「COVID-19」インパクト:中国から欧米へ、半導体業界でも反映
新型コロナウイルスの感染者について中国以外が半分を超え、イタリアはじめ欧米での急拡大が続いている。米国株式市場も不安定な動きが続き、ダウ工業株30種平均の週間下落率が17%超と、リーマン・ショック直後以来の大きさの下げを記録している。2月の市場指標があらわされて、特に中国の主要統計が軒並み大きなマイナスを示している。封鎖下でも半導体の取り組みは続けられたという中国であるが、事態が漸次落ち着きを取り戻しているということか、各方面再開の動きが見られてきている。一方、欧米では外出禁止、在宅勤務の指令が各国、各州で度を増して拡がっているここ数日である。半導体業界関連の日々の動きでもこの対照的な様相が反映されている。
≪インパクト概況&半導体関連≫
「COVID-19」インパクトを受け激震が続く世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。中国から欧米へのインパクトの移行が色濃くあらわれている。
□3月15日(日)
米連邦準備理事会(FRB)の緊急利下げ、ゼロ金利政策の動きである。
◇Fed cuts key rate to near zero, to boost assets by US$700 billion-Fed slashes main rate, plans more bond buying (BNN Bloomberg (Canada))
◇Fed Takes Emergency Steps as Virus Pushes Economy Toward Recession-Economic severity of outbreak to be determined by government's response, analysts say (The Wall Street Journal)
□3月16日(月)
ついに感染者が中国以外で半分を超える事態になっている。
◇新型コロナ感染者、中国以外が5割超に、欧州で急拡大 (日経 電子版 05:15)
→新型コロナウイルスの中国以外の感染者数が15日、中国国内を初めて逆転した旨。イタリアなど欧州を中心に140カ国・地域以上に感染が拡大し、中国以外が全体の5割超となった旨。世界保健機関(WHO)は流行のピークを予測するのは不可能としており、人々の暮らしや経済の混乱が長引く恐れがある旨。
◇FRBが1%緊急利下げ、ゼロ金利に、量的緩和も再開 (日経 電子版 07:10)
→米連邦準備理事会(FRB)は15日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて1.0%利下げした旨。政策金利は0〜0.25%となり、2008年の金融危機以来のゼロ金利政策を敷く旨。米国債などを大量に購入する量的緩和政策も復活。金融政策を全面的に非常時対応に切り替え、新型コロナウイルスの拡大による景気と市場の混乱を抑えたい考え。
中国の1-2月の経済指標が軒並み大きなマイナスを示している。
◇Coronavirus: China's economy suffers dramatic collapse in January, February in warning to rest of world-Chinese economy takes big hit from coronavirus (South China Morning Post (Hong Kong))
◇中国1〜2月主要統計、軒並みマイナスに (日経 電子版 11:00)
→中国国家統計局が16日発表した2020年1〜2月の主な経済統計は軒並み伸び率がマイナスになった旨。百貨店やスーパー、電子商取引(EC)の売上高を合計した社会消費品小売総額は前年同期比20.5%減。統計開始から初めて伸びがマイナスだった旨。マンションや工場の建設を示す固定資産投資や工業生産も初めて伸びがマイナスとなり、過去最低だった旨。
□3月17日(火)
米国・トランプ政権が1兆ドルの経済対策の検討を打ち上げ、現金給付も1つに盛り込まれている。
◇Emergency stimulus to soar above $1 trillion-White House proposes $1T stimulus package-Facing a warning of 20 percent unemployment without action, officials are pushing urgently for a trillion-dollar economic aid package. (Politico)
欧米での入国制限措置が広がりを見せている。
◇欧米、一斉に入国制限に動く、欧州委は入域制限提案 (日経 電子版 05:40)
→新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向け、世界でヒトの移動を制限する動きが広がってきた旨。16日には欧州連合(EU)の欧州委員会がEU域外から域内への不要不急な移動を制限する計画を加盟国に提示した旨。カナダやロシアも同日に入国制限措置を発表。中南米諸国も含めると、30カ国以上が入国制限を表明する異常事態となっている旨。グローバル化の象徴ともいえる自由な移動の制限は、経済活動に計り知れない影響を及ぼしそうな旨。
NYダウが過去最大の下げ幅である。
◇NYダウ急落、過去最大の下げ幅、2997ドル安-経済活動停滞、投資家の不安収まらず (日経 電子版 07:31)
→世界株安が加速している旨。16日の米ダウ工業株30種平均は前週末比2997ドル安の2万0188ドルに急落。12日に記録した過去最大の下げ幅(2352ドル)を塗り替えた旨。下げ幅は一時3000ドルを超えた旨。米連邦準備理事会(FRB)は15日に緊急利下げしたが新型コロナウイルスの流行拡大で投資家の不安が鎮まらない旨。欧米では入国制限が相次ぎ、経済活動の停滞も強まっている旨。
□3月18日(水)
◇Senate Passes Paid-Leave Bill to Combat Pandemic, Turns to Administration's Stimulus Plan-Senate focuses on $1T stimulus to fight pandemic-Government moves to address economic impact of coronavirus with support for workers, households (The Wall Street Journal)
→米国議会上院が、Donald Trump大統領が署名した有給法案通過後、coronavirus pandemicの経済的影響に対抗する$1 trillion提案を完成させている旨。該提案には、総額$500 billionのアメリカ人への2件の直接支払いがあり、収入および家族構成に基づく支払い量の旨。
◇米、新型コロナで1兆ドルの経済対策、現金給付盛る (日経 電子版 04:33)
→トランプ米政権は17日、新型コロナウイルスによる経済不安を抑えるため、総額1兆ドル(約107兆円)の景気刺激策の検討に入った旨。ムニューシン財務長官は「極めて大きな経済対策となる。米国民に小切手を直接送る施策を検討している」と述べ、現金給付を盛り込む考えを明らかにした旨。航空会社などの支援策と合わせ、17日中に詳細を固めたい考え。
