世界半導体販売高、1−10月累計が最高の2024年並みに;AI地殻変動
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この10月について$72.7 billionと、また新たな大台を突破、月次最高を更新している。本年の1月から10月までの販売高累計が、史上最高を記録した昨年、2024年の販売高とほぼ並んで、2025年は11月および12月を加えて大幅な最高更新となる。WSTSの秋季予測でも、2026年の世界半導体販売高が$975.4 billionと、大幅な上方修正で、$1 trillionの大台にも迫る読みとなっている。AI(人工知能)の過熱気味の活況が引っ張って、従来の半導体市場の見方に覆いかぶさる格好であるが、AIの今後への慎重&警戒論が付きまとって、地殻変動の様相が多々あらわれる現状である。
≪それいけの伸びが続く販売高≫
米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。
☆☆☆↓↓↓↓↓
〇10月のグローバル半導体販売高が、前月比4.7%増―WSTSの秋季予測では、2026年のグローバル半導体販売高が$1 trillionに迫る見通し (12月4日付け SIA/Latest News)
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2025年10月のグローバル半導体販売高が$72.7 billionで、前月、2025年9月の$69.5 billionに比べて4.7%増、そして前年同月、2024年10月の$57.2 billionを27.2%上回った、と発表した。
月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関が集計し、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。
「世界の半導体販売高は10月も引き続き増加し、9月を上回り、昨年10月を大きく上回った。成長は引き続き、米国とアジア太平洋地域への販売が牽引している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「一方、2025年WSTS秋季予測では、2025年の世界市場は記録的な成長を遂げ、2026年には売上高が1兆ドルに近づくと予測されている。」
地域別では、10月の前年同月比で、Americas (59.6%), Asia Pacific/All Other (24.8%), China (18.5%), およびEurope (8.3%)では増加したが、Japan (-10.0%)では減少した。10月の販売高前月比では、Asia Pacific/All Other (7.2%), China (4.4%), the Americas (3.5%), Europe (3.5%), およびJapan (0.6%)とすべてで増加した。
【3ヶ月移動平均ベース】
| 市場地域 | Oct 2024 | Sep 2025 | Oct 2025 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
| Americas | 18.68 | 22.52 | 23.32 | 24.8 | 3.5 |
| Europe | 4.48 | 4.69 | 4.85 | 8.3 | 3.5 |
| Japan | 4.23 | 3.78 | 3.81 | -10.0 | 0.8 |
| China | 16.48 | 18.69 | 19.53 | 18.5 | 4.4 |
| Asia Pacific/All Other | 13.28 | 19.78 | 21.20 | 59.6 | 7.2 |
| 計 | $57.15 B | $69.47 B | $72.71 B | 27.2 % | 4.7 % |
--------------------------------------
| 市場地域 | 5- 7月平均 | 8-10月平均 | change |
| Americas | 19.92 | 23.32 | 17.1 |
| Europe | 4.40 | 4.85 | 10.3 |
| Japan | 3.65 | 3.81 | 4.4 |
| China | 17.06 | 19.53 | 14.5 |
| Asia Pacific/All Other | 17.12 | 21.20 | 23.8 |
$62.14 B | $72.71 B | 17.0 % |
-------------------------------------
さらに、SIAは本日、WSTSによる2025年秋の世界半導体販売高予測を承認した。この予測では、2025年の世界売上高は前年比22.5%増の$772.2 billionに達すると予測されている。2026年には、世界販売高は$975.4 billionに達すると予測されており、これは春の予測値、$760.7 billionから上方修正されたものである。WSTSは、半導体のトレンドに関する正確かつタイムリーな指標を提供する、世界中の半導体企業からの広範な情報収集に基づき、半期ごとの業界予測を作成している。
※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2025/12/October-2025-GSR-Table-and-Graph.pdf
★★★↑↑↑↑↑
今回の発表に関連する業界紙の取り上げである。
◇Global Semiconductor Market Approaches $1 Trillion in 2026 (12月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→欧州半導体工業会(ESIA)は、WSTSによる最新の半導体市場予測を発表した。予想を上回る第3四半期の成長を受け、世界の半導体市場は2025年に22.5%成長し、US$ 772.2 billionに達すると予測されている。
この上方修正は主にロジックとメモリの成長によるもので、AI関連アプリケーションやコンピューティングおよびデータセンターインフラの継続的な需要が牽引している。ロジックは37.1%(8ポイント増)、メモリは27.8%(11ポイント増)の成長が見込まれている。
2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 Billionの大台に初めて載せた経緯となっている。パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方が優勢な中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、今後に注目するところである。照らし合わせの意味合いで、2022年以降の以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。2024年11月に記録した単月販売高最高の$57.82 Billionから、2ヶ月連続若干落として、この2025年1月は$56.52 Billionとなっている。依然最高水準にあることは以下のデータよりわかるが、今後に向けては現下の市場特性の見極めを要するところである。
2月の販売高としては史上最高を記録しているが、以下に示す通り、前月比で3ヶ月連続減少しており、今後に注目するところである。
3月は若干持ち直して、前月比減に歯止めを施す見え方となっている。四半期の締めで集中駆け込みの可能性もあり、引き続き推移に注視を要する。4月も引き続き盛り返して、2024年11月の最高に迫る水準である。今後も増勢が維持されるかどうか、注目である。
5月は$58.98 Billionと、以下で分かる通り、昨年の11月を上回って、月次最高となり、たぶんに史上最高の月次水準になる覚えである。このAIが引っ張る増勢の今後に注目するところである。
そして、6月は$59.91 Billionで、またも月次最高、どこまでいくか、という見方&期待であり、$60 Billionの大台に迫っている。7月は、またも最高更新、$62.07 billionと新たな大台に突入している。AI需要が引っ張る市場景観、特に増勢がこのままいつまで続くのかに注目である。
