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「COVID-19」インパクト:世界的激震の渦中の半導体業界関連

米国株式市場が初めてのこと、5日連続で1000ドルを超えるという、株価が乱高下した激動の1週間である。やっとのことでという批判も見られているが、新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と世界保健機関(WHO)が水曜11日に表明、世界各国・地域の対策の取り組みに一層の拍車がかかる中、日進月歩の半導体業界ではsupply chainの寸断&停滞はじめさまざまな制約が覆う中での精一杯の活動が見られている。
徐々にあらわれ来る2月の実績データなどを追って、激震の渦中の半導体業界関連の実態をできるだけ把握、光明の材料、兆しを求めていくことになる。鎮静化がみられるという中国の戻し加減が、当面の注目になっていく。

≪インパクト概況&半導体関連≫

「COVID-19」インパクトを受け激震が続く世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。

□3月8日(日)

◇新型コロナ、ニューヨーク州で非常事態宣言 (日経 電子版 08:42)
→米ニューヨーク州のクオモ知事は7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてニューヨーク市を含む州全域に非常事態宣言を出した旨。同州の新型コロナ感染者は7日午後6時(米東部時間)時点で前日より45人増え、89人となった旨。非常事態宣言により衛生用品や人員を確保しやすくする旨。

□3月9日(月)

◇US stocks plunge as oil crash shakes financial markets (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米国株価が月曜9日7%を越える急落、2008年12月以降最悪、そして米国財務省証券利回りが新たな最低に落ち込み、原油価格の急落がすでにコロナウィルスのインパクトでよろめいている証券市場を揺さぶっている旨。

◇GDP、コロナ前から停滞、10〜12月年7.1%減に修正 (日経 電子版 10:10)
→内閣府が9日発表した2019年10〜12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算で7.1%減だった旨。速報値(前期比1.6%減、年率6.3%減)から下方修正され、前回の消費税率引き上げ直後にあたる2014年4〜6月期(年率で7.4%減)以来の下げ幅となった旨。

□3月10日(火)

◇NYダウ急落、2000ドル超安、下げ幅は過去最大 (日経 電子版 07:24)
→9日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が急落し、前週末比2013ドル安の2万3851ドル(速報値)で終えた旨。下げ幅は過去最大になった旨。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で景気や企業業績の減速懸念が一段と高まるなか、原油価格の急落が売りに拍車をかけた旨。S&P500種株価指数は取引時間中に下落率が7%を超え、売買を一時中断する措置(サーキットブレーカー)が発動された旨。投資家はリスク回避姿勢を強めている旨。

◇中国企業、生産回復なお途上、車の稼働率は3割どまり (日経 電子版 18:00)
→新型コロナウイルスの震源地の中国で、上海市や広東省など主要地域の企業の操業が再開し10日で1カ月たった旨。主力産業の復旧を急ぎたい中国政府の意向もあり、多くの業種で再開率は8割前後に達した旨。ただ人手不足が深刻でフル操業には至っていない旨。重点産業の自動車でも稼働率は3割程度とされ、本格復旧には時間がかかっている旨。

□3月11日(水)

◇NYダウ4日ぶり反発、1000ドル高、減税期待で (日経 電子版 05:32)
→10日の米株式相場は大きく反発し、ダウ工業株30種平均は前日比1167ドル14セント高い2万5018ドル16セントで取引を終えた旨。新型コロナウイルスの感染拡大を警戒しつつも、米政府による減税による景気刺激策への期待が高まり、投資家心理が好転した旨。
市場は減税への期待と新型コロナに関する不安が交錯し、ダウ平均は不安定な動きが続いた旨。

◇Trump limits travel from Europe for 30 days, excluding U.K.-Trump orders 30-day suspension of travel from Europe (BNN Bloomberg (Canada))
→Donald Trump大統領が、欧州から米国への旅行を30日間制限、コロナウィルス拡大防止を狙った該制限は、米国市民および法的永住者、ならびにその肉親者には適用されず、そして英国からの旅行は除外する旨。

□3月12日(木)

◇WSJ Survey: Coronavirus to Trigger U.S. Economic Contraction in Second Quarter-Economists expect US economy to contract in Q2-Economists polled by The Wall Street Journal see ‘significant drag’ on 2020 U.S. growth, greater chance for recession (The Wall Street Journal)
→Wall Street Journal調べ。ビジネスおよびacademic economistsが米国経済に向けた予測を激しく格下げしており、第二四半期において前回の1.9%のGDP成長から平均して0.1%の収縮を見通している旨。該第二四半期落ち込みの予測は、景気後退に入る該経済見込みを高めている旨。