トランプ政権の経済刺激策を好感するNYダウの動きである。
◇NYダウ急反発、1048ドル高、1兆ドルの経済対策を好感 (日経 電子版 06:56)
→17日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が反発し、前日比1048ドル86セント(5.19%)高い2万1237ドル38セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が企業の資金繰り支援でコマーシャルペーパー(CP)購入を発表したほか、トランプ米政権も家計への現金給付プランを公表した旨。総額1兆ドル(107兆円)規模となる経済対策が明らかになり、市場は買いで反応した旨。
我が国の中国からの2月輸入の激減である。
◇中国からの輸入47.1%減、2月、対中輸出は0.4%減 (日経 電子版 10:41)
→財務省が18日発表した貿易統計(速報)。2月の中国からの輸入は6733億円と前年同月比47.1%減。減少幅は1986年8月(47.3%減)以来の大きさ。新型コロナウイルスの感染拡大で中国の経済活動が停滞したのが大きく響いた旨。日本から中国への輸出は同0.4%減の1兆1360億円と小幅減にとどまった旨。世界全体からの輸入額は同14.0%減の5兆2117億円。中国からの輸入が減ったほか、米国からの輸入も同5.9%減の6430億円。
世界全体への輸出は同1.0%減の6兆3215億円。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1兆1098億円の黒字。輸入が大幅減となったため、黒字額は前年同月の3.4倍になった旨。足元ではコロナ感染が米欧にも拡大しており、3月以降の貿易に一段と影響が出てくる可能性がある旨。
◇メイド・イン・チャイナ半減 ハイテクから食品まで (日経 電子版 11:49)
□3月19日(木)
米国での感染急拡大である。
◇米、コロナ感染7000人突破、「国防生産法」で有事対応 (日経 電子版 05:49)
→米国内で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している旨。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、全米の感染者数は米東部時間18日午後3時(日本時間19日午前4時)時点で7323人に上り、わずか2日間でほぼ倍増した旨。感染の拡大阻止へニューヨーク州が事業者に在宅勤務を求めるなど厳戒態勢を敷く動きが相次いでいる旨。
さらに米政権は大統領権限を使ってマスクなど医療品の増産を急ぐ方針。
朝鮮戦争下の1950年に成立した「米国防生産法」に基づき、医療品メーカーに増産対応を呼びかける旨。国防総省も備蓄するマスクを提供するなど、国を挙げて患者の増加に対応する旨。
◇NYダウ1338ドル安、ドル急上昇、投資家「現金」へ殺到 (日経 電子版 07:32)
→金融市場の動揺が収まらない旨。18日にはダウ工業株30種平均が1338ドル安となり、原油価格は一時20ドルへ急落した旨。投資家の不安感が著しく高まり、金融資産を売って現金を確保しようとする動きが活発化。安全資産の米国債や金すら大きく売られ、ドルが急上昇した旨。新型コロナウイルスの大流行は深刻な信用収縮へと発展しつつある旨。
□3月20日(金)
・NYダウ反発、2万ドル回復、大型ハイテク株が牽引 (日経 電子版 05:54)
→19日の米株式相場は反発した旨。ダウ工業株30種平均は前日比188ドル27セント(0.9%)高の2万0087ドル19セントと、2万ドル台を回復した旨。前日に3年1カ月ぶりの安値を付けた後で、値ごろ感からの買いが大型ハイテク株を中心に入った旨。世界の中央銀行が相次ぎ金融緩和に動いたのも支えとなった旨。ただ、新型コロナウイルスによる景気懸念から売りが膨らむ場面もあり、不安定な動きが続いた旨。
□3月21日(土)
◇NYダウ急落、週間でも17%安、リーマン危機以来の波乱 (日経 電子版 05:33)
→20日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が急反落し、前日比913ドル21セント(4.54%)安の1万9173ドル98セントで終えた旨。週間下落率は17%を超え、リーマン・ショック直後の2008年10月以来の下げの大きさを記録した旨。新型コロナウイルス感染のまん延で、世界景気の落ち込みが避けられない旨。投資家は引き続き、株式や原油などリスク資産から資金を引き揚げている旨。
□3月22日(日)
米国の経済対策が2兆ドルに踏み上げられている現時点である。
◇米経済対策2兆ドルに、週明け採決、給与肩代わり盛る (日経 電子版 03:52)
→トランプ米政権は21日、新型コロナウイルス対策として検討する大型景気刺激策が2兆ドル(約220兆円)規模に達すると表明、米経済は4〜6月期に2桁のマイナス成長に転落するとの観測が浮上、連邦政府が中小企業の給与支払いを肩代わりする支援策などを新たに盛り込み、家計や企業の資金ショートを防ぐ旨。野党・民主党と詰めの協議を急ぎ、週明けの採決を目指す旨。
米国半導体の中核、シリコンバレー、そしてこれも半導体拠点があるニューヨーク州での感染拡大を受けて日々度を高めて波及する動きである。
□3月16日(月)
◇Coronavirus roundup: New cases, new closures, and new orders to shelter in place (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→7つのBay Area countiesがすべての不要不急の活動の中止を命令、一方、公共の場は閉鎖、そしてAlphabetがCOVID-19 testing aidを展開の旨。
◇7 Bay Area counties order residents to shelter in place (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→緊急事態対応対応指令が火曜17日12:01 a.m.に始まり、San Francisco, Santa Clara, San Mateo, Marin, Contra CostaおよびAlameda counties、6.7 millionを上回る人口合計が含まれる旨。少なくとも4月7日までそのままの旨。
□3月17日(火)
◇Coronavirus update: Silicon Valley cases surge as residents 'shelter in place' | White House proposes massive stimulus package (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Santa ClaraおよびSan MateoにおけるCOVID-19コロナウィルス感染確認数が、火曜17日に219に急増、一昨日は39。Bay Areaの大方の居住者は、ウィルスの拡がりを抑えようと"緊急事態"対応に置かれている旨。
