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世界半導体製造装置市場は26年に20兆円規模に

世界の半導体製造装置市場は、2025年というよりも26年に大きく成長しそうだ。SEMIは、SEMICON Japan開催に合わせて最新の製造装置市場予測を発表した。これによると、2024年は前年比6.5%増の1128億ドル、25年はさらに7.7%増の1215億ドル、26年はさらに14.8%増の1394億ドル(20兆円強)に成長すると予測している。

 / SEMI

図1 世界半導体製造装置市場予測と実績 出典:SEMI


SEMIが統計をとっている半導体製造装置市場は、最大のウェーハプロセス装置(図1の青)と、テスター(同黄)、組立とパッケージ(同緑)を合計したもの。24年ではウェーハプロセスが1007.5億ドル、テスターが71.4億ドル、後工程装置である組立とパッケージが49.4億ドルとなっている。

これらを合計した製造装置全体では、2023年に前年比1.4%減の1059億ドルを底にして回復傾向を示しているが、その回復スピードは遅い。今年の回復は、前年比6.5%しか成長しないからだ。実際、製造装置メーカーからは、半導体がブームで回復しているという実感がない、という声をつい1〜2カ月前まで聞いていた。というのは、IC製品で需要が高いのはAIやHPC(スーパーコンピュータなどの高性能コンピューティング)用のデータセンター向けであり、ICの数量が最も大きなスマートフォンとパソコンの需要が今一つ回復していないためだ。


IC Sales 4Q22- 4Q24F / SEMI

図2 デジタルICは堅調に伸びている 出典:SEMI


特に民生機器はともかく産業用と自動車向けの需要がまだ低迷しているようだ。ICを使う電子機器の販売額は2024年第2四半期(2Q)を底にして回復傾向がみられるが、ICそのものの販売額は堅調に伸びている(図2)。この違いは、在庫調整が遅れているからだ。ICの在庫は24年3Qにはむしろ2%ほど在庫が増えている(図3)。ICの販売額が伸びているのはICの単価が値上がりしたことによる。


INVENTORY and FAB UTILIZATION / SEMI

図3 ICの在庫は4Qに下がる見込み 棒グラフが在庫額、線グラフが生産ラインの稼働率 出典:SEMI


ただ、全体的にICメーカーの製造ライン稼働率は24年1Qを底として少しずつ上がってきており、3Qには70%に達している。4Qの稼働率はほぼ横ばいの70%程度だが、在庫レベルは24年4Qには大きく下がる見込みだ。これは、「需要が安定してきたためだ」とSEMI市場情報担当シニア・ディレクタのClark Tseng氏(図4)は述べる。この勢いは「25年に本格化し稼働率は上がって行くだろうが、そのスピードはゆっくりだろう」と予想する。


Clark Tseng / SEMI

図4 SEMI市場情報担当シニア・ディレクタのClark Tseng氏


現在、半導体需要をけん引するデータセンター、クラウド需要は、少なくとも26年まで成長が落ちるという見込みは見られない。クラウドへの投資は25年に2310億ドルに達し、26年でさえ2540億ドルに上がると見られている。しかも26年以降はエッジAIが本格化し、AI向けの半導体(AIチップだけではなくメモリや制御マイコン、電源IC、受動部品など)をはじめとして半導体市場は成長が続く、と多くの市場調査機関が見ている。


Test Equioment and A&P Equpment / SEMI

図5 後工程の装置は先端パッケージで伸びている 出典:SEMI


プロセス工程の製造装置は、好調に推移するが、後工程の装置はAIやデータセンター需要による先端パッケージへの投資が顕著に表れている。これまで、後工程の装置では目立って大きな製造装置需要はなかったが、先端パッケージが後押しする。2024年には前年比23%増の49億ドル、25年は同16%増の57億ドル、そして26年には同23%増の71億ドルに成長すると予想されている。

(2024/12/11)
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