◇NYダウ大幅反落、1カ月で2割下落、「弱気相場」に (日経 電子版 05:22)
→米株式相場の動揺が止まらない旨。ダウ工業株30種平均は11日、前日比1464ドル94セント安の2万3553ドル22セントで取引を終えた旨。下げ幅は9日の2013ドル安に次ぐ過去2番目の大きさを記録。史上最高値を付けた2月12日からの下落率は2割を超えた旨。新型コロナウイルスの世界的な流行が強まっており、投資家の不安が収まらない旨。

◇WHO事務局長、新型コロナ「パンデミック」と表明 (日経 電子版 08:06)
→世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、世界で感染が広がる新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明、WHOがパンデミックと認定したのは2009年に流行した新型インフルエンザ以来11年ぶり。中国以外での感染ペースが加速する現状に強い懸念を示し、各国に対策の強化を促した旨。

◇トランプ氏「英国除く欧州から入国禁止」、新型コロナ−13日から30日間 (日経 電子版 11:04)
→トランプ米大統領は11日夜、ホワイトハウスから国民向けにテレビ演説し、新型コロナウイルスの感染拡大への対応策を発表、英国を除く欧州に過去14日間滞在した外国人の入国を禁止するのが柱となる旨。中小企業の資金繰り支援など経済対策の一部も明らかにした旨。米国での感染拡大に歯止めをかけるため異例の強力な措置をとるが、企業活動や観光など実体経済への広範な影響は避けられない旨。

□3月13日(金)

◇欧州株急落、過去最大の下げ、伊17%・独仏12% (日経 電子版 04:36)
→12日の欧州株式相場は急落し、地域全体の値動きを示す代表的な指数が前日比11%安と過去最大の下落率を記録した旨。イタリアの株価指数は17%安、ドイツとフランスはそれぞれ12%安で終えた旨。トランプ米大統領が新型コロナウイルスの対策として前日、欧州大陸からの外国人の入国を止める措置を発表したことを受け、世界経済の先行きを不安視する売りが加速した旨。

◇NYダウ2352ドル安、過去最大の下げ幅、米入国制限警戒 (日経 電子版 07:27)
→欧米株が12日、歴史的な急落に見舞われた旨。米ダウ工業株30種平均の終値は、前日比2352ドル60セント安い2万1200ドル62セントと下落幅は過去最大となった旨。欧州株も軒並み10%以上下落した旨。トランプ米大統領が11日夜、新型コロナウイルスの拡大阻止のため、英国を除く欧州からの外国人の入国禁止を発表。経済活動が世界で収縮する懸念が強まった旨。
ダウ平均は下落率(9.99%)でみても、リーマン・ショック時の2008年10月15日(7.87%)を上回り、1987年10月19日のブラックマンデー(22.61%)以来の大きさとなった旨。株価急落を受け、ニューヨーク証券取引所は9日に続き、15分間取引を停止した旨。2月12日に付けた史上最高値からの下落幅は8300ドル(28%)超に達した旨。

□3月14日(土)

◇トランプ氏、新型コロナで国家非常事態を宣言 (日経 電子版 04:33)
→トランプ米大統領は13日、ホワイトハウスで記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国家非常事態を宣言した旨。最大500億ドル(約5兆4千億円)の連邦政府の資金を活用できるようにして、検査や治療の態勢を強化する旨。全米各地で新型コロナの感染者が急増しており、国を挙げて対応にあたる姿勢を鮮明にした旨。

◇NYダウ1985ドル高、過去最大、騰落幅は5日連続1000ドル (日経 電子版 06:26)
→13日の米株式市場は3日ぶりに反発し、ダウ工業株30種平均は前日比1985ドル00セント(9.4%)高の2万3185ドル62セントで取引を終えた旨。上げ幅は過去最大。トランプ米大統領が新型コロナウイルスに関して国家非常事態を宣言し、政策を総動員する姿勢を示したことで米景気に対する投資家の不安心理が後退した旨。1日の騰落幅は初めて5日連続で1000ドル超となった旨。

□3月15日(日)

