AI戦略:Nvidiaの連携拡大、中国の自立牽引化、インドの第三極主導
AI(人工知能)戦略を巡る世界、米中そして各社の取り組みが流動的で、半導体の視点でも目が離せないこのところである。現時点の情勢の注目として、まずAI半導体を引っ張るNvidiaがあり、Metaとの大型チップ契約が締結される一方、OpenAIへの巨額投資の計画の雲行き不調が伝えられている。次に中国であり、半導体およびAI分野の自給自足、自立化に向けた活発な動きが目立ってきており、米国に一層の警戒感を引き起こす可能性である。そしてインドのAI戦略関連の国を挙げた取り組みのプレゼンが、今週New Delhiで開催のAI Impact Summitにてあらわされている。先行きの見定めに難題含みのAIブームの中のそれぞれの関連する動き&内容を以下取り出している。
≪それぞれの高みを目指して≫
AIブームの世界、米中など、全体的な動き関連が、以下の通りである。
◇The Tech Download: Can hyperscalers justify their huge AI capex? (2月13日付け CNBC)
→1)*AIブームの中、ハイパースケーラーは今年の設備投資計画が$700 billionに達する可能性があると発表した。
*投資家が資金回収のタイムラインについて考え始めたため、市場の不確実性は高まった。
*多くのアナリストは依然としてハイパースケーラー株に強気だ。
2)テクノロジー大手はAI関連の支出を急増させており、Amazon、Microsoft、Meta、およびAlphabetは今年、データセンターに最大$700 billionを投資する予定だ。投資家がリターン、バランスシートリスク、そして不透明な回収スケジュールに疑問を抱き、市場の不安が高まっている。
◇The U.S. and China Are Pursuing Different AI Futures ―It’s not an arms race if each country wants different things (2月19日付け IEEE Spectrum)
→米中間の軍拡競争の高まりを受け、世界のAI投資は今年$700 billionに達すると見込まれている。しかし、専門家によると、米国はAGI(汎用人工知能)のブレークスルーを目標としているのに対し、中国は生産性、産業成長、そして経済の安定を促進するためにAIを活用することを優先している。
◇Opinion | US and China can again find common ground - in AI’s risks (2月19日付け South China Morning Post)
→1)1972年に北京とワシントンが共通の脅威に対処するために会談できたように、今日のリーダーたちはAIのルールを策定するために協力できる。
2)チューリッヒで開催されたAsia Leaders Seriesでは、講演者たちが米中対立を再構築し、従来の安全保障上の脅威ではなく、人工知能が共通のグローバルなリスクと機会の両方になり得ると主張した。参加者は、AIガバナンス、エネルギー利用および安全基準に関する協力を強く求めた。
◇US Plans Peace Corps Revamp to Gain Edge in AI Over China (2月20日付け Bloomberg)
→トランプ政権は、数千人の理科・数学専攻の米国人卒業生を海外に派遣し、諸外国の米国技術への依存度を高め、中国製競合製品の世界的な採用を減らすことを目的とした、新たな平和部隊構想を計画していると、米国当局者が明らかにした。「Tech Corps」と呼ばれるこのプログラムは、今後5年間で最大5,000人の米国人ボランティアとアドバイザーを平和部隊のパートナー諸国に派遣する予定だ。
IT&半導体大手で今週目立ったのが、Nvidiaであり、Metaとの大型チップ契約締結がまずある一方、OpenAIへの投資が不透明になっている。
◇GPU who? Meta to deploy Nvidia CPUs at large scale―Meta to use Nvidia Grace, Vera CPUs for AI workloads―CPU adoption is part of deeper partnership between the Social Network and Nvidia which will see millions of GPUs deployed over next few years (2月17日付け The Register (UK))
→Metaは、NVIDIAのスタンドアロンCPUsを大規模に導入した最初のハイパースケーラーの1社となり、データセンター内の汎用AIワークロードおよびエージェントAIワークロード向けのCPUのみのシステムにGraceプロセッサを活用している。Metaは、来年からNVIDIAの次期Vera CPUsを導入する予定である。この複数年にわたるパートナーシップには、NVIDIA Spectrum-X Ethernetスイッチの使用も含まれており、MetaのAIインフラストラクチャのより広範な拡張の一環である。
◇Meta expands Nvidia deal to use millions of AI chips in data center build-out, including standalone CPUs (2月17日付け CNBC)
→1)*Metaは、NVIDIAと大型のチップ契約を締結した。この契約には、新型スタンドアロンCPUs、次世代GPUs、そしてVera Rubinラックスケールシステムが含まれている。
