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10月半導体販売高、さらに月次最高更新;インテルCEO退任を巡る動き

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この10月について$56.9 billionと、前月に続いて月次最高を更新している。年間販売高も、この10月までの累計が$500 billionに達して、2022年の年間最高を上回るのは確実な勢いである。AI(人工知能)関連需要が大きく引っ張って、その他の分野の回復が鈍い全体的な見え方だけに、先行きの見定めが難しくなっている。米国政府の補助金支給が決定されたばかりのインテルにおいて、CEOのPat Gelsinger氏退任が週のはじめに発表されている。当座引き継ぐ暫定CEOからは従来の取り組みを維持するとされる一方、次のCEO人選に向けた動きがあらわされている。

≪AIが引っ張る伸び、いつまで≫

米国・SIAの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○10月のグローバル半導体販売高が、前年同月比22.1%増;2024年の年間販売高が、19.0%増の見通し―10月の販売高は、月次総計史上最高;10月世界半導体販売高、前月比2.8%増 …12月5日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2024年10月のグローバル半導体販売高が$56.9 billionで、前年同月、2023年10月の$46.6 billionに対して22.1%増、前月、2024年9月の$55.3 billionを2.8%上回った、と発表した。月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関がまとめたもので、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。

さらに、SIAが承認した新しいWSTS業界予測は、2024年について上方修正されている。それによると、2024年の世界販売高は前年比19.0%増の$626.9 billionに達する。2025年の世界売上高は、前年比11.2%増の$697.2 billionに達すると予測されている。WSTSは、半導体の動向について正確でタイムリーな指標を提供する世界の半導体企業の広範なグループからの情報を収集することにより、半期に一度の業界予測を集計している。

「世界の半導体市場は、10月に業界史上最高の月間販売高を達成し、前月比販売高も7ヶ月連続で増加したことから、2024年を好調に締めくくろうとしている。」とSIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「2024年の年間総売上高は20%近く増加すると予測されており、これは以前の予測よりも高く、そして2025年も2桁成長を続ける。」

地域別では、10月の販売高前年同月比で、the Americas (54.0%), China (17.0%), Asia Pacific/All Other (12.1%), およびJapan (7.4%)では増加したが、Europe (-7.0%)では減少した。10月の販売高前月比では、the Americas (8.3%), Europe (1.3%), China (1.0%), およびJapan (0.2%)では増加したが, Asia Pacific/All Other (-0.7%)では僅かに減少した

                        【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Oct 2023
Sep 2024
Oct 2024
前年同月比
前月比
========
Americas
12.13
17.24
18.67
54.0
8.3
Europe
4.82
4.43
4.48
-7.0
1.3
Japan
3.93
4.21
4.22
7.4
0.2
China
13.84
16.04
16.20
17.0
1.0
Asia Pacific/All Other
11.87
13.40
13.30
12.1
-0.7
$46.59 B
$55.32 B
$56.88 B
22.1 %
2.8 %

--------------------------------------
市場地域
5- 7月平均
8-10月平均
change
Americas
15.41
18.67
21.2
Europe
4.16
4.48
7.8
Japan
3.90
4.22
8.1
China
15.24
16.20
6.3
Asia Pacific/All Other
12.63
13.30
5.3
$51.34 B
$56.88 B
10.8 %

-------------------------------------

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2024/12/October-2024-GSR-table-and-graph-for-press-release47.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた取り上げが、次の通りである。

◇Global Semiconductor Sales Increase 22.1% Year-to-Year in October; Annual Sales Projected to Increase 19.0% in 2024 (12月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、昨年、2023年は減少に転じた経緯であるが、2024年はどうなるかということで、2022年以降の推移で照らし合わせながら見ていくことにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年の出だし、1月は$47 Billion台の販売高であるが、2022年の前半のように$50 Billion台が続けられるかどうか、以後の推移に注目していくことになる。2月は$46 Billion台に下げたが、反転盛り返しへの期待である。3月も僅かながら下げて、反転待ちである。そして、4月に本年初めての前月比増加、5月には増勢をさらに高めて、2022年半ば以来の販売高、および前年同月比伸び率となっている。そして、6月はほぼ$50 Billionであるが、この大台を本年後半に突破し続けられるかどうか、2022年と見比べての注目となる。7月は$51.32 Billionと2022年の月次最高に次ぐ水準である。2022年から大きく踏み上がれるかどうか、全体的な市場拡大の到来如何にかかってくる。8月は$53.12 Billionと、以下で見ると、月間最高値を示している。本年後半の増加踏み上げとなるか、引き続き注目である。そして9月、$55.32 Billionと、文句なしの史上最高となり、この勢いが続けば、2022年の年間販売高更新も視界に入ってくる可能性がある。
10月は、$56.88 Billionとさらに最高更新、2022年の年間販売高更新が確実となっている。AIが圧倒的に引っ張る現下の情勢の半導体市場特性の見極めを要するところである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %
2023年11月 
$47.98 B
5.3 %
2.9 %
2023年12月 
$48.66 B
11.6 %
1.4 %
$518.45 B
 
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %
2024年 2月 
$46.17 B
16.3 %
-3.1 %
2024年 3月 
$45.91 B
15.2 %
-0.6 %
2024年 4月 
$46.43 B
15.8 %
1.1 %
2024年 5月 
$49.15 B
19.3 %
4.1 %
2024年 6月 
$49.98 B
18.3 %
1.7 %
2024年 7月 
$51.32 B
18.7 %
2.7 %
2024年 8月 
$53.12 B
20.6 %
3.5 %
2024年 9月 
$55.32 B
23.2 %
4.1 %
2024年10月 
$56.88 B
22.1 %
2.8 %
$501.91 B