Santa Cruz Countyの現在確認は13。
□3月18日(水)
◇Coronavirus update: Santa Clara County death toll climbs | 'Kind of apocalyptic' life in lockdown | Is cannabis 'essential'? (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→700万のBay Areaの住民が水曜18日朝、Californiaで800人を上回る人々が感染、15人が死亡したCOVID-19コロナウィルスの拡がりを抑えるよう目論まれた緊急事態対応指令の2日目に入った旨。「apocalyptic(世界の終末)のよう」と、誰もいないfreeways、人気のない歩道、そして閉じたレストラン&お店を1人の人がABC Newsにあらわしたこと。
□3月20日(金)
◇Gov. Gavin Newsom of California orders Californians to stay at home (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→アメリカで最も人口の多い州が住民に在宅を命令の旨。California州のGavin Newsom知事が、40 millionのCaliforniansに対し、同州がエスカレートする新型コロナウイルス大流行に直面、向こう数週間できるだけ自宅で過ごすよう求めた旨。
◇米カリフォルニア州全土に外出禁止命令、知事が発令 (日経 電子版 11:09)
→米カリフォルニア州のニューサム知事は19日(日本時間20日)、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、同州全土を対象に原則として外出を禁止する命令を出した旨。19日夕から食品の買い物や通院など必要不可欠な場合を除いて屋内での退避を義務付ける旨。同州は人口4千万人と全米で最も多く、米経済に与える影響は大きくなりそうな旨。
□3月21日(土)
◇NY州知事、企業に在宅勤務命令、銀行など除外 (日経 電子版 05:47)
→ニューヨーク州のクオモ知事は20日に記者会見を開き、ニューヨーク州にある事業者の全従業員に対し、在宅勤務をするよう要請、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐのが狙い。医療機関や食料品店、銀行など生活に欠かせない業種は対象外とする旨。
半導体および関連業界においても、中国から欧米にインパクト対応が移行する様相があらわれており、以下日々の動きの中からの抽出である。
□3月11日(水)
◇Microsoft, Google, and Zoom are trying to keep up with demand for their now free work-from-home software-As companies and schools move to online work, workplace software is put to the test. (Vox)
→Zoom, Microsoft, およびGoogleなどworkplaceソフトウェア会社が、自分たちのwork-from-homeソフトウェアを無料で提示、一生懸命にユーザからの増大する需要を確実に取り込もうとしている旨。
□3月13日(金)
Intelにて、行える業務範囲での在宅勤務が求められている。
◇Intel says operations still ‘relatively normal,’ now recommends employees work from home-Intel urges employees to work from home, if possible (The Oregonian (Portland))
→Intelが、業務が遠隔で遂行できれば、新型コロナウイルス大流行の間在宅勤務を従業員に推奨の旨。ウェーハfab拠点、組立&テスト工場、およびいくつかのリサーチlaboratoriesで働く同社従業員は、現地持ち場で引き続き働く必要がある旨。
iPhones製造へのインパクトである。
◇Tim Cook's trick for making iPhones is now at risk from the pandemic-The perils of just-in-time manufacturing (The Verge)
→TrendForce予測、今四半期のスマートフォン生産は前年同期比12%減。スマートフォンは、たくさんの人的労働および他で製造されるたくさんのpartsを必要とするので、脆弱性がある旨。3月5日にTrendForceは、該大流行がスマートフォン生産に1-3ヶ月間影響を与え続けるとするnoteを発表の旨。Appleの5G iPhoneおよびiPhone SE2の投入は遅れる可能性、とBank of Americaが予想の旨。
□3月15日(日)
◇Google says it is developing a nationwide coronavirus website (Reuters)
→AlphabetのGoogleが土曜14日、米国政府と協働、コロナウィルスの症状、リスク要因およびテストについての質問でアメリカ人を助けるnationwide websiteを開発の旨。
□3月16日(月)
◇Big Data and Artificial Intelligent Can Save the Earth From Covid-19 (EE Times)
→COVID-19は、severe acute respiratory syndrome(SARS)および普通の風邪に関連するウィルスファミリーからきている旨。ビッグデータおよび予測解析が、artificial intelligence(AI)およびいろいろな温度センサと組み合わせて、この世界的大流行の拡がりを食い止め、生じる死者を最小にする強力なtoolsとなる旨。
◇Covid-19: We're All in This Petri Dish Together (EE Times)
→欧州で1ヶ月、米国に戻ると、友人が「向こう14日自主隔離するということ?」と問われてムッとした旨。
◇Nvidia Postpones GTC Product Announcements Due To Coronavirus-Nvidia won't announce products at GTC event due to outbreak (CRN (US))
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏。同社は、コロナウィルス世界的大流行から同社ディジタルGPU Technology Conference(GTC)での製品発表の共有を延期する旨。
台湾・TSMCでの予防措置である。
◇TSMC tightens precautionary measures against coronavirus-TSMC takes more precautions during coronavirus outbreak (DIGITIMES)