8月は$64.88 billionと、4ヶ月連続の月次最高更新である。AIの信頼&信用懸念が取り沙汰されているが、引き続く増勢である。9月は$69.47 billionと、増勢をさらに高めて、5ヶ月連続の月次最高更新であり、2024年11月に記録したそれまでの単月販売高最高の$57.82 Billionと比べても、このところの一気駆け上がりの様相がうかがえるところである。
そして、10月は$72.71 billionと、新たな大台突破とともに6ヶ月連続の月次最高更新となる。アクセルを踏む一方の勢いの見え方であるが、ひたすら今後の推移に注目である。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
| 2022年 1月 | $50.74 B | 26.8 % | -0.2 % | |
| 2022年 2月 | $50.04 B | 26.1 % | -1.4 % | |
| 2022年 3月 | $50.58 B | 23.0 % | 1.1 % | |
| 2022年 4月 | $50.92 B | 21.1 % | 0.7 % | |
| 2022年 5月 | $51.82 B | 18.0 % | 1.8 % | |
| 2022年 6月 | $50.82 B | 13.3 % | -1.9 % | |
| 2022年 7月 | $49.01 B | 7.3 % | -2.3 % | |
| 2022年 8月 | $47.36 B | 0.1 % | -3.4 % | |
| 2022年 9月 | $47.00 B | -3.0 % | -0.5 % | |
| 2022年10月 | $46.86 B | -4.6 % | -0.3 % | |
| 2022年11月 | $45.48 B | -9.2 % | -2.9 % | |
| 2022年12月 | $43.40 B | -14.7 % | -4.4 % | $584.03 B |
| 2023年 1月 | $41.33 B | -18.5 % | -5.2 % | |
| 2023年 2月 | $39.68 B | -20.7 % | -4.0 % | |
| 2023年 3月 | $39.83 B | -21.3 % | 0.3 % | |
| 2023年 4月 | $39.95 B | -21.6 % | 0.3 % | |
| 2023年 5月 | $40.74 B | -21.1 % | 1.7 % | |
| 2023年 6月 | $41.51 B | -17.3 % | 1.9 % | |
| 2023年 7月 | $43.22 B | -11.8 % | 2.3 % | |
| 2023年 8月 | $44.04 B | -6.8 % | 1.9 % | |
| 2023年 9月 | $44.89 B | -4.5 % | 1.9 % | |
| 2023年10月 | $46.62 B | -0.7 % | 3.9 % | |
| 2023年11月 | $47.98 B | 5.3 % | 2.9 % | |
| 2023年12月 | $48.66 B | 11.6 % | 1.4 % | $518.45 B |
| 2024年 1月 | $47.63 B | 15.2 % | -2.1 % | |
| 2024年 2月 | $46.17 B | 16.3 % | -3.1 % | |
| 2024年 3月 | $45.91 B | 15.2 % | -0.6 % | |
| 2024年 4月 | $46.43 B | 15.8 % | 1.1 % | |
| 2024年 5月 | $49.15 B | 19.3 % | 4.1 % | |
| 2024年 6月 | $49.98 B | 18.3 % | 1.7 % | |
| 2024年 7月 | $51.32 B | 18.7 % | 2.7 % | |
| 2024年 8月 | $53.12 B | 20.6 % | 3.5 % | |
| 2024年 9月 | $55.32 B | 23.2 % | 4.1 % | |
| 2024年10月 | $56.88 B | 22.1 % | 2.8 % | |
| 2024年11月 | $57.82 B | 20.7 % | 1.6 % | |
| 2024年12月 | $56.97 B | 17.1 % | -1.2 % | $616.70 B |
年間最高更新 | ||||
| 2025年 1月 | $56.52 B | 17.9 % | -1.7 % | |
| 2025年 2月 | $54.92 B | 17.1 % | -2.9 % | |
| 2025年 3月 | $55.90 B | 18.8 % | 1.8 % | |
| 2025年 4月 | $56.96 B | 22.7 % | 2.5 % | |
| 2025年 5月 | $58.98 B | 19.8 % | 3.5 % | |
| 2025年 6月 | $59.91 B | 19.6 % | 1.5 % | |
| 2025年 7月 | $62.07 B | 20.6 % | 3.6 % | |
| 2025年 8月 | $64.88 B | 21.7 % | 4.4 % | |
| 2025年 9月 | $69.47 B | 25.1 % | 7.0 % | |
| 2025年10月 | $72.71 B | 27.2 % | 4.7 % | $612.32 B |
(1−10月累計) |
スマートフォン市場の現下の見方が次の通りであるが、AI関連インパクトも受けて、2026年は出荷数量が減少となっている。今後の見方を難しくしている一端である。
◇Worldwide Smartphone Market to Grow 1.5% in 2025, Boosted by Record Apple Shipments in 2025 of 247.4 Million Units and 6.1% YoY Growth, according to IDC (12月2日付け IDC)
→スマートフォンの出荷台数は、特に中国においてAppleの予想を上回る需要の牽引により、2025年には1.5%増加し、12億5000万台に達すると予想される。Appleは過去最高の年を迎える見込みであるが、2026年の出荷台数は部品不足と製品サイクルの変化により減少すると予想される。
さて、以下では、AIにまつわる様々な地殻変動の様相を取り出している。
キーワード分類して、現時点の動きを示している。
[巨額投資]
◇The Great AI Reallocation―US industrial policy drives major tech investments (12月1日付け EE Times)
→1)NVIDIA、AmazonおよびSamsung Electronicsといった大手テクノロジー企業や半導体企業による巨額の投資により、米国の経済戦略に転換が見られ始めている。この「AI大再配分(Great AI Reallocation)」は、連邦政府が経済的インセンティブと規制を組み合わせた積極的なアプローチを採用する新たな産業政策によって推進されている。
2)2025年11月の米国産業政策は、アマゾン、サムスンなどの企業がAIと半導体プロジェクトに数千億ドルを投じる中、投資を加速させる。ワシントンの強制的な戦略は、企業の意思決定を国家安全保障と結び付け、市場とサプライチェーンを再構築する。
◇米投資ブルー・アウル、メタと4兆円AI投資 共同CEO「破綻あり得ず」 (12月2日付け 日経 電子版 05:48)
→米投資会社Blue Owl Capitalが、米メタと組んで4兆円規模のAIインフラを整備するなど巨額投資計画を複数進めている。マーク・リップシュルツ共同CEOは長期で安定収益を稼ぐAIインフラを「30年で最良の投資機会」とみる。AIに傾斜する大手テックの破綻は将来的にありえないとして、過剰投資への不安を一蹴した。
[市場の波乱]
◇AI相場で下克上 OpenAI失速、Google陣営に資金シフト (12月1日付け 日経 電子版 05:00)