*ソーシャルメディア界の巨人であるMetaは、ネットワーク技術とWhatsAppのAI機能のサポートにもNVIDIAを採用する予定である。
*MetaとNVIDIAは長年にわたる提携関係にあるが、Metaは自社製シリコンも使用し、AMDのチップにも依存しており、GoogleのTPUsの採用も検討していると報じられている。
2)Meta Platformsは、Grace CPUsや次世代Vera Rubinシステムなど、NVIDIA製の数百万個のチップを導入し、AIデータセンターの拡張にあたる。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、この動きはMetaのパーソナル・スーパーインテリジェンスを世界中で実現するという取り組みを加速させ、両社の株価を押し上げると述べた。
3)Meta Platformsは、数十億ドル規模の契約に基づき、スタンドアロンのGrace CPUsや次世代Vera Rubinシステムを含む数百万個のNVIDIAチップを自社のAIデータセンターに導入する。このパートナーシップの拡大により、MetaのAIへの取り組みが加速し、2028年まで重要なインフラのセキュリティを確保する。
◇Meta will deploy standalone Nvidia Grace CPUs in production, with Vera to follow - company sees perf-per-watt improvements of up to 2X in some CPU workloads―Nvidia lands a big win in its ambitions to become a CPU vendor (2月18日付け Tom's Hardware)
→Nvidia は、Vera Rubin NVL72ラックスケールシステムの一部としてVeraデータセンターCPUs を販売するだけでなく、スタンドアロンのデータセンターCPUベンダーになるという野望を表明しており、ハイパースケールの巨人Metaとの新たな提携はその計画に向けた大きな一歩となる。
◇Meta deepens Nvidia ties with chip pledge (2月19日付け Taipei Times)
→Meta Platformsは、NVIDIA社製のプロセッサを数百万個導入し、AI分野でのパートナーシップを拡大する。MetaはNVIDIA社のGrace CPUsと、今後発売予定のBlackwellおよびVera Rubinプラットフォームを採用することで、競争の激化とMetaのチップ市場への野心にもかかわらず、NVIDIA社の優位性を強化する。
◇NVIDIA、OpenAIへの15兆円投資確約せず 1社集中にリスク (2月21日付け 日経 電子版 06:06)
→米エヌビディアが米オープンAIへの投資計画を修正することが20日、明らかになった。2025年に表明した最大1000億ドル(約15兆円)の投資は確約しない見通しだ。オープンAIの競合企業が次々と台頭する中、長期的に1社に集中投資すると現時点で決めるのはリスクが高いと判断したとみられる。
米国の規制を受ける中、AIについても自立牽引化を図る中国の活発な取り組みが相次いでいる。
◇SMIC says rushed AI chip capacity could end up idle (2月12日付け Taipei Times)
→中国最大手の半導体メーカー、SMICは、AI関連需要の高まりにより、データセンター建設が需要を何年も先取りし、未活用の用地がリスクにさらされていると警告している。国内外のテクノロジー大手による巨額投資によりメモリ供給が逼迫する中、SMICは$173 millionの利益を計上し、設備投資を増額した。
◇China moves deeper into liquid cooling as AI data centres push their thermal limits (2月15日付け South China Morning Post)
→1)ハイパースケーラーがデータセンターインフラを拡大する中、中国メーカーは液冷技術への積極的な取り組みを進めている。
2)AIデータセンターの電力密度向上に伴い、中国のテクノロジーサプライチェーンは液冷への投資を加速させている。Envicool、SanhuaおよびLansiといった企業は、急増する需要に対応するために急速に事業を拡大し、エネルギー効率を向上させ、全国規模の次世代AIインフラを支えている。
3)AIデータセンターの需要が空冷システムを上回る中、中国は液冷システムへの投資を拡大している。SanhuaとEnvicoolは生産能力を拡大し、NVIDIAの高性能AIチップが需要を牽引する中、液冷は次世代AIサーバーの基盤となるであろう。
◇China’s tech shock threatens the U.S. AI monopoly and is ‘just getting started’ (2月16日付け CNBC)
→1)*中国のテクノロジーショックは、AIにおける米国の独占を脅かしており、「バリューチェーンの上位に急速に進出している」と、あるアナリストが月曜16日にCNBCに語った。
*TS Lombardの中国担当チーフエコノミスト、Rory Green氏は、5年から10年以内に世界の大半が「中国の技術スタック」で稼働するようになる可能性があると警告した。
*中国は、自国製チップ上で高度なモデルを開発しており、AI開発競争において西側諸国との急速な追い上げを見せている。
