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世界MEMSサプライヤランキング3位にTDK、MEMSファウンドリ6位にソニー

フランスの半導体市場調査会社が発表した2023年世界MEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30(参考資料1)によると、トップ企業はドイツのRobert Bosch、2位は米国のBroadcom、3位は日本のTDKだった。1位と2位がともに2023年の売上高を前年比減じているのに対して3位のTDK売上高を増やして前年の7位からいっきに3位に駆け上がった(図1)。

日本企業としては、TDKのほかに10位にキヤノン、16位の村田製作所、18位にセイコーエプソンの4社が入った。8位の米国Skyworksは日本企業に分類されないが、大阪にBAWフィルタの前工程工場を持ち、パナソニックの事業を継承している。

キヤノンとエプソンのMEMS製品の主力は、自社のプリンタ用のインクジェットプリンタヘッドで、村田製作所は車載慣性センサに強みを発揮する。3位へと躍進したTDKは、2017年に慣性・圧力センサを得意とする米InvenSenseを買収し、自社の磁気・圧力・温度・音声センサといった幅広いポートフォリオに組み入れて、ついに世界3位にのし上がった。


2023 top 30 MEMS Players / Yole Intelligence

図1 2023年世界MEMSサプライヤ売上高(オレンジ色表示、単位100万ドル)ランキングトップ30社;比較のために2022年の売上高を赤色で併記している 出典:Yole Intelligence
日本勢は4社に絞られてきた


ところで、2016〜2018年には、日本勢はトップ30社のうち、10社を占めていたが、8社(2019年)、7社(2020年)、3社(2021年)と日本勢は徐々に少なくなった。

2022年以降は4社で落ち着いている(表1参照)。しかも、最後まで残った日本勢4社の2023年の順位はすべて2022年の順位よりも上昇しており、今後もこの4社は生き残る見込みである。


MEMSサプライヤランキング内日本企業

表1 世界MEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30社にエントリした日本企業の順位の変遷 出典:Yoleが発表した過去の資料を基に筆者作成


世界MEMSファウンドリ売上高ランキングでソニーが6位

MEMS業界にも、ロジック半導体業界同様にファウンドリが存在する(参考資料2)。世界のトップMEMSファウンドリは、スウェーデンのSilex Microsystems、2位はカナダのTeledyne MEMS, 3位は台湾のTSMC、4位はドイツのXFAB、5位は中国SMICで、6位に日本のソニーセミコンダクタ(鹿児島テクノロジーセンタ、元ソニー国分)が登場する(図2参照)。ソニーは日本最大のMEMSファウンドリだが、16社中、最も下落率が大きいのは、主たる顧客であるソニーの最大の顧客であるMEMSマイクサプライヤーのカナダKnowlesの販売不振によるとYoleは分析している。日本勢としては、このほか14位にロームがエントリしている。


2023 top 30 MEMS Players / Yole Intelligence

図2 2023年世界MEMSファウンドリ売上高(オレンジ色表示、単位100万ドル)ランキングトップ16社 比較のために2022年の売上高を赤色で併載している。上段の棒グラフは対前年比売上高増減率(%)を示す。 出典:Yole Intelligence


2024年MEMS市場規模は前年比7%増の156億ドルと予測

Yole Inelligenceによると、2023年世界MEMS市場規模は、前年より3%減の146億ドルに落ち込んだが、2024年には、7%増の156億ドルに成長する見込みである。。MEMS業界にとってごく一部のサプライヤを除き、2023年は全般に厳しい年だったが、2024年には市場が再び成長すると予想されている。長期的な成長に関しては、民生用電子機器のセンサ化、自動車の自動運転と快適性、インダストリ4.0、AIの出現など、すべての最終市場におけるメガトレンドに牽引され、MEMSデバイスはますます勢いを増していくとYoleは見ている(参考資料1)。

参考資料
1. Yole Intelligence, "Status of the MEMS Industry 2024"
2. 服部毅、「2023年MEMS ファウンドリ売上高ランキングでソニーが6位、ロームが14位−Yole調査」、マイナビニュースTECH+、(2024/08/30) MEMSファウンドリ情報は筆者がYole より独自入手したもので、参考資料1には掲載されていない。

Hattori Cnsulting International 代表・国際技術ジャーナリスト 服部 毅
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