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半導体供給不足を反映、台湾IT大手の3月期が過去最高

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テレワーク需要を受け、台湾のIT業界が絶好調だ。すでに報じたように(参考資料1)、TSMCは第1四半期ではこれまで最高の業績を残し、ファブレス半導体のMediaTekやパソコンメーカーも好調だ。半導体の供給不足は、Intelのファウンドリビジネスにとっても追い風となっている。東芝の車谷暢昭CEOが14日付けで辞任した。

TSMCの2021年第1四半期の決算が報告され、四半期として史上最高の売上額129億ドルをTSMCは計上したが、台湾で好調な企業はTSMCだけではない。半導体を含む台湾のIT19社の3月の売り上げは前年同月比21.5%増の1兆1299台湾元(約4兆3500億円)となり、19社の内8割に当たる15社が増収を確保した。これは4月16日の日経産業新聞が報じた。中でも最も大きな伸びを示した企業は、75.9%増の401億4700万台湾元(1台湾元=3.83円)を売り上げたMediaTekである。MediaTekはスマホ用の5G向けモデムやアプリケーションプロセッサが中国勢(小米やOppo、Vivoなど)のスマートフォンに売れたことが大きい。華為科技へのチップの出荷が止まり、これらのスマホメーカーに振り向けられた。

テレワーク需要でパソコンメーカーのEMS(電子機器の組み立て専門請負業者)である、CompalやQuantaも好調だった。それぞれ3月の売り上げの伸びは同33.9%増、20.9%増と大きい。米国や中国のパソコンメーカーだけではなく、Googleからの依頼でもChromebookを生産しており、これも大きく伸びた。Asusも同74.7%の伸びだとしている。DRAMの単価も値上がり始め、昨秋より15%程度上昇したとしている。台湾のDRAMメーカー南亜科技の21年第1四半期の売上額は前年同期比23%増の177億台湾元だった。

世界的な半導体不足は、メーカー側が増産するも追いつかない状況を表している。自動車用半導体から始まった供給不足の影響は今でも自動車メーカーを直撃しており、日産自動車は4月中に米国とメキシコの合計3工場で生産調整に踏み切ると16日の日刊工業新聞が報じた。ホンダも北米の一部工場で19日以降に生産調整を実施するとしている。

ところが、トヨタ自動車はサプライチェーン全体で半導体の在庫を4倍に積み増していた、と17日の日本経済新聞が報じた。トヨタが自分で半導体の在庫を持つわけではなく、サプライチェーン内で持つわけで、代替が難しい半導体の在庫を1ヵ月分ではなく、4ヵ月分に引き上げている。2011年の東日本大震災を機に在庫管理を半導体メーカーに要請している。

ルネサスエレクトロニクスはこれを受け、ダイバンク方式で在庫を確保した。これは、かつて旧Linear Technology(現Analog Devices)が行っていた在庫確保の方式で、完成したウエーハをダイシングしてチップにした状態で在庫を持つ。製品要求が来るとアセンブリとテストを行い出荷する。このため、要求から1カ月以内で出荷できる。ルネサスは今回の火災事故に対しても、このダイバンク方式が役に立ったとしている。ただし、ダイバンク方式は供給側(半導体メーカー)が在庫を持つため、その分はコストとして勘定される。このため半導体メーカーは財務体質を強めておかなければならない。

半導体の供給不足を受け、Intelは、自社設備を活用してファウンドリとして生産することを13日の日経が報じた。6〜9ヵ月以内の生産を目指して、ファブレス半導体企業と協議に入ったという。

また、TSMCは2021年末の受注分からこれまでの値引きを中止する、と13日の日経産業が報じた。実質的に数%の値上げになるという。TSMCは、設備投資額を今後3年間に渡り1000億ドル(10兆円以上)にすることを明らかにしており、この設備投資に対して、値上げで応えるということのようだ。これまではAppleやQualcommといった大口ユーザーからの注文では数%の値引きをしていたらしい。今回の供給不足の事態では、緊急受注の場合は1割程度の値上げを要求しているという。

東芝はまたしても経営陣の稚拙な対応が暴露された。新たなファンドCVCキャピタル・パートナーズが東芝を買収するという情報が流れたが、車谷暢昭前社長がCVCの日本法人のトップを務めていたことがあり、さまざまな憶測を呼んだ。車谷氏は、現在の大手株主から意見の対立から信任を否定されていた。同氏とCVCとの関係によって、東芝の指名委員会も社長交代を促していたと14日の日経は伝えている。取締役会の前に車谷氏は辞任の意向を伝えており、受理された格好となった。代わりに前社長の綱川智氏が復帰した。

参考資料
1. TSMCの2021年第1四半期売上額、25.4%増で過去最高の129.2億ドル (2021/04/16)

(2021/04/19)

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