→AI相場に異変が起きている。相場のけん引役だった米エヌビディアを中心に多くの銘柄が下げる一方、グーグルを傘下に持つアルファベットの上昇が際立つ。11月に発表した生成AI基盤モデルへの評価が高いためだ。先行してきた米オープンAIの「ChatGPT)」の優位性が揺らぐ可能性を市場は嗅ぎ取る。AI関連の開発競争が激化するなか、マネーは勝ち組を探し続けている。
◇OpenAI is under pressure as Google, Anthropic gain ground (12月2日付け CNBC)
→1)*複数の報道によると、OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は、ChatGPTの改善に向けた「code red」の取り組みを概説したメモをスタッフに送付した。
*同社は、GoogleやAnthropicといったライバル企業との競争激化に直面している。
*OpenAIは、3年前にChatGPTを立ち上げて以来、世界で最も急成長している企業の一つとなっている。
2)OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は、ChatGPTを優先する「コードレッド」イニシアチブを立ち上げ、健康、ショッピング、および広告への投資を縮小した。同社は、GoogleやAnthropicとの激しい競争の中で、ChatGPTの機能強化とグローバルアクセスの強化を目指している。
◇OpenAI、対Google「非常事態」宣言と米報道 3年前と形勢逆転 (12月3日付け 日経 電子版 06:05)
→米オープンAIのサム・アルトマンCEOが1日、対話型AI「ChatGPT」の改善を社員に求める「コードレッド(Code Red:非常事態)」を宣言したことが明らかになった。AI開発での米グーグルの追い上げを受け、社内に危機感を伝えた。
◇米国でゴーストデータセンター横行、AI電力使用過剰申請 計画6割減も (12月4日付け 日経 電子版 04:00)
→米国でAIに使うデータセンター建設計画を過剰申請する事例が横行している。建設事業者が実現性の低い「ゴーストデータセンター」を電力会社に提出し、電気を先に確保する手法だ。電力需要を実体以上に大きく見せ、発電所の建設計画や料金設定を混乱させる可能性がある。米政府も投機的な動きを問題視している。
◇AIデータセンターは迷惑施設 健康不安で怒る米住民、3.8兆円分阻止―AIが変えるアメリカ (12月6日付け 日経 電子版 05:00)
→・住民運動でデータセンター建設計画が次々と中止に
・「テック企業は収益しか考えていない」と怒る住民
・全米での健康への影響は自動車3500万台分との試算も
米国でAI向けデータセンター建設への住民の反対運動が勢いづいている。テック企業が巨額の利益を得る一方で、健康不安や電気代の上昇といった負担だけが住民に押しつけられるとの危機感が強いためだ。
[変動&変化]
◇Latest GPU market analysis shows Nvidia losing ground to AMD - and Intel cracks the 1% share milestone for the first time―Report: Nvidia loses a little bit of GPU market share to AMD, Intel―JPR says Nvidia's GPU market share decreased by 1.2% in Q3'25. It still owns over 90% of the market, though. (12月2日付け Tom's Hardware)
→専門アナリスト企業Jon Peddie Research(JPR)が、最新の四半期GPU市場シェアを発表した。JPRによると、2025年第3四半期のPCアドインボード(グラフィックカード)市場は1,200万台に成長し、前四半期比2.8%増となった。しかし、おそらくより興味深いのは、AMDとIntelが(3社による激しい競争であるため)NVIDIAを犠牲にして市場シェアを拡大しているという数字である。
◇Meta株一時6%高、超知能シフトでメタバースに大なた 予算30%削減 (12月5日付け 日経 電子版 03:52)
→米ブルームバーグ通信は4日、米メタが仮想現実(VR)端末などの「メタバース」事業の予算を最大30%削減することを検討していると報じた。大規模な人員削減に踏み切る可能性もある。投資家は振るわない事業の縮小を好感し、米株式市場でメタの株価は一時前日比約6%上昇した。メタは米オープンAIや米グーグルに対抗するためにAIへの投資と開発者引き抜きを進めている。収益化に向けた道筋が見えないメタバース事業を縮小し、人間の頭脳をしのぐAIを指す「超知能」開発シフトを進める可能性がある。
[エッジへの移行]
◇The AI Future is Now All About the Edge―A look at some of the recent developments in delivering more intelligence at the edge. (12月2日付け EE Times)
→1)AIデータセンターインフラやGPUsへの大規模な投資は依然として続いているが、現在のAIブームの真のメリットと真の価値創出は、エッジ領域で実現される可能性が高いであろう。
エッジAIは、我々が長年取り上げてきたように、新しいものではない。2019年のEE Timesでは「エッジインテリジェンスがEmbedded Worldで注目を集める」といった見出しが躍り、2020年には「エッジインテリジェンスについて語ろう」や「コネクテッドエッジ:組み込みインテリジェンスには、よりスマートなエッジが必要」といった記事が掲載された。現在が異なるのは、ハードウェアがより強力になり、開発ツールも進化しているため、エッジへのモデルの導入が容易になっていることである。
2)AIはデータセンターからエッジへと移行しつつあり、強力なハードウェアと改良された開発ツールによって、リアルタイムのデバイス内インテリジェンスが実現している。Ambiq、Synaptics、Infineon、ADI、Armといった企業は、ロボティクス、ウェアラブル、産業用アプリケーションにおけるAIの導入を推進し、新たな価値を生み出している。
[部品不足&価格高騰]
◇A ‘seismic’ Nvidia shift, AI chip shortages and how it’s threatening to hike gadget prices (12月2日付け CNBC)
→1)*AIインフラの構築は、様々な種類のチップを含む部品の不足を引き起こしている。
*先進的なメモリなど、一部の部品の価格は急騰している。
*これらのハードウェアは家電業界でも使用されており、ガジェットメーカーは不足が価格上昇につながる可能性があると警告している。
2)AIブームは世界のサプライチェーンに負担をかけ、重要なメモリチップとストレージの価格を高騰させている。NVIDIAのLPDDRメモリへの移行は、不足をさらに深刻化させ、今後2〜3年でスマートフォンとPCの価格が5〜10%上昇する可能性がある。
◇A ‘seismic’ Nvidia shift, AI chip shortages and how it’s threatening to hike gadget prices (12月2日付け CNBC)
→1)*AIインフラの構築は、様々な種類のチップを含む部品の不足を引き起こしている。
*先進的なメモリなど、一部の部品の価格は急騰している。
*これらのハードウェアは家電業界でも使用されており、ガジェットメーカーは不足が価格上昇につながる可能性があると警告している。
2)アナリストは、AI需要がサプライチェーンに負担をかけるため、スマートフォンの価格が上昇する可能性があると警告している。AIデータセンターとハイエンドデバイスの両方で使用されているNvidiaのLPDDRメモリへの移行は、DRAMとストレージの不足を深刻化させ、部品コストを20〜30%押し上げ、デバイス全体の価格上昇につながる恐れがある。
[自前AI半導体]
