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AMDからスピンオフしたファウンドリ専門のGlobalFoundriesが戦略を語る

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米Advanced Micro Devices(AMD)社から製造部門がスピンオフしてこの3月4日に設立された、GlobalFounries社の実態が明らかになった。このほど東京の全日空ホテルで開催された記者発表会において、ダグラス・グロースCEOをはじめ、技術のジェームス・ドランVP兼ジェネラルマネジャー、マーケティングのジム・クペック シニアVP、財務のブルース・マクダガルCFOら、幹部がずらりと出席した。会見後の単独取材で内容をさらに補強した。

GlobalFoundriesのダグラス・グロースCEO

GlobalFoundriesのダグラス・グロースCEO


GlobalFoundries最大の特長は、45nmプロセスという先端プロセスだけで顧客を募る文字通り最先端のファウンドリメーカーであること。「180nmや110nmなどにも対応しているTSMCとはここが決定的に違う」と同社のダグラス・グロースCEOは言う。もちろん、社名の由来であるグローバル化に関しても地域で客を選ばない。ただ、最先端のプロセスを必要とする顧客に対応する。このほど、日本の顧客にもアピールすることを目的として来日した。

もともとAMDがチップを製造していたドイツのドレスデンにある300mmウェーハ最先端工場(ファブ1)の中のモジュール1では45nmのSOIウェーハを使い、月産25,000枚のウェーハ処理ラインを立ち上げている最中だ。2009年の後半には、同じドレスデン工場内のモジュール2で、32nmのプロセス技術のラインを立ち上げる予定である。合計で月産5万枚の規模になる。


ジェームス・ドランVP兼ジェネラルマネジャージム・クペック シニアVP
ジェームス・ドランVP兼ジェネラルマネジャージム・クペック シニアVP


さらに米国ニューヨーク州のサラトガ郡にはファブ2と呼ばれる300mmウェーハ工場を建設する計画だ。このサラトガ郡の敷地は、AMDがコラボレーションしてきたIBMのオールバニーからそれほど遠くはない。ここに工場を設置する理由をジェームス・ドランVP兼ジェネラルマネジャーは、「新しく設置する工場の敷地に関してAMDは企業誘致に熱心なニューヨーク州と話し合いを重ねてきた。オールバニー地区には大学をはじめ研究センターなど優秀な人材が豊富にいることが決め手になった」とする。こういった優秀な人材とドレスデンの量産経験豊富なベテランとが知識を共有するとさらに強くなれると同社は考えている。このルーサーフォレストテクノロジキャンパスでは45億ドルを投じて32nm /22nmプロセス技術に対応した300mmウェーハを処理する工場を建設する。完成してフル稼働に入るとその生産能力は月産35,000枚になる。この工場設立で直接雇用する人材は1400名、間接的に必要な人材は5000名の規模になると見積もっている。

一方で、テキサス州オースチンにはファクトリオートメーション技術に優れたR&Dセンターがある。ここではプロセスのフィードバックおよびフィードフォワード制御などでプロセスの最適化を図るというAPM(Automated Precision Manufacturing)技術を駆使したラインを構築している。ウェーハは300mmプライムを使用、次世代ファブ技術(微細化だけではなくより高効率の製作システムやスループットの高いシステム、枚葉式システム、床面積の小さなシステムなど)を開発している。使用するウェーハが300mmプライムということで、450mmウェーハシステムの移行に関しては「まず産業界の幅広い意見を集めてから」(ドラン氏)ということである。

微細化プロセスの共通プラットフォームはIBMとのアライアンスをベースにして、SOIとバルクシリコンのプロセスラインを構築する。GlobalFoundriesが差別化できるのは、高い歩留まりに到達するまでの時間が微細化と共に短縮されてきたことだ。この決め手になるのがAPMだ。APMのフレームワークには、アルゴリズムに基づく解析システムを5つ統合している。その5つとは、1) いわゆるAPC(advanced process control)、2) Integrated production scheduling、3) Yield management system、4) Equipment performance optimization、5) Product performance targeting、である。この5つを統合することで、APC単体よりもより多くのことを実現できる。


微細化と共に高歩留りに達する期間が短くなる
微細化と共に高歩留りに達する期間が短くなる


この結果、これまで130nmから90nm、65nm、45nmへと微細化が進むにすれ、プロセスは複雑になり、歩留りは落ちそうなものだが、AMDは逆に早い立ち上げを実証してきた。ある成熟した歩留まりに到達する期間が微細化と共に早くなっているのである。「APC単体なら180nm、130nm時代から使ってきたが、時代と共にAPCからAPMへと切り替えてきたことが当社のテクノロジの優位性になっている」とドラン氏は言う。

AMDはこれまで、他のファウンドリメーカーよりも早く微細化ラインを立ち上げてきたという実績がある。いつの時代でも次世代技術への移行を完璧に成し遂げることを心がけている。GlobalFoundriesは日本にもいずれローカルオフィスを置きたいとしている。


(2009/03/23 セミコンポータル編集室)

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