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10〜12月期の四半期決算が明らかに、半導体の好調続く

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半導体産業の好調が依然として続いている。この2014年10〜12月期の四半期決算が明らかになり、半導体メーカーだけではなく、関連材料メーカーやテスターメーカーも好調という結果が出ている。東芝、ルネサス、信越化学、JSR、ディスコ、アドバンテストの四半期決算が相次いで報道された。

東芝の2014年4〜12月期連結決算では、営業利益が前年同期比6%増の1648億円と最高を記録したと1月30日の日本経済新聞が報じた。この9カ月間の売上額は同4%増の4兆7162億円となった。東芝の発表資料によると、半導体部門を含む電子デバイス部門の売り上げは同3%増の1兆2940億円、営業利益は同2%増の1777億円、他部門の落ち込みや利益を電子デバイス部門が稼いだ格好になっている。電子デバイス部門の営業利益率は14%と国内半導体メーカーとしては大きい。

東芝好調の理由はもちろん、フラッシュメモリの好調さにある。これまで2ビット/セル構造を3ビット/セル構造にした「トリプルレベルセル(TLC)」が伸びている、と同日の日経が報じている。大口の取引価格が64Gビット品で、2ビット/セル品の単価が2.7ドルに対して、3ビット/セル品は1.9〜2ドル前後だとしている。セル当たりのビット数を増やすほど、チップ面積を大きくせずにビット容量を上げられる。しかし、1ビット/セルでの1、0の電圧を3ビット/セルでは8分割するため、ノイズマージンが狭まるために、書き換え回数が制限されるという欠点があった。しかし、コントローラで、ある程度は対策しているようだ。

ルネサスエレクトロニクスは、4〜12月期の連結純利益が前年同期比7.2倍の730億円になる見込み、と日経は29日に報じた。工場の閉鎖や売却などリストラしたことで売り上げは同4%減の6080億円だが、営業利益は800億円となりそうだ。営業利益率は13.2%と2桁に達する。営業利益と純利益の差がほとんどなくなったということは、リストラがほぼ終わったということである。これまでは営業利益こそ、黒字になっていたが、純利益はリストラ費用がかさみ、赤字もしくは利益がほとんど出ていなかった。

サムスンも半導体は好調だ。10〜12月期のスマホを含むIT部門の営業利益が前年同期比42%減の14兆5600億ウォン(1兆5700億円)に減少したが、半導体部門の2014年通年の営業利益率は前年比27%増の8兆7800億ウォン(9470億円)になった。

台湾のファウンドリUMCも好調で、10〜12月期の売上額は前年同期比21%増の372億元、連結純利益は同6.1倍の45億元(171億円)であった。

半導体メーカーの好調さを受けて、半導体関連メーカーなども伸びている。信越化学工業は4~12月期の売上額は前年同期比7%増の9295億円、営業利益は同4%増の1400億円だったが、半導体シリコンの営業利益率は前年同期比3割増だったとしている。スマートフォンやクルマ向けの半導体が伸びたことが好調の要因。

フォトレジストメーカーのJSRは2015年3月期の連結純利益が前期比19%増の300億円になる見通しであることを27日の日経が伝えた。従来予想が同11%増の280億円だった。半導体と液晶向けの材料が好調の要因だとしている。

ウェーハ切断など後工程のディスコも伸びている。4〜12月期の連結営業利益は前年同期比48%増の195億円になったと、30日の日経が報じた。売り上げも同19%増の923億円に伸びたとしている。

テスターのアドバンテストは、4~12月期の連結売上額は前年同期比51%増の1199億円、最終利益が92億円(前年同期は341億円の赤字)になったと30日の日経が伝えた。2015年3月期の通年度の見通しでは、連結売上額は前年度比45%増の1620億円、最終利益が125億円となる見込み。

先週はこの他、カーエレクトロニクスに関する話題も多かった。ケーヒンがHV(ハイブリッド車)用の半導体複合部品を内製化すると2月2日の日経産業新聞が報じた。パワーコントロールユニットに使うモジュールのようだ。さらに、トヨタ自動車はSiC半導体を搭載したHVを豊田市内で走行実験すると30日の日経産業は伝えた。TDKは車載向けの積層セラミックコンデンサ(MLCC)を4月から量産すると27日発表した。小型モータに直接取り付ける用途のようだ。台湾EMS大手の鴻海精密工業も自動車部品産業に進出していることに加え、中国の電気自動車メーカーに投資するなど自動車産業を強化していることを27日の日経が報じている。

(2015/02/02)

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