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Maxim、非純正品の部品を検出するセキュリティICを開発

クルマ用半導体チップ認定の一つであるAEC-Qグレード1に準拠する認証用セキュリティチップをMaxim Integratedが開発、販売を始めた(図1)。このチップは、非純正品の部品を接続すると、保証された純正品ではないことを検出する。Liイオンバッテリやカメラなど信頼性が重要な部品を守る。

DS28C40 DEEPCOVER SECURE AUTHENTICATOR / Only AEC Q100 Grade 1 secure authenticator for enhanced vehicle safety

図1 Maximがリリースした認証用セキュリティIC 出典:Maxim Integrated


Tesla MotorsのCEOであるElon Musk氏は「自動運転車の最大のリスクは、車列規模のハッキングだ」と述べている。自動車市場は全世界で3%しか伸びないが、クルマ用の半導体が年率6%で伸びると言われており、ECUの導入は高級車で80〜100個、大衆車でも20〜40個が搭載されているという。クルマのセキュリティは強まっており、カーエレクトロニクスに強いInfineon Technologiesは認証用にHSM(ハードウエアセキュアモジュール)を集積したセキュアマイコンAurixシリーズをすでに出荷しているが、Maximはこのほどリリースしたセキュアマイコンは、クルマ用のグレードAEC-Q100(使用温度範囲が-40°C〜125°C)を満たすICである。

OEMが提供する認証用のIC「DS28C40」は、認証するための暗号化機能を持ち、車載システムの安全性とセキュリティ、データインテグリティを強化できる。車載用のバッテリやカメラなどの部品が安全でセキュリティが強固でデータインテグリティが優れていることを担保できる。もし、OEMの認証を受けた純正品ではない部品が搭載されれば信頼性が担保できなくなるため、部品は動作しなくなる。

このICは、例えばカメラに搭載する。カメラからの信号はビデオプロセッサとシリアライザ(例えばMAZ9295)との間でデータをやり取りするが、DS28C40はシリアライザとの間でI2Cバスを通って、正しいカメラの属性を満足しているかどうかをビデオプロセッサに聞く。バッテリが純正品かどうかについても同様にバッテリマネジメントICを通して、検出できる。特にLiイオンバッテリは発火する危険性を含むため、安価で低品質の製品だと危険を伴う。

暗号化に関しては、解読するためのパブリックキー/プライベートキーをサポートし、セキュアハッシュアルゴリズム(SHA-256)および楕円曲線DSA(Digital Signature Algorithm)のカギ認証アルゴリズムを提供する。カギの安全な保管、デジタル証明書と製図データ保存用のOTP(One Time Programmable ROM)を集積している。楕円曲線DSAパブリックキーの認証を利用して、OEMが提供する本物の部品かどうかを確認するという。OEMは、暗号化のためのデバイスレベルのコードを開発する必要がない。このICの動作時消費電力は最大60mW、アイドル状態での消費電力は標準1.8mWだとしている。

アナログとミクストシグナルICメーカーのMaximは、ほぼ同時に3種類のICもリリースした。これらは電圧リファレンスIC「MAX6078A」と超低消費電力の電圧監視スーパーバイザーIC「MAX16155」、4チャンネルの電圧モニターIC「MAX16160」である。

(2019/11/12)
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