ラピダスに民間22社が出資、株主は30社に
ラピダスに民間企業22社が新規に出資、これまでの株主に加えて合計30社が株主になると12月13日の日本経済新聞が報じた。ラピダスはこれまでと同様、「当社が発表したものではない」とコメントを出している。TSMCが熊本第2工場に4nmプロセスを導入する検討をしている。Broadcomの評価が高まっている。AIチップ最大手のNvidiaのH200が中国輸出を認められたことに対して米国内で反発する声が高まっている。
13日の日経によると、新たに株主となるのは、ホンダやキヤノン、京セラン富士フィルムホールディングス、ウシオ電機、セイコーエプソン、NIPPON EXPRESSホールディングス、長瀬産業、北海道電力などに加え、金融関係では既存の三菱UFJ銀行を含む3メガバンクと日本政策投資銀行が最大250億円を出資するという。さらに北洋銀行、北海道銀行、千葉銀行、肥後銀行なども出資する方向で調整しているとする。さらに融資も27年度以降に最大2兆円を検討しているようだ。また、既存株主のソニーグループも追加出資するとしている。ラピダスは2025年度に1300億円の規模の民間出資にめどをつける。
一方で、「ラピダスの成功に懐疑的な声は根強い。量産技術や顧客開拓でまだ目立った成果を出せていないためだ。出資に応じたある企業の幹部は今回の出資要請について『まるで町内会費だ』とぼやく。政府関係者が『出して当然』という姿勢で要請してくることもあったという。出資を検討する別の企業も『技術面の開示が少なく、合理的な出資判断ができない』と指摘する」と日経は報じている。実際、投資や出資の話は聞くが、そろそろせめて単年度黒字の時期についての発表がラピダスからあっても良いのではないだろうか。

図1 JASMの第1工場 第2工場は建設中 出典:JASM
TSMCは熊本県内で10月に着工した第2工場の計画を変更し、4nmプロセス導入の調整を始めたと12日の日経が伝えた。4nmプロセスは、現在のBlackwellを使うGB200やその前のHopperを使うH200、H20も含め、使っている先端プロセスである。今の所、4nmはAIチップに広く使われているプロセスであるため、TSMCは日本に大きな需要がなくとも米国需要を満たすために、熊本工場(図1)を見直すのではないだろうか。
さらに4nmあるいは3nmはFinFETトランジスタを使う先端プロセスであり、ラピダスはGAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタに集中している。ラピダスは2nmプロセスを開発中で、FinFETプロセスはやらないと明言している。FinFETプロセスで半導体を作る場所が日本にはなかったためにJASMの第2工場が4nmプロセスを推進する意味は日本にとって大きい。また、4nmプロセス工場が稼働しだす2027〜28年頃には、日本の得意な自動車産業の先端チップとなるSDV(ソフトウエア定義のクルマ)には4nmプロセスのチップが評価用に使われる可能性もある。
米Broadcomはネットワークチップが得意なファブレス半導体企業だが、GoogleのTPU(テンソルプロセッサ)の設計を請け負ったことで一躍注目を集めるようになった。時価総額は2025年12月15日現在で、Metaを抜き1.699兆ドルの第6位に上がってきている。最近、Broadcomの25年8〜10月期の売上額が発表され、前年同期比28%増の180億1500万ドル(約2兆8000億円)、純利益が97%増の85億1800万ドルだった。ただし、Broadcomの製品ポートフォリオは、ファブレス半導体とインフラ向けソフトウエア事業からなっており、それぞれの売上額は半導体が前年同期比35%増の110.7億ドル、ソフトウエアは同19%増の69.4億ドルとなっている。つまり、半導体の伸びが大きいことがわかる。OpenAIもBroadcomにAIチップの設計を依頼する話も出ており、AIチップ設計請負ビジネスは日本でもソシオネクストが行っている。
NvidiaのGPUであるH200の中国への輸出をトランプ政権が承認した。売り上げの25%を上納金として政府に納めるというもの。米国内では民主党だけではなく共和党内部からも反発する声が上がっている(12月11日付け日経)。一方で、中国政府はH200を購入せず国内製を使うように呼び掛けているものの、中国内のAIモデル研究者たちはH200を使いたい意向のようで、中国需要は極めて高いという。