足元の半導体市場はどう見えているか。関連する内容を、以下取り出している。AIが引っ張る現時点がいずこも示されている。

◇Silicon Wafer Market Outlook ― A Dynamic Between Equipment Investment and DRAM Pricing (12月2日付け SEMI)
→2024年第2四半期のシリコンウェーハ市場は、長期低迷から立ち直り、回復の兆しが見えた。季節要因やAIデータセンターへの投資による旺盛な需要が成長の原動力となっているが、民生用、自動車用、および産業用の各分野では回復ペースが鈍化している。

◇Q3 2024 Global Semiconductor Equipment Billings Grew 19% Year-Over-Year, SEMI Reports (12月2日付け SEMI)

◇Q3 2024 Global Semiconductor Equipment Billings Grew 19% Year-Over-Year, SEMI Reports (12月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIは本日、世界半導体製造装置市場統計(WWSEMS)報告書において、2024年第3四半期の世界半導体製造装置販売額は前年同期比19%増の$30.38 billion、前四半期比では13%増を記録したと発表した。
「2024年第3四半期の世界半導体装置市場は、成熟技術の生産だけでなくAIの普及をサポートすることを目的とした投資によって力強い成長を記録した。」と、SEMIのPresident and CEO、Ajit Manocha氏。「設備投資の伸びは、チップ製造エコシステムの強化を目指す複数の地域に広がっており、北米が前年同期比で最大の伸びを記録した一方、中国は引き続き支出でリードしている。」

◇半導体装置大手10社、AI伸び全社増収見通し 10〜12月 (12月4日付け 日経 電子版 15:15)
→世界の半導体製造装置大手10社の2024年10〜12月期(一部24年11月〜25年1月期)は全社が前年同期比で増収となる見通しだ。生成AI向け半導体への投資が旺盛で、強気の見方が目立つ。一方で中国の投資一巡は売り上げの減少要因となる。米トランプ次期政権による対中規制の動向も警戒され、株価は弱含む。

◇世界半導体市場11%増、来年104兆円に 生成AI使用本格化で (12月4日付け 日経)
→主要な半導体メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)は3日、2025年の半導体市場が24年予想に比べて11%増の$697.1 billion(約104兆円)になりそうだと発表した。生成AIを使うサービスが本格化し、市況を押し上げることが寄与する。自動車やスマートフォンなどに使う半導体は販売が伸び悩むとした。

さて、次に、今週のはじめにインテルCEO退任が発表され、以降連日、慌ただしい取り上げ、あらわし方が見られている。

◇Santa Clara tech giant launches search for new CEO (12月2日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→退任したCEO(同社で40年の経験を持つベテラン)は2021年に復帰し、再建を企てたが、それは実現しなかった。新しいリーダーを見つけるための同社の計画について以下に・・・・・

さらに具体的な発表内容である。

◇Intel CEO Pat Gelsinger retires―Gelsinger out at Intel; interim co-CEOs named (12月2日付け TechCrunch)
→インテルは、Pat Gelsinger CEOの退任を発表し、12月1日付でDavid Zinsner氏とMichelle Johnston Holthaus氏が暫定共同CEOsに就任した。ゲルシンガーCEOの在任中は、チップ製造工場の建設やCHIPS and Science Act(CHIPSおよび科学法)の提唱といった主要なイニシアチブの一方で、収益の減少や取引の失敗といった課題もあり、混迷を極めた。

◇Intel CEO Pat Gelsinger ousted by board after disastrous performance―Intel CEO Pat Gelsinger is Out, Stock Up 5% (12月2日付け CNBC)
→*インテルは月曜2日、パット・ゲルシンガーCEOが12月1日付けで退任したと発表した。
 *インテルのデビッド・ジンスナーCFOとインテル製品のMJ・ホルタウスCEOが暫定共同CEOsに就任。Frank Yeary氏(Independent Chair)は暫定執行委員長を務める。
 *インテルは、主力事業の市場シェア低下とAI市場の攻略不能により、長期低迷に陥っている。インテルの株価は年初来で52%下落している。

翌日以降も波紋が続いていく。

◇What's next for Intel? (12月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Pat Gelsinger氏がインテルから突然退社したことで、CEOは退社を余儀なくされたとの報道がなされ、経営難に陥っているチップメーカーにとって戦略的にどのような意味を持つのか憶測を呼んでいる。
Bloombergは、この件に詳しい無名の情報筋の話を引用して、インテルの取締役会が先週ゲルシンガー氏(63歳)に辞任か解任を求めたと伝えた。ゲルシンガー氏が月曜2日に退任を発表したため、後任を探す間、上級幹部のDavid Zinsner氏とMichelle Johnston Holthaus氏が暫定共同CEOsに就任した。

◇Intel Will Never Find Another Gelsinger, But Do They Want One?―Intel CEO Pat Gelsinger departs amid major changes; Intel seeks new leader. (12月3日付け EE Times)
→まさに激動の時代、インテルのパット・ゲルシンガーCEOが約4年間指揮を執ってきた同社と決別した。昨日短いプレスリリースで発表されたゲルシンガー氏の退任は、業界に衝撃を与えた。ゲルシンガー氏は12月1日付で退任し、今後はインテルの役員を務めることはない。

◇Intel CEO’s Departure Leaves Top U.S. Chipmaker Adrift (12月3日付け EE Times)
→EE Timesの取材に応じたアナリストによると、IntelのCEOであるPat Gelsinger氏の突然の退任により、苦境にある米チップメーカーは漂流状態にある。
同社が18Aチップの生産を拡大し、プロセス技術のリーダーシップを取り戻す計画は不透明だ。インテルはコアCPU事業でAMDにシェアを奪われる一方、スマートフォンやAIチップでは牽引役を果たせずにいる。チップ製造部門であるインテル・ファウンドリーを独立した事業として成功させるためのインテルの努力は、何年もかかる可能性が高く、そうすることでCHIPS法の補助金を失う可能性がある。インテル・ファウンドリーは、ライバルのTSMCがリードする品質とコストで追いつく必要がある。