2)TSロンバードのエコノミスト、ロリー・グリーン氏は、中国は米国とのAI格差を急速に縮めており、米国が技術面で独占しているという認識を打ち破っていると警告する。政府資金、ファーウェイ製チップ、そして低コスト生産を背景に、中国は世界的なテクノロジー圏を構築し、米国の優位性に挑戦する可能性がある。
◇[News] Rising Costs and Demand Drive China’s LLM Price Jump: Zhipu GLM-5 Hikes 30% in First 2026 Increase (2月16日付け TrendForce)
→春節(旧正月)が近づくにつれ、中国のAI市場がヒートアップしている。
Zhipu AIはGLM-5を海外展開し、コーディングプランの価格を30%〜100%引き上げた。これは、2026年のLLM価格の大幅な値上げとしては初となる。需要の高まり、コンピューティングコストの高騰、そしてDeepSeek V4のイノベーションは、AI競争の新たな波を予感させる。
◇Research Bits: Feb. 17―Analog layout foundation model; carbon nanotube sandpaper; low-power optical amplifier. (2月17日付け Semiconductor Engineering)
→中国のメモリ大手、GigaDevice SemiconductorおよびMontage Technologyは、世界的なメモリのスーパーサイクルに乗って急上昇し、香港上場後に株価が上昇した。米国で研修を受けたエンジニアによって設立された両上海企業は、中国の半導体自給自足と国産イノベーションへの取り組みを浮き彫りにしている。
◇How China’s GigaDevice and Montage earned a place in the memory chip market (2月17日付け South China Morning Post)
→*ギガデバイスとモンタージュは半導体分野でニッチな地位を確立し、世界的なメモリのスーパーサイクルが両社の業績をさらに押し上げている。
*中国のメモリ大手、GigaDevice SemiconductorとMontage Technologyは、世界的なメモリのスーパーサイクルに乗り、香港上場後に株価を押し上げた。米国で研修を受けたエンジニアによって設立された両社は、中国が半導体の自給自足と国内イノベーションを推進していることを象徴している。
◇How China Struggles to Reach WFE Self-Sufficiency (2月18日付け EE Times)
→1)*SMICは調達した装置の導入に遅れが生じており、中国国内のWFE(ウェーハ製造装置)開発における課題が浮き彫りになっている。
*昨年末、ロイター通信の報道によると、中国は国内半導体メーカーに対し、新規ファブ建設時にwafer fabrication equipment(WFE)の少なくとも50%を国内ベンダーから調達することを義務付ける政策をひそかに導入したという。中国はファブ装置の自給自足には程遠い状況にあることを考えると、これは驚くべき義務付けと言える。しかし、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)が調達した一部の外国製装置が制裁措置により稼働していないことを考えると、この義務付けには一定のメリットがあるかもしれない。
重要な問題は、中国がこのような措置の下でWFE産業を本当に加速させ、欧米のライバル企業に追いつくことができるかどうかである。
2)中国は、制裁措置が続く中、新規半導体工場に対し、ウエハ製造装置の少なくとも50%を国内サプライヤーから調達することを非公式に義務付け、自給自足を加速させている。国内企業は成膜装置やエッチング装置でシェアを伸ばしているものの、多額の投資にもかかわらず、リソグラフィーは依然として大きなボトルネックとなっている。
◇アリババ、AI最新モデル 「Qwen3.5」、201言語対応 (2月18日付け 日経)
→中国ネット通販最大手のアリババ集団は16日、生成AIの基盤モデル「通義千問(Qwen)3.5」シリーズを公開したと発表した。性能とコストを改善した。中国では春節に合わせて最新モデルの公開が相次いでいる。
◇Chinese tech companies progress ‘remarkable,’ OpenAI’s Altman tells CNBC (2月19日付け CNBC)
→1)*OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏はCNBCに対し、中国のテクノロジー企業の進歩は「驚くほど速い」と語った。
*アルトマン氏の発言は、中国がAGIの開発と社会への普及をめぐって米国と競争する中でなされた。
*アルトマン氏はまた、OpenAIが収益源の開拓を目指し、ChatGPT内で「Instagramスタイル」の広告展開を検討する可能性もあると述べた。
2)中国が米国とのAGI競争を激化させる中、アルトマン氏は中国のテクノロジー企業の急速なAI進歩を称賛した。OpenAIは、ChatGPTにおける積極的な成長、資金調達、そして米国での広告テストを推進する一方で、政府支援を受ける中国の競合企業を注視している。
そして、グローバルサウス牽引、第三極主導を狙うインドであるが、AI関連のイベントを中心に、国を挙げたAIおよび半導体への取り組みが以下の通りあらわされている。