◇米、英国・アイルランドも入国禁止、16日から (日経 電子版 05:16)
→トランプ米政権は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため欧州に実施した入国規制について、16日深夜(日本時間17日午前)から英国とアイルランドも追加すると発表、両国を除く欧州26カ国に14日間滞在した外国人の入国禁止を始めたが、英国などでも感染者が増えていることに対応する旨。人の往来が多い米英間も対象に加わり、経済への影響が一段と広がりそうな旨。

米国半導体の中核、シリコンバレーでの日々の動き、次の通りである。

□3月9日(火)

◇Coronavirus update: Santa Clara County reports first COVID-19 death | NASA Ames worker tests positive (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

□3月10日(火)

◇Coronavirus update: Santa Clara County extends emergency 'mass gathering' ban | 100,000 Googlers told to work remotely | Startup says two employees infected (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Santa Clara County Board of Supervisorsが火曜10日、現地のhealth emergencyの少なくとも4月9日までの延長を満場一致で票決、該countyにおいて少なくとも43人が感染、1人が死亡の新型コロナウイルス大流行を受けての旨。

□3月11日(水)

◇Coronavirus update: Dozens of TSA(Transportation Security Administration) workers at San Jose airport on leave after 3 test positive | Outbreak is officially a pandemic (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

□3月12日(木)

◇Coronavirus update: 80 San Jose firefighters on leave after 4 test positive | Stocks plummet | Governor urges large gatherings canceled | Empty Caltrain (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→市とcountyのofficialsが木曜12日、米国のhot spotsの1つにおけるコロナウィルス検査に向けた連邦支援の不足に不平不満の旨。

□3月13日(金)

◇Coronavirus roundup: Santa Clara County to close schools, lowers threshold for groups to meet (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→3月13日の動き:County officialsが、100人を上回る人々のgatheringsを禁止;Campbell, Milpitas, Mountain ViewおよびPalo Altoが今や緊急事態

半導体関連の動きも、激震の中、日々の動きで見ていく。

□3月9日(月)

Appleの中国でのスマホ販売、2月の状況である。

◇Apple sells fewer than 500,000 smartphones in China in February amid coronavirus (Reuters)
→Appleの中国での2月のスマートフォン販売が500,000台を下回り、新型コロナウイルス大流行で需要半減の旨。

シリコンバレー各社の株価の反応である。

◇How badly Apple, Alphabet, Cisco and others got hit in Monday's big stock fall (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→実際San Francisco Bay Areaに位置するどのpublic companyも月曜9日株価が下落、Dow Jones Industrial Averageが2,000 pointsを上回る下がりよう。biopharmaceutical会社、Menlo Therapeutics(Menlo Park)の場合、この金曜から月曜で株価が19%低下、2020年のこれまででは35.3%の低下の旨。

◇Coronavirus Gives Rubbing Elbows a New Meaning at IMAPS DPC 2020 (3D InCites)
→コロナウイルス大流行のグローバルな脅威に対してelectronics業界イベント中止のドミノ効果が続く中、1つの業界団体、International Microelectronics, and Packaging Society(IMAPS)が、少なくとも米国において今年のイベントagendaの実行を約束、該IMAPS International Device Packaging Conference(IMAPS DPC 2020)が3月2-5日行われた旨。

◇Covid-19: The Situation so Far-Covid-19 has accelerated the shift of manufacturing from China to elsewhere (other countries in Asia) - which had been already happening due to the U.S.- China trade conflict. We may be witnessing the beginning of China's hollowing out. (EE Times India)

韓国のメモリ半導体業界、第一四半期の見方である。

◇Korean memory industry output value to slip in 1Q20, says Digitimes Research-Forecast: Korea's Q1 memory output seen slipping (DIGITIMES Research)
→Digitimes Research発。第一四半期の韓国のメモリ半導体業界output valueが、前四半期比2.7%減の見方。市場watchersは、コロナウィルス大流行がスマートフォンなどの応用向けメモリ半導体にマイナスのインパクトを与えるかどうか見定めようとしている旨。

◇TSMC toughens disease control amid mounting coronavirus threat-Chipmaker took part in government-led meeting via conference call to reduce infection risks (Taiwan News)
→TSMCが金曜6日、政府主催技術会合に会社として唯一conference callで参加、コロナウィルスを避ける対策を立ち上げの旨。

□3月10日(火)

◇"Black Swan" Event Triggers Revision to 2020 IC Market Forecast (IC Insights)
→コロナウィルス(Covid-19)の拡がりおよびそのグローバル経済およびIC市場に対して予想されるマイナスインパクトのこのところの増大は、まさにBlack Swanイベント(マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象)に当てはまる旨。

