AIチップの設計請負業者として成長するBroadcom
Nvidiaの次に時価総額の高い半導体企業としてBroadcomが注目されている。全企業の時価総額ランキングで8位であり、9位のTSMCよりも上位に来ている。そのBroadcomがChat GPTのような生成AIを生み出したOpenAIの半導体設計を請け負うらしいというニュースで先週は持ちきりだった。日本のレゾナックが先端パッケージのインターポーザ開発を狙った新プロジェクトでは27社が参加する。
図1 Broadcomの2020年から25年までの第3四半期に於ける売上額の推移 出典:Broadcomの決算期データからセミコンポータルがグラフ化
BroadcomはGoogleのTPU(テンソルプロセッシングユニット)チップの設計を請け負っており、AIチップ設計のスキルが優れていることが評価されているようだ。さらにMetaのチップも一部請け負っているとも言われており、さらにAppleのサーバー向けAIチップの設計でも提携している。先週、Broadcomは同社の2025年度第3四半期(5〜7月期)の決算が発表され、日本経済新聞でも9月6日付け、9月5日付け夕刊でも報じられた。
それによると、売上額は159.2億ドル、Non-GAAPで84億ドル、GAAPで41.4億ドルを計上した。ただ、Broadcomのビジネスは2つの柱があり、半導体部門とインフラ向けソフトウエア部門であり、前年同期比(YoY)でそれぞれ26%増の91.66億ドル、17%増の67.86億ドルの売上である。成長に大きく寄与したのはやはり半導体だ。「AIの売上額はYoY63%増の52億ドルだったが、Q4ではさらに62億ドルに増加すると期待している」とCEOのHock Tan氏は述べている。
半導体の方がインフラ向けソフトウエア部門よりも成長率は高く、大きく成長してきたが(図1)、インフラ向けソフトは2023年にVMWareを買収して半導体部門に近づいた。しかし、半導体の方が伸び率は高く、また引き離した格好になった。
Broadcomの半導体は通信ネットワーク用半導体に強く、特にAIチップを大量に並列動作させる場合に必要となるネットワークプロセッサや、AIチップ内の大量のプロセッサコアを並列動作させるNIC回路などネットワーク制御ICが得意。このため超並列動作するAIチップの設計に長けている。Googleをはじめとするハイパースケーラーたちが近寄ってきて半導体設計を依頼するのは必然的だ。
OpenAIがBroadcomにAIチップの設計を依頼したという噂は、9月5日のWall Street Journalでも報じられ、100億ドルのビジネス規模になったとされている。それまでNvidiaのGPUを使ってきたがGPUの供給不足により、OpenAIはBroadcomに設計してもらうという自社開発に踏み切った。もちろん製造はTSMCである。
レゾナックは先端パッケージの開発において、インターポーザを従来のシリコンではなく、四角い大型パネルサイズの有機基板を新たに開発する。そのためにJOINT(Jisso Open Innovation Network of Tops)3プロジェクトとして立ち上げた。300mmウェーハからシリコンインターポーザは4枚しか取れないが、510mm角の大型基板だと24枚も採れるため生産性が良い。しかし、多層配線となるとビルドアップ基板になる上、開発ツールまで必要となるため材料メーカーだけでは心許ない。
このため、インターポーザの材料だけではなく装置や設計ツールも開発する。このためこれまでのように材料メーカーだけではなく、図研やSynopsys(窓口はアンシスジャパン)のような設計ツールベンダーも参加する。日立ハイテクや東京エレクトロン、Applied Materialsなどの装置メーカーも参加する。先端パネルレベルインターポーザーセンターの拠点は、レゾナックの下館事業所(茨城県結城市)に置く。


