日本の半導体市場だけ8カ月間連続マイナス成長、シェアは4.4%に下落、歯止めかからず
世界半導体月間売上高はYoYで46%増と絶好調だが
米国半導体工業会(SIA)が発表した2026年1月の世界半導体月間売上高(3カ月移動平均値)は、前年同月比(YoY)46.1%増、前月比3.7%増の825億ドルに達した。1月は季節的閑散期にあたるにもかかわらず、売上が繁忙期の12月から増加し、幸先の良い出だしとなった。半導体産業は、AI需要の継続的な伸びにより本年も昨年以上の成長が期待されている。多くの半導体関係者は、以前、世界半導体年間売上高が2030年頃に1兆ドルに達すると見ていたが、今年にも実現しそうな勢いである。
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図1 過去21年間の世界半導体月間売上高(青線)と対前年同月比増減率(赤線)の変遷2026年1月は前年同月比46.1%増加しており急成長が継続している 出典:WSTSのデータを基にSIA作成
前年比、前月比ともにマイナス成長したのは日本だけ
2026年1月の売上高を地域・国別に見ると、アジア太平洋地域が前年同月比82.4%増、中国が47.0%増、米州が34.9%増、欧州が26.1%増と好調だったが、そんな中で日本だけ6.2%減少した。前月比では、中国が5.8%増、アジア太平洋地域が5.0%増、欧州が5.3%増、米州が1.2%増だったが、日本だけ1.7%減少した。前月比、前年同月比、そして、前4半期比ともにマイナス成長したのは日本市場だけである(表1参照)。世界的に半導体需要が急増する中で、日本は過去8カ月にわたりマイナス成長を続ける異常な事態に陥っている。
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表1 2026年1月の地域・国別月間売上高、市場シェア、前月比増減率、前年同月比増減率 赤字で示したように日本だけマイナス成長となっている 出典:WSTSデータを基に筆者作成
日本市場のシェアはついに4.4%にまで下落し歯止めかからず
毎月発表されるSIAの半導体売上高に関するプレスリリースでは、世界各地域・国別の売上高の前月比および前年同月比増減率しか言及していない。そこで、WSTSのデータを基に1月の各地域・国別売上高シェアを算出してみたところ、米州32.0%、アジア太平洋地域 29.7%、中国27.6%、欧州6.3%、日本4.4%だった。1年前(2025年1月)には、7%を超えていた日本市場のシェアは、単調減少を続けており、昨年12月にはついに5%を切り、今年1月には4.4%まで下落した。1980年代末に50%を超えていた日本市場シェアは、長年にわたり下落し続けており、いまだ歯止めがかかっていない。
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図2 2023年1月以降の世界半導体市場における日本市場シェア(%)の変遷 昨年凋落ペースが増しているのが気がかり 出典:WSTSのデータを基に筆者作成
多くのメディアは、SIAのプレスリリース通りに「世界半導体月間売上高は前年比46.1%増」で半導体産業の絶好調さを伝えているのみで、計算しないとわからないためか、日本の市場シェアが下落し続けているという厳しい現実を伝えていない。
モノづくりの復権や経済安保の観点からラピダス千歳工場やTSMC 熊本工場、Micron Technology広島工場への資本投資や巨額な政府補助金が大きな話題となっているが、国内の半導体需要は著しく減少し続け、半導体の使い手(半導体顧客)は減少し、半導体設計ツールの売上額も半導体設計者も減少傾向にある事実にもっと目を向けるべきだろう。為政者や半導体関係者は、ぜひこの事実に目を背けることなく迅速適切な対処が必要であろう。
日の丸半導体産業の過去30年以上に及ぶ凋落の反省から“How to make” から“What to make”へのマインドセットの転換が迫られているといわれて久しいが、“What to make” は相変わらず米国勢の独壇場である。
中国では、中央政府の方針で各大学に「集積回路学部」(中国語では「集成電路学院」、英語では「School of Integrated Circuits」)が誕生し、集中的に大量の半導体技術者・研究者の育成を行っている。その成果が、国際会議での採択論文急増や超一流論文誌への多数の独創的研究成果掲載といった形でも現れている。

図3 中国の代表的な大学の「強国の芯」となる集積回路学部の例:(上)清華大学、(下)北京大学 出典:各大学ウェブサイト
日本でも、半導体工場保守要員を育てるような教育ばかりではなく、「半導体チップは自分の夢を実現するツール」(プレステの父といわれる久夛良木健氏の言葉)と言えるような夢多き若手人材を多数輩出する教育環境が必要であろう。


