フィジカルAI動き出す、ロボット大手のファナック、安川電機が導入
AIの進化の一つ、フィジカルAIはロボットや自動運転車など実際の物理的なモノ(フィジカル)にAIを導入し、判断も含め自律的に動かそうとする動きだ。先週、産業用ロボットに強いファナックとAI半導体のNvidiaがAIロボットを共同開発すると発表。ファナックと同業の安川電機はソフトバンクと提携した。また、国産のヒューマノイドロボット開発のアライアンスが27年内にその量産を目指す。
図1 NvidiaのIsaac SimとファナックのRoboguideによるフォトリアリスティックな仮想工場 出典:ファナック
先週、「2025国際ロボット展」が開かれ、中国製のヒューマノイドの存在感を放った、と12月4日の日本経済新聞が報じ、ロボット関連のニュースが話題になった。ただ、ヒューマノイドロボットがバック転をしたり、起き上がったり、ダンスを踊ったりなど人間と似たような行動を示すという点では、すでに10年前以上も前にBoston Dynamicsが開発していた物とそう変わらない。
むしろ、今注目されるのは、単なるヒューマノイドロボットではなく、AIで学習させ自律的に推論しながら動くAIロボットである。いくらロボットでもAIを導入しなければ、プログラム通りのことしか動かない。実際に使えるロボットは自律的に動くだけではなく、生成AIも導入することによって、人間の言葉を理解し、その内容に従って行動するロボットであろう。「ロボットに強い日本はAIを導入することで圧倒的に強くなる」。こう述べたのはNvidia CEOのジェンスンフアン氏である。日本がフィジカルAIを導入し始めたといえそうだ。
ファナックは、Nvidiaと協業し、NvidiaのメタバースソフトウエアであるOmniverseを利用し、産業用ロボットを並べた工場のフォトリアリスティックな仮想工場のデジタルツインを作製する(参考資料1)。ロボットアプリケーション開発者は、Omniverseライブラリを活用したリアルな仮想工場にファナックのロボットを自在に配置し、AI学習データの取得・生成と正確なシミュレーション、生産稼働テストを効率的に行うことができるとしている。ロボットシステム向けのコンピュータは小型のNvidia Jetsonであり、Nvidiaの豊富なソフトウエアライブラリも活用する。
ファナックはロボット開発のOS(Operating System)であるROS 2をベースに専用ドライバをGiHub上で公開したという。同社のロボットにはAIモデル開発でよく使われるプログラム言語「Python」も標準装備している。AIを組み込んだロボットも試作しており、言葉を理解し動作し、人にはぶつからないような自律的なロボットも試作している。
安川電機とソフトバンクとの提携では、安川のAIロボティクスによって高い作業力と精緻な制御を実現したロボットに、ソフトバンクのワイヤレス通信技術であるAI-RAN(無線アクセスネットワーク)を組み合わせることで、ロボットのセンサやカメラからのデータ、外部システムの情報を統合・解析し、リアルタイムに最適な指示を行う仕組みを構築する。いわばリモートでリアルタイムにロボットに対して指示できるようにする。
ファナック、安川電機ともフィジカルAIを活用するということによって、発表した翌日の東京株式市場ではファナック株が一時9.4%上昇、安川電機も4.7%高となったと3日の日経が伝えている。
国産のヒューマノイドロボット開発の組織「京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)」にルネサスエレクトロニクス、住友重機械工業、住友電気工業、日本航空電子工業の4社が新たに参画した、と3日の日経が報じた。26年3月までに全13社で試作品を作り、27年中に実装や量産を目指すとしている。災害対応向けのロボット開発を目指す。KyoHAは早稲田大学や村田製作所が立ち上げた組織。
参考資料
1. 「ロボット新技術:オープンプラットフォームとフィジカルAI」、ファナック商品紹介ページ、(2025/12)


