2025年3月単月の世界半導体販売額は過去最高の628億ドル
2025年1〜3月期(1Q)における世界半導体販売額が前年同期比18.8%増の1677億ドルに達した。これはWSTSの販売額をベースに米半導体工業会(SIA)が発表したもの。前四半期比(QoQ)でみると、2.8%減だが、1Qの販売額としては過去最高額になる。通常、前4Qより翌1Qの方が販売額は10〜15%少ない。その点、2.8%しか減少しないことから、今年の半導体景気はかなりの上向きで少なくとも2桁成長は固いといえそうだ。
しかもSIAの発表した3月の販売額(3カ月の移動平均値)は559億ドルで2月のそれよりも1.8%多い。SIAのプレジデント兼CEOのジョン・ニューファ氏は「グローバルな半導体需要は依然として強い。昨年の1Qよりも大きく上回っており、3月の559億ドルはYoYで17%以上となり11カ月連続プラス成長している」と述べている。今年の2月に今年の半導体は全く良くない、と述べたアナリストたちの心配は杞憂に終わりそうだ。
1Qにおける地域別では米国が最も成長率が大きく45.3%増、次がアジア太平洋地区の15.4%増、中国は7.6%増、日本は5.8%増となっているが、欧州が最もひどく、2.0%減とマイナス成長だ。

図1 世界半導体販売額の前年比(赤い線)と前年差(青い棒)
これを単月別の前年比と前年差で見ると(図1)、昨年の8月、9月から少し減少気味かと思われたが、2月、3月は前年差が大きく増えている。しかも3月単月の販売額は、単月販売額としては過去最高の627.7億ドルに達した。
悲観的なアナリストでさえ、今年後半には回復基調に移ると述べていたため、今年の販売額が悪かったはずの上半期のしかも1〜3月期が調子良いことがわかったため、今年の売上は2桁成長することは間違いないだろう。
楽観的に見えるだろうが、本格的な回復に戻るはずだった2024年が思いのほか悪くなかった。半導体不足で半導体バブルではないかとまで言われた2022年の世界半導体販売額が5741億ドルだったが、2024年はすでにそれを超えて6279億ドルとなっている。今年は1〜3月期までですでに前年よりも(YoY)18.8%増になっているのだ。今年後半は回復期から成長期へ移ると言われていることを考慮すると、2025年は2024年と比べ20%成長することさえ当たり前に思えてくる。
「最初に商売相手を脅す」という手法を使って不動産王になったトランプ大統領の関税政策にしても、中国に対して当初の145%からいきなり30%に減少した。関税政策は政治と行政に任せるとして、自分でできることを着々と進めることが半導体・関連企業の取るべき道ではなかろうか。
参考資料
1. 「2024年世界半導体売上額は過去最高の6279億ドルだが、25年要注意かも」、セミコンポータル、(2025/02/13)


