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日本製半導体製造装置、6月を底として着実に回復中

2023年8月における日本製半導体製造装置の販売額は、前月比2.3%増の2865億400万円となった。これはSEAJ(日本半導体製造装置協会)が発表したもの。前年比では17.5%減だが、2カ月連続前月比ではプラスとなった。少しずつ回復に向かっているように見える。3月は期末の駆け込み需要であり、その影響が移動平均のために5月まで続いたからだ。

日本製半導体製造装置販売額推移 (2019年1月〜2023年7月) / SEAJの数字を元にセミコンポータルがグラフ化

図1 日本製半導体製造装置の販売額推移 出典:SEAJ


図1は3カ月の移動平均値で表しているが、期末の3月の数字のように、飛びぬけて高い数字があると、次の2カ月間はその数字に引きずられてしまい、かえって傾向が見えなくなってしまうという欠点がある。そこで実態は、その影響を受けなかった2月と6月を緑の点線で結んでしまえば、6月までゆっくり下がっていった様子が浮かび上がる。そして7月、8月と浮上し始めていると見る。

図1から見える状況は、日本製半導体製造装置の販売額が2023年6月を底として7月、8月と少しずつだが回復傾向にあることを示している。この傾向はWSTS(世界半導体市場統計)による半導体製品の統計資料からも同様な傾向が見える。WSTSによる毎月の半導体製品市況では、22年11月〜23年5月の7ヵ月間を底に6月、7月と連続して上昇してきている。読者の方々の実感ではまだ回復していないと思われるかもしれないが、それは前年比で見る限りいまだにマイナスだからであろう。


半導体販売額の前年差と比 (2020年1月〜2023年7月) / WSTSの数字を元にセミコンポータルがグラフ化

図2 WSTSによる世界半導体販売額の推移


今後、半導体製品市況は今年の11月にはほぼプラスに転ずるだろうが、実感としては湧いてこないはずだ。2022年11月から5月まで前年比でマイナス100億ドル(1.4兆円)前後を経験してきたから、23年の11月から回復といわれても実感はわかない。しかし、6月、7月はマイナス1兆ドルからマイナス3000億ドルに回復しており、すでに昨年の11月ほどひどいマイナスではなくなっている。だから、前年比ではプラスになることは間違いない。

参考資料
1. 「日本製半導体製造装置が7月、やっと上向き傾向に」、セミコンポータル (2023/08/30)
2. 「世界半導体市場、まだ底から脱却できないが、後半には回復へ」、セミコンポータル (2023/05/19)

(2023/09/27)
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