◇クラウド大手がAI半導体競う AmazonやGoogleが独自品で顧客獲得 (12月3日付け 日経 電子版 17:00)
→クラウド大手がAI向け半導体の自前開発に注力する。米アマゾン・ドット・コムのクラウド部門は2日、独自設計の次世代半導体「Trainium4」を発表した。米グーグルは自社設計した「TPU」を使って最先端のAIモデルを開発しており、自前の半導体がクラウド市場での競争力となりつつある。
◇Amazon unveils AI chip to rival Nvidia (12月4日付け Taipei Times)
→1)テクノロジーの巨人:Amazonの最新チップは、Googleに続き、市場シェア90%を誇るNvidiaの競争に加わる。Nvidiaは「このチップは業界を一世代先取りしている」と主張。
2)Amazon Web Services(AWS)は、Trainium3 AIチップを発表した。このチップは、従来品の4倍の性能を低コストと低消費電力で実現している。この発表は、Nvidiaとの競争を激化させ、AIトレーニングの民主化を実現するとともに、AWSが社内向け高性能コンピューティングを推進する姿勢を示している。
◇Amazon keeps the pressure on Intel, AMD with 192-core Graviton5 CPU―Amazon's Graviton5 CPU raises bar with 192 cores (12月4日付け The Register (UK))
→*自社開発のチップは、過去3年間にAWSに追加されたすべての新規CPUsの半分を占めている。
*Amazonは木曜4日、re:inventで、これまでで最も高密度で高性能なCPU「Graviton5」を発表した。1つのソケットに192個のプロセッサコアを詰め込み、AWSのパフォーマンスを新たなレベルに引き上げる。2018年の発売以来、GravitonチップはAWSのコンピューティングサービスの主力となっている。Amazonによると、過去3年間連続で、Gravitonがすべての新規CPU容量の半分以上を占めている。
[連携]
◇メタ、対話型AIでニュース回答 米CNNや仏紙ルモンドと提携 (12月6日付け 日経 電子版 04:44)
→米メタは5日、自社の対話型AI「メタAI」を通じてニュースを回答するサービスを始めると発表した。米CNNや米フォックスニュース、仏紙ルモンドなどと提携する。米オープンAIもメディア企業と契約しており、AI企業が記事の配信元と組む動きが広がっている。
AI半導体関連で特に注目している3点から。
まずは、メタが選んでNvidiaのライバルとして上がってきているGoogleのTPUs関連が以下の通りである。
◇Google’s TPU Emerges as ‘NVIDIA Rival,’ Leading Samsung to Benefit Significantly (11月26日付け Business Korea)
→GoogleのTPUへの取り組み拡大は、HBMとDRAMの需要を押し上げ、新たなファウンドリ事業の機会を創出することで、Samsungに大きな利益をもたらす立場にある。TPUsがNvidiaのGPUsに挑む中、Samsungはメモリ需要の急増とGoogleの容量増加要請の恩恵を受ける立場にある。
◇The hottest new AI company is...Google? (11月29日付け CNN)
→GoogleのGemini 3がAI競争に火をつけ、テクノロジーリーダーたちがその速度と性能を称賛したことでGoogleの株価が上昇し、MetaのTensorチップへの関心も高まった。このモデルはベンチマークでトップを獲得し、GPUが依然として優勢であるにもかかわらず、NVIDIAにとって競争の激化を示唆している。
◇Google’s self-made AI chips a seismic shift for the industry (12月3日付け Asia Times)
→1)Googleのテンソルプロセッシングユニット(TPUs)は、NVIDIAに真っ向から挑戦し、かつては固定的と思われていたAIの前提を覆すものである。
2)GoogleがGemini AIにカスタムTPUsを採用したことは、業界の変化を示唆しており、ハードウェアの選択がAIのリーダーシップを形作っていることを示している。汎用NVIDIA GPUsとは異なり、TPUsはモデル固有のタスクを最適化し、速度、効率、実験、およびコスト管理を向上させる。
◇Alphabet’s AI Chips Are a Potential $900 Billion ‘Secret Sauce’―Alphabet's TPUs seen as $900B revenue driver (12月4日付け Yahoo/Bloomberg)
→投資家やアナリストによると、アルファベットのtensor processing unit(TPU)チップは、第三者への売却により$900 billionの収益を生み出す可能性があり、大きな収益源となる可能性があるという。機械学習(ML)のワークロードを高速化するTPUsは、アルファベットの株価を今四半期で既に31%上昇させている。「企業がNVIDIAからの分散化を目指すなら、TPUsはその良い手段であり、楽観的な見方ができる理由がたくさんある」と、DA Davidsonのテクノロジーリサーチ責任者、Gil Luria氏は述べている。
◇Google帝国の逆襲 NVIDIAに代わりAI相場を主導 (12月4日付け 日経 電子版 06:24)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比408ドル高の4万7882ドルで取引を終えた。利下げ観測とAIブームが下支えする構図が続く中、AI相場の主役として米グーグル親会社アルファベットの存在が一段と際立ってきた。
次に、GoogleのTPUs需要に連動して、SamsungのAIメモリ半導体が浮き上がって、HBMでSK Hynixを抜く勢いと、以下の通りである。
◇Samsung Electronics Surpasses SK Hynix in HBM Production for First Time―Sources: Samsung leads HBM production, overtaking SK Hynix―Strategic DRAM to HBM Line Conversion Boosts Samsung’s Market Position (12月2日付け BusinessKorea (South Korea))
→サムスン電子は、HBMの生産能力においてSKハイニックスを追い抜き、業界リーダーとなった。この成果は、DRAM生産ラインをHBMラインに先行的に転換し、歩留まりの安定化に注力したことによるものだ。爆発的なAI半導体需要の高まりを背景に、両社の生産競争は来年さらに激化すると予想されている。
◇[News] Samsung HBM4 Reportedly Beats Expectations in Broadcom Test, Set to Lead 2026 Google TPU Supply (12月3日付け TrendForce)
→GoogleのTPU需要の増加は、HBM3Eと高性能HBM4によってSK hynixに迫るSamsungの追い風となっている。Broadcomに供給しているSamsungは、2026年にはGoogleへの供給量を倍増させる予定で、柔軟な生産能力を活用して、変化するHBM市場におけるシェア拡大を目指している。
◇Samsung reportedly wins majority of Nvidia's 2026 SOCAMM2 supply ―Nvidia's SOCAMM2 modules reportedly to rely on Samsung supply (12月4日付け DigiTimes)
→サムスン電子は、2026年にNvidiaの次世代System on CAMM(SOCAMM2)メモリモジュールの半分以上を供給し、AIサーバーCPUエコシステムへの最大の貢献者になる予定であると報じられている...