◇Intel CEO Gelsinger forced out as chip giant falls behind Nvidia, TSMC―The company board has lost confidence in Gelsinger’s turnaround plan and told him he could retire or be removed, a source says (12月3日付け South China Morning Post)
→インテル社のパット・ゲルシンガーCEOが、就任から4年足らずで退陣を余儀なくされ、2人の副社長に経営権が移った。この問題に詳しい人物によると、12月1日に辞任したゲルシンガー氏は、先週の取締役会で、インテル社を立て直すための彼の高価で野心的な計画がうまくいっておらず、変革の進展が十分速くないと取締役が感じたため、退任したという。その関係者によると、取締役会はゲルシンガー氏に引退か解任のどちらかを選択するよう伝え、ゲルシンガー氏は退任を選んだという。

◇インテルCEO退任、AI革命の波乗れず 歴代の失策も重荷 (12月3日付け 日経 電子版 08:14)
→米インテルは2日、パット・ゲルシンガーCEOが1日付で退任したと発表した。2021年の就任時はインテルを立て直す救世主として期待されたが、AI革命の波に乗れず成長の道筋を描けなかった。苦境の根底には、歴代の経営トップの失策の積み重ねが招いた競争力の低下がある。

次のCEOに向けた取り沙汰があらわされている。

◇Intel approaches candidates for CEO role, including former board member Lip-Bu Tan: sources―Sources: Intel evaluates external candidates for next CEO (12月4日付け The Korea Times (Seoul))
→インテルは、Pat Gelsinger CEOの退任後、外部のCEO候補を検討している。元取締役のLip-Bu Tan氏、Marvell TechnologyのCEO、Matt Murphy氏などが初期段階で打診を受けている。

◇Intel Corp approaches new candidates for CEO (12月5日付け Taipei Times)
→インテル社(Intel Corp)は、ベテランのPat Gelsinger氏を出した後、元取締役のTan Lip-bu氏を含む、一握りの外部人材をCEO候補として評価し始めている。
譚氏は半導体業界のベテランとして知られ、以前からインテルのCEO候補と目され、情報筋によれば、インテルの取締役会はここ数日、同氏のCEO就任への関心を測るために、同氏に接触しているという。

◇Intel's interim co-CEO Zinsner says new chief executive will have foundry experience (12月5日付け Reuters)
→インテルの次期CEOには、製造の専門知識だけでなく、製品面での経験も必要だと、David Zinsner暫定共同CEOが水曜4日に語った。
ロイター通信は火曜3日、同社がコストのかかる再建ペースへの焦りからパット・ゲルシンガーCEOの辞任を発表した翌日、経営難に陥っているチップメーカーの後任として、元取締役のLip-Bu Tan氏を含む一握りの外部の人物の評価を開始した、と報じた。

インテルの今後の取り組みについて暫定共同CEOのコメントである。中核戦略は変わらないとしている。

◇Intel co-CEO David Zisner says 'core strategy remains intact' ― Intel will continue to be a products and foundry company―Intel's Zisner: Core strategy unchanged after CEO exit―Intel's BoD still wants to offer 'world-class foundry' services. (12月5日付け Tom's Hardware)
→インテル暫定共同CEOのDavid Zisner氏は、Pat Gelsinger CEO退任後も、同社の中核戦略は変わらないと述べた。「われわれは依然として世界一流のファウンドリーでありたいと思っており、最先端のシリコンを顧客に提供する西側のプロバイダーでありたいと思っている。」とZisner氏。「それが我々の目標であることに変わりはない。」

◇Intel co-CEO eyes culture shift, innovation―Company's huge investment in Chandler factory expansion key to future success (12月5日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→インテルの 「コア戦略 」に変更はなく、同社は引き続き「ワールドクラスのファウンドリー 」への移行に注力していくと、同社の新しい暫定共同CEOが12月4日にScottsdaleで語った。

次のプロセス、18Aも計画通り進んでいるとしている。

◇Intel’s 18A on-track for production ramp next year, says foundry GM―Intel prepares for scheduled 2025 production ramp of 18A process (12月5日付け Electronics Weekly (UK))
→インテルのchief global operations officer兼ファウンドリー事業担当GMであるNaga Chandrasekaran氏は、昨日のUBSグローバル・テクノロジー&AI会議において、インテルの18Aプロセスは予定通りに進んでおり、期待通りに発展していると語った。

遡ると10-nm台の歩留まり低迷が思い浮かび、以降苦難の様相の方が優勢に感じるインテルの経緯であるが、長年にわたる半導体業界最大手の盛り返しに引き続き注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□11月29日(金)

トランプ・インパクトに対する市場の冷静な反応があらわされている。

◇Wall Street’s Response to More Tariffs: Been There, Done That―Wall Street shrugs off Trump's renewed tariff threats―Automakers and the peso fell. The Dow industrials hit a record. (The Wall Street Journal)
→ウォール街は、ドナルド・トランプ次期大統領がカナダ、メキシコおよび中国からの輸入品に再び関税をかけるという脅しをかけたことに対して冷静に反応しており、アナリストがインフレの潜在的な影響を強調したにもかかわらず、主要株価指数は上昇を続けている。自動車メーカーやカナダの鉄道会社の株価は下落したが、投資家たちはトランプ氏の第1期での過去の経験を活かし、関税の脅威を差し迫った経済的脅威ではなく、潜在的な交渉戦術と見なしている。

□12月2日(月)

