SeleteがLow-k膜のエッチングにCH3Iガスの有効性を実証
Selete (半導体先端テクノロジーズ)の第二研究部は、Low-k/Cu配線技術の開発を進めているが、機械的にもろいLow-k膜はハーフピッチ(hp)45nm以降のプロセスで、エッチング形状、高選択比、ダメージフリー、低環境負荷、といった問題をクリヤーしなくてはならない。このほど新しいエッチングガスとしてCF3Iがこれらを満足させることを同社はSelete Symposium2008で明らかにした。
CF3Iは、Fラジカルが発生しにくく、その密度は非常に低い(下の図の真ん中)。ダメージを与える紫外線(UV)強度もC4F6やCF4などと比べても低い(下の図の左)。加えて、地球の温暖化にもやさしい。地球温暖化係数(GWP: global warm potential)は安定ながら温暖化ガスとして嫌われているCO2を1としてこれまでのエッチングガスであるCF4は6500倍も悪い。C4F8はさらに悪く8700倍も悪い。少なくともCO2の1よりは小さい材料を選びたい。Seleteが検討しているCF3Iガスは1未満であるという(下の図の右)。
ここで用いているLow-k膜はポーラスなSiOC(k=2.6)であり、機械的な強度が弱く、プラズマによる損傷にも弱い。それで、Low-k膜にキャップ層を被せてから45nmノードの配線パターンを比べるため、プラズマによる損傷を表すパターン側壁の荒れ(LER:ラインエッジラフネス)を調べてみると、従来のCF4だと側壁の荒れは6nm程度あったものが、今回のCF3Iでは2nmと減少した。すなわち側壁はきれいに加工できている。
このエッチングガスを使って加工した45nmノード配線のTDDB(time dependent dielectric breakdown)の信頼性も調べてみると、ワイブル分布で累積故障を見ると、信頼性寿命は2ケタ程度高くなっている。
また、CF4とC4F6の成分比を変えることでエッチングガスの選択比とLERとがトレードオフの関係があったものの、CF3Iは高い選択比と低いプラズマ損傷を両立できたとしている。