→TSMCが、コロナウィルスpandemicに対する予防措置を高めている旨。欧州諸国に旅行している同社へのサプライヤは、TSMC拠点に入る前に2週間自己隔離しなければならない一方、サプライヤおよび訪問者は入場予約を行い、health declaration formsを記入&持参の必要がある旨。
◇Pure Storage sees strong demand in Taiwan due to outbreak-Virus outbreak drives demand for Pure Storage products (DIGITIMES)
→all-flashデータストレージハードウェア/ソフトウェアベンダー、Pure Storage(米国)が、新型コロナウイルス大流行に伴って台湾市場で製造業界および病院からの緊急で力強い需要が見えている、とcountry manager、Kyle Wu氏。該大流行のほかに、Pure StorageのChang Gung Memorial Hospital(長庚医院)との協力で示されるようなデータストレージの利点が他の現地病院による採用を呼び込んでいる、と同氏。
□3月17日(火)
◇Google, Facebook, Twitter join other tech giants in bid to curb fake COVID-19 posts (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Facebook, Twitter, Google, YouTube, LinkedIn, RedditおよびMicrosoftが出した稀な共同ステートメントは、COVID-19大流行に反応して拡がっている不正な情報と戦うよう参加を呼び掛けている旨。
◇Amazon to hire 100,000 more workers to address demand amid coronavirus pandemic (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Amazonのsiteでいくつかの供給が底を尽き、delivery timesが遅れていることからくる動きの旨。
◇White House urges researchers to use AI to analyze 29,000 coronavirus papers (Reuters)
→White HouseのOffice of Science and Technology Policy(科学技術政策局)が月曜16日、artificial intelligence(AI)技術を用いてコロナウィルスについての重要な質問に答えるよう約29,000の学術記事を分析するよう研究者たちに要求の旨。
米国市場での半導体株の急落である。
◇半導体株、米市場で過去最大の下げ、新型コロナの需要ショックを懸念 (ブルームバーグ 09:06)
→16日の米株式市場で半導体株は急落。サンフォード・C・バーンスタイン(SANFORD C. BERNSTEIN)のアナリストの言葉を借りるなら、ウォール街は新型コロナウイルスに伴う需要ショックが「深刻になる可能性が高まっている」状況を引き続き懸念している。フィラデルフィア半導体株指数(SOX:The Philadelphia Semiconductor Index)は前週末比16%安で終了し、過去最大の下落率となった。
□3月18日(水)
TSMCでも従業員の感染が発生している。
◇Chipmaker TSMC confirms Taiwan employee tests positive for coronavirus (Reuters)
→TSMCの台湾オフィスの1人の従業員がコロナウィルス感染で陽性テスト反応、TSMCは今や、台湾のすべての従業員に該ウィルスの拡がりを防ぐようマスク着用を求めている旨。
◇COVID-19 To Have Significant Effect on Worldwide Semiconductor Market in 2020, According to IDC-IDC report analyzes range of critical factors that will affect the semiconductor market this year and presents most likely scenario to help clients navigate this emergency (IDC)
◇Samsung flags chip recovery, shrinking phone market amid coronavirus outbreak-Samsung sees memory chip recovery, worries on phone sales (Reuters)
→Samsung Electronics Co Ltdが水曜18日、コロナウィルスの世界的大流行で今年スマートフォンおよびconsumer electronicsの売上げが損なわれる一方、データセンターからの需要がメモリ半導体市場の回復を焚きつける旨。
◇“Black Swan” Event Triggers Revision to 2020 IC Market Forecast (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→“Black Swan”は、予想されず知ることのできないeventをあらわすfinanceの世界でよく用いられるフレーズ。coronavirus(Covid-19)の拡がりの最近の急増およびグローバル経済そしてIC市場に対して予想されるそのマイナスインパクトは、Black Swanイベントの定義に確かにあてはまる旨。
台湾・Hon Haiの武漢の工場再開が許可されている。
◇Hon Hai obtains greenlight to reopen factories in Wuhan (Focus Taiwan News)
→世界最大のcontract electronicsメーカー、台湾・Hon Hai Precision Industry Co.が、COVID-19感染が緩和の兆しということで、武漢市当局から現地工場再開の許可を得た旨。
□3月19日(木)
◇Qualcomm Poised For Post-Virus Rebound (EE Times)
→今年後半でのコンポーネント需要回復の期待が褪せてきているが、Qualcommは例外の位置づけの旨。Canaccord Genuityによると、Appleが再参入、スマートフォンのグローバル需要が改善して、Qualcommは長期5G投資サイクルから利益を被る旨。
◇Pandemic Renews Calls to Revive U.S. Manufacturing (EE Times)
→グローバルsupply chainsを壊滅させているpandemicが、startups向けcapitalへのアクセス拡大を通して米国製造capacityを蘇らせる骨の折れるコストのかかるプロセスを始める努力を再生している旨。
