AIデータセンター向け電力需要に応える東電と関電、ASEの北九州進出は?
最近の半導体景況は、いまだにAIデータセンター向け好調、パソコンやスマホは徐々に回復だがEVなどの自動車は不調、という状況を示す事実が先週のニュースで見られた。AIデータセンター向けの電力増強、Metaの「超知能」、フィジカルAIというべきロボットを看護師の補助として使う台湾の病院が紹介されている。一方でOSATトップの台湾ASEが北九州市に取得した土地が1年間活用されていないという問題もある。
AIデータセンター需要はいまだに旺盛だ。Nvidiaは次四半期(5〜7月期)も史上最高の売上額になる見通しを崩していない。Micron Technologyが6月25日に発表した2025年度第3四半期(3〜5月期)における売上額は前年同期比(YoY)37%増、前期比(QoQ)15%増の93億ドルに達した。特にデータセンター向け製品はYoYで2倍以上成長した、と同社CEOのSanjay Mehrotra氏は述べている。次四半期への見通しも史上最高で初の100億台に到達する107億ドルを見込んでおり、データセンター市場への期待は大きい。特にAMDの新AIチップであるInstinct MI355X GPUのプラットフォームに、12枚のDRAMチップを積層したHBM3E 36GB 12Hが採用され、次四半期への期待が大きい。
MicrosoftやGoogleなど米国のCSP(Cloud Service Provider)が日本にデータセンターを設置し、世界中のデータセンターを光ファイバで接続している。日本のデータセンターをさらに増強する計画が出ており、7月2日の日本経済新聞によると、東京電力と関西電力がそれぞれ2000億円、1500億円を投資して変電所や送電線の新増設を図る。東京電力ホールディングスの送配電子会社の東京電力パワーグリッド(PG)は2030年代前半までをめどにデータセンターの集積が進む千葉県北西部での送電網増強に2000億円超を投じる。千葉県北西部の印西市と白井市にまたがる地域にはデータセンターの今後の新設計画も多く、送電網の整備を待つ建設予定のデータセンターは約40件にのぼる。24年6月に印西市内に大型変電所を新設し、供給できる電力を1.5倍に増やしていたが、今後の新規の需要はまかないきれないと判断し、投資を積み増す。
また、関西電力グループの関西電力送配電が2026年以降、西大阪変電所(大阪府箕面市)や新生駒変電所(奈良県生駒市)など計4カ所を増強する。27〜29年に変圧器の増設工事を完了し、扱える電気容量は約3割増える。電線の増強や新設も計画する。
AIで出遅れたMetaは巻き返すため、「超知能(Super Intelligence)」と呼ぶ、高度なAIを目指し開発する新組織「Meta Super Intelligence Labs」を設立した。OpenAIやAnthoropic、Googleなど競合企業からエンジニアを引き抜いたらしい。新組織のリーダーには、ScaleAIの創業者Alex Wang氏とGitHubの元CEO、Nat Friedman氏が就任する。

図1 台中栄民総医院での看護師補助ロボット「Nurabot」 出典:川崎重工業
産業用ロボットに強い川崎重工業は、EMSトップのFoxconnと提携、看護師補助ロボット「Nurabot」を共同開発した(図1)。2026年度の市場投入を目指し、2025年4月から台湾の国立病院である台中栄民総医院において実証実験を行っていることを7月4日明らかにした。看護師をはじめとする医療従事者が世界的に不足状態になっている。川重は自律走行型のロボットを以前開発した「Nyokkey」をベースに、看護師の業務補助を目的としてカスタマイズしたもの。病院では採血した検体の輸送や、薬剤の輸送、入院時の施設案内、患者向けの衛生教育などの業務を担うという。
台湾ASEが2024年7月末に北九州市の用地取得の仮契約を市と結んでからまもなく1年を迎える。6月に開かれた市議会での議員からの質問に対して、企業側の判断が進んだ際に遅滞なく対話できるように情報交換していく、と述べており、この1年間でASE側との話し合いは持たれていないようだ。昨年と比べ、特に車載向け半導体が不況にあえいでいる。熊本県にある三菱電機のパワー半導体新棟の稼働についての追加投資は31年度以降まで待つことを決めた、と7月4日の日経が報じている。ロームもSiCの新工場はサンプル出荷しているものの、量産の見込みは立っていないという。自動車産業が活発な北九州は、車載向け半導体の回復を待ち望んでいる。