インド経済の今後にも目が離せないところである。

◇インドGDP急減速 物価高でスタグフレーション懸念も (日経 電子版 16:08)
→インド経済が急減速している。11月29日発表の2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は5.4%で、4〜6月期の6.7%を大きく下回る結果だった。物価高と低成長がインド株相場の重荷になっており、金融政策も見通しにくくなっている。
成長率はブルームバーグ通信がまとめた市場予想の6.5%を1ポイント以上下回った。

□12月3日(火)

最高値ではじまって、中日水曜4日に初の4万5000ドル台を記録、ほか4日は下げとなった今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反落128ドル安、利益確定売り ナスダック最高値 (日経 電子版 06:58)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前週末比128ドル65セント(0.28%)安の4万4782ドル00セントで終えた。前週末に最高値を更新した後で、主力株の一部に利益確定売りが出た。トランプ次期米大統領の関税政策の不透明感も投資家心理の重荷となった。一方で、ハイテク株の一部に買いが入り、指数を支えた。

□12月4日(水)

◇NYダウ、続落し76ドル安 雇用統計前で買い控え (日経 電子版 06:45)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比76ドル47セント(0.17%)安の4万4705ドル53セントで終えた。今週発表の米雇用関連指標次第で米連邦準備理事会(FRB)が12月に追加利下げを決めるとの見方がある。指標を見極めたい雰囲気が強く、買い手控えにつながった。短期的な相場の過熱感や高値警戒感も、ダウ平均の重荷となった。

韓国・ユン政権が追い込まれの事態になっている。フランスもマクロン大統領に打撃の事態である。

◇韓国大統領「非常戒厳」宣言、4日未明に解除 軍を撤収 (日経 電子版 10:51)
→韓国の尹錫悦大統領は4日未明、自身が3日夜に宣言した「非常戒厳」を解除する方針を発表した。戒厳のため投入していた軍を撤収させたと明らかにした。尹氏の発表後に国務会議(閣議)が開かれ、戒厳令は解除された。

□12月5日(木)

◇仏で内閣不信任案可決、総辞職へ 左派連合に極右が同調 (日経 電子版 05:10)
→フランスの国民議会(下院)は4日、バルニエ内閣の不信任決議案を賛成多数で可決した。同内閣は総辞職する。バルニエ首相による緊縮型の2025年度(25年1〜12月)予算案に野党が反発し、2日に不信任案を提出していた。バルニエ首相を任命したマクロン大統領にとっても打撃で、求心力の低下は避けられない。マクロン氏は現地時間の5日午後8時から仏国民に向けて演説する予定だ。

◇NYダウ反発、初の4万5000ドル台 金利低下が追い風 (日経 電子版 07:07)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比308ドル51セント(0.69%)高の4万5014ドル04セントで引け、初の4万5000ドル台に乗せた。市場予想を下回る経済指標で12月の利下げ実施の観測が高まった。長期金利の低下が株買いにつながった。

□12月6日(金)

ルーマニア大統領選挙が、以下続く通り、やり直しに至っている。

◇EU、TikTokを監視 ルーマニア大統領選にロシア干渉で (日経 電子版 04:55)
→欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は5日、動画活用アプリ「TikToK」の監視を強めると発表した。11月24日投開票のルーマニア大統領選でロシアが同アプリを用いた選挙戦に干渉したことを受け、本格的な調査に入った。

◇NYダウ、反落し248ドル安 高値後の利益確定売りで (日経 電子版 08:01)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比248ドル33セント(0.6%)安の4万4765ドル71セントで終えた。6日にFRBの利下げシナリオを左右する米雇用統計の発表を控え、様子見姿勢から積極的な買いは手控えられた。前日の最高値更新で利益確定売りも出やすかった。

□12月7日(土)

◇ルーマニア大統領選、無効やり直しへ ロシア介入指摘も (日経 電子版 01:32)
→ルーマニア大統領選を巡り、同国の憲法裁判所は6日、11月の第1回投票を無効とし、選挙のやり直しを決定した。親ロシア派の極右で大学教授のカリン・ジョルジェスク氏(62)と野党党首との決選投票が今月8日に実施される予定だった。
ジョルジェスク氏は動画投稿アプリTikTokで選挙運動を展開し、政府はロシアが選挙戦に介入した可能性を指摘していた。

◇韓国大統領の弾劾案採決へ 与党は否決方針、造反が焦点 (日経 電子版 01:42)
→韓国国会は7日、尹錫悦大統領の弾劾訴追案を採決する。可決されれば尹氏は職務停止となる。野党勢力は可決に必要な在籍議員の3分の2に届かず、与党から最低8人の造反が必要となる。与党議員の対応が採決の結果を分ける。

◇NYダウ続落、123ドル安 利下げ期待でS&P500は最高値 (日経 電子版 07:45)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比123ドル19セント(0.3%)安の4万4642ドル52セントで終えた。悪材料の出た指数構成銘柄が足を引っ張ったが、S&P500種株価指数とハイテク株中心のナスダック総合株価指数は上昇して終え、最高値を更新した。FRBの利下げ継続期待が投資家心理を支えている。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米国の政権移行を控える中、いろいろな局面が見られた1週間である。

対中制裁がそれほど厳しくないという見方があっての反応である。

◇Shares of key chip suppliers jump as U.S. reportedly considers toned-down China curbs (11月28日付け CNBC)
→*米国が中国のチップ産業に対する以前の提案には及ばない制裁を検討しているとの報道を受け、世界の主要半導体製造装置メーカーの株価は木曜28日に急上昇した。
 *ASMLは欧州での取引開始早々に約3.6%高となった。東京エレクトロンは日本市場で6%以上上昇した。