◇Chip industry disruption expected as a result of COVID-19, but Intel expects timely deliveries-Intel maintains +90% in timely deliveries of chips (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→IDCが、COVID-19から大きな半導体業界の混乱を予想、同時にIntelのCEOが、同社は比較的正常に依然動いていると、顧客に対し不安をなくしている旨。
今年の半導体売上げに対するインパクトの見方である。
◇COVID-19 To Have Significant Effect on Worldwide Semiconductor Market in 2020, According to IDC (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→International Data Corporation(IDC)の最新レポート、"Impact of COVID-19 on the Worldwide Semiconductor Market Forecast"。以前に予想されたminor全体伸長、2%ではなく、2020年の世界半導体売上げが大きく減少する可能性が約80%ある旨。
◇Nvidia makes its GPU-powered genome sequencing tool available free to those studying COVID-19-Nvidia offers Parabricks tool for R&D on the coronavirus (TechCrunch)
→新型コロナウイルス感染およびCOVID-19の病気の拡がりを止めるよう取り組んでいる研究者は、NvidiaのParabricks GPU-accelerated genome解析toolkitを90日間無料で利用できる旨。同社はまた、該研究者にcloud-ベースGPUサービスプロバイダーについての情報を供給している旨。
◇TSMC says one employee infected with coronavirus (DIGITIMES)
→TSMCは、新型コロナウイルス感染が確認された従業員とすでに接触した約30人に14日間自宅で自主隔離するよう求めた旨。
封鎖下の武漢市の中国半導体工場が、以下の記事2件の通り稼働していたとのこと。
◇YMTC Plant in Wuhan Stayed Open During Lockdown:-COVID-19 Outbreak Could Not Dampen China's Semiconductor Ambitions-Wuhan wafer fab kept operating during COVID-19 outbreak (BusinessKorea magazine online)
→新型コロナウイルス大流行をもってしても、中国の半導体の大きな志を湿らすことはできなかった旨。当初数人のアナリストが、COVID-19に伴う湖北省武漢の閉鎖はYangtze Memory Technology Co.(YMTC)の拠点でもあり、半導体業界を育成する中国政府の計画に混乱を生じる、としていた旨。Nikkeiによると、工場稼働継続に向けて該閉鎖開始以降1カ月以上約300人のエンジニアが汗を流した旨。これらエンジニアを支援するようボランティア従業員を運ぶのに、特別列車が武漢に止まった旨。
◇新型コロナ報告―封鎖の武漢、半導体は生産、中国、脱・米依存を優先 (日経)
→新型コロナウイルスの発生源となった中国湖北省武漢市で、中国政府が封鎖措置の例外としている施設がある。国策半導体メーカーである紫光集団傘下の長江存儲科技(YMTC)の工場だ。市外から技術者が送り込まれ、製品の生産を続ける。海外への技術依存から脱して最先端半導体を国産化しようとする国家戦略が優先されている。
中国政府は1月23日から武漢を封鎖したが、YMTCの工場に向かう専門家を乗せた特別列車の運行は途絶えていない。
もともと工場には技術者300人が春節休暇の留守番役として残っていた。
業界筋によると、技術者はYMTCの施設を離れることを禁じられ、1日10〜12時間労働により工場の稼働を支えてきた。湖北省では学校や商店が閉鎖され、鉄道も停止したが、政府は工場への材料の搬入や労働者の投入、製品の省外への出荷に特別許可を与えた。・・・・・
◇TSMC株下落、新型コロナ感染「生産影響なし」 (日経 電子版 16:16)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は18日夜、従業員1人が新型コロナウイルスに感染したと発表、台湾の主要企業で従業員の感染が明らかになるのは初めて。同社は生産への影響は「ない」としているが、19日の株価は一時前日比約8%下げ、約10カ月ぶりの安値をつけた旨。
□3月20日(金)
中国広東省の深センでの再開状況である。
◇Shenzhen's Trading Hub Gets Back to Work (EE Times)
→Covid-19 epidemicが漸次支配下に置かれてきている2月24日、深センがある広東省の各社が仕事を再開した旨。coronavirus outbreakの間は人がいなくなった重要electronicコンポーネントtrading hub、Huaquiangbei(華強北[ファーチャンペイ])然りである旨。
北米半導体装置メーカーの2月billingsは、堅調な見え方である。
◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts February 2020 Billings (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIのFebruary Equipment Market Data Subscription(EMDS) Billings Report発。北米半導体装置メーカーの2020年2月の世界billingsが$2.37 billion(3ヶ月平均ベース)、前月、2020年1月の最終レベル、$2.34 billionを1.2%上回り、前年同月、2019年2月の$1.88 billionを26.2%上回る旨。「北米装置サプライヤの2月billingsが、2019年12月からの力強いuptrendを延ばしている。」と、SEMIのpresident and CEO、Ajit Manocha氏。「COVID-19のグローバルな拡がりから引き続く業界の混乱にも拘らず、本年の月次billingsが2019年レベルを依然上回っている。」
ここ半年の推移、以下参照(金額:USM$):
Billings | Year-Over-Year | |
(3ヶ月平均) | ||
September 2019 | $1,959.1 | -5.7% |
October 2019 | $2,080.8 | 2.5% |
November 2019 | $2,121.0 | 9.1% |
December 2019 | $2,491.7 | 17.8% |
January 2020 (final) | $2,340.2 | 22.7% |