◇India Eyes Making Advanced Chips to Expand Its Tech Industry (2月14日付け Bloomberg)
→インドは数年以内に先進的な半導体を生産することを目指しており、ハイテク製造業の経済拡大への野心を強調している。連邦技術大臣のAshwini Vaishnaw氏は、Times Group主催の土曜14日のグローバル・ビジネス・サミットで、28ナノメートルのチップ生産から2ナノメートルへの移行を目指していると述べた。「これは非常に慎重な道のりであり、性急に何かを行うつもりはない。」
◇インド、世界のAI計算基地へ 米テックがデータセンター投資10兆円 (2月16日付け 日経 電子版 05:00)
→インドでAI向けのデータセンター建設ラッシュが始まった。米グーグルや米アマゾン・ドット・コムなどテック大手のインドへの投資計画は計10兆円にのぼる。同国のデータセンター市場規模は2027年にも日本を超える見通しだ。豊富なIT人材を強みとして米中の技術に依存しない「AI第三極」を目指す。
◇India to Add 20,000 GPUs as AI Mission 2.0 Expands Compute and Chip Push (2月17日付け EE Times)
→1)*インドはAIミッション2.0に基づき、GPUsを2万台追加し、AIの戦力を増強する。
*2026年2月17日、ニューデリーで開催されたIndia AI Impact Summitにおいて、Ashwini Vaishnaw電子情報技術大臣は、インドはAIミッション2.0に基づき、今後数週間でGPUsを2万台追加し、AIコンピューティング能力を3万8000台以上に拡大すると述べた。
2)ニューデリーで開催されたインドAIインパクトサミットで、アシュウィニ・ヴァイシュナウ氏は、インドがAIミッション2.0の下、20,000台のGPUsを加えて3万8000台強のcapacityに増強し、研究開発とスタートアップ企業を育成するとともに、米国との技術貿易協力を推進すると発表した。
3)ニューデリーで開催されたインドAIインパクトサミットで、アシュウィニ・ヴァイシュナウ氏は、AI ミッション2.0の下で20,000台のGPUsを追加し、補助金付きのコンピューティングを38,000台以上に拡大し、チップ設計をAIの目標と一致させ、国内のイノベーションと技術の自立性を高めるための投資を加速する計画を発表した。
◇India’s Adani to invest $100 billion in AI data centers over the next decade (2月17日付け CNBC)
→1)*インドのアダニは、今後10年間で$100 billionを投資し、AI対応のハイパースケールデータセンターを開発する計画を明らかにした。
*この大型投資は、インドが世界のAI競争でより強固な地位を確立しようとしている中で行われる。
*アダニは、同社のAIビジョンは、AdaniConnexが既に保有する2ギガワットの国立データセンターと、グーグルとの戦略的パートナーシップを基盤としていると述べた。
2)アダニ・グループは、2035年までに再生可能エネルギーを活用したAI対応データセンターを建設するために$100 billionを投資し、世界最大の統合プラットフォームの構築を目指すと発表した。この動きは、$250 billion規模のAIエコシステムを生み出し、世界の人工知能競争におけるインドの役割を加速させる可能性がある。
◇Qualcomm commits up to US$150 million to back AI startups in India ―Qualcomm to invest $150M in Indian AI startups (2月18日付け DigiTimes)
→米国を拠点とするクアルコムは、AIに特化した新たなファンドを通じてインドの新興企業に最大$150 millionを投資する計画で、世界で最も急速に成長しているテクノロジー市場の一つであるインドで、デバイス上およびセクター固有の人工知能を拡大するという戦略を強調している。
◇AMD partners with TCS on AI tech (2月18日付け Taipei Times)
→AMD社はTata Consultancy Services Ltと提携し、インドでAIデータセンター技術を展開し、Nvidia社に対抗している。Anthropic PBCおよびInfosys Ltdは業界固有のAIソリューションを開発しており、拡大するインドのAI市場での競争が激化している。
◇Nvidia touts India deals at AI summit (2月19日付け Taipei Times)
→1)AIインパクトサミット:NVIDIAは、$2bnの投資の一環として、インド最大のギガワット規模のAI工場を建設し、最先端プロセッサを導入するため、現地パートナーと協力する計画である。
2)ニューデリーで開催されたAIインパクトサミットにおいて、NVIDIAはLarsen & Toubro社をはじめとするインド企業と、大規模AIインフラの構築に向けた主要な提携を発表した。Narendra Modi首相がインドを世界のAIハブとして推進する中、ガバナンス上の懸念にもかかわらず、企業各社は数十億ドル規模の投資を約束した。
◇米アンソロピックのAI、インドIT大手にも脅威 人手依存の業務見直し (2月19日付け 日経)
→米AI開発のアンソロピックのAIサービスがインドのIT(情報技術)産業を脅かしている。タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)などインドIT大手は海外からソフトウエア開発などを請け負い成長してきたが、人手に頼る事業モデルにAIが転換を迫る可能性がある。