◇US prepares more China chip curbs―LIMITED MEASURES: The proposed restrictions on Chinese chip exports are weaker than previously considered, following lobbying by major US firms, sources said (11月29日付け Taipei Times)
→ジョー・バイデン米政権は、中国への半導体装置とAIメモリー・チップの販売について、北京のハイテクへの野心に対する米国の取り締まりをエスカレートさせるが、以前検討されていたより厳しい措置には及ばない追加的な規制を検討していると、この問題に詳しい情報筋が語った。

そして月曜2日、3年ぶり3回目のBiden政権の対中輸出規制が開始されている。置き土産というあらわし方も見られている。

◇Latest US clampdown on China's chips hits semiconductor toolmakers―US tightens restrictions on chip sales to China (12月2日付け Reuters)
→1)米国は月曜2日、中国の半導体業界に対する3年ぶり3回目の取り締まりを開始し、チップ装置メーカーのNaura Technology Groupを含む140社への輸出を制限した。
北京のチップ製造の野望を妨げようとする努力は、中国のチップツールメーカー、Piotech、ACM ResearchおよびSiCarrier Technologyにも新たな輸出制限を課し、中国への先端メモリ・チップおよびより多くのチップ製造ツールの出荷にも狙いを定めている。
 2)米国は、中国への高度なチップの移転に新たな制限を導入し、生成AIに使用されるメモリチップに焦点を当て、チップ製造ツールの利用可能性を狭めた。商務省はまた、中国の半導体対応能力を抑制する広範な取り組みの一環として、Naura Technology Group、PiotechおよびSiCarrier Technologyを含む140の中国企業を貿易制限リストに加えた。

◇Biden’s Farewell to China’s Tech Sector: A New Type of Forbidden Chip―Export of memory chips used in AI applications is restricted, but delayed announcement gives Chinese companies chance to stock up (12月2日付け The Wall Street Journal)
→米国は、中国への先端チップの譲渡に関する最新の制限を導入したが、AIに有用なチップを遮断することの遅れは、バイデン政権がいかに北京の前進を食い止めるのに苦労しているかを示した。
この規則は、中国の最先端半導体技術へのアクセスを抑制するための、米国の政策立案者による3年間で4回目の試みであり、AIアプリケーションを動かすメモリーチップの販売を制限し、中国が利用できるチップ製造ツール群を狭めた。商務省はまた、140の中国企業およびその他の団体を貿易ブラックリストに追加すると発表した。

◇New US chip sanctions to hit Chinese tool makers, but Japan, Netherlands exempt (12月2日付け South China Morning Post)
→*米国の新たな規制は半導体企業20数社、投資会社2社およびチップ製造ツールメーカー100社以上に及ぶと関係筋がReutersに語った。
 *米国が月曜2日、中国の半導体業界に対して3年ぶり3回目の取り締まりを開始、チップ装置メーカーのNaura Technology Groupを含む140社への輸出を制限するなどの動きがあると、この件に詳しい2人の関係者が語った。

◇Asian chip stocks mostly rise, shrugging off new U.S. semiconductor export curbs on China (12月2日付け CNBC)
→*中国以外のアジアの主要チップ株は火曜3日、北京に対する米国の半導体輸出規制の新ラウンドをはねのけ、上昇した。
 *台湾のTSMCは2.4%高、日本のチップ株もいくつか上昇し、東京エレクトロンは5%近く上昇した。

◇US tightens exports to Chinese chip industry―140 companies added to restriction list in 3rd crackdown (12月3日付け Taiwan News)
→米国は月曜2日、中国の半導体業界に対する3度目の取り締まりで140社を貿易制限リストに加えた。

◇US adds curbs on chip tools to China―TECH COMPETITION: The US restricted sales of two dozen types of manufacturing equipment and three software tools, and blacklisted 140 more Chinese entities (12月3日付け Taipei Times)
→ジョー・バイデン米大統領政権は、中国がチップやAIに不可欠な部品を入手する際の新たな制限を発表し、北京の技術的野心を封じ込めるキャンペーンをエスカレートさせた。
米商務省は、高帯域幅メモリー(HBM)と、米国企業が海外工場で生産したものを含むチップ製造装置の販売に新たな制限を課した。また、最初の声明では名前を挙げなかったが、北京のために行動していると非難した140以上の中国企業もブラックリストに載せた。

◇米国、半導体規制に中国140社追加 韓台の輸出も制限 (12月3日付け 日経 電子版 09:21)
→米政府は2日、中国向けの半導体輸出規制の強化を発表した。半導体製品全般の禁輸措置となる「エンティティー・リスト」に中国企業140社を追加したほか、韓国や台湾などにAI向けのメモリーや半導体製造装置の中国向け輸出を事実上禁じた。

◇米、中国のAI開発抑止 輸出規制、高性能メモリーに拡大 第三国の取引にも網 (12月4日付け 日経)
→バイデン米政権は2日、中国への半導体の新たな輸出規制を発表した。生成AIのデータセンターに不可欠な高性能メモリーや先端半導体の製造装置も規制の対象とし、米国外の取引にも網をかける。中国のAI開発を抑止する狙いがある。

中国が、反発の措置である。

◇China bans exports to US of gallium, germanium, antimony in response to chip sanctions (12月3日付け AP News)
→中国は火曜3日、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、その他軍事利用の可能性のある主要ハイテク材料の対米輸出を原則禁止すると発表し、半導体関連輸出に対する米国の制限に反発した。

◇China to curb exports of chip components to US (12月4日付け Taipei Times)
→ワシントンが北京の先端チップ製造能力を標的とした規制を発表したことを受け、中国は昨日、半導体を製造するためのいくつかの主要部品の対米輸出を制限すると発表した。
輸出が禁止される材料の中には、金属ガリウム、アンチモンおよびゲルマニウムが含まれており、中国商務省は、「国家安全保障」上の懸念を理由とする声明の中で述べた。

