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Onsemiの画像センサ戦略、産業用ToFセンサ追加、新潟工場はファンドへ売却

車載用イメージセンサでトップを行くonsemiと、スマートフォン用のイメージセンサでトップを行くソニーがデッドヒートを展開している。ソニーはイメージセンサ市場で50%近い圧倒的なシェアを持つが、車載用ではonsemiに一日の長がある(図1)。車載ビジネスに注力するonsemiの戦略を紹介する。

onsemi 車載用イメージセンサのリーダー / onsemi

図1 onsemiは車載用イメージセンサに強い 出典: onsemi


インテリジェントセンシング技術と、アクチュエータを動かすインテリジェントパワー半導体の二つを基本戦略とするonsemiがこのほど都内で記者会見を開いた。センサとパワーは産業機器と自動車で威力を発揮する。特に「重要な産業を持続可能にすること」に注力する。例えば流通関係では倉庫でのロボットなどにセンサやアクチュエータを駆動するパワートランジスタが欠かせない。センサで状況を把握し、パワー半導体で状況に応じてロボットやクルマを動かすのである。

インテリジェントセンサでは、ダイナミックレンジ150dBと広いCMOSイメージセンサを開発、車載向けに必要な125°Cの高温でも120dBは確保できるという。産業用では放送局レベルの8K対応というフルHDの16倍の解像度を持つカメラ用のセンサ「XGS4500」を放送機材や映像制作のアストロデザインに納入している。グローバルシャッタ採用で60フレーム/秒のカメラは、時速100kmの列車内からも物体を検出できるとしている。

一方、イメージセンサ売り上げで世界トップのソニーは、ダイナミックレンジの広さに加え、LEDフリッカー(ちらつき)にも対応できるイメージセンサを開発している。例えば信号機と、もっと画面の広いデジタルサイネージ用ディスプレイを同時に見るような場合、ディスプレイ用LEDバックライトではLEDストリングを点灯させるタイミング(周波数)が異なるため、信号機のフリッカーを抑えても大型ディスプレイのLEDフリッカーが抑えられないことがある。両方のフリッカーを抑えながらダイナミックレンジを広げるために、1画素内に大きな画素と小さな画素を設け、明るい所では小さな画素を使いくらい所では大きな画素を使うことでフレームを最適な周波数で重ねることで、ダイナミックレンジの広さとフリッカー対策を両立させた。

イメージセンサだけではなくonsemiは、LiDAR向けのd-ToFセンサを2019年に開発し、クルマ用に使用しているという。このほど産業用に近距離の物体の深さ情報を検出するi-ToFセンサを開発した。深さ情報を色塗りして識別する深度処理プロセッサを搭載した(図2)。


スマートiToFによる3Dセンシングの産業用途への応用 / onsemi

図2 新開発の産業向けの近距離画像の深さを測るi-ToFセンサ 出典:onsemi


Onsemiは、新潟にある旧三洋電機半導体工場を買収して製品を生産していたが、今年になり工場を売り出すことを表明していた。しかし買い手がつかず少なくとも10月25日時点では生産を続けていた。ところが、11月1日の日本経済新聞は、日本政策投資銀行や伊藤忠商事が出資するファンドのマーキュリアホールディングスが産業創成アドバイザリー、福岡キャピタルパートナーズと組んで新潟工場を買収すると報じた。買収額と設備投資を合わせて200億円を投じ、新潟工場を受託製造のファウンドリに変えるという。今後、日本の老朽化する工場をファンドが買い上げて再生するという動きが出てくるかもしれない。

(2022/11/02)
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