◇握手拒んだOpenAIとアンソロピック モディ首相も溝埋められず (2月20日付け 日経 電子版 05:36)
→AIで競争を繰り広げる米テクノロジー企業がインドのAIイベントに集結した。会場では開発を主導しライバル関係にある米オープンAIと米アンソロピックのトップが握手を拒む一幕があった。人材確保や市場として存在感を増すインドに米テックが呉越同舟で近づく姿が浮き彫りになった。
◇インド、AI「第三極」主導 サウスで連携――グーグルCEO「インドはAIで格差超える」 母国での投資拡大強調 (2月20日付け 日経)
→米グーグルは18日、インドで開催中の「AIインパクトサミット」に合わせて事業説明会を開いた。南部チェンナイで育ったスンダー・ピチャイCEOは「AIは格差を飛び越え、新たな機会を生み出すチャンスをインドにもたらす」と語り、母国での投資拡大を強調した。
◇インド、AI「第三極」主導 サウスで連携 2000億ドル投資 豊富な人材・IT地盤、米中覇権に挑戦 (2月20日付け 日経)
→インドで開催中のAIの国際会議「AIインパクトサミット」で19日、同国のモディ首相が演説し「AIの民主化が不可欠だ」と語った。AI開発を米中がリードする中、世界人口の約7割を占めるとされるグローバルサウス諸国の意向を反映した「第三の極」のAI開発に向け、主導的な役割を目指す。
◇India joins US-led Pax Silica, deepening tech and semiconductor alignment―India officially joins US-led Pax Silica coalition (2月20日付け DigiTimes)
→2月19日、インドはIndia AI Impact Summit 2026で米国主導のPax Silica coalition(パックスシリカ連合)に正式に参加し、半導体、重要鉱物、およびAIサプライチェーンに関してワシントンとのより緊密な戦略的協力を示した。
中東のカタールにおいても、AIはじめ先端技術への取り組みである。
◇Qatar’s Deep Tech Ambitions Come Into Focus (2月13日付け EE Times)
→1)*国家資本はテクノロジースタックの隅々まで投資されている
*カタールは、AI、量子コンピューティング、および半導体への大規模な投資により、ディープテックにおける優位性を加速させている。
*カタールは他のGCC諸国と同様に、国家資本と長期的な技術戦略を組み合わせることで、半導体、AI、および量子コンピューティング分野での地位を確立しようとしている。カタールは、政府系ファンドであるQIAを通じて、テクノロジースタックの隅々まで積極的に投資を行っているが、ディープテック産業は人材から始まるという点も理解している。
2)カタールは、政府系ファンドであるQIAを活用し、AI、半導体、および量子コンピューティング分野に積極的に投資している。スタートアップ企業、研究開発センター、そして人材育成への資金提供を通じて、ディープテック・エコシステムを構築し、世界をリードする地位を確立することを目指している。
世界的な規律、規範の必要性が謳われるなか、AIブームの熱気に覆われる様相の現時点であり、主に半導体の視点からではあるが、引き続き各国、各社の動き&推移に注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□2月16日(月)
東南アジアにおいて、経済成長率の明暗があらわれている。
◇タイ成長率2.4%で「アジアの病人」に 25年、東南アジアで最低続く (日経 電子版 16:37)
→タイが16日に発表した2025年の実質国内総生産(GDP)は前年比2.4%増で、東南アジア主要6カ国で最低だった。主力の観光業が低迷した。8日に下院総選挙を実施したが政権発足までに時間がかかり、成長の足を引っ張りかねない。
◇東南アジア3カ国で成長加速 25年GDP、内需堅調 (共同通信)
→東南アジア主要6カ国の2025年のGDP成長率が16日出そろい、インドネシアとマレーシア、ベトナムが前年の伸び率を上回った。輸出や内需が堅調で、成長が加速した。ほかの3カ国もプラス成長を維持したものの、フィリピンが国内情勢の影響で勢いが鈍るなど明暗が分かれた。
□2月18日(水)
月曜が休日で4日の取引、中東情勢、そして締めには相互関税違憲判断があっての上下模様、今週の米国株式市場である。
◇NYダウ小幅続伸、中東の地政学リスク後退で ナスダックも反発 (日経 電子版 06:19)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、終値は前週末比32ドル26セント(0.06%)高の4万9533ドル19セントだった。米国とイランの核問題に関する協議が進展しているとの観測が投資家心理を支えた。金融株の上昇が目立った。
□2月19日(木)
◇NYダウ、続伸し129ドル高 NVIDIAやアマゾンに買い (日経 電子版 06:20)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、終値は前日比129ドル47セント(0.26%)高の4万9662ドル66セントだった。エヌビディアやアマゾン・ドット・コムといった巨大ハイテク株に買いが入った。金融株などの上昇も指数を支えた。
□2月20日(金)
