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ウェスト2009の参加者が少なくてもセミコンショーの落日と判断するのは早計

先週、セミコンウェストが開催され、日本からも参加した業界関係者が多くいた。しかし、セミコンショーへの参加者はこれまでの中でも極めて少ないと言う。来年はもう開催されないかもしれない、と開催を危ぶむ声もあったそうだ。なぜか。展示会、セミコンウェストの存在意義を考えてみよう。

製造装置を買うバイヤーがいるからこそ、バイヤーに訴求する製品を見せる展示会がある。ただし、米国をはじめとする海外での展示会はあくまでも商談会という位置づけである。新製品を見せながら、次のビジネスへとつなげるための商談会であり、出展社にとってもわずか3日間で20〜30社もの人たちとディスカッションできる貴重な場である。日本の展示会とは違い、情報収集が目的で来場する人は少ない。

このため、海外の展示会では入場者の数は問題にはならない。B2B展示会で数十社の人たちと会えることが重要なのであり、業界人や専門家以外の入場者は何人いようと問題ではない。潜在顧客や既存顧客と話ができる重要な場なのである。だから似たような展示会であれば常に日本の展示会の方が来場者は多い。業界と関係のない人も来るからだ。それでも主催者は何万人が来場した、ということばかり問題にする。

海外ではあくまでも展示が目的というより、商談が目的で展示会が存在する。米国のように西と東で時差が3時間もあるような広い国では、アポを取って20社の人に会おうとすると1ヵ月以上かかることがある。展示会だと業界関係者が一堂に集まるため、順番にアポをとれば3日間で20社と会って話をすることが簡単にできる。以前所属していた外資系企業では展示会期間中のスケジュール表は、営業マンも編集者もみんなアポでぎっしり詰まっていた。取材する日本からのわれわれも展示会で新製品を見るというよりは、取材で人と会うアポがスケジュールに詰まっていた。

米国の展示会の参加者が少ないからと言って、日本よりもさびれていると一概に判断することは正しくない。

では、今回の展示会出席者のスケジュールはアポで埋まっていたか。残念ながら今その答えは持ち合わせていない。

仮に今回、商談会さえもまともに行われていなかったと仮定するならば、米国におけるセミコンウェストの存在意義を問い直さざるを得ない。冷やかしや情報収集などの参加者が少なかったとしても、従来通り、バイヤーとサプライヤーとの関係が成り立ち、商談会が行われていたのであれば、セミコンウェストの存在意義は十分ある。

しかも、米国には最先端のプロセスだけを特長とするファウンドリ企業が着々と工場稼働に向け準備を進めている。AMDからスピンオフしたGlobalFoundries社は最先端のプロセスだけを扱うファウンドリ企業である。そのFab2のモジュール1ラインは28nmプロセスから稼働を始める。GlobalFoundriesの最新状況は明日、お伝えするが、このようなバイヤー、しかも最先端装置のバイヤーであるファウンドリ企業が米国に誕生したことは装置メーカーにとって歓迎すべきことであり、SEMIは拍手を送っている。

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