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ITRSロードマップでMore Moore、More than Mooreを定義

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セミコンジャパン2008では2005年以来のITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)を見直し、最新状況について報告した。従来のような微細化の年次推移をロードマップとして報告するだけではなく、今年は最近言われている、More MooreとMore than Mooreを定義したことがこれまでとは大きく違う。

セミコンジャパン2008が始まった。出展者数は1546社で昨年よりも51社増え、出展小間数は4602小間と昨年よりも64小間増えた。今年も幕張メッセ全館を使っている。

今年は2005年以来のITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)を見直しを報告することになっている。初日の12月5日にITRS Public Conferenceを開催し、最新状況について報告した。従来のような微細化の年次推移をロードマップとして報告するだけではなく、今年は最近言われている、More MooreとMore than Mooreを定義したことがこれまでとは大きく違う。Moore’s law(ムーアの法則)とは、半導体チップに集積されるトランジスタの数が18〜24ヵ月ごとに2倍に増えるという半導体チップの集積度の年次推移を表す指数である。いつまでもトランジスタ数は増え続けることは間違いない事実であるが、微細化の傾向と同じ意味で使われる場合も出ている。

More Mooreとはスケーリング則を踏襲することであるが、単なるスケーリング則をジオメトリカルスケーリングといい、ここからはみ出る新技術も含むスケーリング則をイクイバレントスケーリングとして二つのスケーリング則を定義した。ジオメトリカル(幾何学的寸法)スケーリングは従来のスケーリング則そのもので、MOSトランジスタにかかる電界が一定になるように縦方向、横方向を比例縮小する。もう一つのイクイバレント(等価的)スケーリングは、従来のジオメトリカルスケーリングに加え、デバイス構造を工夫して3次元構造にしたり、まったく新しい材料を取り入れたり、新しいプロセス技術を使ったりするなど従来のスケーリングとは違う要素を組み込む。

これに対して、More than Mooreとは、必ずしもムーアの法則に従わないがいろいろな機能をデバイスに盛り込むことと定義している。つまり多機能化によるデバイスの多様化を表し、その機能によってユーザーに価値を与えるものとしている。More than Mooreとは、必ずしもデジタル回路だけではなく、RF通信機能やパワーマネジメント、受動部品やセンサー、アクチュエータの集積なども意味し、システムのボードレベルから1パッケージ(SiP)に収納されたレベルあるいは1チップ(SoC)レベルへ移行させる技術を表現している。

こういったMore MooreやMore than Mooreを定義したのは、スケーリングで微細化が進んでいるのと同時に、デジタルLSIにいろいろな機能が盛り込まれるようになり、トランジスタ数の増加では表現できない質的な要素が加わったためである。More Mooreが量的な表現であり、More than Mooreが質的な表現だと考えるべきだろうと、ロードマップ策定メンバーの一人である、Infineon Technologies社Technology Support部門ディレクタのWolfgang Arden氏は説明する。


Infineon Technologies社 Wolfgang Arden氏


英ARM社や英Imagination Technologies社のようなIPベンダーはトランジスタ数をできるだけ増やさないようにIPを開発してきた。ムーアの法則に逆行する技術開発の方向であるが、これに対して同氏は、「IPベンダーとチップベンダーとはトランジスタ数に対する考え方は全く違う。いろいろな回路を詰め込みたいチップベンダーはやはりムーアの法則に従ってトランジスタ数を増やしている。マルチコア技術がその典型だろう。少ないトランジスタ数のIPを多数使い、結果的にトランジスタ数の多い半導体チップを開発するのがチップベンダーだ」とする。ムーアの法則を再定義することで、これからの半導体チップのロードマップを再構築していくことにつながっていく。2年後の2009年版には、More than Mooreの中のいろいろな要素についてロードマップを策定していくとみられる。

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