同期比17%減となり、減少率は4年ぶりの大きさになった旨。輸入も同4%減った旨。中小企業を中心に操業再開が遅れ、防疫作業で物流も滞っているため。3月以降にどこまで輸出や生産が回復するかが、中国経済の行方のカギを握る旨。

半導体関連の該インパクトを受ける動きが、相次いでいる。

韓国の半導体業界の対応である。

◇Korean Semiconductor Plants on High Alert as COVID-19 Spreads (2月27日付け Business Korea)
→韓国の半導体メーカーが、COVID-19の拡がりに厳戒態勢にある旨。従業員感染によるworkplace閉鎖が膨大な損害に繋がることで、極度に警備、検疫活動を踏み上げている旨。韓国政府が該脅威警戒を最高レベルに引き上げ、Samsung ElectronicsおよびSK Hynixが防止対策を劇的に強化の旨。

CPU出荷不足が続く中のIntelのコメントである。

◇Intel CFO says company is operating 'on a relatively normal basis' amid coronavirus outbreak-CFO: Intel is doing business "on a relatively normal basis" (3月2日付け MarketWatch)
→Intel社のChief Financial Officer(CFO)、George Davis氏が月曜2日、Morgan Stanley investor conferenceにて。同社は比較的正常ベースで稼働できている旨。新型コロナウイルス大流行からのインパクトについて、同社は大連(Dalian)にNAND製造工場、成都(Chengdu)にテスト&実装拠点、そして上海および北京にデザインセンターがある旨。顧客が該状況からインパクトを受けているのが見え始めている旨。Intelは比較的正常に稼働しているが、昨年末に向けて顧客需要のすべてに対応できなかった不足の展望から今のこの環境に入ってきている、と特に言及の旨。

今年のスマホ世界出荷予測が下方修正されている。

◇スマホ2020年の世界出荷、コロナ影響、2.3%減、米IDC下方修正 (3月2日付け 日経産業)
→米調査会社IDCは27日、2020年のスマートフォン世界出荷が前年比2.3%減の13億3980万台にとどまるとの予測を発表、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を反映して、2019年11月発表の前回予測(同1.5%増の14億360万台)から下方修正した旨。
IDCは2020年上半期の出荷が前年同期に比べ10.6%減ると予測。下半期は次世代通信規格「5G」の普及を追い風にプラスに転じるが、通年でも4年連続で前年水準を割り込む見通し。中国の供給体制の回復に数四半期かかることを前提に予測した旨。2021年は2020年に比べ6.3%増の14億2420万台を見込む旨。

該インパクトについて捉え方のまとめである。

◇Covid-19: What Have We Learned So Far?-Analysis: Covid-19 is now the world's problem (3月3日付け EE Times)
→中国でのCovid-19流行に触れてから2ヶ月、rest of the worldが今やコロナウィルス流行を巡るpanic modeにあり、中国国内より速く拡がっている旨。該危機はもはや中国の問題ではなく、世界の問題である旨。これまで捉えている点:
 1. Spread the risk: Never a single supplier
 2. Building buffer stocks
 3. Collaborate with suppliers
 4. Components aren’t moving
 5. Broken integrity of supply chains
 6. Hard times for everyone
 7. Know your suppliers, build a continuous monitoring system, and get business continuity plans
 8. Diversify your employees - which regions are they from?
 9. Can we produce things closer to home?
 10. They are not coming back
 11. Pay attention to cloud/remote office
 12. Change the supply chain, but can you diversify the customer base?