半導体信頼性のイベント、IRPSも、virtual conferenceでの開催である。

◇Due to Concerns Over Coronavirus (COVID-19) Outbreak, the 2020 IEEE International Reliability Physics Symposium Will Be Presented Online as a Virtual Conference (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→microelectronics信頼性のpremier technical conference、2020 IEEE International Reliability Physics Symposium(IRPS)が、グローバルなCOVID-19大流行を巡る懸念からvirtual conferenceとして行われる旨。

□3月11日(水)

◇Intel employee tests positive for coronavirus (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelの従業員が「COVID-19」に感染、該個人情報は明らかにしていない旨。

DRAM価格の展開見込みがあらわされている。

◇Q2 Server DRAM and SSD ASPs substantially up-Forecast: ASPs for server DRAMs, SSDs to rise in Q2-Q2 server DRAM ASPs will be up 20% q-o-q, says TrendForce, while SSD ASPs will increase 10-15%. (Electronics Weekly (UK))
→TrendForceの予測。メモリベンダーの在庫水準が低くなっており、第二四半期の間のサーバに入るDRAMsおよびフラッシュ-ベースsolid-state drives(SSDs)のaverage selling prices(ASPs)を今年第一四半期に対して10% to 20%高める見込みの展開の旨。enterprise SSD需要が2019年最終四半期の間に戻しており、より有利な市場pricing条件につながっている、と特に言及の旨。

◇IC distributors post mixed February results-Sources: Feb. financial results differ for chip distributors (DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のIC distributorsの2月の売上げは良い悪いがあり、5G基地局, サーバおよびメモリ半導体並びにniche応用を扱う向きは需要が新型コロナウイルス大流行に影響されない方で良くなっている旨。

今年後半の5G需要期待が随所に見られている。

◇IC backend, verification partners for Apple devices see bright 2020-Apple's new devices for 2020 raise hopes, sources say (DIGITIMES)
→業界筋発。Apple機器supply chainのIC backendおよび検証specialistsが2020年の売上げ達成への自信を取り戻しており、今年前半打ち上げ予定の新しいentry-level iPhone SE2に向けた出荷に動いている一方、後半の5G iPhonesリリースにも備えている旨。

◇半導体の前工程投資を下方修正 (日経)
→国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は10日、半導体をつくる前工程装置の2020年の投資額が578億ドル(約6兆100億円)になる見通しだと発表、従来予想を7億ドル下方修正した旨。2019年比で約3%増えるが、新型コロナウイルスの拡大で世界景気が悪化し、中国市場で投資意欲が減退していることが響く旨。2020年後半には投資機運が回復し、2021年には657億ドルまで拡大する旨。

□3月12日(木)

◇White House, tech industry meet to discuss coronavirus response-Tech execs meet with White House officials over outbreak (Reuters)
→White House officialsが水曜11日、コロナウィルスpandemicを阻止する対策を話し合うためにIBM, Apple, Cisco Systems, Googleなどハイテク業界のleadersとteleconferenceによる会合の旨。「先端ハイテク会社および主要onlineプラットフォームは、この全員が総力を挙げる活動では重要な役割を果たす。」と、米国・Chief Technology Officer(CTO:米国最高技術責任者)、Michael Kratsios氏。

TSMCの5-nm半導体の量産対応開始が、4月に見込まれている。

◇Volume 5nm production in April-TSMC expected to ramp up volume production of 5nm chips (Electronics Weekly (UK))
→DIGITIMES発。TSMCが、5-nanometer features搭載microchipsの量産を4月に始める旨。該5nm生産capacityは、すでに受注満杯の旨。

◇No panic buying, but make provisions for staff-ESCN chairman talks industry outlook amid outbreak (Electronics Weekly (UK))
→電子コンポーネントを買うパニックは起きていないが、ESCN (Electronic Components Supply Network)のchairman、Adam Fletcher氏は、メンバー各社がCovid-19発生の結果として人事問題を予知としている旨。

◇IC materials distributors gaining from clients advancing inventory build-up-Sources: The stockpiling of chip materials is under way (DIGITIMES)
→業界筋発。台湾および中国の半導体会社が、グローバルなコロナウィルス拡大の不安定な展開およびインパクトの渦中、材料のstockingを進めており、Topco ScientificおよびNiching Industrialなど材料distributorsが2020年の最初の2ヶ月についてかなりの売上げを得られている旨。

