半導体製造装置は好調から安定期へ向かうのか
SEAJ(日本半導体製造装置協会)によると、2016年10月度の日本製半導体製造装置の受注額はこの1年で最高の1393億400万円を記録、販売額も1305億9800万円とまずまずの水準を維持している。その結果、B/Bレシオは1.07となり、半導体装置市場は依然好調をキープしている。
図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ
半導体製造装置の受注額は2015年の10月ごろから増加傾向が見られ、4月ごろまで増加の一途を辿った。それ以来、受注額はやや飽和気味だが、下がる傾向は見られずに現在まで来た。一方、販売額は3月の年度末駆け込み需要で少し伸びたが、3ヵ月の移動平均値である3,4,5月の分を3月のみと考えれば、少しずつ増えてきたと言えそうだ。ただ、需要を満たしているかどうかは簡単に判断できないが、四半期末ではない10月に来て受注額が伸びていることは好ましい傾向だと言える。
11月の受注額がさらに伸びれば、今度はバブル的な要素が加わり、却って要注意になる可能性が出てくる。9月、10月の需給バランスの均衡は安定期に入っているという見方もできる。B/Bレシオの今後を注目しておく必要がある。
図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ
半導体製造装置に対して、FPD製造装置は、受注額の変動が激しく、5月までのB/Bレシオが1.8〜1.9というバブル的様相を示していたが、日本の装置メーカーはすぐには供給に飛びつかなかった。結果的に中国の液晶メーカーの採算を度外視した生産計画によってバブル的な数字につながっていた。6月以降の受注額の急落がその様子を物語っている。日本の製造装置メーカーは賢明な判断をしたといえる。
FPDのB/Bレシオが0.8〜0.9で推移していることは、8月以降販売を抑えバブルを警戒しているという意味である。当分はその警戒を解けない。
参考資料
1. 半導体製造装置は販売額が急伸、受注を上回る (2016/10/21)