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米政府の先端半導体対中出荷停止の動き、Trump 2.0への反応が続く中

中国のテレコム企業、Huaweiの製品でTSMC製半導体が見つかった件が尾を引く中、米国政府がTSMCに対し、7-nm以降の先端プロセス技術で製造された人工知能(AI)半導体とグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)の中国向け出荷の停止を命じ、月曜11月11日から適用、と報じられている。一方、TSMCのアリゾナ工場に向けては、CHIPS and Science Actに基づく奨励金配分が最終決定という発表が続いている。バイデン政権から年明けにトランプ次期政権を迎えることになった中のこれらの動きである。中国では地元半導体株が急騰するなど、Trump 2.0インパクトによる半導体業界関連の動きが引き続いており、以下取り出している。

≪不透明な局面への備え≫

米国政府のTSMCに対する先端半導体対中出荷停止の動き関連の記事内容が、以下の通りである。今後の対応する動きに注目である。

◇TSMC to cease advanced chips supply to China―TECH WAR CONTINUES: The suspension of TSMC AI chips and GPUs would be a heavy blow to China’s chip designers and would affect its competitive edge (11月9日付け Taipei Times)
→世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCは、米商務省の規則を遵守するため、来週から7ナノメートル以上の先端プロセス技術で製造されたAIチップとグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)の供給を停止すると報じられている。
TSMCは中国のAI顧客に電子メールを送り、月曜日からの供給停止を通知したと、中国のオンラインニュース、Ijiwei.comが昨日報じた。

◇US ordered TSMC to halt shipments to China of chips used in AI applications: source―Report: US clamped down on TSMC shipments to China (11月9日付け The Korea Times (Seoul))
→TSMCは、商務省から7ナノメートル以降の技術で製造されたAIアプリケーションやグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)に使用されるチップの中国企業への出荷を停止するよう命じられたと報じられた。両者ともこの報道についてコメントしていない。

◇U.S. ordered TSMC to halt shipments of advanced AI processors to China: Report―Till TSMC's customers get an export license? (11月10日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、先週報道されたように、中国企業への先進的なAIプロセッサーの出荷を自主的に削減したわけではないよう。本日未明に掲載されたSouth China Morning Postの報道によれば、TSMCは米国政府から輸出規制を命じられたのだという。
米商務省はTSMCに対し、7nmクラス以上の高度な製造プロセスで製造された技術で作られた先端AIプロセッサーとGPUsの輸出規制を課す通達を出した。この規制は、車載および民生機器向けチップは対象としていない。

◇TSMC cannot afford to lose Chinese mainland market despite relentless US pressure: analysts (11月10日付け Global Times)
→米国はTSMCに対し、AIアプリケーションに使用される先端チップの中国本土顧客への販売を停止するよう「命令」したと報じられている。アナリストらは日曜10日、米国の執拗な圧力にもかかわらず、台湾の該チップメーカーは本土市場を失うわけにはいかないと述べた。
米商務省はTSMCに対し、AIアクセラレーターやグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)を搭載する中国本土向けの7ナノメートル以上の高度なチップの輸出制限を課す書簡を送ったと、ロイター通信が匿名の情報筋の話として日曜10日に報じた。

◇TSMC’s 7nm chip ban targets China’s AI chipmakers―Biden administration expected to tighten its semiconductor sanctions on supplying China before Trump takes office in January (11月11日付け Asia Times)
→世界最大のチップ受託製造会社であるTSMCが、AIチップやGPUを製造する中国の顧客への7ナノメートル以下の半導体の出荷を停止すると報じられた。
この決定は、米国の制裁措置に沿って11日から適用され、中国の華為技術がサードパーティを通じてTSMCに発注できないようにすることを目的としている。と本土のITサイト『Jiwei.com』が8日に報じた。

◇Chinese semiconductor shares rise as TSMC halts advanced chip shipments (11月12日付け Taipei Times)
→ロイター通信が米国がチップ製造大手のTSMCに中国の顧客への先端チップの出荷停止を命じたと報じたことを受け、中国の半導体株は昨日急騰、北京の自立化を加速させる可能性があると投資家は見ている。
ロイター通信が匿名筋を引用、日曜10日に報じたところによると、TSMCは昨日、米商務省からこれらの製品に輸出制限を課す書簡を受け取ったため、一部の中国顧客への高度なチップの出荷を停止し始めたという。

