Nvidiaに対抗するAMDの新AIチップ、Huang CEOは欧州でソブリンAI拡大
週末の金曜日に開催されたAMDのイベントで同社CEOのLisa Su氏が新しいAI向けのGPU「Instinct MI350x」を発表した。一方Nvidiaは、市場を拡大するため欧州でイベントを開催した。台湾のIT企業が5月の業績発表から、スマートフォンからAIへとシフトしたところが成長していることを示した。国内では、ホンダがラピダスに出資するする方向だという。
図1 Advancing AI 2025の基調講演で講演するAMDのCEOであるLisa Su氏
AMDが発表した新製品は2025年7〜9月にクラウド企業を通じて提供を始めるという。
Su氏は自社の新製品をNvidiaの主力品「B200」と比較して、性能が上回る、と主張した。Nvidiaを意識した講演だった。Nvidiaと比べコスト・パフォーマンスが優れていることを強調、同じコストでデータ処理能力が最大4割高いという。チップだけではなく、AI開発用の開発環境ソフトウエア「ROCm7」も発表、AI推論や学習、フレームワーク互換性等を搭載したソフトウエアスタックになっている。
一方、先週はNvidiaもフランスのパリで開催されたイベントVIVA Technologyの中で「Nvidia GTC Paris」と題する基調講演をCEOのJensen Huang氏が行い、これまで共同開発してきたスタートアップの仏MistralAI社にBlackwell を出荷することを発表した。Nvidiaは各国ごとにAIを創り出すようにソブリン(sovereign)AIを主張していた。Huang氏は、例えば日本に来た時は日本の強い自動車や産業用ロボットなどにAIを導入することで日本はますます強くなると言っていた。今回欧州でもやはり、ソブリンAIを主張し、イベント開催したフランスをはじめとして、イタリア、スペイン、英国など各国のAIインフラ業者に協力する。さらにドイツやスウェーデン、、フィンランドなどへも拡大していく。
台湾の半導体企業を含む主要IT企業19社の5月の月次業績が発表され、その合計売上額は前年同月比16.7%増の1兆5347億台湾元(約7兆4000億円)と大きく成長した(12日の日本経済新聞)。「AI向けのサーバーや半導体の需要が堅調だった。台湾IT大手の業績を左右する要因がスマートフォンからAIへと移りつつある」と報じた。EMS最大手も鴻海精密工業は11.9%増、サーバー生産が強い広達電脳が58.2%増、パソコンのASUSは41%増、TSMCも39.6%増とAI関係の仕事の比率を高めたところは2桁成長した。しかし、テレビなどの民生や産業向けのファウンドリのUMCは0.2%の減収、iPhone向けの仕事が多いPegatronは8%の減収だった。モバイルに強いMediaTekは7.2%増、OSATトップのASEは3.2%増と低成長に終わっている。
モバイルが頭打ちになりつつあるが、これまでiPhone向けのイメージセンサのトップメーカーであるソニーセミコンダクタソリューションズは、モバイルから他の分野へビジネスを広げている。HDD向けの光部品となる半導体レーザーをWestern Digitalにも納入することが決まったと13日の日経が報じた。高密度のHDDはHAMR(ハマーと発音)と呼ばれる熱アシスト記録方式に移行している(参考資料1)。業界トップのSeagate Technologyが最初に実用化にこぎつけ、ソニーとしてもSeagateに続きレーザーを供給することになった。
ソニーはまた、クルマの周囲の状況を画像化するLiDAR技術に使う、センサ部品のSPAD(Single Photon Avalanche Diode)方式の距離センサ「IMX479」を秋から量産する、と11日の日刊工業新聞が報じた。250メートル先の物体を検出できるという。
ラピダスに対して、ホンダのほか既存株主や銀行など9社・5行が出資の意向を示した、と12日の日経が報じた。順調にいけば2025年度の後半に政府と民間で計2000億円の出資が入るという。また、政府も補助金だけでないラピダスへの支援を検討する。5月に改正情報処理促進法が公布され、政府が情報処理推進機構(IPA)を通じて出資できるようになった。経産省は25年度当初予算で出資金向けに1000億円を確保した。次は海外企業からの出資先を探すことになる。というのは2nmプロセスを使うユーザーは海外にしかいないからだ。
参考資料
1. 「記録容量を倍増した新HDD技術をSeagateが開発」、セミコンポータル、(2024/02/01)