最後に、やはりAIメモリの生産増強を図るマイクロンである。広島の新工場、そして消費者向けメモリーを撤退してのAI集中である。
◇Micron plans $9.6 billion HBM fab in Japan as AI memory race accelerates ―Micron preps $9.6B HBM plant in Japan, reports say―U.S. chipmaker set to expand Hiroshima site with heavy support from Tokyo. (11月30日付け Tom's Hardware)
→報道によると、マイクロンテクノロジーは広島の高帯域幅メモリ施設に$9.6 billionを投資する計画だ。最大$3.2 billionの政府補助金を受け、AIメモリの需要増加に対応するこのプロジェクトは、HBM市場シェアをマイクロンに有利にシフトさせる可能性がある。
◇米マイクロン、広島にAI半導体新工場 1.5兆円、国内に安定供給 (11月30日付け 日経)
→米メモリー大手のマイクロン・テクノロジーは広島県に新工場を建設する。2026年5月に着工しAI向けの次世代メモリーの出荷を28年ごろに始める。投資額は1兆5000億円で経済産業省が最大5000億円を補助する。世界的にAI半導体が不足するなか、国内で入手しやすくなる。
広島工場(広島県東広島市)に新しい製造棟を建設する。生産するのは一時記憶を担うメモリー「DRAM」のなかでも高性能な「HBM」の次世代品だ。米エヌビディアなどが手がける画像処理半導体(GPU)と組み合わせてAI半導体を構成する。
◇TSMC reportedly set to take over base-die production in HBM4E generation―TSMC to produce base logic dies for HBM4E memory, Micron says (12月1日付け DigiTimes)
→マイクロンは最新の四半期決算発表において、TSMCと提携し、標準およびカスタムHBM4Eメモリのベースロジックダイを生産すると発表した。この発表は、次世代メモリの生産方法における大きな変化を浮き彫りにしている。
◇Micron stops selling memory to consumers as demand spikes from AI chips (12月3日付け CNBC)
→1)*マイクロンは水曜3日、高性能AIチップ向けのメモリ供給に注力するため、コンシューマー向けメモリの販売を停止する計画を発表した。
*マイクロンの事業責任者であるSumit Sadana(スミット・サダナ)氏は声明で、「マイクロンは、成長著しいセグメントにおける大規模かつ戦略的な顧客への供給とサポートを強化するため、Crucialコンシューマー向けメモリ事業からの撤退という難しい決断を下した」と述べた。
*マイクロンの株価は今年に入って約175%上昇している。
2)マイクロンは、データセンターの需要拡大に伴うAIチップの需要急増に注力するため、コンシューマー向けメモリ市場から撤退する。この動きは、AIの台頭による供給逼迫を浮き彫りにするとともに、CrucialのPCメモリとSSDの段階的な廃止に伴い、マイクロンが戦略的な顧客を優先することを可能にする。
3)マイクロンは、AI需要の急増に対応するため、コンシューマー向けメモリ製品「Crucial」ラインから撤退し、大手データセンター顧客への供給に切り替えた。この動きは、クラウド関連の売上高が急増し、マイクロンの株価が引き続きアウトパフォームする中、世界的なメモリ供給の逼迫を浮き彫りにしている。
◇Micron pulling out of consumer DRAM―Micron to exit consumer DRAM, focus on enterprise demand (12月4日付け Electronics Weekly (UK))
→1)マイクロンは昨日、世界中の主要小売店、オンライン小売業者および販売代理店におけるCrucialコンシューマー向けDRAM事業からの撤退を発表した。これには、Crucialブランド製品の販売も含まれる。
2)マイクロンテクノロジーは、AIを活用したデータセンターにおけるメモリとストレージの需要増加に注力するため、2月までにCrucialブランド製品の販売を含むコンシューマー向けDRAM市場から撤退する予定である。マイクロンは2月までCrucial製品の保証をサポートし、エンタープライズ製品の販売は引き続き世界中で行う。
マイクロンによると、この撤退は同社の「メモリとストレージにおける長期的かつ収益性の高い成長路線への事業の適合」に繋がるものである。
◇米マイクロン、消費者向けメモリー撤退 AIに集中 (12月5日付け 日経)
→米半導体大手マイクロン・テクノロジーは3日、「Crucial」のブランドで展開してきた消費者向けのメモリー事業から撤退すると発表した。AI向けの需要の急拡大を受け、データセンター向けのメモリー事業に経営資源を集中する。
AIの動向を見据えながらの半導体市場の今後の推移を見定めていく状況が、当面続いていく。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□12月2日(火)
高い水準にあって利益確定売り、利下げ意識から上げ下げが続く展開の今週の米国株式市場である。
◇NYダウ、反落し427ドル安 利益確定や米金利上昇で (日経 電子版 07:27)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反落し、終値は前週末比427ドル09セント(0.89%)安の4万7289ドル33セントだった。前週末までの5営業日で2000ドル近く上昇していたため、利益確定や持ち高調整の売りが優勢だった。1日の米長期金利が上昇したのも株価を下押しした。
□12月3日(水)
◇NYダウ反発185ドル高 ビットコイン上昇、ハイテク株にも買い (日経 電子版 06:48)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、終値は前日比185ドル13セント(0.39%)高の4万7474ドル46セントだった。暗号資産(仮想通貨)のビットコインへの売りが一服し、投資家心理が改善した。このところ売られていたハイテク株への買いも、相場上昇を支えた。
□12月4日(木)
◇NYダウ、続伸し408ドル高 雇用減少で利下げを意識 (日経 電子版 06:12)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、終値は前日比408ドル44セント高の4万7882ドル90セントだった。同日発表の米雇用指標が市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが改めて意識された。消費関連株やディフェンシブ株に買いが入った。
□12月5日(金)
◇NYダウは反落 利益確定売り優勢、米利下げ期待が支えに (日経 電子版 06:24)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、終値は前日比31ドル96セント安の4万7850ドル94セントだった。最高値に近づいており、利益確定の売りが出やすかった。半面、米利下げ期待が投資家心理を支え、ダウ平均は上げる場面もあった。
台湾侵略は阻止するとトランプ政権、我が国には防衛費アップの要求である。
◇トランプ政権「台湾侵略を阻止」 初の安保戦略、日本に防衛費増要求 (日経 電子版 17:26)