このような動きの中、次の評論記事が目に入っている。

◇TSMC is undoubtedly Taiwanese (11月13日付け Taipei Times)
→TSMCは台湾の 「sacred mountain(霊山)」と呼ばれている。ここ数年、米国、日本および欧州の工場建設に投資し、長い間、世界をリードするスーパー企業として台湾人の誇りとなってきた。
しかし、多くの誤った報道がネット上に出回り、一部は認知戦の一環で、TSMCは実際には台湾企業ではないという誤った考えを意図的に広めている。

Trump 2.0インパクトについて、経済界の反応をいくつか取り出している。

◇Bitcoin, Dogecoin and Solana Surge in Post-Election Crypto Price Jump―Dow, S&P 500, Bitcoin hit record highs amid Trump optimism (11月11日付け The Wall Street Journal)
→ドナルド・トランプ次期大統領の政策をめぐる選挙後の楽観論に後押しされ、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価は月曜11日に新たな節目を迎え、それぞれ44,000と6,000を超えて引けた。暗号に優しい政権が誕生するとの期待の中、ビットコインは過去最高値を更新した。上昇が続いているにもかかわらず、この成長の持続性に対する懸念は根強く、投資家はさらなる洞察を得るために消費者インフレデータを待っている。

◇Wall Street bankers temper optimism a week after Trump victory―Wall Street pumping the brakes on Trump euphoria (11月13日付け Reuters)
→ニューヨークに集まったウォール街の銀行家たちは、ドナルド・トランプ次期大統領の規制緩和アジェンダについて慎重な楽観的見方を示し、友好的な規制当局や民主党の政策を撤回する可能性を期待した。しかし、トランプ氏のポピュリスト的傾向には依然として警戒感を抱いており、いわゆるjunk feesに対する取り組みの拡大など、銀行政策に影響を与える可能性がある。銀行は、取引や消費者の健全性については楽観的であるものの、バランスの取れたアプローチが必要であることを認めている。

◇トランプシフト加速、仮想通貨・ドルに買い 原油は下落 (11月13日付け 日経 電子版 07:17)
→トランプ氏が米大統領選で勝利を決めて1週間、政策の影響を織り込む動きが米金融市場で加速している。トランプ氏が後押しする暗号資産(仮想通貨)にマネーが流れ込み、ビットコイン相場などが急騰。米産業の保護が強まるとの見方から、米国内への生産回帰を先取りした銘柄に買いが集まる。エネルギー関連の規制緩和観測で原油先物は急落している。

半導体業界における反応が、以下の通りである。

◇Taiwan’s chipmaker TSMC says US investment plan unchanged after Trump’s election―TSMC is poised to receive its final award from the Chips and Science Act, a Biden initiative that Trump has described as ‘so bad’ (11月8日付け South China Morning Post)
→TSMCは、共和党のドナルド・トランプ氏が次期米国大統領に選出されたことに関する質問に対し、米国への投資計画に変更はないと述べた。
「米国における当社の投資計画に変更はない」と、同社は木曜7日遅くに電子メールで詳しくは説明せず声明を発表した。

◇Intel CEO optimistic about CHIPS Act’s future after trading texts with JD Vance―Intel's Gelsinger optimistic about incoming administration (11月9日付け The Oregonian (Portland))
→Intel社のCEO、Pat Gelsinger氏は、米国半導体業界を支援するために次期Trump政権と協力することについて楽観的な見方を示し、次期副大統領のJD Vance氏と連絡を取ったことを明らかにした。ゲルシンガー氏は、CHIPS and Science Actを通じて、いくつかの州におけるIntelの拡張プロジェクトに資金を確保したいと考えている。