中国での学校休校を巡る実態があらわされている。

◇中国、iPad品薄、新型コロナ、一斉休校で自宅学習向け需要、生産停滞が壁 (日経)
→新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中国で米アップルのタブレット端末「iPad」が品薄になっている旨。教育機関の一斉休校により自宅学習で使う需要が急増し、需給が逼迫している旨。アップルは生産委託会社(サプライヤ)に増産を要請しているが、生産の停滞が壁になっている模様。
「オンライン授業向けでiPadの需要が急増している」。中国の流通業者やサプライヤは話す旨。北京市などでは1月末の春節(旧正月)後の授業再開が延期され、小学校から大学まで休校が続き再開のメドが立っていない旨。5千万人以上の生徒がネット大手アリババ集団のチャットアプリ「釘釘」を通じ授業を受けているとされる旨。

□3月13日(金)

◇サムスン縦折りスマホ、超薄型ガラスへの投資実る (日経 電子版 02:00)
→韓国では新型コロナウイルス感染拡大の影響で個人消費が落ち込む中、韓国サムスン電子が2月14日に発売した縦型折り畳みスマートフォン「Galaxy Z Flip(ギャラクシー・ゼット・フリップ)」が予想以上の売れ行きを見せている旨。日本では、KDDI(au)の独占販売で、同月28日に発売された旨。

◇Backend, verification demand for HPC chips staying robust-Sources: AI, HPC chips boost backend business (DIGITIMES)
→業界筋発。application-specific integrated circuits(ASICs), artificial intelligence(AI) ICsおよび高性能computing半導体の需要増大がコロナウィルスpandemicにも拘らず増大して、backendおよび検証サービスに向けた受注を引っ張っている旨。TSMCが、データセンターおよびサーバに入るHPC半導体の大型受注を集めている、と特に言及の旨。

激震の渦中での模索に覆われる感じ方が強いが、引き続き変動&変化に注目である。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦およびHuawei関連】

中国への輸出制限を米国半導体にとってリスクと見る米国・SIAおよびBoston Consulting Group(BCG)作成レポートが、次の通りである。

◇Report Shows Risks of Excessive Restrictions on Trade with China (3月9日付け SIA Blog)
→Boston Consulting Group(BCG)が本日リリースしたレポート、“How Restrictions to Trade with China Could End U.S. Leadership in Semiconductors”が、アメリカの長く続く半導体におけるリーダーシップが米国の商用半導体技術の中国への輸出に対する広範な制限によりリスクに晒されている、と結論づけの旨。

◇U.S. Chip Industry Fears Long-Term Damage From China Trade Fight-Silicon Valley warns that sales restrictions threaten to cede its market dominance to rivals (3月9日付け The Wall Street Journal)

◇Chipmakers Sound the Alarm on U.S.-China Semiconductor Fight (3月9日付け Politico)

米国政府の中国・Huaweiに対する規制圧力関連の動きである。

◇Top U.S. envoy presses Canada over Huawei role in 5G network: officials (3月10日付け Reuters)
→中国・Huawei Technologiesの5Gネットワーク参加を認めるかどうか、Ottawaの来る決定を巡って米国senior envoyがカナダに圧力、Washingtonが反対する動きの旨。

◇US seeks solution to Huawei trade extensions-Commerce Dept. mulls future of Huawei ban (3月11日付け Mobile World Live (U.K.))
→米国・Department of Commerce(DoC)が、Huaweiとのビジネスを行っている各社に認められる一時的猶予についてフィードバックを求めるpublic consultationをオープン、該中国ベンダーへの製品&ソフトウェア供給禁止を実行する日にちを再び先延ばしの旨。

◇U.S. Commerce Department extends Huawei license through May 15 (3月11日付け Reuters)
→Trump政権が火曜10日、米国の会社が中国・Huawei Technologies Co Ltdとのビジネス継続が行なえるlicenseを前回の4月1日までからこのほど5月15日までに延ばす旨。

◇Trump signs law to prevent U.S. rural telecom carriers from using Huawei network equipment-US blocks rural telecoms from patronizing with Huawei, ZTE (3月12日付け Reuters)
→Donald Trump大統領が木曜12日、テレコムcarriersが国家セキュリティ脅威と見なされるHuawei Technologies, ZTE社などの会社製ネットワーク装置購入での米国補助金使用を禁止する法制化に署名の旨。

