「やっぱりエッジAIにはFPGAが向いている」〜Altera CEO語る
純粋FPGAメーカーのAlteraは、Intelから完全独立した後、新しいCEOを迎えた。そのCEOとなったRaghib Hussain氏(図1)が来日した。それはAlteraの長期的な成長戦略で日本が重要な役割を演じていると感じているからだ。これまで日本に拠点を置く顧客500社以上をサポートしてきたという裏付け実績もある。だが、今後はエッジAIの立ち上がりと共に日本市場の拡大を見込んでいる。

図1 Alteraの新CEOであるRaghib Hussain氏
米ファンドSilverlakeがIntelからAlteraの株の51%を購入し、AlteraをIntelから完全に独立させた。CEOのHussain氏は、新たにAlteraの戦略を再定義した。カスタマフォーカスを中心に、決断を速くし高品質製品を提供する。顧客の問題を解決し価値を生むのである。100%FPGAメーカーであり顧客の開発者ファーストを念頭に、使い勝手の良さを提供し、供給を確実にする。
時代はすでにAI時代に突入しており、エッジAIあるいはフィジカルAIの市場にFPGAを当てていく。AIはどのような産業界でも――農業や水産業、鉱業、医療、土木、建設業、金融業などありとあらゆる業界――利用できる技術であり、しかも究極の少量多品種の技術でもある。だからこそ、さまざまな業界のユーザーが好きなようにプログラムできるFPGAがAI技術には向いているともいえる。
ドローンやロボット、自動運転などのフィジカルAIでは、ASICが使われることが多いが、コストが高い。Alteraの FPGA製品の一つAgilexは、FPGAファブリックの他にArmのCPUコアやイーサネット、高速シリアルインターフェイス、メモリインターフェイスなども集積しており、まるでSoCのようだが、本質的にSoCではなくFPGAが中心だという。CPUコアはソフトウエアで処理したり制御したりするためだけの機能しかなく、作りたいシステムはFPGAで構築する。いわばFPGAセントリックと言える。
そしてAIシステムではFPGAというハードウエア回路の低遅延を活かしてエッジAIが向いているという。例えば歩行ロボットや自動運転車などでは、センサ(カメラやレーダー、ライダー)からの情報を素早く処理してアクチュエータに伝えなければならない(図2)。低遅延はマストである。さもなければ障害物にぶつかってしまう。ここでのAIは、カメラからの映像をAIで推論・認識して、その情報をアクチュエータに伝え、ブレーキをかける、左右へ曲がる、などの操作をすることで事故を回避できる。FPGAはニューラルネットワークで推論して障害物を認識する。

図2 フィジカルAIではセンシングから推論・認識・プランニング、そしてアクチュエータを動かす 出典:Altera
FPGAでは、作りたい機能をプログラムして、配線をラウティングするが、そのラウティングにもAI機械学習を使っているという。FPGAの強みは、ASICと比べコストの低さだけではない。設計期間が短いことも強みだ。集積度にもよるがASICだと一般に設計に2年以上かかるが、FPGAだと6〜9カ月で済む。
また、数量がさほど多くないCTスキャナやMRI装置などの医療機器にはASICではコスト的に見合わないがFPGAなら最適。またFPGAは医療機器や測定器、産業機器や産業用ロボット、交通運輸、通信基地局、データセンターや金融、宇宙・防衛、コンピュータビジョンなど幅広い分野でこれまで使われてきたため、品質は高いという。
現在はクラウドなどデータセンター需要が多く、様々なことを学習させることに向いたGPUがもてはやされているが、推論を中心に学習されたデータをさまざまな業界が使い始めるとFPGAのようなプログラム可能なハードウエアは、メリットが多すぎるかもしれない。かつてネットワーク系プロセッサに強いCaviumを共同創業させ10億ドル企業に成長させたRaghib Hussain氏の手腕に期待されている。