◇TSMC poised to expand advanced chips production in the US during Trump second term (11月11日付け DigiTimes)
→先日の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、同政権の政策が台湾のサプライヤーにどのような影響を与えるかについて懸念が高まっている。Macronix InternationalのMiin Wu会長兼CEOは、台湾は国際的な圧力で選択肢が限られる可能性があるなか、TSMCはサブ2nm技術を含む最先端のプロセスを米国で複製する可能性が高いと指摘している、
TSMCはアリゾナ工場で4nmプロセスの初生産を迎える運びである。しかし、指導者の交代に伴い、CHIPS Actに関連する補助金や関税に関して新たな変数が出現する可能性がある。

台湾・ASEはメキシコに工場用地を取得、以下のあらわし方である。

◇ASE buys land in Jalisco for IC hub―ASE's investment in an IC hub in Mexico will create over 500 jobs ―STRATEGIC INVESTMENT: ASE said it expects its presence in the Mexican state to extend its global reach and create more than 500 jobs locally the first year of its operations (11月10日付け The Taipei Times (Taiwan))
→世界最大の集積回路パッケージング・テスト・サービス・プロバイダーであるASE Technology Holding Co.(ASE, 日月光投控)が、生産拠点を建設するためにメキシコで「重要な」土地を購入することで、メキシコへの投資に向けて一歩を踏み出した。

◇ASE expands to Mexico with first North American packaging facility post-US election (11月11日付け DigiTimes)
→ASEホールディングスの北米子会社、ISEラボは、GuadalajaraのAxis 2工業団地での土地取得を発表、米国以外での初の実装拠点拡張となる。この動きは、先日の米国大統領選挙後にサプライチェーンが不安定になる可能性がある中で行われた。
新拠点は半導体チップのパッケージングとテストサービスを提供し、ASEの世界的プレゼンスを強化し、北米での市場機会を強化する。

◇ASE buys land in Jalisco for IC hub―STRATEGIC INVESTMENT: ASE said it expects its presence in the Mexican state to extend its global reach and create more than 500 jobs locally the first year of its operations (11月11日付け Taipei Times)
→世界最大の集積回路パッケージングおよびテスト・サービス・プロバイダーであるASE Technology Holding Co.(ASE, 日月光投控)は、メキシコに生産拠点を建設するための「重要な」区画を購入することで、メキシコへの投資への一歩を踏み出した。
ASEは、カリフォルニアに拠点を置く子会社ISE Labs Inc.を通じて、メキシコ西部のグアダラハラ市トナラ(Tonala, Guadalajara)に位置するアクシス2工業団地(Axis 2 Industrial Park)の広大な区画を取得したと発表した。グアダラハラはハリスコ(Jalisco)州の州都である。

韓国では、特別チップ法の提案である。

◇South Korea's ruling party proposes special chips act to avert Trump (11月11日付け The Korea Times)
→韓国の与党は月曜11日、ドナルド・トランプ次期米大統領が迫る措置による潜在的なリスクに対処するため、チップメーカーに補助金を与え、労働時間の国家上限を免除する特別チップ法を提案した。
半導体産業は、アジアで4番目に大きい貿易依存型の経済にとって重要であり、昨年の輸出総額の16%をチップが占めている。

台湾そして中国での率直な反応&動きである。

◇EDITORIAL: Chipmakers and US economic flux (11月13日付け Taipei Times)
→台湾の製造業者は、ドナルド・トランプ前米大統領の再選によって引き起こされる不安定な貿易環境に対処するため、サプライチェーンの再配置の第二波に直面している。先週、トランプ氏が勝利したことで、グローバルサプライチェーンに関わる地元企業の間に動揺が広がり、経営陣は中国からの生産移管を急ごうと躍起になっている。トランプ氏は、ワシントンと北京の貿易摩擦が激化する中、中国からの輸入品に60%の関税をかけ、世界共通の10%の関税を課すと脅している。彼はまた、台湾にアメリカの保護の代償を払わせることもできると述べた。

◇トランプ氏が呼ぶ中国半導体株の急騰 上昇率は米国超え (11月16日付け 日経 電子版 02:00)
→トランプ次期米大統領の誕生が、中国で半導体株の急騰を呼んでいる。習近平指導部が「自立自強」路線の下、米国の対中政策の厳格化に備え、半導体の国産代替を急ぐとの見方からだ。
中国の半導体株指数、CSI半導体株指数が急上昇している。11日まで6日続伸し、2024年の上昇率は26%に達する。

