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世界半導体市場、まだ底から脱却できないが、後半には回復へ

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WSTS(世界半導体市場統計)の3月の単月次の半導体販売額が発表された。これによると前年同月比で20%減の438.8億ドルと依然として厳しい状態にある。常に3カ月の移動平均値で表現している米SIA(半導体工業会)は最近、3カ月の移動平均で3月がプラスだと報じたが、例年3月は前月よりプラスなので、景気が上向いたわけではないことに注意する必要がある。

半導体販売額の前年差・前年比

図1 半導体世界市場、後半から回復傾向が見えてくる


1986年以来、発表されているWSTSの数字をずっと見てみると、毎年3月の方が2月よりも販売額は大きい。つまり単なる季節要因で、不況でも好況でも3月は常に2月より上なのだ。これは、3月が四半期ベースの決算の最後の月なので駆け込み需要が必ずあることを表しているにすぎない。加えて2月が28日しかないのに3月は31日まであることも3月の方が販売額が多い要因である。したがって4月の数字は必ずと言ってよいほど3月よりも下がっている。

この3月は、前年同月比と同月差で見る限り(図1)、マイナスの底状態が続いている。多くのアナリストは、2023年の第2四半期(4〜6月期)までは底の状態が続き、第3四半期から回復し始めると見ている。在庫がそろそろはけ始めるからということが理由だが、それだけではないだろう。

半導体産業は昨年の後半にマイナスに転じて以来、前年比・前年差ともずっとマイナスの状況で、これが6月まで続くと考えることは自然であろう。しかし、この状況がまだ続くと仮定するとしても、前年比および前年差で2022年の悪くなり始めた後半よりもさらに悪い状況(販売額が下がる)になると考えることは無理がある。少なくとも22年下半期からはマイナスになっているのであるから、同程度のマイナス金額ならマイナス成長ではなくゼロ成長、すなわち回復基調になるのである。

こう考えると後半から差額のマイナス分が少なくとも減り、22年の11月から大きくマイナスになったことを考えると、2023年11月以降はプラスに転じると考えることは無理がない。つまり、前年との差額から見る限り、どんなに遅くとも今年の11月にはプラス成長に変わっているだろう。もしプラスに転じないなら、回復しないまま、もう一段大きな不況が来ることになる。いくら何でもこれは無理があろう。

参考資料
1. 「11月に入り急激に落ち込んだ世界半導体市場、でも18年のバブル期よりも上」、セミコンポータル (2023/01/13)

(2023/05/19)

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