在宅勤務に向けたビデオ会議システムのビジネス対応である。

◇Cisco, Google Hangouts follow Zoom's lead in offering free video conferencing features amid coronavirus outbreak (3月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→コロナウィルスのさらなる拡がりを避けて家でのprofessionals workが増えて、video conferencingプロバイダーの少なくとも3社がremote work奨励に向けて無料のteleconferencingサービスを提示の旨。Cisco Systems社(San Jose)は月曜2日、free Webex callsで時間制限およびユーザ制限を解いている旨。

イベントの中止、virtual開催、延期、と続いている。

◇Reports: Google cancels I/O conference in Mountain View, bars employees from most overseas work travel (3月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Facebookと同様、Googleがコロナウィルスの拡がりの継続に懸念、5月予定の主要conferenceを中止する旨。

◇Google Cloud cancels biggest conference out of COVID-19 caution, plans virtual version (3月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Google Cloudが、COVID-19の懸念から4月6-8日に予定の同社最大のイベント、Next 2020(Moscone Center in San Francisco)を中止、同社は、予定した通りに同じ期日で該イベントをvirtualに行い、Next' 20: Digital Connectと銘を打ち直す旨。基調講演, breakout groupsおよび“ask an expert” sessions with Google teamsを流す旨。

◇SEMICON Southeast Asia 2020 Postponed to August 2020 (3月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI発。世界的なコロナウィルス(COVID-19)大流行継続を巡る懸念から、SEMICON Southeast Asia 2020を2020年5月12-14日から2020年8月11-13日に延期、場所はMalaysia International Trade and Exhibition Centre(MITEC)で変わらず。

随所、さまざまな波紋が見られている。

◇Coronavirus delays PC and smartphone shipments for weeks (3月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→コロナウイルスによる中国のelectronics supply chainsの破損が、computersおよびスマートフォンのshops到着を遅らせており、エキスパートたちが該混乱のインパクトを過小評価しているいくつかの会社があると警告の旨。

◇Chip industry rebounds despite coronavirus woes (3月3日付け The Korea Herald)
→韓国・Ministry of Trade, Industry and Energy(MoTIE)のデータ。2月の韓国の半導体輸出が、前年同月比9.4%増の$7.42 billion、15ヶ月ぶりのシリコン輸出のon-yearの伸びの旨。中国でのコロナウィルスの急速な拡がりによる先月のChinese Lunar New Year holiday延長にも拘らず、韓国の中国向け半導体輸出は前年比20%増大の旨。

◇Texas Instruments CFO has seen some slower progress amid coronavirus-TI CFO: Coronavirus outbreak has slowed some progress (3月4日付け The Business Journals/Dallas)
→Texas Instruments(TI)社にコロナウィルスを巡るなんらかの鈍化が見えている旨。同社Chief Financial Officer(CFO)、Rafael Lizardi氏が水曜4日、supply chainおよび需要で続いていることについてbusiness communityを巡って増大する懸念を扱っている旨。

◇India plans to airlift components from China to help local tech industry: sources-Sources: India will airlift components made in China (3月5日付け Reuters)
→3人の政府officials発。インドが、中国からのコンポーネント空輸を行って成長するelectronics分野を支える計画、中国におけるコロナウィルス危機からの降灰を阻止する試みの旨。

◇Coronavirus outbreak could impact NAND flash prices-Analysts forecast NAND flash demand dip from virus outbreak (3月5日付け TechTarget)
→Trendfocus発。新型コロナウイルス大流行について、メモリメーカーにはNANDフラッシュ供給への大きなインパクトは見られないが、需要軟化が価格に対するインパクトを及ぼす可能性の旨。

◇新型コロナ/世界「電機・IT」に影響顕著、米大手減速、日系に波及 (3月6日付け 日刊工業)
→世界の電機・IT業界では新型コロナウイルスの感染拡大による業績影響が顕在化してきた旨。米アップルやゼネラル・エレクトリック(GE)、HPなどがマイナス影響を相次いで明らかにした旨。巨大市場である中国の消費が冷え込み、部材などのサプライチェーン(供給網)も不安定化して製品生産に支障が出ている旨。米大手の取引先や同業が多い日本も新たな対応を迫られそうな旨。

◇AMD CEO: Coronavirus Will Have 'Modest' Impact, Guidance Unchanged-'What we have seen is, outside of China, overall demand has actually been about what we expected for the first quarter,' AMD CEO Lisa Su says of the impact from coronavirus. (3月5日付け CRN (US))
→AMDのCEO、Lisa Su氏がアナリストに対し、世界的コロナウィルス流行からの同社第一四半期業績へのインパクトは"控え目"と見ている旨。