→米政府は5日までに、安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略(NSS)」をまとめた。軍事的威圧を繰り返す中国を念頭に「台湾の占領を阻止するために米国と同盟国の能力を強化する」と記した。日本に防衛費の大幅な増額を要求した。
2025年1月に発足した第2次トランプ政権がNSSをまとめるのは初めて。
□12月6日(土)
◇NYダウ小幅反発、104ドル高 高値警戒感で上値限定 (日経 電子版 06:18)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、終値は前日比104ドル05セント(0.21%)高の4万7954ドル99セントだった。同日発表の米経済指標がFRBの追加利下げを妨げない内容だったと受け止められ、株式相場の支えとなった。
≪市場実態PickUp≫
【インテル関連】
ファウンドリー事業、そして先端実装について、顧客獲得の動きが以下の通り見られている。今後の展開に期待である。
◇Intel’s 18A-P Process Is Expected to Be Adopted by Apple for Upcoming “M-Series” SoCs Following Optimism Around Early PDK Sampling―Analyst: Apple expected to use Intel's 18A-P for M-series (11月28日付け Wccftech)
→アナリストのMing-Chi Kuo氏によると、AppleはIntelの18A-Pプロセスの外部顧客となり、MacBookとiPadのMシリーズチップに採用される見込みだ。この協業はプロセス設計キット(PDK)のサンプル出荷の成功にかかっており、早ければ2027年第2四半期にも出荷が開始される可能性がある。Intelはまた、embedded multi-die interconnect bridge(EMIB:組み込み型マルチダイ相互接続ブリッジ)技術でも注目を集めており、情報筋によると、Google、MetaおよびMediaTekが検討を進めているという。
◇[News] Intel Reportedly Taps Amkor’s Songdo Facility for EMIB Packaging in First-Ever Outsourcing Move (12月1日付け TrendForce)
→インテルは、アムコーのSongdo K5(韓国)が高度なパッケージングを開始するのに伴い、EMIBのアウトソーシングに着手し、新たなパートナーシップを拡大した。GoogleとMetaが将来のアクセラレータとしてEMIBに注目し、アムコーが投資を拡大していることから、この動きはIFS(Intel Foundry Services)のさらなる成長に向けた基盤となる。
◇Has Intel turned a corner as it secures key partnerships and its 18A process gains traction? (12月2日付け New Electronics (UK))
→インテルは半導体業界で勢いを取り戻しつつあるようで、大手テクノロジー企業から大規模な注文を受けており、同社の高度な製造能力に対する信頼が高まっているとの報道もある。
◇Intel ‘Doubles Down’ on 18A and 14A Progress; VP Says the Firm Now Has “Momentum” In Getting External Customers For Advanced Packaging―Intel sees momentum in advanced packaging, 18A process (12月4日付け Wccftech)
→インテルのJohn Pitzer副社長は、18Aプロセスと14Aプロセス、そして先進パッケージングの進展を挙げ、同社のファウンドリー部門に楽観的な見通しを示した。ピッツァー氏は、18Aプロセスの歩留まりは改善しているものの、まだ最適ではないと指摘した。インテルは、EMIBやFoverosといった先進パッケージング・ソリューションで成功を収めており、これらは外部顧客を獲得している。
【Nvidia関連】
Nvidiaの独り舞台をなんとか打開を、とIT大手の自前半導体はじめ取り組みを上に示しているが、ここではNvidiaの引き続き多彩な動きから、Synopsysとの連携そして自動運転向けオープンソース・ソフトウェアなどである。
◇Nvidia Invests $2 Billion in Synopsys, Targeting Broader Engineering Design Market―Nvidia invests $2B in Synopsys, expands partnership―Nvidia bets $2 billion on Synopsys to push AI-driven engineering beyond chips. (12月1日付け EE Times)
→1)NvidiaとSynopsysは本日、両社が「業界全体の設計とエンジニアリングに革命を起こすための戦略的パートナーシップの拡大」と称する提携を発表した。この提携では、NvidiaがSynopsysに$2 billionを投資し、両社はエンジニアリングリソースを投入することで、チップ設計だけでなく、あらゆる製品開発環境に、両社の統合された設計、シミュレーション、検証およびアクセラレーションコンピューティング機能を提供する。
2)NVIDIAはシノプシスに$2 billionを投資し、両社のパートナーシップをチップ設計にとどまらず、自動車、航空宇宙およびロボット工学といった業界におけるより幅広いAIアプリケーションへと拡大する。この協業により、NVIDIAのGPUアクセラレーテッドコンピューティングとCUDA-XライブラリをシノプシスのAgentEngineerテクノロジーと統合し、デジタルツインとクラウド対応ソリューションに注力する。「シノプシスとEDA業界は、数千億ドル規模のチップ業界から、数兆ドル規模の『あらゆる製品』の業界へと、市場機会の拡大を進めている。将来的には、あらゆる製品がデジタルツインに基づいて設計されるようになるであろう」と、NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏は述べている。
◇Nvidia releases open-source software for self-driving car development―Nvidia unveils vision model for autonomous driving (12月1日付け Reuters)
→NVIDIAは、自動運転技術の発展を目指して設計されたオープンソースの視覚・言語・行動モデル「Alpamayo-R1」を発表した。NVIDIAのCosmos-Reasonモデルをベースとしたこのモデルにより、車両は周囲の状況を解釈し、観察結果を説明し、そして自然言語を用いて計画された行動の概要を示すことができる。NVIDIAによると、この取り組みは自動運転車の安全性を評価するための業界標準の確立を目指している。
◇Nvidia announces new open AI models and tools for autonomous driving research (12月1日付け TechCrunch)
→NVIDIAは月曜1日、ロボットや自動運転車など、現実世界を認識し相互作用する物理AIの基盤技術の構築に取り組む中で、新たなインフラストラクチャとAIモデルを発表した。
半導体大手のNVIDIAは、カリフォルニア州サンディエゴで開催されたNeurIPS AIカンファレンスにおいて、自動運転研究のためのオープン推論型視覚言語モデル「Alpamayo-R1」を発表した。NVIDIAは、これが自動運転に特化した初の視覚言語アクションモデルであると主張している。