◇NYダウは反落し267ドル安 中東リスク警戒、金融株安も重荷 (日経 電子版 06:24)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落した。終値は前日比267ドル50セント(0.53%)安の4万9395ドル16セントだった。核協議などを巡って米国とイランの関係が緊迫し、中東の地政学リスク警戒が重荷となった。金融株も売られ、ダウ平均は一時400ドルあまり下げた。
週末の米国最高裁判所の相互関税違憲判断の関連が、以下の通りである。
トランプ大統領の反応も見られているが、今後の成り行きに注目である。
◇Supreme Court Strikes Down Trump’s Tariff Regime (EET)
→*最高裁判所は、関税に関する行政府の権限の濫用を阻止し、サプライチェーンの再構築を迫るとともに、数十億ドルに上る還付金をめぐる財政危機を引き起こした。
*本日、米国最高裁判所は、ドナルド・トランプ大統領の保護主義的な経済政策を強く否定し、行政府には連邦政府の緊急事態権限に基づき広範な世界的な関税を課す権限がないとの判決を下した。
◇Trump’s Global Tariffs Struck Down by US Supreme Court―SCOTUS rules against Trump's tariffs (Bloomberg)
→米国最高裁判所は、6対3の判決で、国際緊急経済権限法(IEPA)は「大統領に関税を課す権限を与えていない」と判断した。この判決は、ドナルド・トランプ大統領がほぼ全ての国に課している関税、特に相互関税と指定された関税や麻薬密売疑惑に関連する関税に影響を及ぼす。この判決は、連邦貿易裁判所および連邦控訴裁判所による関税に対する判決を支持するものである。
□2月21日(土)
◇トランプ相互関税は違憲 米最高裁が判決、還付は明示せず (日経 電子版 01:08)
→トランプ関税の合憲性が争われた訴訟で米連邦最高裁は20日、相互関税など一連の関税を課す権限はトランプ米大統領にはないとする判決を出した。米憲法では関税を課す権限を連邦議会に与えていることを重視した。政権は看板政策の修正を余儀なくされ、企業の事業戦略にも影響を与える可能性が高い。
◇関税判決でNYダウ230ドル高、欧州株は輸出期待 財政不安で国債売り (日経 電子版 07:45)
→米連邦最高裁がトランプ政権の相互関税を違憲と判断したことを受け、20日の米株式相場でダウ工業株30種平均は4万9625ドルと前日比230ドル(0.47%)上昇した。判決後、米政権は別の法律を根拠に関税を課す方針を示した。市場では輸入企業の負担が減る可能性があるとして、幅広い銘柄に買いが入った。
≪市場実態PickUp≫
【ISSCC 2026】
かつては半導体のオリンピックと称されていたISSCC、今年は2月15日〜19日、San Franciscoでの開催。以下目に入ってきた範囲から。
◇Imec showcases 7-bit, 175GS/s ADC with record-small footprint at ISSCC 2026―Imec unveils 7-bit ADC with a record-small footprint (2月17日付け New Electronics (UK))
→1)Imecは、175GS/s(Giga Sample/秒)のサンプリング速度を実現する7ビットA/Dコンバータ(ADC)を発表した。業界最速クラスの速度と、記録的な小型250×250μm2のコアを組み合わせた。
2)Imecは、250×250μmのコアサイズを特徴とし、175GS/sのサンプリング速度を実現する7ビットA/Dコンバータを発表した。IEEE国際固体回路会議(IEEE International Solid-State Circuits Conference)で発表されたこのADCは、5ナノメートルFinFET技術を採用し、変換エネルギーを低減するとともに、歪みを低減し、信号品質を維持する特許取得済みの技術を採用している。
◇Renesas unveils 3nm TCAM technology designed for high density and low power―Renesas debuts 3nm ternary content-addressable memory (2月18日付け New Electronics)
→1)ルネサス エレクトロニクスは、3nm FinFETプロセスを採用した新しいternary content-addressable memory(TCAM:3値連想メモリ)技術を発表した。
2)ルネサス エレクトロニクスは、3nm FinFETプロセスをベースとした3値連想メモリ技術を発表した。この技術は、車載システムやデータ集約型システムにおいて、メモリ密度の向上、消費電力の低減、そして機能安全性の向上を実現する。この技術は、細粒度(finely grained)ハードマクロと自動ソフトマクロ生成機能を備え、5.27メガビット/平方ミリメートルのメモリ密度を実現する。
◇CEA Demonstrates First Dynamically Routed Electro-Optical Router for Photonic Interposers (2月18日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→CEA-ListとCEA-Letiの研究者は本日、ISSCCで、CMOS制御ロジックを統合した動的なフレーム レベルの光ルーティングを備えた初の電気光ルーターを発表した。これは、高度なチップレット ベースのパッケージ内での光ネットワークの実用化に向けた大きな一歩となる。