◇米、中国のAI開発抑止――中国、鉱物輸出禁止で対抗 (12月4日付け 日経)
→中国商務省は3日、半導体材料に使うガリウムやゲルマニウムなどデュアルユース(軍民両用)に関連する重要鉱物の米国向け輸出を禁止すると発表した。米国による半導体輸出規制への対抗措置とみられる。
輸出管理法に基づく措置で、3日から適用した。レアメタル(希少金属)の一種であるアンチモニーなどの米国向け輸出も禁止した。黒鉛はエンドユーザーや用途の審査をより厳しくする。

オランダの半導体装置メーカー、ASMLは、米国の新規制は業績見通しに影響しないとしている。

◇ASML says new US chip curbs on China won’t affect 2025 sales forecast―The Dutch chip equipment maker says it is studying the impact of the new restrictions, but sees little impact on long-term demand (12月3日付け South China Morning Post)
→コンピュータチップ装置メーカーのASMLは、月曜2日に発表された米国による中国への半導体輸出に対する新たな規制が、直近の財務ガイダンスに影響を与えるとは考えていないと述べた。
これとは別に、オランダ政府は、先端半導体製造ツールの輸出に関する米国の安全保障上の懸念を共有しており、最新の米国規則を研究していると述べた。

◇ASML、米国の対中半導体規制は「業績予想に影響なし」 (12月3日付け 日経 電子版 09:53)
→オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングは2日、米政府による先端半導体などの中国への新たな輸出制限について、「業績への影響は予想の範囲内」とする声明を発表した。「特定の地域ではなく世界全体の半導体需要を見ており、新しい規制によって影響を受けることはない」とした。ASMLは25年12月期の売上高予想を最大350億ユーロ(約5兆5000億円)、30年12月期に最大600億ユーロとする従来目標を据え置いた。

NXPも、規制強化に関わらず、と次の通りである。

◇NXP positive on automotive, industrial chip demand (12月6日付け Taipei Times)
→世界第2位の自動車用チップサプライヤーであるNXPセミコンダクターズNVは昨日、米国による中国への半導体輸出規制強化にもかかわらず、自動車と産業用モノのインターネット(IIoT)が今後3年間のNXPの2大成長ドライバーであると述べた。
NXPのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・セールス・オフィサーのロン・マルティノ(Ron Martino)氏は、台北でのメディアブリーフィングで、この2つのセグメントは来年から2027年にかけて8〜12%でビジネスが成長すると予想している、と述べた。

韓国でも、米国の新規制は限定的な影響との見方である。

◇US chip export curbs on China to have limited impact on Korea: gov't (12月3日付け The Korea Times)
→米国による最新の対中輸出規制パッケージは、韓国の半導体産業には限定的な影響しか与えない見込みであると、地元企業の中国市場への依存度が低いことを理由に、当局者が火曜日に述べた。
米国商務省産業安全保障局は、中国への広帯域メモリー(HBM)チップの輸出制限を含むパッケージを一夜にして連邦官報で発表した。

米中対立の改めての論評である。

◇Silicon Rivalry: U.S. Restrictions vs. China’s Capital Market Reforms (12月4日付け EE Times)
→この簡単な概要では、米中対立の複雑さを完全に把握することはできない。しかし、各国のアプローチにおける最新の動向をいくつか紹介することはできる。
ここ数カ月、米中両国は技術面での主導権争いを激化させる中で、それぞれ異なる戦略を採用している。両政府とも対応を強めているが、その方法は大きく異なっており、双方の企業に重大な影響を与える「冷戦ではない」状況を作り出している。

中国の関連業界の受け取りがいくつかあらわされている。

◇Beijing wants Chinese outfits to seek alternatives to US silicon―Chinese groups urge prioritization of domestic chips―And American components may be in short supply as Middle Kingdom bans rare earth exports (12月4日付け The Register (UK))
→中国半導体産業協会(CSIA)をはじめとする中国の業界団体は、米国の制裁、サプライチェーンの安定性およびコスト増への懸念を指摘し、中国企業に国産チップを優先し、調達先を多様化するよう促している。中国はまた、地政学的緊張が高まる中、特定のレアアースの対米輸出を禁止している。

◇China's largest chip industry associations say it's unsafe to buy US chips ― warnings come in the wake of new US sanctions―Calls to replace American technology with domestic technology. (12月4日付け Tom's Hardware)
→米国政府が中国半導体セクターに対して新たな制裁措置を発動したことを受け、中国インターネット協会、中国半導体工業協会(CSIA)、および中国自動車工業協会など中国のさまざまな業界団体が、米国製チップの購入は安全ではないと主張する声明を発表した、とPhoenix New Mediaが報じている。ロイター通信によると、これらの団体は中国企業に対し、中国製、あるいはアメリカ以外の企業から供給されたチップを使用するよう促している。

◇Tech war: China chip supply chain calls for ‘cooperation’ after broader US restrictions (12月5日付け South China Morning Post)
→*上海で開催された会議のスピーカーは、新たな規制についてのコメントを避け、「グローバルな協力 」の価値を強調することを好んだ。
 *上海で開催された中国半導体会議の代表者たちは、「グローバルな協力」を呼びかけ、ワシントンと北京がチップ戦争を激化させている今、融和的なメッセージを送った。
木曜5日に開催されたGlobal Semiconductor Market Summitでは、Biden政権が新たな輸出制限を課して以来、中国初の主要なチップ業界の集まりの一つであり、講演者はほとんどこの問題についてのコメントを避け、「グローバルな協力」の価値を強調することを好んだ。 