米国での政権移行を迎えていく中、半導体業界関連の対応の変転の可能性に随時注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□11月12日(火)

トランプ減税&規制緩和の期待から最高値続伸で始まり、利下げ観測後退が重荷で下げて締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ、続伸で始まる トランプ減税・規制緩和に期待 (日経 電子版 00:35)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸して始まり、午前9時35分現在は前週末比332ドル28セント高の4万4321ドル27セントで推移している。米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利を確実にし、次期政権の経済政策が米景気を支えるとの見方が引き続き株式市場への資金流入を促している。ダウ平均の上げ幅は500ドル近くに達する場面がある。

□11月13日(水)

◇NYダウ反落し382ドル安 利益確定売り、テスラ下落 (日経 電子版 06:57)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比382ドル15セント(0.86%)安の4万3910ドル98セントで終えた。次期トランプ政権での規制緩和や減税への期待から、ダウ平均は大統領選の翌日の6日から前日までに2000ドルあまり上げていた。短期的な過熱感から主力株の一角に利益確定や持ち高調整の売りが出た。

□11月14日(木)

◇NYダウ小反発 利下げ期待支え、トリプルレッド想定内 (日経 電子版 08:20)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比47ドル21セント(0.1%)高の4万3958ドル19セントで終えた。朝方発表の物価指標が予想通りの結果を示し、インフレ再燃への過度な警戒感が和らいだ。米大統領職と上下両院の多数派を共和党が占める「トリプルレッド」が確実になったが、ほぼ事前の予想通りとの受け止めで大きな材料とはならなかった。

□11月15日(金)

◇NYダウ、反落し207ドル安 利下げ観測の後退で売り加速 (日経 電子版 07:12)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比207ドル33セント(0.47%)安の4万3750ドル86セントで終えた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が同日の講演で、追加利下げを急がない姿勢を示したのを受け、高金利環境が長期化することへの懸念が売り材料となった。

米連邦準備理事会(FRB)の利下げについてのコメントである。

◇FRB議長「利下げ急ぐ必要ない」 金利上昇、円は下落 (日経 電子版 07:54)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日の講演で「経済は利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない」と述べ、今後の利下げペースについて慎重に判断する考えを示した。米経済は底堅く推移しており、慌てて下支えする必要がないと強調した。

□11月16日(土)

◇NYダウ続落、305ドル安 利下げ鈍化観測が重荷 (日経 電子版 07:01)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比305ドル87セント(0.69%)安の4万3444ドル99セントで終えた。米国の物価上昇圧力が根強く残るなか、利下げを慎重に進める姿勢を示す米連邦準備理事会(FRB)高官が増えている。10月の小売売上高など市場予想を上回る米経済指標の発表が相次ぎ、米金利の先高観が強いことも株式相場の重荷となった。


≪市場実態PickUp≫

【TSMCアリゾナ工場】

CHIPS and Science Actによる米国政府のTSMCアリゾナ工場に対する助成支給が、週末に発表されている。Biden政権の約束が履行されたが、該工場の開所式がTrump大統領就任後に延期される動きもあらわされている。以下関連する内容である。

◇TSMC reportedly delays Fab 21 opening ceremony in Arizona until January―Until when Donald Trump takes office. (11月14日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、アリゾナ州フェニックス近郊にあるFab 21のオープニングセレモニーを12月6日から、ドナルド・トランプ大統領就任後の1月下旬か2月に延期したとDigiTimesと China Timesが報じている。この決定は、現職のジョー・バイデン米大統領やその政権のメンバーが式典に出席する可能性が低いことを意味する。

◇TSMC responds to discrimination allegations in US facilities (11月14日付け DigiTimes)
→最近の訴訟文書により、TSMCのカリフォルニア工場とアリゾナ工場の現従業員および元従業員12人が、採用、昇進、および従業員管理慣行における人種差別で同社を訴えていることが明らかになった。TSMCは現在進行中の訴訟についてコメントを控えているが、それに対して声明を発表している。