米国西海岸でも在宅勤務の適用が以下の通りである。

◇Silicon Valley tech companies start giving work-from-home signal over COVID-19 (3月5日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→San Francisco Bay Areaのいくつかの会社が、従業員にオフィスから離れて家から働くよう奨励するpolicyに移行の旨。水曜4日遅く、Microsoftは、同社Silicon ValleyオフィスおよびRedmond, Washingtonのheadquartersの両方のworkersにオフィスから離れることを検討するよう指示を伝えた旨。

◇Apple is latest tech giant to tell employees to stay home as Bay Area coronavirus cases surge (3月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleが、全従業員に対し、新型コロナウイルス大流行への予防策として可能であれば在宅勤務を求めた旨。該指針は、Facebook, Google, Microsoftなど大手ハイテク会社による同様な命令に続くもの、コロナウィルス感染が木曜遅くの36件からSanta Clara Countyでの20件など45件に増えていることでBay Areaが備えていることからきている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Huawei関連】

英国のHuawei装置部分的採用方向に対し、米国からの圧力が続いている。
Huaweiは、半導体設計子会社、HiSilicon Technologiesの強化でなんとかしのいでいくスタンスも見えている。

◇Huawei Makes End-Run Around U.S. Ban by Using Its Own Chips-Huawei taps its HiSilicon unit for chip supply-Huawei now shipping U.S.-component-free mobile base stations (3月2日付け Bloomberg)
→Huawei Technologiesが、同社半導体設計子会社、HiSilicon Technologiesの方に向いて、アメリカの会社に対する同社とのビジネス遂行を禁止するアメリカからうまく逃れようとしている旨。「米国の技術使用に戻るのが依然我々の意図するところ。」と、パートナーとの関係を担当する米国のHuawei executive、Tim Danks氏。

◇U.S. lawmakers seek to step up pressure on UK to reverse Huawei 5G decision-Congress pressures UK over Huawei 5G decision (3月4日付け Reuters)
→共和党の上院議員が、Committee on Foreign Investment in the United Statesに対し、海外投資についての余分な米国の精査からいくつかのオーストラリア、英国およびカナダの会社を免除する"whitelist"での英国の状況を調べるよう求める法案を投入、5G cellular通信ネットワークスでのHuawei Technologies製装置の取り入れを英国当局に思いとどまらせる米国の活動の一環の旨。

◇Huawei: UK Carriers to Be Hit by Clampdown (3月6日付け EE Times India)
→Huawei装置への厳格な制限はNokiaおよびEricssonにはopportunityと思われるが、BT, Vodaphone, およびThreeを苦境に陥れている旨。

【XeroxのHP買収入札】

Xeroxの$35 billion買収入札提案に対して、HPは逆に飲み込むスタンスも見せている中、結局は該提案を突き返している。HPが主要顧客であるキヤノンより、成り行き次第での態度があらわされている。

◇HP reviewing $24-per-share offer from Xerox (3月2日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→HPが先週、Xeroxの提示は低く見ているが、逆にHPがXeroxを買収する可能性など他の代替を検討する可能性の旨。HPは約$32 billionの市場時価総額があり、Xeroxの4倍の旨。

◇キヤノン、HP提携終了も、ゼロックスがTOB (3月4日付け 日経 電子版 23:01)
→キヤノンの御手洗冨士夫会長は、米事務機器大手のゼロックスによる米HPの買収が成立した場合、HPへの部品供給を停止する考えを明らかにした旨。キヤノンとHPは提携関係にあり、キヤノンにとってHPは売上高の14%近くを占める主要な取引先でもある旨。ただゼロックス主導の再編が実現すれば強力な競合相手となり、関係の維持が難しいとみている旨。ゼロックスは2日、HPへの敵対的TOB(株式公開買い付け)を始めた旨。

