セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

ミリ波レーダーがプライバシー遵守、防犯など人流・人感センサに(2)TI編

|

ミリ波レーダーセンサでは、ミリ波の送受信回路だけではなくチャープ信号(注1)を処理するデジタル回路が必要となる。Texas Instrumentsは、その信号処理回路としてA-DコンバータやDSP、さらにマイコンまでを集積したチップを揃えている(図1)。60GHzと77GHzの両方に渡りマイコンまでの高集積化を特長としている。

TIの革新-シングル・チップ RFCMOS / Texas Instruments

図1 TIはRF無線回路からデジタルのマイコンまで1チップに集積している 出典:Texas Instruments


当初、自動車向けの77GHzレーダーを開発していたTIは、レーダー送受信機とRFフロントエンド回路だけのチップから集積度を上げ、最新のAWR/IWR 1843 / AOPは、ミリ波送受信機を含めたセンサ回路からハードウエアアクセラレータ(HWA)、MCU(マイコン)、DSP(デジタル信号プロセッサ)まで集積したチップを提供するようになった(図2)。

TIの高集積ミリ波センサチップAWR/IWR 1843(77GHz帯)やAWR/IWR 6843(60GHz帯)には、ミリ波のアレイアンテナをパッケージ上に設けたAOP(Antenna on Package)タイプの製品もある。アンテナ技術に長けたユーザーは、アンテナを自分で設計しがちであり、TIは同じ製品チップでアンテナのつかない製品も用意しており、ユーザーごとに使い分けている。


TIミリ波センサ 製品ラインナップ / Texas Instruments

図2 ミリ波センサはRF回路からアクセラレータ、DSP、そしてMCUまで集積 出典:Texas Instruments


60GHzレーダーは、広帯域の認可が少し遅れて落ちたため、製品化も遅れていた。ミリ波センサとHWA、マイコンのチップから、最近のさらにDSPやビームステアリング、暗号化回路までを集積したAWR/IWR6843 / AOPまで揃えた。デジタル出力で制御とデータの両信号を出力できるため、ホストCPUへ直接つながるように構成されている。

チップだけではない。デジタル信号処理してから共通のソフトウエア開発キット(SDK)を使えるようになっている。加えて、TI製品をモジュールに搭載したハードウエアのリファレンス設計ボードをシャープタカヤ電子工業が作製しており、それぞれ77GHz帯、60GHz帯のモジュールも販売している。

高周波製品の輸入技術商社であるピーティーエム(PTM)も同様なTIチップの評価キットを作製している。アンテナ設計や電磁波解析が得意な同社では、77GHzのAWR/IWR 1843の評価キットは現在入手可能だが、60GHzレーダーAWR/IWR6843の評価キットも11月に入手できるようになる。さらにPTMは、バイタルサインモニター向けのソフトウエアも開発しており、バイタルセンサのモニターデータを収集したり、グラフィックに表示したりするGUIソフトウエアも提供している。


1.
時間と共に周波数を上げるか下げるかしてスィープする高周波信号のこと。

参考資料
1. 「ミリ波レーダーがプライバシー遵守、防犯など人流・人感センサに(1)」、セミコンポータル (2021/10/21)

(2021/10/27)

月別アーカイブ