◇Biden-Harris Administration Announces CHIPS Incentives Award with TSMC Arizona to Secure U.S. Leadership in Advanced Semiconductor Technology―CHIPS Investment Incentivizes Creation of Leading-Edge Cluster in Phoenix, Arizona, and Over 20,000 Jobs; and Includes Commitment to Produce A16 Technology (11月15日付け NIST)
→本日、バイデン-ハリス政権は、米国商務省がTSMCの子会社であるTSMC Arizonaに対し、CHIPS Incentives Programの商業ファブリケーション施設向け資金調達機会の下、最大$6.6 billionの直接資金を授与したことを発表した。今回の授与は、2024年4月8日に発表された予備的覚書への署名と、同省によるデューデリジェンスの完了を受けたものである。今回の授与は、アリゾナ州フェニックスにある3つのグリーンフィールド最先端工場への$65 billion以上の投資計画を支援するものである。同省は、TSMC Arizonaによるプロジェクトのマイルストーン完了に基づき資金を支出する。

◇TSMC bags up $11.6bn Chips Act funding―TSMC finalizes $11.6B CHIPS Act deal for Ariz. fabs (11月15日付け Electronics Weekly (UK))
→1)TSMCと米国商務省は、TSMCがアリゾナ州の3つの工場に行う$65 billionの投資を支援するため、Chips Actの$66 billionに加え、$5 billionの融資とインフラ設備投資に対する25%の税額控除を受けるという、先に発表した予備的合意を最終決定した。
 2)TSMCは、米国商務省と最終合意し、CHIPS and Science Actから$66 billion、さらに$5 billionの融資とインフラ設備投資に対する25%の税額控除を受ける。この資金はTSMCのアリゾナ工場3カ所への$65 billionの投資を支援する。TSMCは大統領就任式に合わせるため、アリゾナのファブ21の開所式を1月下旬か2月に延期すると報じられている。

◇SIA Commends Finalization of CHIPS Incentives for TSMC (11月15日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA:半導体産業協会)は本日、SIAのPresident and CEO、John Neuffer氏による声明を発表し、CHIPS and Science Actに基づきTSMCに奨励金を配分する合意が最終化したことを称賛した。TSMCと米国商務省との合意は、アリゾナ州におけるTSMCの半導体工場の拡張を支援するものである。

◇Biden-Harris Administration Announces CHIPS Incentives Award with TSMC Arizona (11月15日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇バイデン米政権、TSMCへの1兆円補助金を最終決定 (11月16日付け 日経 電子版 00:38)
→バイデン米政権は15日、半導体世界大手のTSMCが米アリゾナ州で建設する新工場への$6.6 billion(約1兆円)の補助金支給を最終決定したと発表した。
補助金はCHIPS・科学法に基づくもので、4月に支給方針を発表していた。


【SMIC関連】

中国の半導体業界の動きに一層の注目であるが、最大のファウンドリー、SMICの四半期売上げが初めて$2 billionを超えたとする一方、立ちはだかる米国の規制も触れられている。

◇SMIC reports record revenue, but faces competition with limited gross margin (11月8日付け DigiTimes)
→中国最大の半導体ファウンドリーであるSMICは、1四半期で$2 billionの売上げを記録し、稼働率は90%を超えた。しかし、売上総利益率は同業他社に比べ相対的に低く、ICデザインハウスからの強い需要にもかかわらず、中国半導体市場の競争の激しさを浮き彫りにしている。
11月7日、SMICは2024年第3四半期の好調な業績を発表し、売上高は$2,171 millionに達し、前四半期比では2024年第2四半期の$1,901 millionから14.2%増、前年同期比では$1,621 millionから34.0%増となった。

◇US chip restrictions hinder AI ambitions of China’s top chip foundry, CEO says―SMIC co-CEO Zhao Haijun said the foundry can still benefit from rising demand for less advanced ‘legacy chips’ required for some AI products (11月8日付け South China Morning Post)
→中国トップのファウンドリーのCEOは金曜8日、先進ノード技術に対する米国の規制のため、AIチップの需要急増をフルに活用できないと述べた。
SMICのZhao Haijun共同最高経営責任者(co-CEO)は、電気自動車(EV)に使用されるような「レガシー・チップ」の旺盛な需要により、同社が第3四半期に記録的な売上高を計上した翌日の発言である。