◇15 reasons why: HP Inc. outlines its rejection of Xerox's offer to buy up stock (3月5日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→まだ最も語気の強い拒絶の様相、HP社が、今回は$35 billionに上げたXerox Holdings社(Connecticut)によるもう1つの入札に"ノー"とした旨。
今週始めXeroxは、HP株の発行済株式すべてを$24/株で買うと提示の旨。

◇HP rejects Xerox's raised takeover offer of $35 billion-HP spurns Xerox's $35B takeover bid (3月5日付け Reuters)

【Samsungの新たな取り組み】

Samsungの新たな拠点構築の取り組みが2件。ベトナムでのR&Dセンターの建設開始、およびartificial intelligence(AI)リサーチセンターの打ち上げである。後者は、グローバルに人材を集めるとしている。

◇Samsung starts building $220 million R&D center in Vietnam-Samsung breaks ground in Vietnam on $220M R&D center (3月2日付け Reuters)
→Samsung Electronicsのベトナム現地unit、月曜2日発。同社が、ベトナムで$220 million research and development(R&D)センターの建設を開始の旨。

◇Samsung's chip division creates own AI center-Sources: Samsung Electronics establishes an AI R&D center (3月4日付け The Korea Herald (Seoul))
→業界筋、水曜4日発。Samsung Electronicsの半導体部門が、自前のartificial intelligence(AI)リサーチセンターを打ち上げ、グローバル人材をスカウトしていく旨。Device Solutions部門傘下の該新unitは、Data & Information Technology Centerと称し、Samsung Advanced Institute of TechnologyでAIソフトウェアリサーチを率いるsenior vice president、Shim Eun-soo氏が引っ張る旨。

【三次元実装関連】

Moore's Lawの後のSystem-in-Package(SiP)化を支える三次元実装の取り組みに向けて、Lam Researchが新機軸として打ち上げる装置、そしてTSMCとBroadcomが協働するプラットフォームの強化である。

◇Lam Research unveils improved tool to make 3-D chips for phones, devices-Lam Research debuts tool for 3DIC manufacturing (3月3日付け Reuters)
→Lam Research社が、20年ぶりの主要新toolをリリース、絶えずより複雑な電話などelectronic機器に適合するよう縮小しなければならないcomputer半導体について三次元details微細化生産用の旨。

◇TSMC, Broadcom enhance CoWoS platform with 2X reticle size interposer-TSMC adds 2X reticle-size interposer to CoWoS platform (3月3日付け DIGITIMES)
→TSMCがBroadcomと協働、TSMCのchip-on-wafer-on-substrate(CoWoS)プラットフォームで2X reticle-sizeインターポーザを統合の旨。該次世代インターポーザは、約1,700mm2の大きさ、高性能computing応用に向けた5-nanometer features搭載system-on-a-chip(SoC)デバイスの製造に用いられる旨。

【5G関連】

5G関連ビジネス対応に向けて、MarvellがまずSamsungと、次いでNokiaとの連携が見られた後、そのNokiaがIntelと組むという動きが以下の通り見られている。また、DSPコアのCevaが5Gの進展に向けたDSPアーキテクチャーを披露している。

◇Marvell Upgrades Octeon Processor Family (3月3日付け EE Times)
→Samsung Networksの5G network装置におけるdesign winsにより5G事業を伸ばしているMarvellが、その成功を永続させ、テレコムインフラプロセッサ市場へのさらなるプレゼンス拡大を図る期待の旨。それに向けたvehicleが、同社Octeonプロセッサの第5世代、Octeon TX2ファミリーである旨。

◇Marvell and Samsung collaborate on 5G infrastructure products-Marvell teams with Samsung, Nokia on 5G infrastructure-Marvell and Samsung are extending their collaboration to encompass infrastructure across additional segments of the radio access network(RAN). (3月4日付け Electronics Weekly (UK))
→Marvell Semiconductorが、5Gワイヤレスインフラに向けたradio access network(RAN)についてSamsung Electronicsと協働、また、Armのプロセッサcoresに基づくReefShark brandの5G system-on-a-chip(SoC)デバイスおよびインフラ・プロセッサについてNokia Networksとコラボしている旨。

