Nvidiaの四半期決算、驚異の売上額350億ドル、営業利益率62%
先週はNvidiaの決算が発表され、2024年8~10月期の売上額、営業利益は共に四半期ベースで過去最高だった。売上額は前年同期比94%増(ほぼ2倍)の350.8億ドル(約5.45兆円)、営業利益は218.7億ドル、営業利益率が62%と極めて高い。またキオクシアが12月に株式上場することを決めた。ラピダスに政府が2000億円を出資する。

図1 Nvidia CEOのJensen Huang氏
現地時間11月20日に発表されたNvidiaの2025年度第3四半期(24年8~10月期)決算では、前期比でも17%増という結果だった。同社CEOのJensen Huang氏(図1)は、「最新GPUであるHopperやBlackwellへの需要が極めて高い。基盤モデル企業が事前学習と事後学習、推論の規模を拡大させているためだ」と述べている。これからのAIに関しても「産業界や企業、国家さえもAIが変革している。企業はワークフローを革新するためにAIエージェントを採用しており、産業用ロボットへの投資が増加し物理的なAIにブレークスルーが起きようとしている。国は国家的なAI(ソブリンAI)とインフラを開発することの重要性に目覚めた」と期待する。
第3四半期での売上額の内訳を見ると、データセンター向けが前年同期比112%増(2.12倍)で308億ドルと同社売り上げ全体の88%にも達する。ゲームとAI PC向けの部門は同15%増の33億ドル、プロ仕様のビジュアライゼーション(産業用メタバースや高画質化)部門は同17%増の4.86億ドル、自動車とロボット部門が同72%増の4.49億ドルとなっている。成長率で見ると、データセンターが圧倒的に高いが、その次が自動車とロボットであり、この分野は日本が強いところだ。
Nvidiaは前の決算では今期の売上額を325億ドル±2%と見込んでいたが、今期の決算ではそれを25億ドルも上回ったことになる。にもかかわらず、投資アナリストの間ではもっと多くの売り上げを予想しており、期待外れということで株価はやや下がった。ある意味アナリストが勝手に予想していた数字が正しくなくとも株価が変動するということは、短期間での株価の変動には一喜一憂しても仕方がないことを表している。
Nvidiaは次の四半期の売上額を375億ドル±2%、粗利益を73%~73.5%と予測している。さらに快進撃が続きそうだ。
また、キオクシアは12月中旬に上場する、と11月22日の日本経済新聞が報じた。想定の時価総額は7500億円規模と、当初目指していた1兆5000億円を下回る。スマートフォンやパソコン向けのNANDフラッシュに強く、Appleに納めているチップが多い。ただ、スマホやパソコンの需要回復が遅れているが、25年度になるとAI向けのデータセンター投資が本格化すると見ているため。このままさらに上場を遅らせるよりも25年1月就任のトランプ大統領の地政学的リスクが高まるという判断もあったという。
「最終的には主幹事証券が低価格での上場を進言し、上場後に企業価値を高めるキオクシアの戦略をベインも受け入れたもようだ」と日経は報じている。キオクシアにとってはデータセンター向けの需要が拡大してきたときの設備投資資金に充てる。
政府はラピダスの支援策として、「2025年度に新たに2000億円を出資する計画だ」、と21日の日経が報じた。すでに9200億円の政府の補助金を決めており、当初ラピダスは5000億円から1兆円の投資が必要と言ってきたが、ここにきて5兆円が必要とさらに巨大な金額を要望している。最新半導体工場を新たに建てる場合でも設備投資額は工場一つでせいぜい1兆円だった。IntelやTSMCのアリゾナ工場やSamsungの新工場でも1兆円程度で賄っている。政府はすでに残りの4兆円の確保に動いているようだ。公的資金を1社になぜ5兆円も投入するのか、政府は説明が必要になろう。
TSMCをモリス・チャンCEOが創業するとき、台湾当局の出資額は25%程度でしかなく、残りは全て民間から賄った。このためさまざまな半導体メーカーにも出資を要請してきた。唯一オランダのPhilipsだけが27%分を出資し、残りを金融関係から調達した。このため、常に身の丈に合った設備投資を創業から10年以上続けてきた。ラピダスの場合、民間出資はわずか73億円しかないため(仮に1兆円とすると0.7%)、実質的にほぼ国策会社となっている。