彼らの論文「A 3.19pJ/bit Electro-Optical Router with 18ns Setup Frame-Level Routing and 1-6 Wavelength Flexible Link Capacity for Photonic Interposers」は、フォトニックインターポーザー上に28nm CMOSで実装され、18ナノ秒で光パスを確立できる電気光ルーターを実証している。
【EUV露光装置関連】
High-NA EUVに対する積極、消極の二極化、そしてEUV装置の我が国への相次ぐ導入、と以下の通りである。
◇[News] ASML’s High-NA EUV for 2027-28: Which Giants Are Betting Big-Intel, Samsung, SK hynix or TSMC? (2月16日付け TrendForce)
→インテル、サムスン、およびSKハイニックスが1.4nmプロセスに向けて競争を繰り広げる中、2027〜2028年生産分にはASMLの高開口数EUVを採用する計画が相次いでいる。一方、TSMCは高価な装置を投入せず、次世代チップ戦略における二極化を浮き彫りにしている。
◇AI半導体に欠かせぬ「EUV露光装置」、国内導入相次ぐ ラピダスは2台目―サーチライト (2月16日付け 日経 電子版 05:00)
→最先端半導体の量産に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装置の国内導入が相次いでいる。1台300億円以上の高価な装置だが、2025年は3台が設置された。先端半導体の開発から撤退していた日本は「EUV不毛の地」となったが、国の政策支援により産業復活に向けた基盤が整い始めた。
◇先端露光装置、輸入相次ぐ AI半導体量産に不可欠 1台300億円超の「EUV」 (2月17日付け 日経)
→最先端半導体の量産に欠かせないEUV露光装置の国内導入が相次いでいる。1台300億円以上と高価だが、2025年は3台が設置された。先端半導体の開発から撤退していた日本は「EUV不毛の地」となったが、国の支援により産業復活に向けた基盤が整い始めた。世界で唯一EUVを手がけるオランダのASMLホールディングが1月末に発表した25年12月期決算で、露光装置全体の販売額に占める日本向けの伸びが注目を集めた。約12億ドル(約1900億円)と前の期比4割増。伸び率では台湾や韓国を上回り首位だった。地域別の比率は5%と、20年以降で最高となった。
【GlobalFoundriesとルネサスの戦略的提携】
米国における半導体生産の増強を目的とした両社の契約が締結され、業界各紙の取り上げである。
◇GlobalFoundries and Renesas Expand Partnership to Accelerate U.S. Semiconductor Manufacturing―Multi-billion-dollar collaboration strengthens supply chain resiliency and supports growing demand for chips powering smart vehicles and next-generation industrial systems (2月16日付け Investing News Network)
→GlobalFoundriesとルネサス エレクトロニクス株式会社は、数十億ドル規模の製造契約を締結し、戦略的提携を深めた。これにより、ルネサスのGF技術へのアクセスが拡大し、米国、欧州、アジア全域における自動車および産業用チップの生産の強靭性が強化される。
◇GlobalFoundries and Renesas expand partnership for U.S. chip manufacturing―GlobalFoundries, Renesas team up to boost US chip output (2月17日付け EeNews Europe Analog)
→GlobalFoundriesとルネサスは、米国における半導体生産の増強を目的とした数十億ドル規模の契約を締結し、パートナーシップを拡大する。この契約により、ルネサスはGlobalFoundriesのプロセス技術(完全空乏型SOI[FD-SOI]や相補型金属酸化膜半導体[CMOS]など)へのアクセスを拡大し、自動車および産業用半導体の需要に対応できるようになる。また、この提携は、スマートカーや産業オートメーションの需要が高まる中で、サプライチェーンのレジリエンス(回復力)の重要性を浮き彫りにしている。
◇Inside the Deal to Secure US Semiconductor Supply Chains (2月17日付け Supply Chain Digital)
→GlobalFoundriesとルネサス エレクトロニクスは、米国および海外における半導体サプライチェーンのセキュリティ確保のため、数十億ドル規模のパートナーシップを拡大した。
スマートカーや自動化工場の需要が高まる中、サプライチェーンのレジリエンスは世界のエレクトロニクス業界にとって最優先事項となっている。