◇Nokia hires Marvell to fix 5G problems (3月4日付け Light Reading)

◇Finland's Nokia announces 5G partnership with Intel (3月5日付け Reuters)
→フィンランド・Nokia Oyjが木曜5日、これまで鈍い5Gへの移行の加速に向けて、Intelとの連携に入った旨。Marvell Technologyとの同様の取引発表の1日後の旨。

◇As 5G NR Phase II Looms, Ceva Pitches New DSP Core (3月5日付け EE Times)
→5Gが現在のNew Radio(NR) Phase IからPhase IIに進むにつれ、新しい5G Radio Access Networkにはさらなるtransport flexibilityおよび異なる基地局functional splitsが求められる旨。それを念頭に、DSP coresのlicensor、Cevaが水曜4日、同社最新のDSPアーキテクチャー、Gen4 CEVA-XCを披露の旨。

【スーパーコン関連】

米国・Department of Energy(DoE)が計画している世界最高速見込みのスーパーコンピュータ、El Capitanにおいて、AMDがCPUsおよびGPUs対応を獲得している。

◇HPE, AMD sign $600M contract to build the world's fastest supercomputer for U.S. nuclear tests (3月4日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→該スーパーコンピュータ、El Capitanは、2 exaFLOPS、すなわち2 quintillion calculations per secondのpeak性能速度、今日の最も強力なスーパーコンピュータの10倍高速で、2023年始めに出荷見込みの旨。

◇AMD wins CPU and GPU slots in HPE/Cray's El Capitan (3月6日付け EE Times)
→AMDが、high-performance computing(HPC)において最大の大当たり、うまくいけば2023年稼動、ダントツ世界最高速となりそうなスーパーコンピュータ、El Capitanで採用のCPUsおよびGPUsを獲得の旨。米国・Department of Energy(DoE)のNational Nuclear Security Administration(NNSA)が昨年8月、El Capitanを発表の旨。


≪グローバル雑学王−609≫

ケルトの神々に関する神話であり、実質的に鉄器時代のケルト民族の宗教・伝承体系を指すケルト神話について、

『世界の神話』
 (沖田 瑞穂 著:岩波ジュニア新書 902) …2019年8月22日第1刷発行

より2回に分けて見ていく1回目である。文字に書き記されたのは中世に入ってからで、祖先の神話の名残りを今に残すことができているとのこと。ケルト神話で語られるところでは神の一族とされる一族、トゥアハ・デ・ダナーン(Tuatha De Danann)が、アイルランドに上陸した4番目の種族で、女神ダヌ(ダーナ)を母神とする神族とされる、と11世紀の『アイルランド来寇の書』という古い写本にある。これに纏わるそもそもの経緯および「トゥアタ・デー・ダナンの神話」から今回の前半である。


5 ケルトの神話 …2分の1

・ケルト人…現在のアイルランド人、スコットランド人、ウェールズ人、フランスのブルターニュ地方のブルトン人などの祖先に当たる人々
・ケルト神話が比較的多く残っているのは、アイルランドとイギリスのグレートブリテン島西南部のウェールズ地方

⇒「五種族の来寇――国造りを見た男トゥアンの話」
 …アイルランドの成り立ちについて
 *初めにアイルランドにやって来たのは、パルトローンという種族
 *トゥアンという男が一人だけ生き残った
 *次々と色々な動物に生まれかわりながら何百年も生き、島にやって来た五つの種族の盛衰のありさまを見て、後世の人々に語った
―11世紀の『アイルランド来寇の書』という古い写本に記載
―五つの種族、順に:
  パルトローン
  ネウェド
  フィル・ヴォルグ
  トゥアタ・デー・ダナン…「女神ダナの民」という意味
  ミールの息子たち   …ここから、人間の歴史に