February 2020 (prelim) | $2,368.4 | 26.2% |
[Source: SEMI (www.semi.org), March 2020]
マレーシアのシリコンウェーハ工場でも、フル稼働に戻している。
◇GlobalWafers says production in Malaysia returns to normal-GlobalWafers: Wafer production in Malaysia is back on track (DIGITIMES)
→GlobalWafersのマレーシアの6-インチシリコンウェーハ工場が、通常生産に復帰、現在フル稼働の旨。該工場での生産は、同国でのコロナウィルス厳重封鎖によりしばらく混乱した旨。
◇SK hynix to cut chip making costs to respond to uncertainty-CEO: SK Hynix will reduce chip-making costs this year (The Korea Times (Seoul))
→SK HynixのCEO、Lee Seok-hee氏が株主に対し、同社は、coronavirus pandemicおよびその製品販売に対する影響に照らして、今年半導体生産コストの削減に取り組む旨。「2020年という年は、在庫負担を減らす期待であり、サーバおよびモバイル機器が中心の需要回復が見えるが、市場がコロナウィルスの拡がりで影響を受けて不安定性が大きく見えてきている。」と同氏。
≪市場実態PickUp≫
【Intelのneuromorphic半導体】
Intelのneuromorphic(神経派生型)半導体、Loihiは、嗅覚を通して危険な化学物質の検出が行なえるとのこと。“electronic nose”システムと称されている。
◇Intel's Neuromorphic Nose Learns Scents in Just One Sniff-Loihi chip programmed to mimic neural structure of mammalian scent organ (3月16日付け IEEE Spectrum)
◇Brain-Inspired Chip Enables Efficient ‘Electronic Nose’ (3月17日付け EE Times)
→IntelおよびCornell Universityの研究。最高水準のdeep learningシステムと同様に、しかしtrainingはほとんど必要なく、10の異なる化学物質を検出できる“electronic nose”システムを開発の旨。該実験は、electronic noseシステムがneuromorphic(神経派生型) computingのeasy/quick training(‘self-learning’)および低電力動作を利用できることを示し、neuromorphic技術の1つの可能な用途に向けたある興味深い洞察が行なえる旨。
◇Intel: Our Loihi chips learned to smell hazardous chemicals-Intel's Loihi chips can smell hazardous chemicals-The chips are "neuromorphic" and mimic the components of brain cells. (3月17日付け CNET)
→IntelのLoihi neuromorphic半導体は、嗅覚を通して有害な化学物質、人間の病気からのにおいおよび爆発物を検出するよう訓練できる旨。
◇Intel announces computing system with neural capacity of a mole rat brain (3月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel(Santa Clara)の最新neuromorphicシステム, Pohoiki Springsは、メクラネズミの脳と同様のneural capacityがある旨。100 million neurons搭載のcomputingシステムを開発、768個のLoihi neuromorphic半導体を搭載の旨。
同社のサーバ向け半導体への取り組みがあらわされている。
◇Intel Prunes Xeon Cooper Lake Plans To Focus On Ice Lake CPUs (3月17日付け CRN (US))
→Intelが、one-socketおよびtwo-socketサーバ向けに新しいXeon "Cooper Lake"プロセッサはつくらず、fourあるいはeight sockets搭載サーバ向け半導体への重点化に進んでいく旨。
【Appleの新「iPad Pro」】
Appleが、第4世代タブレット端末「iPad Pro」を発表、注文を受け始めているとのこと。特に、初めて搭載の「LiDAR(Light Detection and Ranging) scanner」による3次元の距離測定機能に注目している。
◇Apple unveils new iPad Pros, upgraded MacBook Air and Mac mini-Apple intros new iPad Pros with A12Z Bionic chip (3月19日付け DIGITIMES)
→Appleが、depth sensingおよび超ワイドカメラに向けて8-core A12Z Bionic半導体, スタジオ-品質マイクロフォン, LiDAR(Light Detection and Ranging) scanner搭載のiPad Prosをお披露目の旨。同社はまた、新しいfeatures搭載のMacBook Air laptopおよびより多くのデータストレージが得られるようMac mini configurationsを格上げの旨。
◇Apple、第4世代「iPad Pro」発表、3次元測定可能に (3月19日付け 日経 電子版 02:49)
→米アップルは18日、タブレット端末「iPad Pro」の第4世代となる最新モデルを発表、最大5メートル先の対象物を認識できる3次元の距離測定機能を初めて搭載し、背面のカメラと組み合わせることでAR(拡張現実)を使ったアプリやサービスをより高度にできる旨。米国など30カ国・地域で同日からオンラインで注文を受け始めた旨。
アップルのモバイル端末に初めて搭載した「LiDAR(ライダー)スキャナ」と呼ぶ3次元の距離測定機能を使えば、カメラで撮影中の人の身長などを正確に測定できるようになる旨。例えば理学療法士と患者ら向けに、肩の関節の可動範囲など身体機能の改善を追跡するARアプリの開発が進んでいる旨。
【SamsungのeUFS 3.1半導体】
Samsungが、この1月に発表された最新のJEDEC UFS(Universal Flash Storage) Version 3.1インタフェース準拠の組込み式フラッシュメモリへの取り組みをあらわしている。Kioxiaも2月終わりに同様の発表を行っている。