◇China chipmaker SMIC says consumer electronics to recover in 2025―Co-CEO Zhao Haijun says all chipmakers will benefit from massive AI adoption (11月8日付け Nikkei Asia)
→中国の大手チップメーカー、SMICは、現地製チップの需要で四半期売上高が初めて$2 billionを超えたことを受け、来年は民生用電子機器の需要が回復するとの見通しを示した。
共同CEOのZhao Haijun氏は金曜8日に投資家に対し、SMICは7-9月期に民生用電子機器の回復を確認し始めたと語った。米中が緊張する中、地元製チップへの需要が高まり、同社の12インチ・ウェハーの生産量は増加した。


【Samsung】

広帯域メモリ(HBM)の遅れで苦境が伝えられるSamsungについて、以下いろいろな切り口の現下の動きである。Exynos半導体の生産をTSMCに委託する可能性という内容には、特に注目させられている。

◇How Samsung fell behind in the AI boom leading to a $126 billion wipeout (11月8日付け CNBC)
→*サムスン電子は、広帯域メモリ(HBM)の分野で長年のライバルであるSKハイニックスに遅れをとっている。
 *HBMは、大規模な人工知能(AI)モデルの訓練に使用されるNvidiaのチップアーキテクチャの主要コンポーネントである。
 *サムスンはまだNvidiaがHBMの使用を承認するのを待っており、これにより韓国の巨大企業が再び競争力を取り戻す可能性がある、とアナリストは述べた。

◇Samsung needs to change to keep up with AI development: Expert―Samsung facing setbacks in AI, memory chip sectors (11月10日付け Investing (Cyprus))
→サムスン電子は、AIの急速な発展と中国からの攻撃的な競争の中、メモリーチップ分野、特に広帯域メモリー(HBM)で地歩を失い、新たな課題に対処していると、チップ業界の専門家である林洪文氏は指摘する。林氏は、サムスンが競争力を維持するためには、ビジネスモデルを適応させる必要があると指摘している。

◇Samsung Electronics to expand chip packaging facilities for HBM―Samsung to convert LCD plant to HBM chip fab in South Korea (11月12日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は、高帯域幅メモリー(HBM)チップの生産を強化するため、忠清南道(South Chungcheong Province)の半導体パッケージ施設を拡張する、と同社関係者が火曜12日に明らかにした。
同省政府との覚書(MoU)に基づき、サムスン電子は、ソウルの南約85キロの天安(Cheonan)にあるサムスンディスプレイ所有の遊休液晶ディスプレー工場を半導体製造工場に転換すると同関係者。

◇Samsung may outsource Exynos to TSMC and scrap in-house Snapdragon plans―Reports: Samsung eyes TSMC for Exynos production (11月13日付け Android Police)
→1)*サムスンの歩留まりの低さと苦戦により、サムスンはエクシノスの生産をTSMCにシフトする可能性がある。
  *エクシノス半導体は、オーバーヒートやバッテリー寿命、および性能の低さに対する批判に長い間直面してきた。
  *TSMCに切り替えることで、長期的にはエクシノスの評判と生産効率が向上する可能性がある。
 2)サムスンは、サムスン・ファウンドリーの歩留まりの低さと性能の問題を背景に、エクシノス・チップの生産をTSMCに委託することを検討しているとの報道があった。TSMCの歩留まり率が高ければ、Exynosの生産効率が高まる可能性がある。

◇Samsung, SK to unveil supercomputer chips at SC24―SK Hynix, Samsung to showcase supercomputer chips (11月14日付け The Korea Herald (Seoul))
→SKハイニックスとサムスン電子は、来るSupercomputing 24会議でスーパーコンピューター用チップを発表する予定である。SKハイニックスはGDDR6-AiMチップを使った大規模言語モデル(LLMs)用アクセラレーターカードを初公開する。サムスンは、CXLメモリーモジュール-DRAMを含むCompute Express Link(CXL)製品に注力している。