◎「トゥアタ・デー・ダナンの神話」

⇒「蝶になったエーダイン」
 *地下の世界の神ミディルは、楽しい地下の王宮に、妻のフアムナハと暮らしていた
 *あるときミディルは、国中で一番美しいコナハト王の娘エーダインをめとった
 *一緒に自分の宮殿に帰ると、最初の妻フアムナハは、激しい嫉妬にかられた
 *ある日、フアムナハは魔法の杖でエーダインを打ち、水たまりに変えてしまった
 *水たまりは毛虫に変わり、やがて毛虫は紫の蝶となって飛び去った
 *7年ものあいだエーダインは、さびしい荒野や岩地をさまよった
 *しかし幸運にも、一陣の風が吹いて、エーダインをミディルの養子のオイングスの王宮の窓に吹き入れた
 *しかしこの隠れ家もフアムナハに見つかり、魔法の嵐でエーダインは吹き飛ばされてしまった
 *アルスターのエーダル王の広間に吹き入れられ、エーダルの妻が飲もうとしていた杯の中に落ち、そのまま飲みこまれてしまった
 *蝶はエーダルの妻の子宮に入り、エーダルの娘エーダインとして再びこの世に生まれた
 *エーダインは過去のことをすべて忘れ、人間の娘として暮らしていた
 *そのころエオヒド・アレウという男がアイルランドの王になった
 *彼には王妃がいないので、人々は税を納めようとしなかった
 *エオヒド王はエーダインの美しさに打たれ、妻に迎えた
 *エオヒド王が王宮から出かけると、夜毎、エーダインの最初の夫であるミディルがエーダインを口説いた
 *彼女は、エオヒド王が承知すればよい、と答えた
 *それから少し経ったある夏の日、エオヒド王のもとに見知らぬ騎士、ミディルが現れた
 *チェスをしたいと申し出、勝負に負けたものは相手の要求を何でもかなえなければならないことにした
 *はじめのころ、ミディルはわざと負けて、エオヒド王は慢心し、最後の大きな勝負で負けてしまった
 *ミディルは、「あなたの妻エーダインに口づけしたい」と要求した
 *約束の日が来ると、王は王宮を軍勢で包囲して、ミディルが入れないように守り固めた
 *王宮の広間での宴会で、ミディルが忽然と現れ、無言でエーダインに近づくと、ふたりはそのまま空中に浮かび、王宮の外へ飛んでいった
 *しかしエオヒド王はエーダインをあきらめず、ゆくえを探し当てた
 *ミディルはエーダインを返すと王に言い、魔法で変身させ、中から本物を選べたら、と条件をつけた
 *しかしミディルの計略はやぶれ、エーダイン自身が、王に向かって、私だと教えた
 *エオヒド王とエーダインは幸福に暮らしたということ
―生まれ変わり、つまり輪廻転生の思想
 →ごくシンプルな輪廻の思想は、古代世界には広く見られる
―ミディルは最後に、50人の侍女をエーダインそっくりに変えて、エオヒド王に本物を選ばせた
 →インド神話にも同じモチーフ
―宮崎駿氏のアニメ映画「千と千尋の神隠し」の最後の場面
 →主人公、千尋の両親が豚に変えられて、豚の群れの中から両親を選ぶ、という話
―「アイルランドのエオヒド王には王妃がいなかったために人々は税を払わなかった」という部分
 →ケルト独特の考え方。そのことがよくわかる次の神話

⇒「王権を与える女神」
 *ダーレ王に5人の王子がいた
 *黄金に輝く小鹿を得た者が王位を継ぐという予言がなされた
 *狩りに行き、大雪が降って、王子たちは避難場所を探した
 *食べ物とビールが豊富に用意された小屋を見つけた
 *そこにはみにくい老婆がいて、自分と床を共にするならベッドを貸そうと言った
 *末弟のルギド・ライグデは承知、老婆とベッドに行くと、美女に変身、「私はフラティウス(支配)です」と名乗った
―ケルトでは、王権は女神によって与えられると考えられていた
―みにくい老婆として現れるときには荒廃した国土を、絶世の美女として現れるときは若い王によって繁栄する国土を、象徴
―結婚していない王は王権の女神に認められていないので正式な王ではない、ということ

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