OSATなど半導体後工程企業の設備投資が1360億ドルになりそう
3月15日付けの日本経済新聞によると、台湾、中国、韓国、日本など半導体後工程を担う企業は2026年に合計1360億ドルを超える投資を予定しているという。前年比で25%以上増えることになりそうだ。また、Micron Technologyはインド西部のグジャラート州で半導体メモリの後工程での生産を始めた。日本でも日本OSAT連合会が熊本事務所の開設記念式典を開催した。
図1 台湾ASEの高雄工場新2棟の起工式 出典:Advanced Semiconductor Engineering, Inc.
後工程の投資状況を調査したのは、日経が発行する英字新聞Nikkei Asia。15日付けの日経に翻訳掲載されている。後工程を担うOSAT業界が設備投資に動くことから後工程の請負サービス料金は値上げされる方向になる。世界シェア70%に達したファウンドリTSMC傘下のVIS(Vanguard International Semiconductor:世界先進積体電路)が、AI向けのパワー半導体の需要が強いため、最近一部の顧客に対し、26年1〜3月期に約5%、4〜6月期にさらに10〜15%の値上げをすると通告したとしている。
設備投資は、半導体プロセス工程では盛んに増やしてきたが、半導体チップをケース内に封止するパッケージング工程(後工程)でも設備投資が計画されている。OSAT売上トップシェアの台湾ASE Technologyは2026年には過去最高の投資を計画しているという。ASEは、11日に高雄市にあるNanzih Technology Industrial Park IIIに新工場2棟の起工式を行った(図1)。投資額は178億台湾元(890億円)。28年の第2四半期に稼働する予定だ(参考資料1)。
後工程で設備投資が活発になってきた理由を、OSAT企業ランキングで5位(2024年実績)のPowertech Technologyの謝永達・執行長(社長に相当)は次のように語っている。「現在、一部のパッケージング会社はNvidiaなどのAI半導体大手からの注文で手いっぱいで中小顧客の多くからの受注を断らざるを得なくなっている」。つまり、需要が強いのに生産が間に合わないから設備を増やそうという訳だ。このためPowertechでは25年から、生産能力増強に向け、台湾にある既存のクリーンルーム施設を複数買収しているという。
メモリ需要も旺盛だ。AI演算に直接欠かせないDRAMは、HBM構成にして広いバンド幅と記憶容量の増大が強く求められているが、NANDフラッシュ(参考資料2)、さらにはNORフラッシュやPMICも需要が強い。NORフラッシュに関しては、台湾Winbond Electronicsの陳沛銘社長は、「当社はNvidiaのGB200サーバーラック1台あたりNOR型フラッシュメモリーが120個必要になる」と語っている。
また、DRAMはAI需要にメモリトップ3社がHBM(広バンド幅メモリ)で対応してきたため、AI以外の分野であるスマートフォンやパソコン用のLPDDRやDDRメモリの需要が不足してきている。台湾のDRAMメーカーNanya Technologyの李培瑛総経理(社長)は「より緊急に(DRAMを)必要としている分野は民生用電子機器と自動車関連だ」と指摘する。Nanyaの2026年2月の売上額は、前年同月比6.87倍の156億台湾元(780億円)と急増していることからもDRAM需要の高まりがわかる。
また、Micronのインド新工場は2月末に開設し。DRAMとNANDフラッシュのパッケージング工程を担う。インド政府は国内10カ所で半導体工場の新設を支援しており、施設が本格稼働するのは同社が初めてという。2026年中は数千万個のチップの組み立てなどを実施し、27年以降は数億個規模に拡大する。投資額は政府の補助金と合わせて計27億5000万ドル(約4340億円)に上るとしている。
日本OSAT連合会が熊本に開設した拠点は、産学連携を強化し、後工程の技術力向上を図る。2025年10月に開いた熊本事務所は、熊本大学の産学連携拠点「オープンイノベーションセンター(OIC)」内に設置されている。
参考資料
1. “ASE Breaks Ground on New High-Tech Facility in Kaohsiung, Investing NT$ 17.8 Billion to Meet AI Chip Demand”, ASE Press Room, (2026/03/11)
2. 「仰天!メモリ価格が2026年第1四半期に予想外の前期比倍増で過去最高の上昇率」、セミコンポータル、(2026/02/10)


