SEMICON Japan 2025、半導体関係企業のOEMもサプライヤも出展する
SEMICON Japanにやってきた(図1)。その内容は、大きく変容している。元々、半導体装置及び材料メーカーが出展して、半導体プロセス技術者がバイヤーとなる展示会であったが、2025年のSEMICON Japanでは半導体メーカー、EDAベンダー、産業機械メーカーも出展しており、大きく変化している。OEMとサプライヤ、ユーザーが出展しており、それぞれの関係が崩れている。参加者は極めて多い、という印象だった。
図1 SEMICON Japan 2025の光景
半導体チップだけではなく、ソフトウエアやそれらのライブラリ、開発ツールなども提供しAIシステムを作るための道具を全て提供できるNvidiaは、元々ファブレス半導体企業であり、SEMICON展示会とは関係が浅かった。しかし、開催日初日の基調講演のトップバッターとして登場したNvidiaのTimothy Costa氏は、半導体製造企業−Applied MaterialsやLam Research、imec、SK Hynix、Cadence Design Systems、Siemens EDA、Synopsys、アドバンテスト、Micron Technology−などともパートナーシップを結んでいる、と述べた。
そのカギとなるNvidiaの製品はGPU(グラフィックプロセッサ)などではない。今年の11月に発表した「Nvidia Apollo」と呼ばれるオープンモデルのファミリ(参考資料1)を利用するのである。これまでの物理モデルを使った、さまざまなシミュレーションにAIを導入してリアルタイムでシミュレーション結果を得ようとするもの。半導体製造分野では、T-CADと呼ばれるシミュレーションがあるほか、先端パッケージなどでは熱解析や流体解析、機械的歪解析などのシミュレーションが必須になる。従来通りのモデルベースでしっかりシミュレーションすると数時間もかかる計算がAIを導入するとほぼ同じ精度ながら1秒前後で終わる、という例もある(参考資料2)。
例えばSK HynixはAI物理のT-CADを利用している、imecはエージェンティックAIを半導体生産に利用し、Cadenceは物理設計にAIを利用する。Micronはデジタルツインを利用しているという。
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図2 Nvidiaと共同で半導体生産に使うAIエコシステム 出典:Tim Costa氏の講演
今後は、フィジカルAIが将来の1兆ドル産業になるだろう、とCosta氏は予想する(図2)。フィジカルAIにはデジタルツインで設計し、フォトリアリスティックなシミュレーション画像を描く。例えばウェーハ上の欠陥や異常を見つけることができるようになる。Nvidiaは今後次世代のエージェントAIを開発し、ユーザーとなる各産業はフィジカルAIで産業を革新する。社会をより良くしていく、AIの使い方をCosta氏は示唆している。
SEMICON Japan 2025に出展した半導体メーカーとしては、昨年に続きラピダスのほか、Micron、Tenstorrent、EdgeCortix、フェニテックセミコンダクターなどだ。量産はしないがニューヨーク州アルバニーに開発生産ラインを持っているIBMも展示している。また、Texas Instrumentsは、エッジAIを搭載した「C7」NPU(ニューラルプロセッサ)に関する講演を行っている。
EDAベンダーである、Siemens Industry SoftwareやSynopsys、Cadence、Ansysなども出展しており、Keysight TechnologyはAIを用いた測定器を紹介してした。Siemens EDAや図研は2.5D/3D-IC向けの設計ツールなどを提示しており、EDA関係者の参加も目立った。
機械関係では、製造装置向けの機械部品メーカーの日本精工やクボタ、THKなどが出展し、ロボットの安川電機、川崎重工業などが展示していた。彼らの産業用ロボットやリニアガイドなど可動部品は製造装置には欠かせない。一方で、モータ駆動用のパワー半導体やドライバ、マイコンなどの半導体メーカーは、製造装置メーカーのサプライヤでもある。
これまでの前工程中心の分野では、装置の高機能、高性能、低コスト化などの動きが少なく、リクルーティングを目的とした動きが強まっている。例えば代表的な製造装置企業である東京エレクトロンは、装置や模型の展示ではなく、半導体製造工程の順から同社が扱っている装置と工程の説明図を見せている。来場者は非常に若く、学生が多い。最近はテレビコマーシャルを多用している半導体関係の企業が増えているが、これも人材採用のために企業名の消費者への浸透を図ったもので、同社の展示はその一環であろう。
追記(12月23日)
今年のSEMICON Japanの参加者は以下の通りです;
12月17日(水) 39,429 (32,171)
12月18日(木) 44,044 (36,834)
12月19日(金) 37,794 (34,160)
延べ来場者数 121,267 (103,165)
()内は前年
参考資料
1. “One Giant Leap for AI Physics: NVIDIA Apollo Unveiled as Open Model Family for Scientific Simulation”, Nvidia Blog, (2025/11/17)
2. 「熱や電流などのシミュレーション結果をすぐ得られるSimAIをAnsysが開発」、セミコンポータル、(2024/03/14)