◇Samsung producing UFS 3.1 storage, expected in flagships later this year (3月17日付け Android Authority)
→UFS 3.0ストレージ標準は、Galaxy S20 series, OnePlusの2019年機器, およびXiaomi Mi 10 familyなど多くのhigh-endスマートフォンで見られている旨。Samsungはその先に備えており、こんどは512GB eUFS 3.1ストレージの生産を発表の旨。実際Samsungは、該新標準によりUFS 3.0の3倍の書き込み速度が得られ、1GBpsの障壁を突破、としている旨。
◇Samsung Elec on schedule in activating 5-Gen flash memory fab in Xian, China-Samsung's China fab starts production of Gen5 NAND flash (3月17日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Xian(西安), ChinaにあるSamsung Electronicsウェーハfab拠点が今月、コロナウィルス大流行にも拘らず、第5世代NANDフラッシュメモリデバイスの量産を開始の旨。Universal Flash Storage(UFS) 3.0標準をより早く採用、Samsungは512 gigabytesのデータ蓄積が行なえるeUFS 3.1半導体に進んでいる旨。
【TSMC関連】
米中の狭間のTSMCの様相が見られているが、米国での最先端半導体工場の話が浮上している。
◇TSMC、米に新工場、最先端半導体の生産検討 (3月17日付け 日経)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が米国に最先端工場を建設する検討に入ったことがわかった旨。高度な製造技術を握る同社に対し、米国政府は自国製品のセキュリティーを確保するため、米国内での生産を拡大するよう圧力を強めていた旨。ハイテク分野を巡る米中の覇権争いにも影響しそうな旨。事情を知るサプライヤ関係者2人が明らかにした旨。
先端半導体製造装置のオランダ・ASMLの好調な業績は、TSMCが支えとの見方である。
◇蘭ASML好業績で浮き彫り、台湾半導体の底力 (3月18日付け 日経 電子版 02:00)
→半導体回路の露光装置で世界最大手であるオランダのASMLの業績が好調。
2019年は半導体市況が悪化したにもかかわらず、増収増益を記録した旨。
ファウンドリー(半導体受託生産)で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が世界の半導体供給網で替えの利かない地位を固めたことと深く関係している旨。2019年12月期決算は連結売上高が118億ユーロ(約1兆4千億円)と前の期比で8%増え、当期純利益も26億ユーロとわずかながら増えた旨。
2019年は世界の半導体需要が前年比で1割以上減り、競合が軒並み減収減益となるなか、好業績が際立つ旨。
TSMCと地元台湾の大学との半導体用材料研究の取り組みである。
◇TSMC, university researchers achieve breakthrough in boron nitride synthesis-Taiwan team synthesizes a boron nitride insulator for chips (3月19日付け DIGITIMES)
→TSMCとNational Chiao Tung University(台湾・国立交通大学)の研究者が、2D半導体生産用に厚さ1原子のboron nitride絶縁層の合成に一緒に取り組みの旨。
【ソニーの「PS5」】
ソニーが、年末商戦に向けたゲーム機、「プレイステーション(PS)5」の仕様を公開している。AMDのCPUおよびGPU搭載、データの瞬時読み込み、立体音響システム搭載などである。
◇PS5's official specs reveal 825GB SSD, GPU details-Sony details PlayStation 5 console with a 825GB SSD-Sony's new console can output 10.28 teraflops. (3月18日付け CNET)
→Sonyが、来るPlayStation 5ゲーム機の仕様をプレゼン、Advanced Micro Devices(AMD) CPUおよびAMD graphics processing unit(GPU)ベースの旨。2020 year-end holidaysに向けて売り出される該PS5 consoleには、852 gigabytesのデータを蓄えられるsolid-state drive(SSD)が入っている旨。
◇ソニーが「PS5」の仕様公開、「PS4」と互換性 (3月19日付け 日経 電子版 06:08)
→ソニーのゲーム子会社は18日、年末商戦向けに発売を予定する家庭用テレビゲーム機「プレイステーション(PS)5」の技術仕様を公開、現行の「PS4」のシステムの構造を踏襲しながら、新機能を追加。データを瞬時に読み込めるようにしたり、立体音響システムを搭載したりした旨。米マイクロソフトも同日「Xbox」の新型機について説明した旨。
【SMICのN+1プロセス】
中国・Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)の14-nmプロセスの新バージョン、N+1が、次の通り論議含みであらわされている。改善の度合いの評価に引き続き注目するところである。
◇SMIC Graduating from 14nm to Something Sort of Akin to 7nm-SMIC improves its 14nm process tech (3月16日付け EE Times)
→1.SMICが7-nanometer生産プロセスを準備しているという報道は正確でない旨。その間違いは理解できるが、SMICが同社最新プロセス技術、N+1とライバルたちの7-nmプロセスの間で行っている好意的な比較に基づいている旨。
2.Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)のN+1プロセスは、同社14-nanometerプロセス技術に向けて20%の性能改善が得られる旨。N+1は、電力消費を57%削減、ロジック面積を63%減らし、そしてsystem-on-a-chip(SoC)デバイス全体面積を55%減らす、としている旨。
≪グローバル雑学王−611≫
ゲルマン神話の一種で、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランドおよびフェロー諸島に伝わっていたものの総称で、スカンディナビア神話とも呼ばれている北欧神話について、
『世界の神話』
(沖田 瑞穂 著:岩波ジュニア新書 902) …2019年8月22日第1刷発行
