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ArmのビジネスはAIプラットフォームで絶好調、ロームはやっと黒字に

Armの2026年第2四半期(2025年7〜9月期)の業績が発表され、過去の2Qとして最高の業績を上げた。前年同期比(YoY)34%増の11.4億ドルとなり、3期連続10億ドルを超えた。一方ロームの決算発表もあったが、こちらは2025年度上期(25年7〜9月期)としての発表であり四半期決算ではなかった。売上額はYoY5.5%増で、営業損益は前年同期の9億円の赤字に対して76億円の黒字となった。

図1 Arm CEOのRene Haas氏 出典:Arm

図1 Arm CEOのRene Haas氏 出典:Arm


Armは、11.4億ドルの売上額に対して営業利益は4.67億ドルとなり、営業利益率は41%と絶好調を行く。同社のビジネスはライセンス料とロイヤルティ料の収入で成り立っているが、ライセンス売上額はYoYで56%増と大きく成長しており、次世代AI製品を設計するためにArmを選んでいる証拠だとしている。ロイヤルティ売上額もYoYで21%増と伸び率はライセンス料よりも下がるものの、その額6.2億ドルは過去最高の四半期売上額となる。

成長のけん引はやはりAIであり、同社CEOのRene Haas氏(図1)は、「AIをどの分野にも提供できるコンピュータのプラットフォームを手掛ける唯一の企業だからだ」と述べている。特にデータセンター向けのCSS(Compute Sub-System) Neoverseのロイヤルティ売上額は、YoYで2倍以上だったという。CSSは、CPUコアやGPUコアNPUコア、各種高速インターフェイス、周辺回路などを集積した、SoCまがいの巨大なIPであり、料金は高そうだが、2Qにスマホとタブレット、データセンターでそれぞれ3つライセンスについてサインしたという。これで11社19CSSライセンスを獲得した。

同社はIPをデータセンター、スマートフォン、自動車、IoTの各分野に提供している。2025年度におけるロイヤルティ売上額は、スマホなどのモバイルが53%、クラウドおよびネットワーク機器が10%、自動車7%、IoT/組み込み系が18%、家電機器10%となっている。

データセンター向けでは消費電力の削減が注目されており、NvidiaのCPUであるGraceやAWSのGraviton、GoogleのAxion、MicrosoftのCobaltなどがArmベースのCPUを使ったチップを開発している。GoogleのAxionチップは、これまでのCPUと比べ60%エネルギーを削減しながらコスト・パフォーマンスが65%も高くなったとしており、Googleはこの先ArmベースのCPUに移行していくとHaas氏は見ている。

既存の顧客に加え、この四半期でMetaとの戦略的パートナーシップ契約も勝ち取り、MetaはAI機能を持つウェアラブルデバイスからデータセンターまで統一のとれたコンピュータプラットフォームでAI効率の高いアーキテクチャでデバイスを作り込むようになるという。次四半期の見通しは、売上額が12.25億ドル±0.5億ドルになると見ている。


パワー半導体やアナログ半導体に強いロームは、材料費の増加や在庫の調整で苦しんできたが、売上額の増加と固定費の減少で上期の黒字化を何とか達成した。上期ではアミューズメント機器向けのデバイス売り上げが増加したが、季節性で7~9月でピークアウトの見込みだとしており、通期売上額は前年比2.6%増の4600億円と見込んでいる。すなわち下期売上額は2158億円と上期よりも少ない売上額を想定している。

通期の営業利益は1.1%増の50億円となり、純利益は90億円に留まる。とはいえ、通期では前年度と比べ、少しずつ回復が進んでいるようだ。産業機器が1.9%増、民生その他が6.0%増、自動車は0.2%増としている。同社売り上げの自動車が48.7%も占めるため、自動車売上げの回復遅れが全体の回復遅れを表している。また、国内売り上げはまだ52.9%を占めており、海外の成長分野、すなわちAIデータセンター向け製品の少なさが気になる。

(2025/11/10)
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