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Wolfsonがパワーマネージメント搭載のオーディオアンプICを発売

英国のファブレス半導体メーカーであるWolfson Microelectronics社は、携帯電話向けのオーディオCODECにパワーマネージメント機能を1チップに内蔵した製品AudioPlusシリーズを開発、このほど国内でサンプル出荷を始めた。AudioPlusシリーズの最初の製品であるWM8350は7mm×7mmのBGAパッケージに収められている。

このチップには、オーディオCODECに加え、2MHzで動作する降圧DC-DCコンバータ4個と1MHz昇圧DC-DCコンバータ2個、LDO(シリーズ電源レギュレータ)4個、クロックジェネレータ、充電コントローラ、白色LEDドライバ2個などを集積している。電源関係やインターフェース、周辺などを1チップに集積したことにより、外付け部品を25%削減し、プリント回路基板面積を50%削減できるとしている。

降圧コンバータ4個のうち2個は、最大出力電流1Aと大きく、出力電圧は0.85Vから3.4Vまで25mV単位で設定できる。デジタルコア用の電源として使う。残りの2個の出力電圧は同様で最大出力電流が500mAである。昇圧コンバータは5V-20Vの出力電圧で出力電流は175mAから40mAで調整できる。バックライトやUSB電源として使う。LDOはアナログアンプやローノイズ系回路に使う。出力電圧は0.9V-3.3V。

ステレオのハイファイCODEC部分は、DAコンバータ後のアンプの性能としてSN比98dB、全高調波歪-84dBであり、集積しているヘッドフォンドライバ2個の性能は電圧3.3V、16Ωのインピーダンス時で40mWを出力を持つ。差動マイクの入力部にはローノイズのバイアス電圧で調整でき、プリアンプをプログラムできる。ADコンバータ向けのハイパスフィルタもプログラマブルである。サンプリングレートは、8、11.025、16、22.05、24、32、44.1、48kHzで調整可能。I2C制御インターフェースを備えるが、オプションでSPIインターフェースも設定できる。

RGBのLEDドライブ用にはオープンドレイン出力が3個ある。バッテリ充電コントローラにはLiイオンおよびLiポリマー電池に対応する。さまざまな電池に対応するため、目標電圧と必要な充電時間もプログラムできる。ただし、高速充電モードもサポートする。温度モニターによって充電コントロールのための熱保護回路も設けている。水晶発振器と内部のRC発振器も1チップに集積している。

「パワーマネジメントチップはこれからも成長し続ける。携帯機器がますます増えていくため」と同社マーケティング&アプリケーション担当バイスプレジデントのJulian Hayes氏は見る。ただし、Wolfsonとしては昇圧・降圧など単体のDC-DCコンバータやバッテリマネジメントIC分野に進出するつもりはない。競争が激しいためだという。


Julian Hayes氏

Julian Hayes氏


むしろ、D級アンプやCODECといったオーディオ処理回路など、Wolfsonの得意な分野のチップにパワーマネージメント回路を搭載していく。完全なソリューションを提供して携帯機器という小型・低消費電力・薄型への強い要求に応えていくとしている。搭載すべき携帯機器としては、パーソナルナビや、メディアプレイヤーなども想定している。

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