◇Why Nvidia’s $2B Synopsys stock buy matters to devs with sensors (12月1日付け Fierce Sensors)
→NVIDIAは月曜1日、航空宇宙、自動車、産業機器などの分野における設計とエンジニアリングの向上を目指す戦略的パートナーシップの一環として、Synopsys株式への$2 billionの複数年投資を発表した。
このパートナーシップにより、未来のAIアプリケーション、特に産業・医療現場で使用されるヒューマノイドを含む自動運転車やロボット工学で使用されるEDAツール内で、センサーやその他のコンポーネントの大規模な連携と開発スピードの向上が期待される。
◇Nvidia CEO to Cramer: Synopsys deal is ‘culmination of everything I showed you’ over the years (12月1日付け CNBC)
→エヌビディアは、シノプシスとのパートナーシップを強化するため、$2 billionの投資を発表し、「大型取引」と称した。この動きはAIとコンピューティングソリューションにおける連携を強化し、高度なエンジニアリングと技術革新を加速させるエヌビディアの積極的な取り組みを浮き彫りにしている。
◇Nvidia takes $2 billion stake in Synopsys with expanded computing power partnership (12月1日付け CNBC)
→1)*NVIDIAは月曜1日、シノプシスの普通株式$2 billion相当を1株414.79ドルで取得したと発表した。
*両社は、コンピューティングとAIエンジニアリングソリューションの加速を目指して提携する。
*「これは非常に大きな取引」と、NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン氏はCNBCの番組「Squawk on the Street」で語った。
2)NVIDIAは、複数年にわたる戦略的パートナーシップを拡大するため、シノプシスの株式$2 billion相当を取得した。AIエンジニアリング、コンピューティング集約型アプリケーション、クラウドアクセス、そして共同市場開拓イニシアチブの加速を目指し、GPUアクセラレーションコンピューティングによって設計とエンジニアリングに革命を起こす。
◇NVIDIA Reportedly The First & Only Customer For TSMC’s Bleeding-Edge A16 Process Node, Utilizing For Next-Gen GPUs―Reports: Nvidia to use TSMC's A16 process tech for next-gen GPUs (12月1日付け Wccftech)
→報道によると、NVIDIAはTSMCの次世代A16プロセス技術の唯一の顧客であり、Feynmanシリーズなどの高度なGPUsにこの技術を採用する予定である。A16プロセスノードは、従来の技術と比較して、速度、消費電力およびチップ密度の面で向上している。
◇Nvidia debuts Alpamayo-R1 to improve reasoning in autonomous vehicles (12月2日付け CBT Automotive Network)
→# NVIDIAは、自動運転車が自然言語を用いて意思決定を説明できるよう、Alpamayo-R1をリリースした。
# このモデルは、自動運転システムが現実世界の環境をどのように解釈し、反応するかについて、開発者に明確な洞察を提供することを目的としている。
# NVIDIAによると、このオープンソースリリースは、自動運転車の安全性を評価するための業界標準をサポートするとのこと。
このモデルは、自動運転システムが現実世界の状況をどのように解釈し、反応するかについて、開発者に明確な洞察を提供し、より安全な導入を加速する。
◇NVIDIA幹部「日本、もうロボット大国ではない」 AIで一変 (12月4日付け 日経 電子版 16:00)
→ロボット業界で米半導体大手エヌビディアが存在感を高めている。日本でもファナックや安川電機といった大手が競うようにAI分野で協業を打ち出し、大学や新興企業もエヌビディアを頼る。来日した幹部(エヌビディアでスマートマシン事業統括部長を務めるMurali Gopalakrishna氏)は日本の産業用での強さを評価する一方、AIがつくる新潮流では「もうロボット大国ではない」との見方を示した。
【Samsung関連】
AI半導体については上に示しているが、ここでは三つ折りスマホ発売の発表、およびカスタムSoC開発チーム設立について、以下の通りである。
◇Samsung launches its first multi-folding phone as competition from Chinese brands intensifies (12月2日付け CNBC)
→1)*Galaxy Z TriFoldは、3つのパネルと10インチの大型内部ディスプレイを備えている。
*折りたたみ式スマートフォン市場における競争が激化する中で、このフラッグシップモデルがデビューした。
*韓国での発売は12月12日に開始され、米国での発売は2026年初頭を予定している。
2)Samsungは、激化する競争に先駆け、デザインにおけるリーダーシップを示すため、初のマルチフォールディングスマートフォン、Galaxy Z TriFoldを発表した。このデバイスは12月12日に韓国で発売され、その後、世界展開される。10インチディスプレイ、高度なマルチタスク機能を備え、初回数量限定で発売される。
◇サムスン、三つ折りスマホに挽回託す 好調Appleに技術力誇示―ビジネスTODAY (12月2日付け 日経 電子版 18:55)
→韓国のサムスン電子は2日、同社初の三つ折りスマホを発売すると発表した。畳むとスマホの形だが、広げるとタブレットになる。スマホ各社は生成AIなどで競うものの、劇的な進化は感じにくく、市場は停滞感が漂う。サムスンは、次のスマホ進化の形のひとつとされる折り畳み型で技術力を示す。
◇Samsung Has Reportedly Formed A ‘Custom SoC Development Team’ Within Its Device Solutions Division, Aims To Compete With Apple & Qualcomm With In-House Solutions―Reports: Samsung forms in-house SoC team (12月3日付け Wccftech)
→報道によると、サムスン電子は、AppleやQualcommに対抗するため、自社製のSoCソリューションを開発するカスタムSoC開発チームを設立した。
チームの使命は、ARM CPUコアへの依存から脱却し、チップアーキテクチャ、AIおよび処理能力の自律性を獲得することだ。
◇Samsung debuts trifold phone ahead of folding iPhone (12月3日付け Taipei Times)
→1)極めて小さな市場:折りたたみ式端末は、第3四半期に過去最高の出荷台数を記録したものの、モバイル市場全体のわずか2.5%を占めるにとどまっている。
2)サムスン電子は、同社初の「三つ折り」スマートフォン「Galaxy Z TriFold」を発表した。2つのヒンジ(hinges)でタブレットのように展開できる。来週、韓国で2,445ドルで発売されるこのスマートフォンは、Appleの参入に先駆け、サムスンの折りたたみ技術におけるリーダーシップを示すものだ。