【TSMC関連】

最先端の取り組み、アリゾナ工場関連いくつか、以下の通り。

◇TSMC faces new safety challenges (11月30日付け Taipei Times)
→TSMCは、アリゾナ州の新工場でカルチャーショックと安全性の問題に遭遇しているようだ。アリゾナ州当局は11月7日、5月に男性が死亡したことを受け、TSMCに作業員の安全違反で罰金$16,131を科した。
アリゾナ州労働安全衛生局は、死亡事故に関する6カ月間の調査を発表し、死亡または重大な危害を引き起こす可能性のある危険から職場を守る義務を怠ったとしてTSMCを厳しく非難した。

◇TSMC evolves CoWoS technology, to challenge 9x reticle sizes in 2027 (12月2日付け DigiTimes)
→TSMCは欧州で開催されたオープン・イノベーション・プラットフォーム(OIP)エコシステム・フォーラムで、同社のCoWoSパッケージング技術が2027年までに認証を取得し、9倍のレチクルサイズを持つバージョンを導入すると発表した。この進化により、12個のHBM4メモリー・スタックを搭載できるようになり、AIや高性能コンピューティング(HPC)チップに前例のない性能向上がもたらされる。

◇Purported TSMC engineer boasts of recent 6% boost to 2nm yields, passing 'billions in savings' to customers (Updated)―Alleged TSMC engineer claims 2nm yield boost, cost savings in post ―The higher, the better. (12月3日付け Tom's Hardware)
→TSMCは来年後半にN2(2nmクラス)製造プロセスによる半導体の量産を開始する予定で、現在、ばらつきや欠陥密度を下げ、歩留まりを向上させるという点で、この技術の磨き上げに全力を尽くしている。このノードの進捗についてはすでに噂が飛び交っており、TSMCのエンジニアとされる人物の最近のツイート(このツイートと未確認のアカウントは1日後に削除された)は半流行し、X(旧Twitter)で多くの注目を集めた。このTSMCの社員とされる人物は、チームが2nmプロセスの歩留まりを6%向上させることに成功し、同社の顧客に対して「数十億ドルの節約を生み出した」と述べた。

◇TSMC先端投資、台湾に外資呼ぶ 東エレクは1000人拠点 (12月3日付け 日経 電子版 18:00)
→東京エレクトロンは3日、台湾南部の台南に半導体製造装置の顧客向けサービス拠点を竣工した。技術者など1000人超が働く見込みだ。半導体世界大手のTSMCがAI需要をにらんだ先端投資を進め、海外勢の関連投資をひき付けている。

◇Exclusive: TSMC in talks with Nvidia for AI chip production in Arizona, sources say?―Sources: TSMC, Nvidia discuss AI chip production in Ariz. (12月5日付け Reuters)
→TSMCは、2025年に量産を開始するTSMCのアリゾナ新工場でのBlackwell AIチップの生産について、Nvidiaと交渉中であると情報筋は述べている。このチップは現在台湾で製造されているが、アリゾナではchip-on-wafer-on-substrate(CoWoS)の生産能力が不足しているため、台湾でパッケージングする必要がある。

◇TSMC is reportedly in talks with Nvidia to make Blackwell GPUs in Arizona ― Blackwell silicon needs to be shipped back to Taiwan for assembly―TSMC could move production of some of Nvidia's Blackwell GPUs to America. (12月5日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、アリゾナ州フェニックス近郊のファブ21でAI向けBlackwell GPUsを生産するため、Nvidiaと交渉しているとReutersが報じた。両社が適切な契約を結べば、Nvidiaは米国でBlackwell GPUsを追加生産でき、間違いなく顧客と政治家を喜ばせるかもしれない。しかし、いくつか引っかかる点がある。

◇TSMC in ‘Talks on Making Top Nvidia AI Chip in Arizona’―Taiwan Semiconductor Manufacturing Co is making preparations to start production of Nvidia’s top AI chip in Arizona next year, sources say (12月5日付け Asia Financial)
→世界有数のチップメーカーTSMCは、アリゾナ州にある委託製造会社の新工場で、人工知能チップ「Blackwell」の生産について米ハイテク大手Nvidiaと交渉中だと情報筋が語った。TSMCは、来年早々の生産開始に向けて
すでに準備を進めていると、3人の情報筋がロイターに語った。


【Samsung関連】

インテル同様盛り返しを図るSamsungとの見られ方が優勢であるが、Samsungはメモリに集中する、と以下の最後にあらわされている。

◇Samsung slashes photoresist usage in 3D NAND production, impacts supplier―Samsung cuts photoresist use in 3D NAND flash production (12月2日付け DigiTimes)
→サムスン電子は、最新の3D NANDフラッシュのフォトリソグラフィ工程で厚いフォトレジスト(PR)の使用を減らし、大幅なコスト削減を達成したと報じられた。しかしこの動きは、韓国のサプライヤーであるDongjin Semichemにインパクトを与える可能性がある。

◇Samsung Electronics' half-century chip biz faces unprecedented challenges in AI era (12月2日付け The Korea Times (Seoul))
→韓国の半導体業界のパイオニアであるサムスン電子は、世界のメモリー市場がAI中心の技術にシフトする中、大きな課題に直面している。30年にわたり世界トップの座に君臨してきたメモリ・チップ・メーカーが苦境に立たされている主な原因は、AIアクセラレーターに不可欠な高帯域幅メモリー(HBM)の需要拡大への対応が遅れていることである。

