TSMC、ASMLとも文句なしの2025年第1四半期業績
4月17日に台湾TSMCが発表した2025年第1四半期(1〜3月期:1Q)における売上額は、前年同期比(YoY)35.3%増の255.3億ドル、営業利益率48.5%だった。その前日に発表されたオランダASMLは、YoYで46.4%増の77.42億ユーロ、営業利益率は35.4%と、両社とも立派な業績だった。
図1 2025年第1四半期におけるTSMCのプロセスノード別売上比率 出典:TSMC
TSMCは先端技術で売り上げを稼いでいるように、全売上額の58%が3nmと5nmプロセスによるもので、7nmプロセスも含めると、全売上額の73%が7nm以下のプロセスの超先端技術になる(図1)。半導体技術アナリストの間で使われる先端プロセスとは16nm以下を指すため、先端プロセスは実に80%に達している。
ただ、先端プロセスを利用するファブレス半導体などには、大手の量産タイプのロジック製品のメーカーであり、メーカーの数は少ない。しかもウェーハプロセスコストが先端になるにつれ高くなるため、大手メーカーしかTSMCに依頼することができない。Nvidia やApple、AMD、Broadcomなどは常連の大手ユーザーだ。
応用別では、HPC(高性能コンピューティング)部門が全売上額の59%を占め、これにはAIデータセンターやスーパーコンピュータなどが含まれる。従来のスマートフォンは28%に減り、IoT、自動車とも5%と着実に増えている。また、DCE(デジタルコンシューマーエレクトロニクス)はわずか1%しかない。特にNvidiaの最新GPU製品であるBlackwell、その前のHopperなどが量産中に入っている状況だろう。
TSMCは次の2Q(4〜6月期)に対する予想も毎回発表している。それによると売上額は284億ドル〜292億ドルとなっている。粗利益は57〜59%、営業利益は47〜49%と好調である。1米ドル=32.5台湾元で換算している。
ASMLの1Q業績もTSMCに負けずに好調だ。全売上額の内、装置の販売収入が57億ユーロ、設置した装置の管理収入が20億ユーロである。装置販売だけではなく保守メンテナンスのサービスでも稼いでいる。EUV装置は保守コストがかかるため、その売り上げがメンテナンス収入となる。台湾には数千人の保守要員がいるといわれており、日本でも現在20名程度を27年までに100名に増やす。今年ラピダスがEUV装置を導入したことに加え、今年中にMicron TechnologyもEUV装置の導入を予定している。

図2 ASMLの装置販売額、地域別売上額は24年4Qに日本も11%を占める 出典:ASML
装置売上額の前四半期との比較を図2に示す。毎年4Qに最も多くの装置が売れ、翌年1Qは売り上げが落ちるという季節要因がある。また、特に政治的な要因もあり、EUV以外のリソグラフィ装置の販売台数は25年1QにArF液浸装置からiライン装置に至るまで全て、販売台数が大きく低下している。これは、米中貿易戦争によるもので、先端以外の製造装置だけは販売してもよいことになっていたが、トランプ大統領になってからは、全ての装置の対中輸出が事実上禁止される可能性があるため、今のうちに買っておこうという姿勢で中国側は購入した。先端製品であるEUV装置だけは、前四半期と同数の14台にとどまった。
受注額が1Qでも落ちている点が気になる。24年4Qで70.88億ユーロのブッキングが25年1Qでは39.36億ユーロと大きく落ちている。とはいえ、ASMLは、2Qの見通しを72〜77億ユーロと見ている。2025年度全体では300〜350億ユーロとの見方は前四半期から変えていない。