【STMicroelectronics関連】

STMicroelectronicsが、今後有望なパワー半導体に向けて手薄なgallium nitride(GaN)の強化を図る買収、そしてinertial measurement units(IMUs:慣性計測装置)の製品展開である。

◇STMicroelectronics Buys Into French GaN Company (3月10日付け EE Times)
→STMicroelectronicsが、フランスのgallium nitride(GaN) innovator、Exaganにおけるmajority stakeを買収する合意を発表の旨。パワー分野がシリコンからwide bandgap(WBG)半導体材料に移行してきており、STはsilicon carbide(SiC)では良い市場を作り出しているが、GaNとSiCは現在パワーIC市場の異なる部分に対応している旨。Exaganの買収により、ST Microは産業用市場における異なる顧客要求を満たせる旨。

◇ST Acquires a Majority Stake in GaN Company-With the acquisition of a majority stake in French gallium nitride innovator Exagan, STMicroelectronics expands beyond silicon carbide. (3月12日付け EE Times India)

◇Motion-detection ML core saves MCU power consumption-ST unveils IMUs for low-power machine learning (3月10日付け Electronics Weekly (UK))
→STMicroelectronicsが、LSM6DSRXおよびISM330DHCX 6-axis iNEMO inertial measurement units(IMUs)を投入、motion detection machine learning(ML)技術向けの旨。該IMUsは、high-end consumerおよび産業応用で用いられる旨。

【M&A案件】

ドイツ・Infineon Technologiesによる米国・Cypress Semiconductorの買収が政府機関の承認が得られるかどうか、揺れる様相が見られたが、米国・対米外国投資委員会は承認し、残るは中国となっている。

◇U.S. Considers Blocking Infineon's Purchase of Cypress (3月6日付け EE Times)
→国家安全リスクの理由でInfineon TechnologiesのCypress Semiconductor買収を阻止するようCommittee on Foreign Investment in the United States(CFIUS)が勧める可能性の報道が、両社の株価の下げを起こしている旨。しかしただ市場の噂かどうか?

◇U.S. clears Infineon's $10 billion takeover of Cypress-US approves Infineon's $10B Cypress acquisition (3月9日付け Reuters)
→Committee on Foreign Investment in the United States(CFIUS:対米外国投資委員会)による国家セキュリティreviewを通過、Infineon TechnologiesがCypress Semiconductorの$10 billion買収を進められる旨。該取引案にはなお、中国のState Administration for Market Regulation(SAMR:中国国家市場監督管理総局)の承認がなければならない旨。

◇Relief as CFIUS Clears Infineon Cypress Deal (3月10日付け EE Times)

【ディジタルcar key半導体】

スマートフォンを使ってカギを施錠したり解錠したりする機能について、横断して使用できるような標準化に多くのハイテク企業と自動車メーカーが取り組んでおり、そのコミュニティ「Car Connectivity Consortium(CCC)」によるデジタルキーRelease 2準拠の半導体を、NXP Semiconductorsが披露している。

◇NXP to Enable More Apps on ‘Digital’ Car Key-NXP enhances digital car key tech for multiple applications (3月10日付け EE Times)
→NXP Semiconductorsが、同社NCJ38A automotive-qualified secure microcontroller(MCU)技術搭載のディジタルcar key半導体を披露、Car Connectivity ConsortiumのStandardization Release 2準拠の旨。該新半導体は、車のunlock and lock以上が行なえる旨。

◇More Apps for ‘Digital’ Car Keys-NXP's “automotive digital key solution” enables smartphones, key fobs and other devices to securely communicate, store, authenticate and share digital keys with vehicles. (3月12日付け EE Times India)

【Intel対抗】

Intelの元社長、Renee James氏などが設立したstartup、Ampere Computing(Santa Clara, California)が、Arm-ベース, 80-coreプロセッサ、Altraを出荷、市場を独占するIntelへの対抗を図っている。

◇Startup Ampere Attacks Intel's Strength (3月11日付け EE Times)
→startup、Ampere Computing(Santa Clara, California)が、世界初の“cloud-native”プロセッサと位置づける半導体、Arm-ベース, 80-coreプロセッサ、Altraを出荷の旨。代表的にはcloudで扱われるworkloadsを処理するよう設計される一方、平均的CPUより大きく電力が少ない旨。