◇Samsung prepares to unveil 10th generation V-NAND with 400+ layers - ready to power future PCIe 5.0 and 6.0 SSDs―Samsung to debut 10th-gen V-NAND with 400-plus layers ―With 1Tb 5.6 GT/s 3D TLC NAND, it can target pretty much everything. (12月3日付け Tom's Hardware)
→サムスンは、PCIe 5.0 x2 / PCIe 4.0 x4 990 Evoおよび990 Evo Plusを除いて、full-fat PCIe 5.0ソリッド・ステート・ドライブ(SSDs)をまだ小売市場に投入していないが、最速のPCIe 5.0 SSDだけでなく、次世代のPCIe 6.0ドライブにも対応できるフラッシュ・メモリを準備している。この新しい4xx層3D NANDデバイスのインターフェース速度は5.6GT/sで、来る国際固体素子回路会議(ISSCC)で発表される予定だ。
サムスンの超高速第10世代V-NANDメモリは、TLC(Tri-Level Cell、セルあたり3ビット)アーキテクチャを維持し、ダイあたり1Tb(128GB)の容量を持つ。

◇Samsung's Galaxy S25 launch event might include its long-awaited smart glasses reveal―Samsung smart glasses prototype details emerge ahead of reveal ―Is it finally time? (12月3日付け TechRadar)
→数ヶ月にわたる噂やリーク、そしてサムスン自身による予告の後、同社はついに次のウェアラブル、待望のスマートグラスを発表する準備が整ったのかもしれない。そしてそれは、2025年初頭にSamsung Galaxy S25とともに発表されるかもしれない。
これは韓国のYonhap News(韓国語からの翻訳)が伝えた新しい情報によると、このメガネは1月に開催されるUnpackedイベントの一部として公開される予定だという。

◇Intel CEO exit offers crucial lessons for Samsung's reform―Samsung reform strategy diverges from Intel's approach (12月5日付け DigiTimes)
→インテルのPat Gelsinger CEOの退任は、集積デバイスメーカー(IDMs)の課題にスポットライトを当て、韓国ではサムスン電子の改革戦略に関する議論に火をつけた。両社ともAI分野で困難に直面しているが、サムスンはジュン・ヨンヒョン(Young-Hyun Jun)氏の新たなリーダーシップの下、ファウンドリー投資を削減し、メモリー生産に集中するという異なるアプローチを取っている。


【Microchip関連】

Microchip Technologyが、今週以下の通りいくつか取り上げられて注目している。米国政府の半導体補助金から手を引く最初となる状況である。

◇Microchip to shutter Arizona fab―Microchip closing Ariz. fab amid slowing auto orders (12月2日付け Electronics Weekly (UK))
→1)マイクロチップ社はアリゾナ州の工場を閉鎖する予定であり、自動車受注の減速に伴い今年最終四半期の見通しを下方修正した。
 2)マイクロチップ・テクノロジー社は、自動車向け受注が減速し、在庫水準が高止まりしていることから、来年第3四半期までにアリゾナ州テンピ(Tempe, Ariz.)のウエハー製造施設を閉鎖する予定。ファブ2の製品はコロラド州とオレゴン州の工場に移される。閉鎖により年間$90 millionの経費削減が見込まれる。

◇Integrated IGBT Devices Optimized for Green Power, E-Mobility, Data Centers―Microchip's IGBT devices target sustainability, e-mobility (12月4日付け Electronic Design)
 →1)マイクロチップ社の最新の集積IGBTベースデバイスは、改良されたパッケージング、低いオン電圧、その他の特性を備え、無数のパワーアプリケーションのニーズに対応する。
 2)マイクロチップ社は、持続可能性とe-モビリティの要求に応えるIGBT 7デバイスを発表した。このデバイスは、IGBTと他のパワーコンポーネントを統合し、より低いオン状態電圧、改良された逆並列ダイオードおよび電流能力の向上を実現する。

◇Microchip Launches Portfolio of IGBT 7 Power Devices (12月4日付け EE Times India)
→パワーエレクトロニクス システムの高効率化、小型化および高性能化に対する要求の高まりに対応するため、パワーコンポーネントは進化を続けている。システム設計者に幅広いパワーソリューションを提供するため、Microchip Technology Inc.は、さまざまなパッケージ、複数のトポロジー、および電流および電圧範囲で提供するIGBT 7デバイスのポートフォリオを発表した。

◇Microchip pauses CHIPS Act application amid inventory woes (12月5日付け Taipei Times)
→Microchip Technology社は、米国半導体補助金の申請を一時停止し、米国のチップ製造を活性化させるためのプログラムから手を引く最初の企業となった。
同社は、オレゴン州とコロラド州の工場を支援するため、CHIPS and Science Actから$162 millionの補助金を受ける予定であった。それ以来、同社はオレゴン州の工場で2度の一時帰休を行い、アリゾナ州の工場を閉鎖する計画を発表し、約500人の従業員に影響を及ぼしている。


【Morris Chang氏】

TSMCの創業者、Morris Chang氏の自伝下巻が、台湾で発売されたとのこと。キーワード、キーフレーズ、いろいろ注目である。

◇40nm crisis: how TSMC shaped Nvidia's triumph, AMD's demise (11月27日付け DigiTimes)
→2009年のTSMC 40nmプロセス危機は、ウェーハファウンドリ業界にとって決定的な瞬間であり、より広範な半導体セクターにとって極めて重要な教訓をもたらした。TSMCの創業者であるMorris Chang氏が自伝の第2巻の発売を控えるなか、この重要な章では、根本的な原因、解決策、そしてNvidiaやAMDのような主要顧客への永続的な影響に光を当てている。

◇エヌビディアCEOに後継打診 TSMC創業者が自伝 (12月6日付け 日経MJ(流通新聞))
→TSMCのカリスマ創業者である張忠謀氏の自伝下巻が11月29日、台湾で発売された。かつて米エヌビディアのジェンスン・ファンCEOのスカウトを試みたエピソードなど、経営を引退した2018年までの事績をつづった。

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