より味わってみる。キリスト教流入以前のヨーロッパ世界を鮮やかに語り伝える北欧神話であるが、戦いの神にして知識の神オーディン、神々の世界に諍いをもたらすトリックスター・ロキなど、バラエティに富んだ神々や巨人、小人たちが登場、神々と巨人たちとの最終戦争、「ラグナロク(Ragnarok)」という壮絶な幕切れでも知られ、その特異な世界観は人々を魅了するとのこと。以下読み進めて、ある程度、勝手ながらの納得である。
6 北欧の神話
・北欧のゲルマン人の神話の特徴
→「神々と世界の終末」がはっきりと語られている
・北欧の神話の「原典」と呼べるものとして、代表的な2つ
→ 悒┘奪澄戮△襪い蓮惴泥┘奪澄戞10世紀末に編纂
→◆悒好離蠅離┘奪澄戞13世紀にアイスランドでスノリ・ストルルソン(Snorri Sturluson)という人によって記された
・もとになる神話はもっと古いものであったと考えられるが、新しい要素もあって、キリスト教からの影響が大きい部分も
⇒「ユミル」
…世界の始まりの神話
*原初のとき、巨人のユミルがいた
*アウズフムラという牝牛が、彼を養い、塩辛い石をなめていた
*この石から出てきた男はブーリと呼ばれ、美しく巨大で力持ちだった
*ブーリの息子、ボルの息子たちは、巨人ユミルを殺して世界を創った
―「世界巨人型」と呼ばれるタイプの創世神話
―「ユミル」という名は「双子」という意味
→インド神話の最初の人間で最初の死者、「ヤマ」と同じ語源
→ヤマは、日本で閻魔(えんま)と呼ばれている神さま
◎「世界樹ユグドラシル」
・北欧神話の世界観の中心には、1本の巨木…世界樹ユグドラシル
→トネリコの樹で、全世界の上に広がり天の上にまで伸びている
→樹を支えるのは3本の根、別々の場所にかけ離れている
→根の下には、フウェルゲルミルという泉
→いろいろな災いに苦しめられているユグドラシルの巨木
→泉のほとりにすむ女神たちが、毎日泉の水と泥で枝の補修をしている
・世界を支える、あるいは世界そのものであるこの巨大な樹は、常に危機的な状況にある
・このように形作られた世界は、やがて終わりのときを迎える
→神々と巨人族の最終戦争「ラグナロク」
⇒「バルドルの死」
…バルドルは最高神オージンと妃フリッグの息子
⇒容姿端麗で輝かしく、神々の中でも最もかしこく雄弁、慈しみ深い神
*バルドルはある日、自分の命の危機に関する夢を見た
*神々の一族、アース神族の面々に告げると、バルドルのためにありとあらゆる危険からの安全保障を求めた
*母神のフリッグが、バルドルに害をなさないことの誓いを取った
*いたずら者の神、ロキは、しばしば神々に敵意を抱くことがあった
*ロキは女に化けてフリッグの所に行き、尋ねて、誓いを要求するには若すぎるというヤドリギをつかんで引き抜き、集会所へ行った
*盲目のホズという神が、神々の輪の外に立っていた
*そそのかされてホズはヤドリギを受け取り、バルドルに投げた
*バルドルを貫き通し、彼は息絶えて大地に倒れた
*最大の悲劇が神々と人間に起こった
*バルドルは船に乗せられて火葬され、悲しみのあまり死んだバルドルの妻のナンナも、薪の上に運ばれて燃やされた
(→インドの風習・サティーを想起させる)
*アースたちの中の勇士ヘルモーズが冥界の女王でロキの娘のヘルのもとへ行き、バルドルを返してもらえないかどうか、頼んだ
*ヘルは条件をつけた:「もしも世界中のもの、生きているものも死んでいるものも、彼のために涙を流したなら、返してやろう」
*しかし、洞窟にいる女巨人だけは泣かなかった
→ロキが化けていたものと、人々は考えている
―若き麗しの神バルドルの死の意味
→1つとして、「死んでよみがえる」豊穣の神であるかも
→最終戦争・ラグナロクの後によみがえって、世界の支配者となるから
⇒「ロキの縛め」
*バルドル殺害の後、ロキはついに見つかりとらえられ、岩にしばりつけられた
*蛇の毒が彼の上にしたたり落ちるようにしっかりと留めた
*ロキはそこに縛められたまま、ラグナロクまで横たわっている
―「しばられた巨人」というモチーフ
→最も典型的にはキリスト教に表われている
―このモチーフの前段階にある「しばられた怪物」
→次の以下の話
⇒「フェンリルの縛め」
*フェンリル狼はロキの子
*神々の中で、テュールだけが狼に近寄って餌を与える勇気を持っていた
*狼の成長を見て恐ろしくなった神々は、足かせを造らせた
*狼は、誰か神々の一人が自分の口に手を入れることを求めた
*ひもの足かせが狼につけられ、きつくなるばかり
*神々は皆笑った、ただ、右腕をなくしたテュールを除いては
―終末のときまで恐ろしい怪物が縛められているとされる「縛められた怪物」モチーフ
◎「ラグナロク」
・ロキとフェンリルがくさりで縛められていることになっているラグナロク(Ragnarok)
→古代ノルド語で「神々の運命・死」という意味
→「世の終わり」を指す言葉
⇒「世界の混乱」
…『エッダ』の「巫女の予言」から
*東のほうの森に老婆がいて、フェンリル狼の一族を産み育てたという
*不吉な前兆として、世界のあちらこちらで雄鶏が鳴く
*ガルムという名の犬がほえて、かせがちぎれ、そして狼が逃げ出す
*このような前兆の後に、戦争が始まる
*古い太陽が光を失い、そのとき「大いなる冬(フィンブルヴェトル
=古ノルド語: Fimbulvetr、英語: Fimbulwinter)」が来る
⇒「諸神の運命」
…世界が終わりのときを迎える様子を、『スノリのエッダ』から
*狼が太陽をのみこみ、別の狼が月をのみこむ
*天からムスペッル(原初の炎の地)の息子たちが駆けてくる
*フェンリル狼とミズガルズ蛇、ロキと巨人のフリュムもやって来る
*神々の見張り番であるヘイムダッルは立ち上がって力の限りギョッルの角笛を吹き、神々を目覚めさせる
*フェンリル狼がオージンをのみこみ、これがかの最高神の死となる
*生き残ったスルトが地上に火を投げて全世界を焼き、大地は海に沈む
⇒「世界の新生」
…古い世代の神々はほろんでいくが、神話はこれで終わってしまうのではない
*スルトの炎が世界を燃やしたあと、海から緑したたる大地が現れる
*アース神族たちが生き返ってきて、かつて神々が遊んだ黄金製の盤上遊戯の駒を見つける
*悲劇の死を遂げたバルドルとその殺害者ホズ、そして彼らの息子たちが新たな世界の支配者となる
*人間たちの中で、一組の男女が森に身を潜めてスルトの炎から生き残っていた
*彼らから再び人間たちが生まれる
―海から大地が現れる、というモチーフ
→インドの神話によく似ている
→ヴィシュヌ神が猪に化身して水没した大地をその牙ですくい上げた
―盤上遊戯(チェスゲームのようなもの)と、黄金とが、アース神族の歴史の始まりと、ラグナロクの後に新生した世界の始まりとに共通して現れている
―ラグナロクが、破壊と再生を繰り返す円環的な世界観のもとに語られていることを示唆しているよう
〇このラグナロクの終末の様子は、インド神話と比較できるところが
→『マハーバーラタ』の「カリ・ユガ」(暗黒時代)の終末の様子
・主として次の要素から成り立っているカリ・ユガの終末
→1.人間世界の堕落と混乱
2.干ばつと火による世界炎上
3.雲の発生と大洪水
・すべて、この順番で、ラグナロクの描写にも表われている
→世界の混乱についての不気味な描写から始まり、スルトの火が世界を燃やし、最後に大地が海に沈む
〇北欧の神話は、インド=ヨーロッパ語族の共通神話にさかのぼるような古い要素と、キリスト教との接触ののちに加えられた新しい要素が混在
→包括するのは、世界は常に危機に瀕している、そしてやがて終末のときを迎えるのだという、きわめて緊迫した世界観