直近のファウンドリトップ10社ランキング、TSMCのシェア58.5%にも

表1　世界ファウンドリランキング（単位は百万ドル）　出典：TrendForce

これは台湾系市場調査会社のTrendForceが調べた結果で、TSMCの市場シェアは前四半期の56.1%からさらに2.4パーセントポイント上がり、58.5%と高まった。大手電子機器メーカーが2022年第2四半期から在庫調整に入ったものの、ファウンドリは急には対応できなくなっていたため、販売額は下がったという。ファウンドリビジネスではこの四半期までの13四半期連続で前四半期比プラス成長を遂げてきたため、ここにきて急ブレーキがかかった状態になった。

季節的な要因で毎年第1四半期(1Q)の業績は前四半期よりも低いため、2023年1Qももっと大きな比率で落ちるだろう。季節要因とは、クリスマスシーズンのことで、毎年4Qには1年のピークを迎えてきた。しかし、今回の4Qでは、前期比でマイナスになったことは、この先もしばらくは景気が低迷するとみられる。

トップのTSMCは寡占化が進み、60%近いシェアを取っている。先端プロセスノード別では7nm/6nmプロセスの売り上げは落ちたが、5nm/4nmプロセス売り上げが上がったため、打ち消しあう結果となった。2位のSamsungの先端プロセスの受注は下がった。顧客が在庫調整に動いたためだ。しかし、新型スマートフォンの立ち上がりによって少し打ち消され、同3.5%減に留まった。ただし、Samsungはファウンドリ事業の売上額を公開しておらず、メモリと非メモリ部門でくくっているだけなので、正確なファウンドリ売上額は明らかではない。非メモリ部門では、CMOSイメージセンサやディスプレイドライバ、スマートフォン向けアプリケーションプロセッサなどを設計製造している。ファウンドリ事業は非メモリ部門に属している。

これに対して台湾のUMCは、ウェーハの出荷枚数、稼働率ともに低下したため、売上額は同12.7%減と大きく低下、売上額は21億6500万ドルになった。特に0.35µm/0.25µｍノードの製品は200mmでも300mmでもともに大きく落ち、同47%減となった。UMCとは対照的に第4位のGlobalFoundriesは、トップ10社の中で唯一のプラス成長を果たした。平均単価と製品ミックスとの最適化によって、21億100万ドルになった。

中国のSMICはウェーハ出荷枚数、出荷額とも低下したため、同15%減の16億2100万ドルに下がった。特にスマートホームと消費者向け製品向けのチップが最大の落ち込みを見せた。さらにSMICは米中貿易戦争の影響をまともに受け、23年1Qもウェーハ稼働率、販売額ともにさらに下がる見込みだという。

参考資料
1. 「第3四半期の世界ファウンドリランキング、TSMC、シェアをさらに伸ばす」、セミコンポータル (2022年12月9日)