◇Samsung Electronics shares hit 4-year lows on Trump risks, AI chips (11月14日付け The Korea Times)
→世界トップのメモリー・チップ・メーカーであるサムスン電子の株価は、ドナルド・トランプ新政権下での米国関税の影響が懸念される中、水曜13日に過去4年以上の最低水準まで下落したとアナリストは述べた。

◇Samsung Electronics, labor union reach preliminary deal in wage talks (11月14日付け Yonhap News Agency)
→サムスン電子と同社最大の労働組合は木曜14日、5.1%の賃上げで予備合意に達し、数週間に及ぶストライキを含む行き詰まった賃金交渉に終止符を打つ道を開いた。
サムスン電子と全国サムスン電子労組は、サムスン電子の従業員の約24%に当たる3万1000人の労働者を代表しており、賃上げ率や休暇制度およびボーナスをめぐって1月から何度も協議を重ねてきたが、効果はなかった。


【ASML関連】

EUVシステムの56%がTSMCに設置から、2030年売上高目標約10兆円据え置きと、ASML関連の以下の内容である。今後の世界情勢インパクトも目が離せないところである。

◇TSMC now reportedly operates over half of global EUVs, weighs high-NA adoption―Reports: TSMC strengthens global EUV market dominance with 56% share (11月13日付け DigiTimes)
→TSMCとASMLは、TSMCが取得したEUVシステムの正確な台数を明らかにしていないが、AnandTechと The Registerの報告によると、世界のEUVシステム設置台数におけるTSMCのシェアは、2020年から2023年の間に50%から56%に拡大している。

◇ASMLの2030年売上高目標、約10兆円で据え置き (11月14日付け 日経 電子版 15:43)
→オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングは14日、2030年12月期の売上高目標を最大600億ユーロ(約9兆9000億円)で据え置くと発表した。最先端半導体の量産に必要となる、極端紫外線(EUV)露光装置への強い需要が続くと判断した形だ。

◇EUV露光装置、ラピダス設置へ 来月中旬に新千歳到着 (11月15日付け 日本経済新聞 地方経済面 北海道)
→最先端半導体の量産を目指すラピダスの工場内に設置される極端紫外線(EUV)露光装置が、12月中旬に北海道・新千歳空港に到着する。
EUV露光装置の国内導入は初めてで、複数の大型貨物機に分けて運ぶ。EUV露光装置は最先端半導体の量産に欠かせず、1台で数百億円かかる。ラピダスは将来、複数台の稼働を想定している。装置を製造するオランダのASMLホールディングは、千歳市内に日本法人のサービス拠点を設けるなど受け入れ体制を整えた。

◇ASML upholds 2030 sales forecast bet on AI demand (11月15日付け Taipei Times)
→グローバル・サプライチェーンに不可欠な先進的チップ製造装置を製造するオランダのASMLホールディングNVは昨日、AI主導の半導体需要ブームに賭けるとして、長期的な売上げ見通しを再確認した。同社の投資家説明会の一環として発表された声明によると、2030年の売上高は440億ユーロから600億ユーロ($46 billion to $63 billion)で、前回予想と同じになると予測した。

◇ASMLにTSMC1強リスク 据え置き目標に強気・慎重交錯 (11月15日付け 日経 電子版 11:54)
→オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングは14日、2030年12月期の中期目標を据え置いた。AI向けの半導体の需要が拡大する一方で、同社が手掛ける最先端装置の受注はTSMCの動向に左右される。AIを中心とした成長戦略には、ASMLの強気の姿勢と慎重な姿勢が交錯する。
ASMLは同日、オランダ南部アイントホーフェンに置く本社で、投資家説明会を開催した。


【SEMICON Europa/Electronica】

11月12日から15日までミュンヘンで開催されたSEMICON EuropaおよびElectronicaについて、目に入った以下の内容である。電気自動車(EVs)の中国以外での売れ行き鈍化が、ここでも触れられている。

