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Broadcom、クルマ用Ethernetスイッチ製品の性能・機能を向上

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高速通信規格Ethernetのクルマ版であるBroadR-Reachを推進する米国のBroadcom社が小型・低消費電力・高セキュリティの第2世代のEthernetスイッチ新製品BCM8953xシリーズをサンプル出荷した。パッケージサイズを現世代製品の半分に減らし、消費電力も最大30%削減したとしている。

図1 Broadcom Senior Director of AutomotiveのAli Abaye氏

図1 Broadcom Senior Director of AutomotiveのAli Abaye氏


これらの特長は、同社が現在クルマに搭載が始まった第1世代のBCM8950xと比べた場合の小型、低消費電力の値である。Broadcomは新製品のスペックについてほとんど語らないが、このクルマ用EthernetスイッチICには4ポート、5ポート、8ポートの製品がある、と同社Senior Director of AutomotiveのAli Abaye氏(図1)は述べる。28nmCMOSプロセスを使うことで小型・低消費電力が得られたとしている。

クルマのEthernet通信を推進しているBroadcomは、クルマ用Ethernet、BroadR-Reachに力を注いでいるが、その理由は車内でのビデオ映像伝送と軽量化のためである。一般的にシールド線を使っているEthernetケーブルとは違い、2本の線を互いにねじり合わせたツイステッドペア配線を使っており、極めて軽い。カメラ映像を駆使するこれからのクルマでは、ビデオ映像を送受信するためのEthernetスイッチが欠かせない。同社は、8年前にツイステッドペアのBroadR-Reachを開発、自動車メーカーに紹介してきた。しかし、自動車業界では標準化する必要があると言われ、2009年に9社からなるOPEN(One Pair EtherNet)Allianceを設立した。この10月27〜28日に横浜でIEEE主催のOPEN Allianceミーティングを開催した。現在会員は300社にも達したという。

クルマ用のEthernet通信はまだそれほど普及していないが、2016年あたりから立ち上がると市場調査会社のStrategy Analyticsは見ている(図2)。図2の縦軸はノードすなわちIOポート数である。2018年にはFlexRayやMOSTを抜き、クルマのインフォテインメント通信の全てがEthernetに代わると見ている。BroadR-Reachの普及によって、ツイステッドペアケーブルによって、クルマのケーブル重量が最大30%軽くなり、接続ケーブルのコストはシールドコスト、アセンブリコストを加えると最大80%削減できるとしている。


図2 クルマのEthernet BroadR-Reachは2016年ごろから立ち上がる 出典:Strategy Analytics, Broadcom

図2 クルマのEthernet BroadR-Reachは2016年ごろから立ち上がる 出典:Strategy Analytics, Broadcom


クルマのEthernetスイッチは、図3のように今後のクルマでは、主にADAS(先進ドライバー支援システム)とダッシュボード、インフォテインメントなどでは、カメラとディスプレイが多数装着される。例えばADASでは、多数のカメラ映像をまとめてゲートウェイのようなスイッチにいったん集め、スイッチで各データを切り替えて、ディスプレイのあるダッシュボードやインフォテインメントのディスプレイ等へ送る。ダッシュボードにはボディ系のゲートウェイ、インフォテインメントディスプレイにはオーディオ・ビデオ系のゲートウェイがEthernetスイッチとなる。


図3 ADASやボディ、インフォテインメントのゲートウェイとしてBroadR-Reachが使われる 出典:Broadcom

図3 ADASやボディ、インフォテインメントのゲートウェイとしてBroadR-Reachが使われる 出典:Broadcom


次世代EthernetスイッチのBCM8953x製品には、PHY回路を内蔵しているため、コネクタの接続が容易になり、コストを削減できるという。制御回路はマイクロコントローラ用のMCUコアARM Cortex-R4を集積し、クルマ用の標準規格IEEE802.1AS、802.1Qat、802.1Qavに準拠している。セキュリティに対しては、認証(authentification)を要求するプロトコルを採用、セキュアな部分を複数用意しているという。加えて、クルマ用にノイズを削減するためのローパスフィルタを集積しながらもパッケージサイズを現世代製品の半分に減らしている。


図4 Ethernetが使われそうなクルマの部分 あずき色の部分が今回のチップが応用されそうな部分 出典:Broadcom

図4 Ethernetが使われそうなクルマの部分 あずき色の部分が今回のチップが応用されそうな部分 出典:Broadcom


Abaye氏は、この第2世代のEthernetスイッチは、従来のテレマティックスやリアカメラなどの応用に加え、リアシートエンターテインメントやセキュアなゲートウェイ、ナビゲーションヘッドユニット、駐車支援などに搭載されていくと見ている(図4)。BroadR-Reachは、2013年に発売されたBMWのX5のサラウンドビューカメラ映像の伝送に搭載された。2020年までにはBroadR-Reach搭載の日本のクルマが走ることを同氏は望んでいる。

(2015/11/05)

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