半導体製造装置は販売額が急伸、受注を上回る
日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2016年9月の製造装置の受注額、販売額、B/Bレシオを発表した。それぞれ前月比3.7%減の1298億5000万円、同16.0%増の1325億5200万円、そして0.98となった。この数字をどう見るか。
図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・BBレシオ 出典:SEAJ
9月における受注額はわずか減少し、販売額は大きく伸び、その結果、販売額に対する受注額の比B/Bレシオは1.0を割った。数字は全て3ヵ月間の移動平均値である。つまり、9月の数字は、7月、8月、9月の数字を平均したもの。今年の推移をみると、受注額は、1300億円前後を推移しており、それほど大きく落ちていない。ただ、販売額が16%増と極めて大きく伸びたため、B/Bレシオが1.0を切ったが、販売額が大きすぎたと見ることはできる。
一方、受注額が落ち始めていると見ることもできるが、急速に不況が来ているというシナリオは考えにくい。3D-NANDへの投資、モバイルやサーバー、クルマ用のコンピュータなどSoCへの投資意欲は衰えていない。このため、販売額が急伸しているとみる。
日本製FPD製造装置の9月における受注額、販売額は、それぞれ前月比24.9%減の325億2600万円、8.7%減の432億7900万円となり、B/Bレシオは0.75と悪くなった。FPD製造装置は不況期に入った、といってよいだろう。
図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・BBレシオ 出典:SEAJ
日本製FPD製造装置は、これまで有機EL装置への投資は慎重に行われており、着実な伸びを示してきた。1年以上もの間、昨年から今年の5月まで、液晶製造装置の受注額は販売額とのかい離が大きく、B/Bレシオが1.5を超えるバブル的な要素を含んでいた。しかしながら、Appleが有機ELディスプレイを未来のiPhoneに使うことを2015年の11月に発表して以来、FPD製造装置の販売額は少しずつ増えていった。しかし、液晶パネルの生産が韓国から中国へ移り、中国では液晶ディスプレイが生産過剰になりながらも製造装置への注文が縮まなかった。このため製造装置メーカーは少しずつ様子を見ながら、生産量を増やしていったが、中国経済の停滞が始まると共に、受注額が減少し始め、不況期が確実になりつつあると見ている。
参考資料
1. 半導体製造装置は好調を維持、FPD製造装置は要注意 (2016/09/21)