◇The Data Center Gets a New Challenger-The company has a new 80-core Arm-based processor aimed at the data center server market. (3月13日付け EE Times India)

【TSMCの2月業績】

「COVID-19」インパクトを受ける中の半導体各社業績が注目されるが、出だしとして台湾・TSMCの2月売上げが発表されている。ここ5ヶ月にわたって維持したNT$100 billionの大台を割っているが、健闘の部類かどうか、今後の各社発表との比較である。

◇TSMC revenues fall below NT$100 billion in February-TSMC's Feb. revenues drop to less than $3.34B, up on year (3月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2020年2月売上げが、2019年8月以降はじめてNT$100 billion($3.34 billion)を割った旨。TSMCの2月連結売上げがNT$93.39 billion、前月比9.9%減、しかし前年同月比では53.4%増。2020年1-2月売上げ累計がNT$197.08 billion、前年同期比41.8%増。

◇TSMC sales drop 9.9% in February on slow season effects (3月10日付け Focus Taiwan News)


≪グローバル雑学王−610≫

ケルトの神々に関する神話であり、実質的に鉄器時代のケルト民族の宗教・伝承体系を指すケルト神話について、

『世界の神話』
 (沖田 瑞穂 著:岩波ジュニア新書 902) …2019年8月22日第1刷発行

より2回に分けて見ていく2回目である。前回示した「トゥアタ・デー・ダナンの神話」の後の叙事詩の時代における「アルスター神話」、さらにそれから300年後の「フィアナ」とよばれる騎士団が活躍した神話群、「フィアナ神話」、そして中世後期に完成し、トマス・マロリー(Sir Thomas Malory, 1399年 - 1471年)がまとめたアーサー王を中心とする騎士道物語群、「アーサー王伝説」から、以下展開されていく。最後に頭の片隅で名前だけ蘇ってくる「トリスタンとイゾルデ(Tristan und Isolde)」、ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner)の楽劇がコラム欄にあらわれている。


5 ケルトの神話 …2分の2

◎「アルスター神話」
・トゥアタ・デー・ダナンの時代が過ぎ去ると、アルスター神話とよばれる叙事詩の時代に

⇒「クアルンゲの牛あらそい」
 …クー・フリンという英雄が活躍
 *コナハト国の王アリルと女王メドヴがたがいの財産を比べた
 *王の所持する牡牛を除いて互角、隣国アルスターにいる匹敵する牛を女王は手に入れたいと願い、やがて両国は戦争になった
 *アルスターの軍は、神の子であるクー・フリン(「フリンの犬」という意味)だけが戦い、コナハトの侵入を食い止めた
 *絶対的な「ゲッシュ」とよばれる誓いを守らなければならないクー・フリン
  →「身分の下の者からの食事の誘いは断らない」
  →「犬を食べてはいけない」
 *犬の焼き肉を食べるよう誘われて、彼は半身がしびれてしまった
 *この後戦場で槍によって倒され、石の柱にベルトで自分の身体を固定、立ったまま死んだ
 *戦いの女神モリーガンが烏の姿をしてやって来て、英雄に最期の別れを告げた
―多くの英雄は戦場で命を落とすもの
 →床の上での安らかな死、とは程遠い死に方

◎「フィアナ神話」
・クー・フリンの時代からさらに300年、「フィアナ」とよばれる騎士団が活躍した神話群に

⇒「常若の国へ行ったオシーン」
 *オシーンとフィアナの騎士たちが森で狩りをしていると、白い馬に乗った乙女が現れた
 *オシーンの父フィンに、乙女は、「フィアナの王よ、私は常若の国の王の娘、金髪のニアヴ。あなたの息子であるオシーンに愛をささげようと、迎えにやって来た」
 *オシーンは喜んで一緒に参りますと言って、ニアヴの白馬の後ろに乗ると、海の中を突き進んで駆け続けた
 *やがて常若の国に着き、何日も素晴らしい祝宴が続き、ニアヴとの楽しい日々はまたたく間に過ぎ、3年の月日が経っていた
 *あるときオシーンは。父や友人にもう1度会いたくなり、ニアヴに帰らせてほしいと頼んだ
 *ニアヴはオシーンに告げた:「フィンもフィアナの騎士もとうの昔に去った。決して白馬から降りないように。あなたの足が土に触れたら、もう2度と私のところへは帰れない」
 *アイルランド島の西の海岸に着くと、向こうから小さい人々が小さい馬に乗ってやって来てこう答えた:「ずっと昔にアイルランドのフィアナという騎士団の首領をしていたフィンという英雄のことなら色々な本に書いてある」
 *オシーンはあちこち馬を駆けさせたが、出会うのは見知らぬ小さな人たちだけだった
 *大勢の小さい人々が大きな岩を動かそうとしているのに出くわして、救ってやった
 *そのとたんに、力のかかっていた金のあぶみが切れた
 *オシーンは馬から落ちると両足が地面についてしまった
 *白馬はすばやく駆け去ってしまい、オシーンは一人残された
 *そして恐ろしい変化が彼に。全身から力が抜け、しわくちゃの老人になってしまった
―日本の「浦島太郎」に似ている
 →神話学で「ウラシマ効果モチーフ」

