Semiconductor Portal

» セミコンポータルによる分析 » 市場分析

2024年世界半導体売上額は過去最高の6279億ドルだが、25年要注意かも

2024年の世界半導体市場は、前年比19.2%増の6278.97億ドルと、過去最高を記録した。これはSIA(米半導体工業会)並びにWSTS(世界半導体市場統計)が発表したものだが、これまでの最高額は2022年の5741億ドルだったから、5000億ドル時代は3年しか続かず、2024年に6000億時代に突入した。

半導体市場の推移 / WSTSの数字を元にセミコンポータルがグラフ化

図1 WSTSが発表している世界半導体市場の推移 出典:WSTSの数字を元にセミコンポータルがグラフ化


世界半導体売上額は2017年〜2018年のメモリバブル時代は、市場のシリコンサイクルからスーパーサイクルに変わったと言われていたが、やはりシリコンサイクルがあり2019年に谷を迎えた。その後、2020年に入ると新型コロナによる工場のロックダウンなどで減産したために、間もなく半導体不足が起きた。半導体メーカーは増産するも需要に追い付かず、単価の上昇により2022年は史上最高の5741億ドルに上がった。しかし23年は増産による反動で単価は下落し半導体の売上額は落ちた。とはいえ、史上3番目に高い5269億ドルにとどまった。

つまり半導体のシリコンサイクルは不況と言われるサイクルの「谷」の年でさえ、その前のピーク値よりも高いのである。不況の「谷」の2023年の売上額は、その前のメモリバブルの2018年の「山」のピークだった売上額よりも高い。半導体はシリコンサイクルを繰り返しながら推移している成長産業なのである。この状況は昔から何も変わっていない。にも拘わらず日本だけが、半導体は斜陽産業と言われ続け、つらい思いをしてきた。

さて、2025年はどうなるか。SIAやWSTSはさらに2桁成長するだろうと見込んでいる。これまでの動向を整理すると、23年は回復途上で、24年には半導体産業は回復するだろうと言われながら、いまだに手ごたえがない状況が続いてきたとも言えそうだ。それは24年の好調はAIデータセンター需要だけで、需要金額の大きいパソコンやスマートフォンの需要が今一つ盛り上がっていないためだ。AIパソコンやAIスマホに大きな期待がかかっており、AIデータセンター需要と共にパソコンとスマホ需要が盛り上がれば、確実な手ごたえを感じるのだが。

パソコンとスマホは、新製品需要が成長していないように見えるのは、出荷台数がフラットになって来ているからだ。しかし、デバイス内部のコンテンツは新しくなるため、半導体需要はフラットを維持する。加えて、具体的な数字は出にくいのだが、スマホは中古市場が活性化してきている。ただし中古市場では半導体の出番はない。


世界半導体販売額の前年差と前年比 / WSTSの数字を元にセミコンポータルがグラフ化

図2 WSTSの数字を前年比と前年差で表現したグラフ


本当に25年は2桁成長をいくのだろうか。景気動向を伺う上で役に立つグラフを見てみると、成長と停滞は紙一重かもしれない。図2はWSTSの数字を前年比と前年差で表現したものだが、2024年のプラスの幅がまださほど大きくないどころか、後半に来ると少し下がりつつあるようにも見えるのだ。2桁成長という期待はありがたい反面、慎重に見ることも必要だろう。この後の半導体売上額の推移を2〜3カ月見守れば、成長か停滞か、がもっとはっきり見えてくるだろう。

参考資料
1. 「6月の世界半導体販売額、単月では史上2番目の金額に」、セミコンポータル、(2024/08/08)

(2025/02/13)

ご意見・ご感想