【Apple関連】
iPhone出荷好調でSamsungを抜く勢いという一方で、AI関連の後れから組織再編の取り沙汰と、明暗半ばする以下の内容である。
◇Apple iPhone shipments to beat Samsung for the first time in 14 years, report says (11月26日付け CNBC)
→1)*Counterpoint Researchによると、Appleの今年のiPhone出荷台数は約2億4,300万台、Samsungの出荷台数は約2億3,500万台となる見込み。
*Appleのスマートフォン出荷台数がSamsungを上回るのは14年ぶり。
*Appleの成功は、9月に発売されたiPhone 17シリーズによるものである。
2)Appleは、iPhone 17の堅調な需要、大規模な買い替えサイクル、そして製品ラインの拡大により、2025年のスマートフォン出荷台数でSamsungを追い抜く勢いにある。カウンターポイント・リサーチは、Appleがエコシステムへの継続的な忠誠心により、2029年まで世界トップの座を維持すると予測している。
◇Apple、生成AI統括の主要幹部が退社へ 開発苦戦で組織再編 (12月2日付け 日経 電子版 11:14)
→米アップルは1日、生成AI開発トップのJohn Giannandrea氏が上級副社長を辞任し、2026年春に退社すると発表した。ジャナンドレア氏が統括してきた部門を分割し、基盤モデルの開発などを新たに採用したAI研究者に引き継ぐ。開発で出遅れが目立つ中、組織再編で巻き返しを図る。
◇Apple、創業50年を前に人材流出ショック CEO交代説も (12月5日付け 日経 電子版 10:20)
→2026年に創業50年を迎える米アップルで経営幹部や事業責任者の入れ替わりが相次いでいる。4日、法務と環境の幹部2人の退任を発表した。就任から14年を迎えたティム・クックCEOの去就も取り沙汰されている。AI開発で後手に回る中、組織改革に向け転換点を迎えた。
【地政学的インパクト関連】
世界各国・地域の半導体自立化が図られていく中の問題意識および対応が、以下それぞれにあらわされている。最先端半導体の台湾、そしてトランプ政権の半導体関税と、以下の通りである。
◇SA Asks: What happens to the chip sector if China retakes Taiwan? (11月30日付け MSN)
→中国が2026年に台湾の統一を試みる可能性があるとの報道は、アナリストを警戒させている。彼らは、TSMCへのいかなる混乱も世界のテクノロジー産業を停滞させる可能性があると警告している。軍事衝突は壊滅的な結果をもたらす一方、平和的な移行は被害は少ないものの、半導体投資家にとって依然としてリスクを伴うと彼らは指摘する。
◇世界の半導体支援策、自国勢重視 EUは工場誘致から研究開発へ法改正 (12月1日付け 日経 電子版 18:00)
→世界の半導体産業の支援策が転換点を迎えている。EUは主な支援対象を外国企業の誘致から域内企業の研究開発に転換し、数兆円規模の予算枠を検討し始めた。トランプ米政権も自国企業への関与を強めている。AI向けを除いて半導体需要は軟調が続いており、各地の支援策に見直し機運が広がる。
EU執行機関の欧州委員会が欧州半導体法を改正する方針を示し、具体的な支援策の検討に入った。
◇Can the CHIPS Act Truly Cut America’s Reliance on Taiwan’s Semiconductor Industry? (12月3日付け Modern Diplomacy)
→1)世界で最も先進的かつ大規模な半導体生産の60%以上を支配していることが周知の事実であるTSMCから、米国が真に撤退することは可能だろうか?
2)2022年のCHIPS and Science Act(CHIPS・科学法)は、$52.7 billionの資金と税制優遇措置によって米国の半導体生産を促進することを目指しているが、TSMCは依然として先進的な半導体製造を支配している。技術、人材、そしてグローバルサプライチェーンの制約により、米国の完全な独立は依然として遠い道のりである。
◇US "delays" touted semiconductor tariffs amid economic concerns (12月4日付け Sourceability)
→1)米国当局はトランプ大統領が提案した「100%」の半導体関税の延期を非公式に示唆しており、貿易とサプライチェーンのリスクに対する懸念が高まっている。
2)トランプ政権が提案した輸入半導体への100%関税は、中国を刺激し、主要サプライチェーンを不安定化させる懸念から、延期される見込みだ。当局が国内回帰を推進する一方で、企業は増大するコストと調達リスクへの備えに追われている。
【中国半導体関連】
注目2点。HuaweiのEUVなしで2-nm半導体をつくる技術特許、および中国のNvidiaと称せられるMoore Threadsの上場について、以下の通りである。
◇Huawei’s 2022 patent details novel technique to make 2-nm-class chips without EUV tool (12月4日付け South China Morning Post)
→1)提案されたソリューションは、従来のDUV技術を用いて2nmプロセスをサポートする技術的な道筋を提供する。
2)Huaweiは、深紫外線(DUV)リソグラフィーを用いた2nmクラスのチッププロセスの特許を公開した。これにより、米国の制裁を回避できる可能性がある。高度なパターニング技術に基づくこの技術は、TSMCの2nmプロセスの優位性に挑戦する可能性があるが、商業的実現可能性はまだ証明されていない。
◇‘China’s Nvidia’ Moore Threads surges over 400% on trading debut after $1.1 billion listing―Moore Threads' shares soar in Shanghai debut (12月5日付け CNBC)
→1)*ムーアスレッドの株価は、$1.1 billionの新規株式公開(IPO)後、上海市場で初値400%以上急騰した。
*同社のIPOは、米国の制裁により先進製造業へのアクセスが制限されているにもかかわらず、中国政府が国内GPUメーカーの進出を後押しする中で行われた。
*中国の半導体産業の拡大は加速しており、ファーウェイ、カンブリコンといったライバル企業に加え、新興企業も需要を競い合っている。
2)北京に拠点を置くGPUメーカー、ムーアスレッドは、$1.1 billionの新規株式公開(IPO)後、上海市場で初値400%以上急騰した。「中国のNVIDIA」と呼ばれることもある同社は、調達資金をAIチップの研究開発(R&D)加速に充てる計画だが、まだ黒字化には至っていない。
今回のIPOは米国の制裁措置が続く中で行われたものであり、カンブリコンやファーウェイといった企業もAIプロセッサを開発していることから、中国が国内チップ生産を推進していることを浮き彫りにしている。
◇中国半導体ムーア上場、時価総額6兆円超 エヌビディア元幹部設立 (12月5日付け 日経 電子版 18:00)
→中国半導体新興企業の摩爾線程智能科技(Moore Threads[ムーア・スレッド])が5日、上海証券取引所のハイテク新興企業向け市場「科創板」でIPOした。中国政府は半導体の国産化率向上へ業界を後押ししており、成長期待から株式時価総額は約2823億元(約6兆2000億円)となった。