◇SEMICON Europa 2024 Opens Tomorrow to Highlight Innovation and Collaboration Powering Sustainable Growth (11月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMICON Europa 2024は明日ドイツ・ミュンヘンのMesse Munchenで開幕(11月12日〜15日)し、エレクトロニクス設計と製造のサプライチェーン全体から業界リーダーを招集し、半導体セクターの持続可能な成長を促進する進歩とトレンドに関する洞察を交換する。今年のプログラムは、先端パッケージング、材料、MedTech、モビリティ、およびサイバーセキュリティなどの主要分野にわたるイノベーションに重点を置いており、より強靭で持続可能な未来を形作るという業界のコミットメントを反映している。

◇DigiKey to Showcase New Product Offerings, Suppliers at electronica 2024 (11月12日付け EE Times India)
→DigiKeyは、2024年11月12日から15日までドイツ・ミュンヘンで開催されるエレクトロニカで、大手サプライヤーのトップ製品を紹介し、技術対応力とツールを展示し、そしてエキサイティングな賞品を贈呈する。

◇Electronica 2024: Interview with Quintauris’ Alexander Kocher―Discover Quintauris' plans for RISC-V innovation with CEO Alexander Kocher. (11月13日付け EE Times)
→Quintaurisは、RISC-Vの世界的な普及を推進するために設立されてからちょうど1年が経過し、現在は初期段階を終えて、その計画について公に語り始めている。EE Timesは今週、ドイツで開催されたelectronica 2024で、QuintaurisのCEOであるAlexander Kocher氏にクインタウリスの近況と今後12ヶ月の計画についてもっと知るためにインタビューする機会を得た。

◇Lars Reger on EVs, SDVs and a World of Intelligent Robots (11月13日付け EE Times)
→ミュンヘンで開催されている見本市「エレクトロニカ」は、今年で60周年を迎え、今年のテーマは、オール電化社会の未来像である。EVsはそのひとつの側面であるが、業界のさまざまな論者から聞かれるように、中国を除くほとんどの地域で、ここ1年ほどEVsの売れ行きが鈍化している。
NXPセミコンダクターズのLars Reger(ラース・レーガー)CTO(最高技術責任者)に見本市会場でインタビューし、このEV販売の減速に業界がどう取り組むべきかについて意見を聞いた。


【大容量記憶装置】

122テラバイト(TB)が現状の最大容量となるのか。Solidigm(San Jose:インテルのNANDフラッシュ事業継承)、MicronおよびSK Hynixの取り組み、以下の通りである。

◇Solidigm reveals 122TB SSD, the world's highest-capacity drive for AI workloads ― D5-P5336 offers unlimited write durability―Solidigm unveils 122TB SSD for AI, data center workloads―Familiar controller, familiar 3D QLC NAND. (11月13日付け Tom's Hardware)
→Solidigm(ソリディグム)は、AIサーバーやデータセンター向けに設計された容量122テラバイトのD5-P5336ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を発表した。このSSDは、独自のNVMe 2.0コントローラーと192層の3D QLC NANDを使用しており、シーケンシャルリード速度は最大7,400メガバイト/秒、ライト速度は最大3,200 MBpsを誇る。

◇Micron unveils industry's first 60TB SSD with a PCIe 5.0 x4 interface―Micron debuts a 60TB SSD with PCIe 5.0 for AI capacity, performance ―Micron joins the 60TB SSD club. (11月13日付け Tom's Hardware)
→マイクロンは、PCIe 5.0 x4インターフェイスを搭載した業界初の60TB SSDである6550 IONソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を発表した。このドライブは、AIトレーニングや推論ワークロードなど、大容量のストレージと適切なパフォーマンスを必要とするアプリケーションを対象としている。マイクロンはまた、先行製品や競合製品と比較して、この新しいドライブのエネルギー効率が改善されていることもアピールしている。

◇韓国SK、容量2倍の記憶装置を発売 AIデータセンター用 (11月14日付け 日経 電子版 14:23)
→韓国半導体大手SKハイニックスは13日、AIデータセンター向け記憶装置で世界最大容量となる122テラバイト(TB)品を発売すると発表した。データ保存量は現行の2倍になり、消費電力も最大84%削減できるという。

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