1月の世界半導体販売額、季節要因で下がっているものの回復は着実に進む
2024年1月の世界半導体販売額が1年前の1月のそれと比べ15.2%増の476.3億ドルであった。ただし2023年12月の販売額と比べると2.1%減となっている。この数字は、SIA(米半導体工業会)が米国時間3月4日に発表したもの。SIAは米国半導体企業の99%をカバーし、非米国半導体企業の2/3をカバーしているという。
例年、1月の販売額は前年12月の販売額よりも少ない。消費が活発になるクリスマスシーズンが終わるからだ。しかし、わずか2.1%減しか落ちていないことは、2024年はやはり成長の年になることを示している可能性がある。実際、SIA会長でCEOのJohn Neuffer氏は、「前年同月比(Year on Year)で見ると、15.2%増という数字は2022年5月以来最大の増加であり、今年の強さを示しており、良いスタートを切った」と述べている。この市場成長は今年いっぱい続き、2024年は2023年より二桁成長すると見ている。
SIAが発表する毎月の世界半導体販売額は、WSTS(世界半導体市場統計)のデータを基に3カ月の移動平均値を表したものだ。3カ月の移動平均値は過去3カ月の実積値の平均をとったもので、毎月の変動を均して全体の傾向を見ようという目的がある。しかし、残念ながら未来を予想する方法としては適切ではない。過去のデータに縛られているからだ。
そこで、3カ月移動平均値から、1月単月の販売額を求めてみよう。WSTSのデータは2023年12月までは公表されているが、残念ながら1月単月の数字はまだ発表されていない。しかし、11月、12月の単月の数字は利用できるため、1月の数字を求めることはできる。すなわち、1月の販売額=3×(11月から1月までの移動平均値)−(11月と12月の販売額の合計)、で表すことができる。
11月の世界半導体販売額は478.48億ドル、12月のそれは517.87億ドルとなり、1月のそれは432.6億ドルとなった。これは12月の数字と比べ16%減となる。金額にして85.3億ドルの低下である。ちなみにYoYでは、2023年1月の374.6億ドルよりも15.5%増加している。3カ月の移動平均と似たような数字になっている。
このようにしてみると、1月の数字はそれほど力強くないように見える。昨年の前半が悪すぎたからだ。そこで、YoYを比と差で見るともっと顕著にわかる(図1)。
図1 世界半導体販売額の前年差と前年比
図1は、世界半導体販売額の前年との差および比を表した図で、前年との違いが顕著に出る。2023年の1月と2022年12月との差はさほどないが、むしろ悪すぎて下がりようがない、と表現することが適切かもしれない。ちなみに好調だった2022年1月と2021年12月の差を見ると、22年1月は468.93億ドルで、12月の529.23億ドルから60.3億ドルの低下で収まっている。つまり、今年の1月は、例年よりもまだ力強さが表れていないといえそうだ。
とはいえ、昨年と比べる限り、昨年秋から連続プラスの差額が徐々に増えてきていることは明確であるため、まだ好調とまでは言えないものの、少しずつ回復してきていることは間違いなさそうだ。
参考資料
1. 「2023年12月の世界半導体市場、前年同月比19%成長、4カ月連続プラスに」、セミコンポータル (2024/02/14)