◎「アーサー王伝説」
・アーサー王伝説は、ケルト神話、とくにウェールズの伝承を素材
・15世紀にイギリスのトーマス・マロリーの『アーサー王の死』に集大成
・アーサー王についての主なできごと
 →石に突き立てられた、王者のみが引き抜けるという剣を抜き、15歳で王位につく
 →湖の妖精の乙女から名剣エクスカリバーを与えられる

〇剣の英雄
・アーサー王の特徴としては、「剣の英雄」であるということ
 →彼に王位を与えた剣と、エクスカリバーとよばれる名高い剣の2本
・アーサー王は剣と共に在り、剣を手放したときに生涯を閉じた
―インドの叙事詩『マハーバーラタ』に出てくる英雄アルジュナも、似ているところ
―英雄と武器の強い結びつき
―日本神話でヤマトタケルが草薙の剣を妻のミヤズヒメのもとに置いて出かけ、その後命を落とした話にも、同じモチーフ

〇アーサー王の騎士たちによる聖杯探求の旅
・12世紀頃になると、円卓の騎士である少年パーシヴァル(ペルスヴァル)が聖杯(グラアル:Graal)を目撃するというテーマが、アーサー王伝説の中に
・聖杯とは、最後の晩餐のときにイエスが用いた杯
 →はりつけになったときのイエスの血を受けたとされるもの
⇒「パーシヴァルが聖杯の城で足の不自由な王さま、漁夫王の歓待を受けているときの場面から」
 *漁夫王が晩餐のもてなしをしているとき、若者が白い槍をささげて入ってきた
 *その槍はイエスが十字架にかけられたとき、ローマ軍の兵士がイエスのわき腹をつくとたちまち血と水が吹き出したという「聖なる槍」
 *その後に両手に「聖杯」をささげた若者が入ってきた
―パーシヴァルが見たものは、それぞれ異なるものを象徴
 …槍    → 「戦い」
  聖杯   → 「聖なるもの」
  肉切り台 → 食糧生産と関わる「生産性」
 →人間社会に不可欠とされてきた3つの役割

【コラム 「トリスタンとイズー(イゾルデ)」とインド哲学】

・アーサー王伝説の中に、円卓の騎士の1人であるトリスタンとイズーの悲恋の物語
 *トリスタンはコーンウォール(イングランド南西の半島)のマルク王の甥で、マルク王の妃となるイズーをアイルランドまで探し求め、イズーを連れて船で帰国
 *妃と甥の不倫を信じたくないマルク王と、王妃イズー、騎士トリスタンの間にさまざまな事件が起こる
 *あるときトリスタンはフランスのブリタニアでの決闘で毒の刃にかかり深手を負った
 *治せるのは医術に優れたイズーだけ
 *彼は、彼女が来てくれるなら白い帆を、だめならば黒い帆を、船に張るように指示
 *数週間後、トリスタンの愛されなかった妻が、嫉妬にかられてうそをつき、「黒い帆の船がやって参ります」
 *トリスタンはその瞬間力尽き、息を引き取った
 *イズーは、恋人の死を知って悲しみのあまりこの世を去った
 *二人の遺体はティンタジェルにある礼拝堂に葬られ、二人の墓はいつまでも一本の蔦にからまれ、離れることはなかった
―19世紀にワーグナーが楽劇「トリスタンとイゾルデ」として作曲し、1865年に初演された
 →死によってはじめて真実の愛は完成される、とするテーマ「愛の死」
―古代のインド哲学も、19世紀のワーグナーも、個人と大宇宙の融合という同じ大きな目的を、別々の形で表現したと言える

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