◇GlobalFoundries and Renesas Expand Partnership to Accelerate U.S. Semiconductor Manufacturing (2月17日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→GlobalFoundries社とルネサス エレクトロニクス株式会社は本日、数十億ドル規模の製造パートナーシップを通じて戦略的協業を拡大することを発表した。これにより、ルネサスはGlobalFoundries社の差別化された技術プラットフォームを含むGlobalFoundries社の技術へのアクセスを拡大する。この契約は、安全で強靭なサプライチェーンへの共通のコミットメントを反映し、経済と国家安全保障のための国内半導体生産強化という米国の優先事項にも合致している。
◇ルネサス、米社と次世代車半導体 (2月18日付け 日経)
→ルネサスエレクトロニクスと半導体の受託生産を手掛ける米グローバルファウンドリーズは17日、次世代車向けの半導体を共同で製造すると発表した。GFはマイコン向けに低消費電力の製造技術を提供する。
将来的にはルネサスの国内工場への技術移管も検討する。
【HBM(高帯域メモリ)関連】
新仕様のHBM4、そしてさらに次を見据えた取り組み、とAIを支えるHBMの展開に引き続き注目である。
◇[News] NVIDIA May Relax HBM4 Specs as Samsung and SK hynix Reportedly Face Capacity, Yield Limits (2月13日付け TrendForce)
→サムスンがSKハイニックスとマイクロンを僅差で追い抜き、HBM4の競争が激化している。しかし、供給はNVIDIAの調達戦略に左右される。歩留まりの限界と供給能力の逼迫により、11.7Gbpsの目標と下位層の製品とのバランスを取らざるを得なくなる可能性があるからだ。
◇Samsung starts mass production of next-gen AI chips (2月13日付け Taipei Times)
→サムスン電子は、AIデータセンターの需要に応えるため、業界標準を40%上回る速度を誇る次世代HBM4メモリチップの量産を開始した。同社は、NVIDIAを主要顧客として見込んでおり、早期に市場リーダーシップを獲得することを目指している。
◇HBM4 and SPHBM4: Scaling Memory Bandwidth for AI and HPC―HBM4, SPHBM4 address AI, HPC memory bandwidth needs (2月18日付け Electronic Design)
→1)JEDECのHBM4規格と、新たに登場したSPHBM4規格は、帯域幅を向上させ、パッケージングオプションを拡充することで、AIおよびHPCシステムがメモリとI/Oの壁を乗り越えるのに役立つ。
2)JEDEC HBM4規格と、新たに登場したStandard Package High Bandwidth Memory 4は、AIおよび高性能コンピューティング(HPC)システムにおけるプロセッサ性能とメモリ帯域幅の拡大するギャップに対処する。HBM4は入出力接続数を2,048に倍増し、データレートを8ギガビット/秒に向上させる。一方、SPHBM4は有機基板上で同等の性能を提供する。
◇[News] Breaking HBM Barriers: Samsung’s zHBM vs. Intel’s Z-Angle Memory (2月18日付け TrendForce)
→HBMが熱限界に達する中、IntelとSamsung Electronicsは競合する3Dメモリ設計を発表した。Intelの対角ZAMは発熱と消費電力を削減し、SamsungのzHBMはGPUs上にメモリを積層することで帯域幅と効率を向上させ、従来のDRAMスケーリングに挑む。
【インテル関連】
先端SoC製品、上のHBMの項と重複するZ-Angle Memory、そして先端実装技術、と以下の通りである。
◇Intel Panther Lake Almost Matches Apple’s M5 Chip In An Elaborate Battery Test―Panther Lake chip nearly matches Apple M5 in battery test (2月16日付け Wccftech)
→18Aプロセスで製造されたIntelのPanther Lakeシステムオンチップ(SoC)は、バッテリーテストにおいてAppleのM5プロセッサとほぼ互角の性能を示した。M5 MacBook Proは40%、Asus ExpertBook Ultraは38%のバッテリー駆動時間を達成した。このテストは、Intelの刷新されたチップ製造技術の効率性を浮き彫りにしているが、M5はGeekbench 6のスコアやGPU OpenCLスコアなどのパフォーマンスベンチマークでは依然としてリードしている。
◇[News] Breaking HBM Barriers: Samsung’s zHBM vs. Intel’s Z-Angle Memory (2月18日付け TrendForce)
→HBMが熱限界に達する中、IntelとSamsung Electronicsは競合する3Dメモリ設計を発表した。Intelの対角ZAMは発熱と消費電力を削減し、SamsungのzHBMはGPUs上にメモリを積層することで帯域幅と効率を向上させ、従来のDRAMスケーリングに挑む。
◇インテル、先進後工程で反撃 AI半導体需要追い風―受託製造、TSMCに対抗 (2月18日付け 日刊工業)
→米インテルが反転ののろしを上げた。近年はCPUでのシェア低下や半導体受託製造(ファウンドリー)事業の苦戦など、事業不振が続いてきたが、AI半導体需要がこの流れを変える。カギはアドバンスドパッケージ(先進後工程)だ。ファウンドリー首位のTSMCを巻き返す。



